【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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40話 「男の子」/「女の子」 7/7

実は。

僕にはあまりに恥ずかしかったから封印していた記憶がある。

 

夏のある日、いつものようにかがりに呼び出されて出かけたら、そこにいてしまった……きっとくるんさんの策略なんだ……さよに、よりによってあのふりふりのワンピ……じゃないワンピースを着ていたのを見られたんだ。

 

もちろん僕は帰ってからものすごく落ち込んだ。

 

そんなことがあの夏休みにあったのに……それを目撃しなかった2人にも自然な感じで伝えられてしまった。

 

スカートのことも下着のことも。

 

もういやだ。

この場にいたくない。

どっか隠れるところないかな。

 

こたつの中なら……暑そうだからやだな。

そもそも隠れたって意味はないし引っ張り出されるだけなんだ。

 

なんてことだ。

 

針のむしろって、こういうこと。

あるいは修羅場?

 

……いずれにしても僕はこういうの初めて経験するから、どうやって切り抜けるべきかまったく分からない。

 

どうしよう。

 

「え、あれ? でもさ?」

 

恥ずかしくて顔は見られないけど、でも声の感じから不思議そうにしている感じのゆりかが言う。

 

「響、私と出かけたときさー、トイレ。 男の方に入ってたよ? ねぇ?」

 

「えっ」

「あら?」

 

……あー、そんなことも……あったっけ……って言うかよく見てるね、そうだよね、女の子だもんね……。

 

普段はなるべく高い階の奥まったところ、あるのなら誰でも使えるタイプの広いトイレを使ってなんとかしてるんだけど、みんなと一緒のときは必然的に近いところになるわけで、でも今まではどうにかして入るタイミングをずらしたりして見られないようにはしてきたつもりだったのに。

 

でも言われてみれば、どちらも空いていれば……最近なら音姫さんがある方を選んでいるんだけども、その前だったりたくさん並んでいたり、明らかに女の人がいっぱいいそうな雰囲気のときには男の方に入っているからどっかで見られたんだろう。

 

いつかは分かんないけども、きっとどこかでトイレの入り口が遠くからも見えちゃうような造りのどこかで……見られていたんだろう。

 

あー。

 

それで僕のこと男って……前のこと過ぎて、そのとき魔法さんがどうにかしなかったのか分かんないな、これ。

 

「それに、町歩いててもさ、男の人よりは女の人に目が行っているし?」

 

え?

 

「『響ってクールだけどそれでもやっぱ男の子だなー』って思ってたんだけど、あれってもしやファッション気にしてたん? 女子として? 響、普段の服装も流行とか気ぃ使ってるし、なによりいつも高い服着てるよね? ブランド……じゃないことも多いけど、検索したら出てくるそこそこ良いものをさ。 それで中性的なファッションしてただけなん?」

 

「えっと」

 

それはかがりのせいなんだ……いや、スタイリングをしてくれているおかげではあるんだけども。

 

「なによりさ、私と話す好きなキャラクターとかみんな女の子よね? まー、こればっかりはかわいい大正義を貫いてる私が言えたギリじゃないんだけどさ。 女子がかわよい女の子なキャラ好きでも良いじゃん! ……でも響ってば男キャラにはあんまり反応しないのよ、だから感性的には私とおんなじで男寄りってことって思ってたのよ?」

 

こっちからもまたいろいろと暴露される僕。

 

僕はもう丸裸なんだ。

 

僕の秘密……全員には知られていなかったようないろいろをひとつずつ開示されている。

 

もういや。

なんでこんな話題になったんだ。

 

そもそもさ、女性を見ているとかいないとか女の子だらけのこの場で言う?

