人を脅かす敵がいる。
握る拳はここにある。
私は喉を震わせる。
“未だ分からない。どうして私なのか♪”
響く歌。そして体が熱を持つ。力が漲る。
“いつも迷ってた。これで正しいのか♪”
標的、空飛ぶノイズに向けて跳ぶ。右手で殴り付ける。迫り来る攻撃を左手で弾く。
“救えているか。守れているか。この先に、あったかい未来はあるか。いつだって不安だったんだ♪”
私を囲い込む空中の敵を、一つづつ殴打する。徒手空拳ではどうしても手間のかかるその殲滅は、遠望からの閃光によって……。
“そうやって足掻いていた昨日の先に、今日みたいな未来があった。……あったんだ♪”
重力にしたがって落下、地面に着地する。地上にも敵は多く、けれど一時動くのを止めて、私を援護する紫色を、最愛の日だまりを見やった。
“ここは握った拳の未来。ここは繋いだ手の未来。だから笑おう(笑わなきゃ)。だってここが、私たちの望んだ未来のはずだから♪”
私からなら直ぐにでも手を握りに行ける距離。それでも、表情が分からないくらいには、声が届かないくらいには、遠くにいる彼女。
その事に、どうしようもなく安堵している。
“花開いた勇気が、掴み取った未来。みんなとの絆が、取り戻した未来。絶対絶対(絶対に)、これが、私の、望んだ……、未来だぁ♪”
ああ、これは、この思いは初めてだ。
私は、立花響は、この歌が彼女に響かなくて良かったと、そんなことを思っている。
“響けよぉ♪”
私は再び動きだす。拳を握る。地上を駆ける。体の熱くなるのに任せて、倒さなければならない敵を蹂躙する。
この胸の歌は、とても痛かった。色々と。
「大丈夫、響?」
「うん。へいき、へっちゃら!」
「そう」
「未来は?」
「私は、響の隣で一緒に戦えることがすごく嬉しいよ。やっぱり、響が遠くにいることが、助けになれないことが、今までずっと苦しかったから」
「そっか……」
「響?」
「…………」
「むー」
「ひゃっ、ひゃうひひゃの、ふぃふ」
「思ってること、ちゃんと言ってくれないの?」
「…………」
「…………」
「……未来は、いつもこんな気持ちだったの?」
「ん?」
「未来が戦っているのが、辛いよ。不安で仕方ないよ。こんな危険な所に、いて欲しくないよ」
「…………」
「私の大好きなあったかい日だまりに、こんなことしてほしくない」
「…………」
「未来、怖い。すごく怖いよ」
「……でも、響は私を守ってくれるんでしょ」
「ぜったいにっ!」
「なら、大丈夫だね。私は、響を信じてるよ」
「……戦わないでは、いてくれない?」
「うん。響が私を守ってくれるように、私も響を守りたいから。これは、譲れない」
「……分かったよ、未来」
……自分で書いといてアレですが、響はこんなことでクヨクヨしない気がします。
解釈違いです、きっと。
でもなぁ、どうなんだろ。
んー、わからん。