【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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43話 「魔法」と「変異」と、そして 2/6

結構危険な状態かもしれないんだけども、何故か眠気に襲われ始めた僕。

 

……今日はすごく夜更かししてるもんな……みんなと集まって……僕だってそれなりにはしゃいでた気がするし、たくさんセキと血を吐いて相当体力を消耗したんだ。

 

でも変な具合の悪さとかはない純粋な眠気だから多分僕の体が眠いだけ。

まぁあの血だって魔法さんがうっかり出しちゃったものかもだしね。

 

あの量を本当に吐いていたらこうして普通に立ったまま歩いたりなんてできるはずがない。

だから僕は大丈夫なんだ。

 

そう、思っておく。

現実逃避かもしれないけどね。

 

でも魔法さんが居るから死にはしないんだろうって根拠のない自身で無理やりに「大丈夫です」って言って早く帰って早く寝たい。

 

「あの、伺いたいことが」

 

「そこまで遠慮することはない」

「そうだ、私たちは君の仲間なんだ」

 

「……わかりました。 それなら……おふたりのお名前。 聞いていなかったと思って」

 

コードネームとかだったりしたら意味ないだろうけども、一応誘拐犯かもしれない相手の情報は聞き出しておこう。

 

今なにもされていないんだから大丈夫なんだ。

大丈夫だって信じても良いんだよね?

 

「む……そうだったか?」

「あぁ、そういえば先日はともかく今日はこれまで話してはいないのう。 お前、車の中で言わなかったのか?」

 

いえ、あのときも聞いたりしてなかったって思います。

 

僕がただ忘れてるだけかもしれないけども。

僕は僕自身の記憶力には自身が無いんだ。

 

「……忘れていた。 失態だ」

「まったく。 ……いやそうか、近頃は子供たちとばかり遊んでいたからのう……あの子たちは何度でも名前を聞いてくるから、それで思い込んでおったか」

 

言外に「幼女のくせに子供っぽくない」って言われた気がする。

 

「儂がイワンで、コイツがマリアだ。 覚えてくれたまえ」

 

おじさんがイワン、おばさんがマリア。

……何と言うか普通?

 

普通すぎて逆に怪しいけど……まぁいいや、覚えやすいし。

 

ほら、外国人の名前って覚えにくいの多いから……例えばあの夢で会った子たちのとか。

 

えっと……アメリ、タチア、ノーラだっけ。

あとソニアって名前も聞いた覚えがある……なんで覚えているんだろ。

 

僕の無意識が作り出した適当な名前だけど「せっかく考えたんだから」って、これまた無意識に覚えちゃったんだろうか。

 

「あと、さっき気になったんですけど……えっと、さっき言っていた僕が血を吐いたあれみたいなものを」

「あぁ、我々は『反動』と呼んでいる」

 

反動?

 

何の?

 

「……それで、そちらでも反動というものについて知っていて……詳しい方がいるんですか?」

 

僕はまるっきり知らないけどもなんか知ってそうな雰囲気のこの人たちに聞いてみる。

まぁ知ってるはずないよね、だって魔法さんみたいなのって僕にしか起きないっぽいし。

 

「無論だとも」

 

そうだよね……って、え?

 

「むしろ我々ほど知り尽くしている勢力はないだろう」

「まぁあちら側も、我々の……半分程度には知っているとは思うがね」

 

え、知ってる?

ってことはホントにこの人たちも僕みたいに魔法さん絡み?

 

適当な嘘じゃなくって?

 

……ねこみみ病のときにNOを突きつけられて凹んでいた僕だから、気持ち的にすぐに飲み込めない。

 

「時流というものは我々に対して厳しいからな……おっと済まない響くん。 年寄りは、つい話が長くなる」

「いえ」

 

そういえば、どうしてあなたたち……イワンさんとマリアさんは僕の名前、知っているんですか。

 

そう聞こうかって思ったけど、多分僕が倒れているときにみんなと話したから知ってるんだろう。

 

「それでだな。 これでも我々は……恐らくは、隠れている部分も含めたとしたら今のところ最大の勢力でね」

 

隠れている。

最大勢力。

 

「先のような反動について熟知している者も……この国にもそれなりに連れてきているのだよ。 この国にもともと居た奴らは……いや、今はいいか」

 

外国から来た。

もちろんこの国にもいる。

 

