【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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35話 「ねこみみ病」 2/7

「お礼をするって言いましたよね」

「いや、まあ、私たちができることならって」

「なら尻尾で」

「いやぁ……それはちょーっと……」

 

「………………………………にゃ」

「ほら、島子さんは良いって」

 

普段になくちょっと強気で言ってみた僕。

 

だって尻尾触りたいんだもん。

なんでこんなにこだわるのか分からないけどとにかく触りたい。

 

これが女の子の本能?

 

女の子ってちっちゃい頃から人形とか好きだしぬいぐるみとかいい歳して持っていてもおかしくないって共通観念があるくらいだし、あとやたら他人と体くっつけるし。

 

多分そうなんだ、きっと。

そうに違いない。

 

だから今の女の子になっている僕がこだわっても良いはず。

元に戻ればきっと失うだろうこの感覚を大切にしたいんだ。

 

それがしっぽ。

 

人の体には存在していない尻尾、それも猫のって言う長細いそれ。

 

腕よりは細いけど手首くらいの太さがあって、今の僕の腰までよりもずっと長い……人間の身長、島子さんの身長に合わせて生えたような、僕が前から触りたいと思っていた猫たちのそれ。

 

それが今は僕の手元にある。

 

「……みさきちゃん、お願いだからニュースになるようなことだけは……」

「ニュース? ですか?」

「……うん、響くんはただの興味本位……いざとなったら一応同性って言い張ってもらえば……うん、だから大丈夫……」

 

ポニーさんなに悩んでるんだろ……まぁいいや、それよりしっぽだしっぽ。

 

猫のそれよりもずっと手のひらのサイズに合った大きさになっていて温かくて「どうぞ」って差し出されている。

 

こんな幸運あるんだろうか?

ここに来るまでがひどかった反動なんだろうか。

 

けど僕はこの程度じゃ、ほだされない。

説明も何も一切ない魔法さんの魔法には迷惑をかけられっぱなしなんだ。

 

だけどこの感覚、僕にとってはねこみみよりもずっと興味深くって触り心地も独特でふさふさしていていっそのこと飼いた――――――――――落ち着こう。

 

「………………………………ふぁぁぁ…………んっ…………」

 

島子さんの毛はいつも触りはじめにぶわっとなる。

 

くすぐったがりだからなんだろうけど、そうしてしばらくぶわっとしていてだんだんと毛が寝ていって収まっていくのもまたおもしろい。

 

しっぽ自体をゆっくりしゅるっとしてみたり早くしゅるっとしてみたり、あるいは緩急をつけてみたり丸めてみたり。

 

触っていても飽きる気配がぜんぜんない。

 

「………………………………んん…………んんんんんっ…………」

 

このくらいの力ならくすぐったすぎないみたい?

さっきまでより静かになってきたし、僕も手慣れて……む。

 

ずっと同じように触っているのもいいけど思いついたことが。

 

「ちょっといいですか?」

「……ふにゃあ?」

 

良いらしい。

 

ってことで島子さんに許可は取ったから、しっぽの真ん中へんの毛をかき分けて地肌の奥の骨があるっていうそこの感触を確かめてみようとする。

 

もちろん痛くない範囲で。

 

「…………………………――――んひゃぁうっ!?」

 

むう……残念ながら10個以上あるっていう人にない部分の骨は確認できなかった。

 

代わりにほどよい筋肉と脂肪の配分のぷにぷにとした弾力という気持ちいい感覚だけが指に伝わってきた。

 

中の骨を確認しようとして力をなるべく加減してぐっと押し込んでみたら、しっぽの先としっぽ全体の毛と耳……猫のほうのまでがぶわってなったから痛かったんじゃないかって不安だったんだけど、大丈夫みたい。

 

なるほど。

 

でもやっぱり飼いたいなぁ、犬か猫。

長生きな種類ならあるいは……ひとり暮らしだしなぁ。

 

「………………………………んにゃぁぁぁっ!」

「……えっとねところで響くん聞いているかなというか聞いて!?」

「聞いています」

 

もう1回興味深い感触を楽しんでたらもう1回しっぽを取り上げられて「さすがにもう駄目! もうおしまい! っていうか私の説明聞いてなかったでしょ!」って言われた。

 

うん、手元の触覚に夢中で聞いていなかった……なんだっけ?