 

あ、今は普通の場面じゃなかった。

 

「あとかがりんや。 私、響からときどきグチられてたんだよ? あ、もちろんかがりんたちとご対面するまでのことだから告げ口とかじゃないよ? ……で、それってゆーのは、ん――……たとえばさ、『女子の考え方がいまいち理解できないんだー』とか『肌の露出は目の毒だからちゃんと着て欲しいのにー』とか。 あといつも見てて思うけどさ、響はかがりの対応にとっても困ってるときあるし……ほら、ハグしてるときとか固まっちゃうじゃん。 だから男の子じゃん? って思ってたんだけど。 ねぇりさりん?」

 

やめて。

もうやめて。

 

いっこいっこが恥ずかしいから。

 

「あー、うん。 でも響さん……いえ、どうせだから言っちゃうか、悪いことじゃないんだし。 んで響さんって、男の子にしては女性の胸とか腰とかスカートの裾……ふとももとかをじーって見たりしないのよね。 どっちかっていうと小物とかそういうの見てるし」

 

今夜はやけ酒に決定だ。

 

なんでこんなことに。

 

「だからとっても……うちのクラスのスケベな男子とか、彼女ほしいっていつも言ってる部活の先輩とか、やらしい先生とか……通学のときの大人の男の人とか、そういう人たちと比べると……紳士的っていうのかな? まぁそんなに興味ないだけかもしれないし、なんか安心できるから……だから私たち、響さんっていう男子が混じるお泊まりでも大丈夫かなーって話していたのよ。 かがりさんがやたらとしたがってたお泊まりを」

 

うん、がんばって見ないようにはしてる……だって年下の子供たちだもん、君たち。

かがりみたいにいきなり真正面にでんと来たりくっついてこられると無理だけども。

 

「そーだよねそーだよね!! なんてか、男子ではあるんだけど、でも、なんてかその……怖いって感じたりするところないタイプだよね!!」

 

「まーね。 だからこそ温泉とか……まぁさすがに一緒に入ったりはしないけど、でも湯上がりがちょっと恥ずかしいかなーって思ってたけど、最後にはOKって言っていたんだし。 そのくらいには紳士的……理性的なんだけど、ふとしたときの視線ってやっぱり女性に向いているわよねって思っていたのよ。 だからきっと、すっごく女性慣れしていてそういうエチケットとかが身についてるのかなーって思ってたりしたりだったのよ。 ……あ、女性慣れって家族とか親戚のお姉さんとかそういう意味だから!」

 

うん……彼女ができたことすら無いのに遊び人扱いされていなくて良かった。

 

でも恥ずかしい。

引きこもりたい。

 

「響さんがなんとなく見ている人も年上が多いかしらね? なんというか、ほら……うちの保健の先生とか体育の女性の方の先生だとか、あんな感じの……ひとまわり上くらいな女の人に向いているわよね。 ひょっとして響さんの周りの女性ってそのくらいの年の人が多くって、同年代よりは年上の方に興味あるのかなーって話してたり、ね」

 

「あー」

 

もう帰ろうかな。

そうだ、具合が悪くなったことにして……いや、嘘はいけないんだ。

 

じゃあどうしたら。

どうしよう。

 

「……あ、響さん」

 

ここまで散々に僕をおとしめて、さらにまたなにか?

 

……だめだ、恥ずかしさが腹立たしさを上回っている。

 

「今の、別に怒ってるとかそういうのじゃないからね? 先に言っておくけど。 むしろ、だから響さんって男の子……だと思っているんだけど、でもこうして一緒にいてもいいなって思っているのよ? じゃなきゃ、途中で寝ちゃうかもしれないこういうところに男の子を招いたりはしないわよ、いくらなんでも。 さすがに響さんが……えっと、とにかく、その」

 

小さいから例え襲ってきても脅威じゃないって言いたいんだよね?

 

「その……手とか出したりはしてこないだろうっていう信頼はあるけど、でもやっぱりその、お母さんとか保健の授業とかで……ほら、女子としての一応の警戒って言うか……あと、恥ずかしいじゃない?」

 

僕はまな板の上のしらす干しなんだ。

 

「……その反応だから安心できるのよね。 ……あ、さっきのだけど、かがりさんやさよさんなら分かるって思うけど、中学に入るころから……ほら、胸とか出て来るから同学年でも年上でも関係なく男性からの視線が気になるでしょ? それがほとんどないってだけで」

 

「りさりんやりさりん、私は?」

 

