マトモな精神状況じゃなかったんじゃないですかね?(そ知らぬふり)

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なんか知らない内に書けてたから投稿します。
モチーフにしたゲーム、アニメ、映画が分かる人は多分いない。


見えたら終わり

「はぁ、はぁ、はぁ…!」

 

走る、走る、走る。真夜中の町中を一心不乱に走る。何かから逃げる様に。恐ろしいものから逃れるために。ただ、走り続ける。周りの風景なんて気にも留めずただ走り続ける。

 

「あぁ、ああああああああ!」

 

口からは言葉が出てくることは無く、ただ悲鳴じみた叫び声が漏れるだけだ。どうしてこんなことに…。逃げる中、ただそんな考えが浮かぶ。自分の居場所に足を踏み入れた存在を、いつも通りに、ただそれだけなのに。その存在を認識した瞬間から恐怖で泡立つ。見てはいけない存在、月明りに照らされるソレに恐怖を抱く以外の感情は無かった。

 

少し前までの気概も何もかも遥か彼方に消えてゆき、ただ、後ろを振り返らない様に意識しながら逃げるだけ。狩る側から、狩られる側になってしまっただけの話。冷や汗が流れる。どうして、どうして。答えのない考えが頭の中を搔き乱す。いつもと同じように、日常のルーティーンを繰り返すだけだった筈なのに。

 

自問自答に背後から迫る死の恐怖に気が付かなかったが、いつの間にかどこか遠くに来てしまったようだった。普段は居場所から呼ばれ、這い出ている為地理なんて分からない。しかし、こんな腕の複数ある化け物の銅像なんて存在するのだろうか。

 

大きな刃物を振り回す巨漢、片手には松明を持ち片手に刃物を持つ顔の見えない男性。何処からともなく聞こえてくる笑い声、蠢く影。此処は何処だろう。此処は知っている場所だろう?カツーン、カツーンと背後から音が聞こえる。逃げなくては、逃げて逃げて、何処か安全なところに。

 

安全なんてどこにあるの?

 

恐ろしい子どもがやってくる。赤子に良心を期待することは出来ない。逃げなくてはいけない。かつて感じた恐怖が、腹の底から這い出てくる。素足に石の道は冷たく感じる。冷たく感じる?感覚は既にない筈だ。ただ、生命を弄び、貪り喰らうのが日常であるが故に、ただ本能で動いている筈なのに。

 

では、この思考は誰だ?

 

ゾッとする。戻された?そもそも、それら全てが夢だった?ならば、終わらない悪夢に閉じ込められたと云うべきか。ただ恐ろしい。そんな感情はとうに忘れたはずなのに。赤子の声が聞こえる。赤い、赤い、赤い、白い、白い、白い、白い、白い、白い、白い、青い、青い、青い、青い、青い、青い、青い、青い、青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青青アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!??!?!?!?

 

何かが見える。何が見える?複眼の化け物?白い頭に這い出る触手の化け物?這い出るナニカを従えた、遺児?乳母が迫ってくる?血の匂いがする。甘くて蕩ける血の匂い。

 

月が赤い。背後から迫る足音。もう一度逃げよう。何処かにある筈、恐れるものが何もない幸せな世界。何をもって幸せと定義する?あれ?あれあれあれあれあれあれあれあらえらえらえあれらえr???

 

祈りを祈り(呪い)を、祈りを捧げなくてはいけない。あぁ、誰でもいい。救ってくれ、許してくれ、何をしたというんだ。こうあれかしと望まれ、誕生した存在(負の遺産)に何を望むというんだ。あぁ、許してくれ、許してくれ。

 

虫が湧いてくる。人とナニカで構成された恐ろしい存在が迫ってくる。此処は何処だ?血の匂いがする。噎せ返る様な濃厚なにおい。えずきそうになる臓物の匂い。芳醇なにおい。おいしそう。おいしそう?その考えに恐怖する。そもそも、何故恐怖を抱いている?恐怖なんて、…………きょうふってなに?