 

……そういえばねこみみ病の説明の続きしてもらってたんだった、すっかり忘れてた……。

 

しっぽのあまりの良さに聞き流していたけど、そこは女の子たちにさんざん振り回されてきた経験からとっさに「そうだけど?」って感じの声を出すことに成功した。

 

「そう? よかった……だけどね、そのねこみみ病の典型的なケモノ化っていうの、今触ってもらってわかったように」

 

「……………………」

 

あ、尻尾が伸びてきてる。

両手でおんなじように強めに、きゅっと。

 

「………………………………………………………………んにゃあっ!」

 

「すご……じゃなくて止めなさいってみさきちゃん……」

「だってしゅっごく」

「やばい顔してるし声もやばいからお願い。 ね?」

 

手をわきわきさせてみる。

 

猫さんの目は僕の手に吸い寄せられている……撫でられると気持ちいいのかな。

犬とか猫とかって触られるの好きだって言うし。

 

「と・に・か・く! 聞いてね!」

「はい」

 

「ホントにね? ……普通の人の体に、いえ、普通のヒトだった人の体に人の大きさに合わせたサイズの耳とかしっぽ、それもいろんな種類の動物のが生えてね? みさきちゃんの場合みたいに本物の猫さんほどじゃないけどそのオリジナルになった動物の要素が芽生えたりするの。 たとえばみさきちゃんだったら猫だから、その…………そう、触覚とか!! 触った感覚とかね!! ……もちろん音とか動きとかにとっても鋭くなるんだけど生活に支障のある範囲じゃないの」

 

「そうですか」

「……テンションダダ下がりね……猫とか好きなの?」

「それなりに?」

 

「そう……あ、そう言えば。 響さん? いえ、響くん? さっきまでなんとなくで呼んでいたけど君はどっちの呼び方がいいんでしょ」

「あ、いえ、どちらでもいいです。 どちらでも呼ばれますし」

 

女の子扱い歴が半年になってきた僕にとっては本当にどうでも良いんだ。

 

社会人ならさん付けなんだって聞くし……社会人になったことないけども。

 

「……………………」

 

そう言えば尻尾の匂いってどんな感じなんだろ。

 

「……すんすん」

「――~~~~っ!?」

 

「あー、響くん? いちおうは男の子なんだよね? なら余計にその……みさきちゃんのニオイ、あんま嗅がないでくれてあげる? そういうのって女の子は恥ずかしいものだからさ?」

 

「別に臭いとかではないですよ? どちらかというといい香りで、もっと嗅いでいたい感じです。 ほら、動物の動画とかで飼い主の人がペットの毛に顔をうずめる感じ、ああしたい程度には」

「!?!?」

 

「はい響くんストップ。 あと、みさきちゃんも反応しない。 相手は中学生だけど見た目は小学生な子でしょ?」

「…………ふぁい、ですにゃぁ…………にゃぁ…………ふみゃ」

 

僕のこと幼いって言われたけど、今の僕はしっぽをモフるってやつで大変満足している。

 

そうか……これが。

 

これがかがりとかが僕を好き勝手しているときのあの感覚。

この高揚感、楽しさ。

 

うん……こういうことならもうちょっとさせてあげてもいいかな……僕が嫌じゃない範囲で。

 

そう思える程度には素敵な体験だった。

 

一方でイスの背にへばりつくような格好をしている島子さんは僕をしばらく眠そうな目で見てたんだけど……なんでだろ……僕が離れてもう触らないって分かったからか、ほっとしている感じ。

 

僕としては残念極まりないけど、でも嫌がられたら困るからこの辺で潮時。

そう言えばもうちょっとで下に降りる時間だし、確かに聞きたい話があるのにもふっておしまいだともったいないよね。

 

「…………………………………………」

 

……萩村さんたちの勧誘に乗るとこの子と同じ空間に居られるわけで、そうするとまた触らせてもらえる機会がいっぱい増える。

 

…………絶対したくないお仕事からどうしても嫌だけどご褒美があれば、って程度になって来た気がする。

 

ちょろい?

 

いや、あの感覚を知らなかったからしょうがないんだ。

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