ねこみみ病がメジャーになる、多分ずっと前から。

ねこみみ病に似ている感じだけど決定的に違うこれのこと。

 

「それよりも、先の君のあれは少々……いや、かなりの部類に入ると思うのだがね。 深くは訊ねないで置こう、なによりも君自身が大丈夫だと言っていてそうして動けているのだから」

 

よくわからないけど、でも、さっきみたいな……魔法さんでとんでもない量の血をいきなり吐いて、ちょっとしたらこうしてけろりとしているっていう現象について、この人たちは知っている。

 

僕よりも、ずっと。

 

だから僕を助けてくれた――ん、時系列が逆な気がするけども……ダメだ、本格的に眠くって頭が回らなくなってきた。

 

こんなに大切そうなときに、よりによって。

 

「あれは儂たちですら滅多に目にしたことがないほどの反動だったから興味はあるのだがね……しかし反動……そちらではどのような呼び方かは知らぬが、それとその元ととなる変異や変質について、ほんの少ししか付き合いのない、あるいはまったくなかった我々に話すのは君自身では判断しかねるだろう?」

 

話し方からすると複数のグループがあって……で、この人たちは僕がそのひとつに入っているって思っている。

 

――そっか。

 

僕、ひとりぼっちじゃなかったんだ。

ただ、気がつかれなかっただけなんだ。

 

「許可も要るだろう、だから今は聞かないでおくよ。 我々が君を助けたのは儂らが君から助けてもらった恩があるのと、君の惨状を目にしてのほんの善意――同志を窮地から救い出すためなのだからのう」

 

え?

同志?

 

なんだか聞き覚えがあるからちょっとだけ意識がはっきりしたけど、すぐにゆりかの、いつものなにかに影響された口癖だって気がついたら一層に眠くなってきた。

 

関係あるはずない偶然ってあるもんだから……だめだ、本当に頭が。

 

「お前、それはもう旧い言い回しだぞ」

「あぁ済まない、これもまた年を取るとつい、な……それで響くん」

 

「はい」

 

眠いんです。

 

「いつか。 いつか君の気が向いて、君の保護者の方たちの同意を得られたときに改めて尋ねることとするよ。 無論、話してもらったとしたら……君にとっての機密事項を教えてもらった以上、儂らのものも教えることになる。 だから今は……ただ、少しばかりのおせっかいで君の体に、現代医学的には問題がないことだけを確認するだけに留まらせることにするよ」

 

「はい」

 

あれ、そういえばどうして僕はここに居るんだっけ。

 

眠い。

 

あ、MRIとか言ってたんだ。

 

でもなんで?

 

……ああ、僕はさっき血を吐いたんだもんね。

 

……やばいやばい、かつての学生時代を思い出すような眠気だ。

午後いちばんの授業で眠気と戦いながら新しい知識を詰め込むっていう、あの感覚。

 

今は眠くなったら寝るっていう生活だからこういうのとは離れていたわけで久しぶりすぎて耐えられない。

 

もうどうでもいいや、とりあえずその検査とやらを受けさせてもらってさっさと寝よう。

 

さっきまで警戒していたってのは理解しているのに眠すぎて何もかもどうでも良くなっている僕が居る。

眠くさえなければなんとかなったかもしれないけど眠いんだからしょうがない。

 

「では、君の体を調べても?」

「お願いします」

 

そう言えば「腎臓とられたりしないよね」とか「売り飛ばされないよね」とか思ってたなぁって何秒かに1回シャットダウンしたがる頭が言う。

 

そんな僕は、気がつけば何人もの……10人を超えるかもしれない白衣の人たちが現れていて、囲まれていたらしい。

 

でも眠い。

もうどうでもいいや。

 

良くないはずなのに僕はもう限界。

こういうところで幼女な体が足を引っ張る……眠い。

 

「やぁ、皆久しいね。 早速だが今日はこれからよろしく頼むよ」

「儂らの大切な客人だ。 くれぐれも丁重に扱え」

 

「はっ。 それでは私たちが担当致します」

「……ふぁい……」

 

気がついたら僕の腕は両脇から取られていて歩かされ始めている。

 

「眠ってしまわれても問題ありませんからね」

「ふぁぁい……」

 

なんか良い匂いがするって思ったら僕を歩かせているのは女の人たちらしい。

 

……あ、だめ。

 

そうだって分かっちゃうと途端に安心しちゃって――。

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