 

恐怖、教父、きょうふ。分からない、分からない。わからない。溶かされる、月からささやかれる。力が抜ける。出る筈の無い、涎が出る。荒い吐息、手を見れば毛が生えている。冷たい井戸の底で死んだはずなのに(・・・・・・・・)

 

視界がクリアになる。煩わしかった前髪も既に気にならない。手が前足になっている。這いずるように動くのは得意だ。四足歩行なんて朝飯前、寧ろ楽なくらいだ。様々な匂いがする。血の匂い、火の匂い、なにより魂の匂い。恐ろしい匂いから逃げながら摘まみ食いをする。恐怖と言う感情を浮かべないソレに何の躊躇いも無く、爪を振り下ろす。引き裂く感触、噛み付き飲み込む。未だに生きているのか、口の中でピクリと動くこの触感もたまらない。

 

あぁ、理性が解けていく。知性も、なにもかも、ひとつのこらずとけてゆく、とけて、とけて…?

 

「  た 」

「!?」

 

見つかった。逃げなくちゃ…。何処へ?どこに安全な場所があるの?幸せな世界は何処?キラキラ輝くこの世界のすばらしさはどうして誰も分かってくないの?

あぁ、逃げなくちゃ、逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて、安全な場所に。

 

神様が見てる、かわいらしい娘がこっちを見てる、空に浮かぶお兄さんがみてる。みてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてるみてる。

 

あはははは、あははははははははははあははは‼‼!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

「《d》あははははhdさハハハハハは母はhbはあsだあはははっハハハハハはh《/d》」

「――――――――――――――――――――――――」

 

くろいすがたのおにくがある。おいしそう。

 

「――――――――――――――!」

「おなか、すいた、おなか」

 

おいしいおにくがほしいのしんせんなおにくたべたいたべたいいっぱいおなかがふくれるくらいあったかいいどはさむいつめがはがれるのどがかわいたたすけておかあさんおとおさんだれもこないのだれもみてくれないのだれもきづいてくれないのしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない

 

「あっ」

 

きれいなおほしさまみえてるきれい

 

~~~

 

これは哀れな怨霊のお話。ただの怨念が負の感情により受肉し、人間の魂を貪り喰らう怨霊に変わり、面白半分で召喚した人間を貪り喰らう日々を送っていた彼女の身に起きた悲劇の話。

 

呪いの儀式、恐ろしい血、広まる菌、様々な因果が重なる丑三つ時に迷い込んだ彼女は、その特異性が災いし、自らの体を獣えと堕とした。当然、それを狩る存在が居る訳だ。しかし、彼女は元々の存在が人間ではない。いや、人間だったがその後変質したといった方が正しい。

 

三次元に存在する人間と言う物体が死ぬことによって四次元に行く。しかし、人々の負の感情、本人の怨念も重なり天文学的数字の確立の壁を越えて爆誕した怨霊である彼女は一足飛びに獣の上、それより上位の存在になってしまった。しかし、それは生まれて間もない赤子。

 

他者との隔絶した能力差はあるものの、実戦経験の無い彼女は狩猟者にとって処理するのは造作の無いことだった。唯一の誤算としては、すばしっこく狩猟者の姿を見れば一目散に逃げる事。それが何故なのか、狩猟者は知らない。そもそも、ただの処分対象にそこまで考える人間の方が稀なのだろう。

 

今宵の夜の犠牲者はそんな哀れな怨霊。次は、一体誰がその身を堕とすのだろうね。




一応、参考にしてた作品書いておきますね。予想していた方はここで答え合わせでも、どうぞ。

・Bloodborne
・SIREN (NT含む)
・リング

でした。多分。私も、無意識に仕上げていたので、自分が意識して書いてた訳では無いんですよね。なので、恐らくこの三作だと思います。ハイ。


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