【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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39話 去る年と、来る年 4/6

 

巫女りさりんと巫女さよ。

 

たぶん既製品、つまりはおんなじものなんだろうけど……年季の差ってやつですこしだけくたびれた感があって柔らかい感じで、つまりは体のラインがわりとはっきりと見えちゃってるりさ。

 

そのりさとは対照的に新品の、折り目がはっきりとついていてぱりっとしていてごわごわしていそうな……けどこれもこれでまたありなんだろうなっていう感じのさよ。

 

その白い着物は胸元で合わせるところで……巫女りんはちょっと大げさなくらいに、一方でさよはほどほどに膨らんでいて、その下で袴が腰をぎゅっと締めている細さとのギャップが激しいことになっている。

 

……あれだけ腰を締めて息苦しくはないんだろうか……普段とぜんぜん違うし……。

 

しかも巫女りんの場合は年季が……汚れてはいないものの新品じゃないもんだからほどほどにくたびれて布が柔らかくなっているわけで、つまりは女性らしい凹凸が余計にはっきりと出ていてなんか大変そう。

 

まぁ普段から頻繁に抱きしめられたりして運動部らしいスキンシップの多さで慣れているからそこまで気にならないけどな、あくまでも印象というだけのことだ。

 

そうして熟練で色気がほんのりある感じのりさに対し、巫女さよのほうは……まさに臨時のバイトの巫女さんって感じ。

 

きっと参拝客からは大好評だろう。

 

「……というわけで」

 

女の子たちでよってたかって僕をなじる展開……ただのじゃれあい程度のが終わったらしいから意識を引き戻す僕。

 

「今年も私は三が日……いえ、そのあともしばらくだから5日くらいまでかしらね? そのくらいまで忙しいのよ。 年末年始っていう普通の家ならのんびりする時期なのにね」

「そういう仕事だからな……仕方ないんだろう」

 

お家で仕事してるとこういうとき大変そうだよね。

がんばって。

 

「響さんの言うとおり、もー小さいころから慣れっこなのよ……おかげでお年玉も普通の子よりは多いし文句はないわ。 でも、今年はさよさんが応援に来てくれて話し相手ができて楽しいのよ。 普段は大学生の人たちとかもっと年上の人たちばっかりだからさー。 それもさよさんからなんて。 ねっ?」

「……はい」

 

みんなからの視線が急に集まったもんだからあわてて巫女りんの後ろに隠れようとした巫女さよ……けど両手で逆に巫女りんの前に出されてしまい、また少しわたっとしたけどすぐに落ちついて、ふうっと息をつき。

 

「……私も、少しは体力も、あと…………度胸も少しだけついて……人と話すのも慣れて、きましたし……そろそろこの人見知りとか……克服して、いきたいって。 もちろん、これだけではすぐには……ムリでしょうけど……だから、今日……人が足りなさそうって言っているの、聞いたので。 …………思いきってりささん、に。 頼んでみて、それで」

 

つっかえつっかえだったけど、でもいつもみたいに黙ったりしないで最後まで言いたいことを言い通せている。

 

……この3ヶ月っていう時間。

この子、さよがこれだけ成長するほどに長いものだったんだな。

 

…………いつまでも同じままじゃない、な。

 

なぜならこの子たちは成長期まっ最中の中学生。

これからいろいろな経験を積んでだんだんと大人に、ひとりの人になっていくんだろう。

 

――いつまでも同じで変わらない僕とは違って。

 

成長するのを諦めて停滞してさらには縮んじゃった僕とは。

それは前の僕だったとしても今の僕だったとしても……同じかもしれないんだ。

 

どうせ家の中にこもってただ静かにしているだけの僕は世界中のみんなから、どんどんと追い抜かされていくんだ。

 

だって、ひとりぼっちだから。

 

「ねぇ」

「ん?」

 

巫女さよの意思表明が終わって場の雰囲気がふわっとして、巫女さよも巫女りんも腰を下ろしたと思ったら今度は横からくいくいと引っ張られている。

 

……あぁ、かがりのことを忘れてたなそういえば。

 

普段になく、珍しいことに静かなもんだったから存在を忘れちゃってた。

 

「……ちょっと響ちゃん?」

「どうしたんだ?かがり」

 

上を見上げるも、なんだか珍しく真剣なまなざしで見下ろされ続ける。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

なんか怒られることした?

