【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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40話 「男の子」/「女の子」 6/7

 

「あ――、ひびきんやひびきん? おーい」

「……うん」

 

いつの間にかかなり深いところまで意識が潜っていたらしい。

 

また飛びかかってきたりしないようにって巫女りんに首根っこつかまれたままで、だからこそさらに幼く見える、さっき気がついたようにずいぶんと髪の毛が伸びている……っていうよりはなんだかみんな全体的に髪の毛伸ばしてる……?

 

ともかくそんなわけで少しは安心できる状態になっていて、だからか僕はぺたりといつの間にか座りこんでいたらしい。

 

……女の子座りで。

 

いそいそと直すけど……やっぱり無意識だよなぁ……。

 

「とりあえず、体の方だいじょぶ?」

「あ、うん。 少し考えていただけだから問題ないよ」

 

ふぅっとため息が広がる。

 

うん……この前のを見ちゃったもんね……ごめんね、心配かけて。

 

「そっか……よかった。 さよちんもそうだけど、重い病気とかってメンタルの影響もすごいって言うじゃん? だから少し心配だったんだけど……響が大丈夫っていうんなら大丈夫だね。 ……これで遠慮なく続けられそうだね♡ 響」

 

「そこまで強引にしなくたって……ゆりか、今日のあんた少し変よ?」

 

あ、なるほど、少し具合がって言えば……だめだだめだ、それは嘘になる。

僕は、今すごく悩んでいるっていう頭の中の状態以外には何も悪いところはないんだ。

 

ちょっとだけ控え気味にはなったけど、でもあいかわらずの熱気を放つゆりが振り袖を……あ、それもりさりんに抑えられてる。

 

危なかっしかったからひと安心。

 

でも僕の顔を見ているうちに落ちついてきたのか、今度は心配そう……それとも気まずい……っていう表情になってきた様子。

 

くるくると表情が変わるゆりか。

 

くるくるといえばくるんくるんかがりだけど、ちらっと見てみた限りなんだかかがりの様子も別の方向におかしい。

 

いや、おかしいって言っちゃ失礼なんだけど普段の彼女からは想像できないくらいに静かなんだ。

 

……さっきゆりかに「人の話は最後までさせて」って言われたのをまじめに守っているんだろうか?

 

かがりが?

あのくるんさんが?

 

ないない。

 

……ああいや、あるのかもしれない……だとすると相当成長したんだなぁ。

 

首根っこに続いて袖までをがっちりされちゃっているゆりかが、それでも諦めまいともぞもぞしながら言ってくる。

 

「むー、動きづらい……んで、この話ってさー。 将来の夢ってゆー新年になったばかりだからこそよさそーな話題からの響たちの病気のことについての話になったからさ? その、なんだか重くなっちゃったワケじゃん。 だからこそ軽ーい気持ちでりさりんと話し出してみたんだけど……もしかして地雷だった? だったらごめん、今の忘れて? ちょっとしたおふざけなの。 こういうときなら響も口が軽くなるのかなーって思ったからさ」

 

「だーから言ったでしょーが……ごめんね響さん、変なこと言い出しちゃって。 乗っちゃった私も悪かったわ」

「いや、僕は」

 

「そーだぞ、りさりんも同罪だい」

「うるさいゆりか。 ……ご病気のこともあるし、それにお家でもなんだかあるみたいだもんね、響さん。 ゆりかからその辺さんざん聞いてたのに、軽率だったわ」

 

巫女りんが頭を下げてくる。……ゆりかの頭を押しながら。

 

「いや? それは構わないし気にしていないよ」

 

「許されたよりさりん!」

「いや、地雷っていうの踏んじゃったことには変わらなさそうだからね?」

「やっぱごめんね? 響」

 

「……しかし、ゆりか」

 

さっきからどうして僕のこと、男って。

 

「なに? おわびに、なんでも言うこと聞くよ? そー♡ な・ん・で・も♡」

「……あんたってどうして『何でも』って言葉にいつも過剰反応するのよ?」

 

「いーのいーの。 あ、りさりんにもごめんね、一応」

「一応ってあなたね……」

 

「あ、おふたりとも甘酒お注ぎしましょうか? いや、響ならブラックコーヒー……お高めのホットをちょいと自販機から買ってくるべきか。 あるいは私たちのヒミツ教えちゃおーか? たとえばまずは気になるりさりんのスリーサイズとか体重とか」