「さっき言ったみたいな場所を……人によってはじろじろと見てくるのって肌でわかっちゃうのよ。 ……人によってはやらしいのが」

「だからりさりん、私。 ねぇ私は」

 

「まぁみんなじゃないんだけどねー」

「りさりん」

 

「けど、やらしいものでもそうでないものでも女の子らしい部分っていうのは否応なしに見られるものなの。 視線がちくちくって来るのよ。 まー女の子同士でもそうではあるし、これはもうしょうがないことなんだけど」

 

「私ぃ……」

「……あんたさっきまで自分はロリで出るとこ皆無って認めてたじゃない」

「それとこれとは別だいっ! あと皆無だなんて! 少しは」

 

「だからもし、クラスの半分くらいの男子たちみたいにまだ女の子にそういう興味がないんだとしてもよ? ……そういう、女子と同じくらいに安心してくつろげるっていうのがあったから。 でももし……その、きちんと見ないようにしてくれる男の人とか、あとは結婚している先生とか娘さんがいる男の人とかみたいな感じ、それだから安心できるっていうのが響さんの魅力」

 

「え?」

 

「え? ……あ、いや待って、今のなし、忘れて響さん!」

 

「ほほう……りさりんもついに」

「うるさいだまれちびロリ寸胴小学生低学年ゆりか」

「ひどいっ!?」

 

なんだか話が行ったり来たりしていたけど、とにもかくにも僕を辱める以外の何物でもない会話が終わったってひと息つこうとしたらゆりかが続けてしまう。

 

「……で、話まとめると……いや、まとめらんないけど? 響は男の子だけど女の子で、中身男子っぽいけどでも女子で? いやでもでもでも、かわいい系の顔つきではあるけどさ、どこからどー見たって男の子でしょ! ほら、顔つきでも!」

 

ほんと?

男に見える?

 

「……ええと……ゆりかちゃんたち? あの」

 

ちょっと嬉しくなって「さんざん落とされた後にこれで嬉しくなるって僕ちょろすぎるなー」って思ったらまたかがりに戻って来た。

 

「ええと……2人とも……むしろ響ちゃんのことを男の子だと思っていたのに、私が提案したパジャマパーティーとか……そういえばなんだか複雑そうな顔して話し込んでいたけれどでも、いいって言っていたの?」

 

あ、なんかかがりが初めてまともな反応してる気がする。

 

「かがりんや、今はそれわき道だから戻して戻して」

「? ……とにかく、響ちゃんは絶対に女の子よ! だって、お化粧とか教えてって言ってきたこともあったし、お胸が小さいことを心配していたし!」

 

だからくるんさんそれやめて。

無作為に個人情報をばらまかないで。

 

「うぇ? マジ? ……ね、なんかすっごく複雑すぎて大変なことになっちゃって正直ごめんだけどさ……そのー、無理は言わないんだけどここまで来ちゃったからさ……もし良かったら教えてもらえない? 響」

 

ゆりかとその横に来ていた巫女りんが、僕が「男」だと知っていて。

 

「もちろん女の子よね! そうよね、響ちゃん?」

 

かがりとその後ろで僕を見ているんだろうさよが「女」だとも知っていて。

 

けど魔法さんはまだ、様子見をしていて。

 

……どっちにしろここまでバレちゃってる。

 

両方とも僕が男っていう証拠と女っていう証拠を持ち合わせていて、でもどっちも正しいように聞こえるからどっちがどっちなのか分からなくなっていて……で、「あ、これデリケート過ぎる話かも」って今さら気がついたもんだからかがり以外は多分困ってる。

 

「…………………………………………」

 

男としても女としても見られていた。

 

多分どっちだって言っても「そうなんだ」で済ませてくれる。

と言うか多分本気でそうなんだって思っておしまい。

 

――でも、僕は元々言いたかったんじゃないか。

 

嘘をついてたこと、ひとつでも多く……みんなを傷つけたり困らせたりしない範囲で謝ってからにしたいって。

 

……今を除けば、多分もう言える機会は無い。

 

だったら……。

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