 

え?

 

「……ん!」

「……ん?」

 

……なにかを言うんじゃなかったんだろうか。

 

なんだろ、「んっ!」って。

 

「……んもうっ! ……ゆりかちゃんと私。 私たち、私たちも振り袖着ているのよ! りさちゃんたちよりも先にお披露目したのにまだ全然感想を聞いてないのだけど!?」

 

「……そうだったかな」

「ぜんっぜん! ねぇ!?」

 

「あはは……かがりさんは普段通りね」

「は、はい……」

 

静かすぎたのは静かに怒っていたらしい。

 

いや、言ってよそういうの……男は言われないと分からない生きものなんだからさ……何が「察して」なの、察する材料さえなければどんな探偵さんだって迷宮入りまちがいなしなんだよ……?

 

でも女の子っていうものはみんな平等に、けれどもひとりひとりちがう魅力を見つけて褒めて回ってあげないと、褒められ足りないって感じた子が不機嫌になるっていう生態を知ってるからここで怒ってもしょうがない。

 

「あぁ、ごめんね」

「……………………」

 

返事がない。

怒っているようだ。

 

「ゆりかはまだ来ていないからあとにしてかがり、君は」

 

そう言えば大分経ってるのにゆりか来ないなぁ……どこ行っちゃったんだろ。

 

「普段君が好んで着ているような私服と同じイメージのその振り袖、振り袖の柄に劣らず豪華になっているその髪型とかんざし。 君にとても似合っているよ」

 

「……ようやく聞けた。 ふふっ、ありがとっ」

 

「響さんの褒め方ってすごいわよねぇ……大胆で。 マジメに言われると逆に冷静に受け取れちゃいそう」

「は、はわ……」

 

女の子、女性を相手にするときは言葉を尽くさないといけない。

 

できるだけくみ取って先回りしてあげないといけない……それがたとえ女の子同士であっても。

「分かる」って言うのはとっても大事なんだ。

 

それが僕みたいな男とか男みたいなメンタルしてる女の子にとってはきっとめんどくさいんだけど、逆にそれさえしておけばちょっとやそっとではそこまで機嫌悪く……なることもあるけど、まぁほどほどにごきげんな割合が増えるんだ。

 

とりあえず話を聞いて褒めて褒めて「分かるー!」しておけばそうそう爆発はしない。

 

あとは甘いもの。

 

これさえあればなんとかなる。

そういう生きものなんだ、僕たち男とは違って。

 

男は……どうだろ、そこまで不機嫌になるっていうの、思春期の一時期を除いたらそんなにないんじゃないかな……いや、個人差はあるけどそれも女の子とかとおんなじだし、別にひとりで居ても不機嫌になることなんてないし。

 

なんなら男ならお酒さえもらえたら多少のイライラでもたちどころに回復する。

ほら、荒くれ者でもお酒出せばとりあえず席には座るって定番だし?

 

僕だってお酒、おちょこ1杯……じゃ足りないからせめてコップ半分くらいには……もらえたらなんでも言うことを聞く自信があるくらいだし。

 

「それじゃかがりさんの機嫌もよくなったところで」

「……私そんなに怒っていなかったわよ、りさちゃん」

 

「響さんの後ろでずーっとほっぺた膨らませてたかがりさんが言っても説得力ないわよ。 ねぇ?」

「えっと、…………ま、まぁ……」

 

女の子ってごきげんにさせておくのがほんと大変……いつもなら携帯しているお菓子で簡単にごきげんにさせられるのに、今日は忘れて来ちゃったしなぁ……こたつに置いてあるラインナップだとなんだかありがたみが薄いし……。

 

「さて! 響さん、これからなんだけど……しばらくは大丈夫そう? ここにいて」

「うん、大丈夫だと思うよ。 ありがとう、りさ」

 

ありがとうは大事。

 

りさりんはそう簡単に怒る子じゃないけど普段から言っておいて損はない。

 