 

「ちょっ!?」

「ウソ、ウソだってりさりん! だから重いってぇ!!」

 

いつものようにふたりで遊びだしたから場の空気がふんわりしてきた……けど、僕は聞かなきゃいけない。

 

魔法さんのヒントになるかもしれないんだから。

 

「ゆりか」

「はい響ー、なんでも言ってくださいな。 響が望めばなーんだって……あ、ついでに家来のりさりんも好きにしていいし」

「はぁ? 誰が家来だって?」

 

「君は、君たちは……それをどうやって」

 

仲が良いのは良いことだしゆりかのが収まったから良いんだけど、とにかく聞きたい。

 

「……ちょっと!!!」

 

「!?」

 

そう思ったらやたらとでかい声で耳がびりびりした。

 

……今度はかがりか……。

 

「え、かがりん? なになに、なんで急におこおこなの」

「ほら、だからあんた言い過ぎだって」

「……かがりさん……?」

 

鼓膜が痛い。

ついでにすっごくびっくりしたから心臓がばくばく言っている。

 

……もう少しかがりの声への反応が遅れていたら、いつもみたいな「ぴっ」とか「みっ」とかどうしても出ちゃう、あの情けない声がみんなの前で出るところだった。

 

だって今までの僕の意識はみんな、僕のこととゆりかとりさが話していることにばっかり向いていたから。

 

くるんさんもまた油断できないんだっていうのを……忙しかったばっかりに忘れていた。

 

いけないいけない、むしろこの子の方が予測できない発言と行動をするんじゃないか。

改めて心に留めておかないと。

 

で、なんでくるんさんは怒っているんだろ?

 

今の会話で怒る要素……あ、お口チャックさせられてたこと?

メロンさん、ちょっとでも会話に加われないとすぐに拗ねるからなぁ。

 

とりあえずさっさとなだめて聞いておかないといけないんだけども。

 

「ねぇ、ふたりとも。 ゆりかちゃんもりさちゃんも」

 

「なんでしょうかがり様」

「ごめん、私たち……いえ、ゆりかが何かかがりさんにまで失礼なこと」

 

「あのね?」

 

はぁー、とすっごくわざとらしいため息……あー、女の人がかなり怒ってるときのあれだ。

 

注目されなかったのがそこまでイヤだったの……?

 

 「ええ、失礼よ! だって響ちゃんは――かわいい女の子なのだもの! 男の子だなんて!!」

 

「ほぇ?」

「……へ? あの、かがりさん、なにを」

 

…………………………………………あ、あー。

 

なんかもうこんがらがってきたけど冷静になろう。

 

うん、りさとゆりかが僕のこと男って思っているってのはひとまず置いとくとしてだ。

 

かがりなら僕のこと、はっきりと女の子だって知ってるんだもんね。

 

いつも着せ替え人形にしてきてるし……だんだんと遠慮がなくなってきてからは目の前で着替えさせられたりしたこともあったくらいなんだ、幼いけど性別そのもののことは女だって知っているわけで。

 

最初の買い物からして下着を見つくろってもらってたくらいだもんね。

そりゃあ知ってる。

 

偽乳のひと幕もあったわけだしってことでブラジャーについても指南されたしな。

かわいいのを熱心に勧められたしな。

 

断ったけども。

 

すうっ……と、その大きい胸に溜めるように息を吸って……あ、これ、うるさくて長いやつだ。

 

「……確かに、確かによ? 響ちゃんはとっても男の子っぽいっていうか男の子らしい性格とか話し方とか、あとはあとは……雰囲気とか! ええ、いろいろと無頓着なところも男の子みたいなところがあるけれど! でも! そういう子だけど、それでも立派な女の子よ? 響ちゃんは平気そうだけど、でも我慢できないわ!」

 

なんか僕のために怒ってるらしいのは分かった。

早口すぎて追いつかないけども。

 

「ええ、服装も男の子らしいのが好きだし話し方もこうでクール系だから会ったばかりとか……いろんな人からそう見られてしまうのは仕方なさそうだけど、でも! これだけ一緒に過ごしてきたのだから分かっているはずでしょう? りさちゃんも、ゆりかちゃんも、こういう冗談はとってもよくないわ! ひどいのよ! ねぇ、さよちゃん!」