「ならいいわっ。 それじゃ、新年までもう……30分くらいだし、ちょっと早いけどお蕎麦、用意してくるわね? ……お湯湧かすの忘れてたけど、みんなが食べ終わったころに新年迎えられそうだしジャストタイミングかな?」

 

「そういえばそうね? 響ちゃん、ちゃんとお昼寝してきた?」

 

子供扱いされたけどめげない僕。

 

「してきたよ……だからこの時間でも平気だ。 さっきも言っただろう」

「あら? そうだったかしら?」

「……………………………………」

 

子供扱いされて忘れられたけど僕は大人だから起こらないんだ。

 

「じゃあ私は台所へ……って、あ、そうそう。 響さんはお蕎麦、あとは卵とかとろろとかお揚げとかいわゆる適当なトッピングしたおそばっていうのの中にアレルギーとかあったりする? 聞いておくの忘れてたわ」

 

「平気だよ……けど量はみんなの半分、3分の1くらいで頼みたいかな」

「もともと少なめにするつもりだったけど……了解しましたっ」

 

「響ちゃん響ちゃん! 食べきれなかったら私が食べてあげるから量の心配はないわ!」

「あぁ。 信頼しているよ」

 

その食欲の、ただの1点だけは信頼できる。

だっていくらでも食べられる子だもんな、くるんさん。

 

「……あ、りさ、さん。 私も、手伝います」

「ありがとー、助かるわ」

 

人様の家に上がらせてもらって、家主……は巫女りんだからいいのか、けども挨拶も遅くなって食事までごちそうになるなんて。

 

これが子供のときだったらなんとも思わないんだろうけども僕は当然ながら大人、このまま座っているだなんてのはできない。

せめて僕もなにかしらの……この低身長じゃろくにできることはないかもしれないけど、でも手伝いをしておかないとそわそわする。

 

配膳くらいはできるし、踏み台……こういうところならきっとあるだろうから、それを使えばお蕎麦くらい手伝えるんだし。

 

こういうときはさっさと……今のさよみたいに意思表明をしないと機を逃してしまうから僕も立ち上がって、……………………。

 

「?」

 

脚に力を入れて、……………………。

 

「??」

 

こたつのテーブルに手を置いて。

 

「???」

 

 

立てない。

 

というかなんだか肩が重いような?

 

「――――――――――響ちゃん?」

「はい」

 

かがりの低い声……これはちょっと怒りかけているときの感情だ。

 

それが僕の頭上から後ろから降ってくる。

さっきのいじけている程度じゃないやつ。

 

分からないけどとりあえず経験から静かにしておこう。

 

「病みあがりなんでしょう? まだほっぺたが元に戻っていないじゃない? つまりはまだまだなんでしょう? ……そういうのは響ちゃんの素敵なところだけれど今はここで私と待つの。 ……………………いいわね?」

 

「はい」

 

「本当に分かっているのかしら?」

「わかっている。 だからこの手を」

「だめ。 まずは力を抜いて」

「はい……」

「脚の力もよ?」

「はい」

 

怖い。

もはや抵抗は無意味だ。

 

力を抜いてしばらくして……やっと肩の温かい重さが引いていった。

 

「かがりさーん、その調子で響さんがムリしないように見張っててねー? あ、体調とかも見ていてね!」

「もちろん!」

「………………………………」

 

「……響さん」

「さよ」

「ふたりとも……私も心配……なので、待っていてください……ね?」

「……分かったよ」

 

まさに四面楚歌っていう状況。

 

……ならせめて食べ終わったあとの片付けくらいは、そのあとの配膳とかその程度ならきっと、子供でもできるような手伝いならなんとか許可を狙おう。

 

自然な流れでやればきっとできるはずだ。

 

「あんなことがあったばっかりなのに、やっぱり響さんは響さんなのねー」

「わ、私も気持ちは分かる……んですけど……」

「響ちゃんってすぐ無理しちゃうから私が見ていなければダメなのよ」

 

けちょんけちょんに言われても僕は男だからめげない。

 

女の子ってひとしきりいろいろ言わないと気が済まない生きものなんだから……帰ったらお酒でストレス忘れよう。

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