 

すごい剣幕だ。

こわい。

 

中学生の迫力とは思えないくらいだ。

 

そしておんなじようにびびってる仲間がひとり。

この状況で話させられるとかかわいそう。

 

「ひぃっ……」

 

ほら、ひぃって怯えてるじゃない……かわいそうに。

 

「あ、えぇ……はい。 その……女子校に行ったり、いえ、うちの学校とかに来たとしても初めは見た目でお姫様でしょうけど……でもすぐに王子様とか……そういう扱いにはなると……はい。 クラスの雰囲気的に……だって、普段みたいに髪の毛、あんまり見えないようにしていたら……でも。 響さんは、普通の。 ……私たちと同じ、女の子、です」

 

「えっ」

「……え」

 

なんか変な表現がかなり混じってた気がするけど……話していれば男って見てくれるってことでいいの?

 

「……その、響さん、ごめんなさい。 ……いろいろ聞かされて…………聞いてしまって、いて。 でも、響さんはかがりさんと一緒に、よくお出かけして……お洋服とか、買ったりしていて。 選んだり、してもらっていて。 だから、その。 ……下着とかのサイズについても、かわいいものとかを、その、穿くか穿かないかって言うのがあったり……いつもこんなことがあったって、聞いていて……、えっと、その……」

 

……うん。

 

諦めてた。

 

くるんさんだもんね、あのお着替えの写真以外はみんな筒抜けだった様子。

あの写真まで流出していたらもうこの子たちと顔を合わせられないけども。

 

でもかがり……なんで君はいっつも、人のことを平気で言いふらすんだ……聞かされるさよもたまったものじゃないよ、きっと……。

 

あ、けど、それならなんでさっきのふたりには僕のこと細かく言っていなかったんだろ?

だって僕を下着に剥いて着替えさせたときのこととか話していれば男だって思わないはずだもん。

 

………………………………あー、時期の問題か。

 

確かこの4人がまとまったのは夏休みもまん中くらいのころ。

 

つまりその前までに僕のお着替えをあらかた楽しんだメロンさんにとっては、それまでに……前から仲が良かったさよに延々と楽しんだことについて口走っていたんだろう。

 

だからその後に知り合った、いや、僕を知っている仲間になったりさりんとゆりかには、言う前に満足していたからお人形さん遊びについては言い損ねた。

 

たぶんだけどこんな感じ。

なんとなくで想像できる。

 

だってこの子、言うだけ言ったら満足するところあるから。

 

「そうなのよ! それに普段は恥ずかしがって、あと、ご家庭のこととかもあって男の子っぽい服しか着てくれないのだけど、でも、しっかりとお願いをすればかわいい服だって!」

 

それ、お願いという名の強制じゃなかった?

 

もう忘れたの?

いつもみたいに摂取した情報を都合の良いように改竄しているの?

 

……まぁ、いつもすごい勢いで押されて流されている僕も僕だけど。

精神年齢で言えば倍くらい違うのになんで逆らえないんだろうか……。

 

……僕の性格以前に、この小さすぎる体がぜんぶ悪い。

そういうことにしておこう。

 

「さよちゃんや私と会ったりするときにはちゃーんと! ちゃんとよ? 私がちゃんと選んであげて、響ちゃんにぴったりなリボンをつけて、スカートとか履いてもらって! それも、響ちゃん自身のセンスで組み合わせてかわいらしい女の子にもなれるんだから! それを……響ちゃん自身はあんまり気にはしていなさそうだけど、でもふたりして男の子扱いはかわいそうよ!」

 

僕がかわいい服を着させられている。

そんなことまで暴露された。

 

もう帰りたい。

 

彼女と出かけるときには女装……精神的には……させられるけど、それ以外は必ず男っぽく見える服装でしのいできたのに。

 

それを、みんな。

 

もういやだ。

布団に潜りたい。

 

何もかも忘れてさっさと眠りたい。

 

なんで僕はこんな目に……あ、そっか。

 

これがきっと罰なんだ。

僕が嘘をついた代償の。

 

……みんなにかわいい服とかスカートとかバレて……ここにお酒があれば何も問題は無くなるのにな。

 

なんとかならない?

魔法さん。

 

そんなことを念じてみたけど当然ながらなにも答えてはくれなかった。

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