【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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45話 彼女からの、告白 2 4/7

「かがりーん……?」

「? どうしたのゆりかちゃん?」

 

かがりが変なことを言い出した。

かがりもまた僕のことを好きなんだって。

 

くるんもいい加減にしないとね?

いやさすがに聞いて即座に否定というのはよくないな。

 

いくらくるんさんでも何の考えもなしにそんなことを、かがりにとっては一大事のはずの恋愛というものをそんな思いつきで言うはずがないじゃないか。

 

ないよね?

 

ないって思う。

ないかもね。

いや、疑わしい。

 

ただの思いつきかな……だって普段が普段だから。

 

「……かがり?」

「何かしら? 響ちゃん」

 

「うっそでしょお……」

 

ゆりかがものすごく凹んでいる……そりゃあそうだ。

 

「?」

 

そんなゆりかを不思議そうにくるんってしているし、特に何かを考えているような顔もしていない。

 

……まずは確認だ。

本人の意志って言うのが大切なんだ。

 

……もっともそれは一般的な人間の一般的な精神状態が大前提なんだけども。

 

「かがり、落ちつこう……いや、目を覚ますんだ」

 

この子はよくトリップして錯乱する。

 

「ここは現実で、僕たちはこうしてここにきちんといて、実在の存在で。 そして今までの会話はすべて現実に起きたことなんだ。 君の白昼夢の中で起きた、少女マンガかなにかの一場面じゃないよ?」

 

「わかっているわ? 響ちゃん、少し酷いわよ?」

「もちろんただの確認だよ」

 

わかっているらしい。

 

ほんとぉ?

 

……ほんとってことにしておいてあげよう。

 

「かがりん」

「ひゃいっ!? ……なんで響ちゃんはともかくゆりかちゃんがそんなに怖い顔をしているの!?」

 

え、本気でご存じでない?

 

君、休みの日は1日中少女漫画とか恋愛ものの小説読みふけってるって言ってた気がするんだけど?

 

今の君の立場はその恋愛もので言うと立派な泥棒猫ポジションなんだけど?

 

「今の。 私がココロ込めてがんばったの。 ねぇ、がんばったんだよね? いくらかがりんでもわかるよねぇ? 乙女の一大告白ってどんだけ大変なのか、恋愛博士なかがりんには。 ねぇかがりん? ……いや、下条かがりさん」

 

ゆりかがおっそろしい声を出し始めた。

 

やっぱり女の子って怖い……なんでそんなに急に気分を変えられるんだ。

一貫性というものがないのか。

 

なかったなぁ、そういえば。

だからこそこんなに苦労してきたんじゃないか。

 

「なんで急に丁寧に呼んで来るの? 呼び方が変わっているわよ? 何でそんなに怒っているの? 怖いわ?」

 

ゆりかは素が男っぽいからかかなりマシなほうではあるのに、それでもこれだからなぁ……まぁ今のは完全にかがりのせいだから擁護することすらできないんだけども。

 

うん、まぁ僕が口挟む場面じゃないしなぁ。

 

「もうっ、ふたりして! 私、ふざけたりなんかしていないわ!」

「それなら今のは何ですか下条さん」

 

「かがりって呼んでちょうだい? 今のだって思ったことがつい……そう、つい口から漏れてしまっただけなのよ」

 

「ほぉ――……へぇ――……」

 

この子のこういうところ、結局は治らなさそうだなぁ……一応夏にそういうことがあるたびに言ってきたつもりだったんだけど結局ダメだったかぁ。

 

でも今回ばかりはさすがに見過ごせないしダメ元で言っておかないと……この先のゆりかとの関係すら危ういかもしれないし。

 

というか喧嘩になってもおかしくないもん。

ゆりかが一方的に我慢する関係って言うのもまたあとで拗れそうだし。

 

僕のせいで別れた後に友達じゃなくなるのとか勘弁。

 

ほら、女の子の友情って男の取り合いで……とか言うし?

 

「その、かがり。 今から言うことを落ちついて聞いてほしいんだけど」

「なにかしら響ちゃん? ね、ねぇ、先にゆりかちゃんが怒っているのを一緒に止めてほしいのだけれど」

 

ゆりかに目配せをして「任せて」って伝えて怒りを鎮めておく。

 

「かがり。 君はずっと前から……出会ったばかりのころからずっと君は、恋愛もののことについて、あるいは友人のそれについて延々と語ってきていたけど」

 

「あ、やっぱそーなんだ」

「うん。 それはそれはもう」

 

「でもそれは!」

 

くるんがくるんっとなり。

 

「話が終わるまで我慢してくれかがり。 人の話はおしまいまで聞く。 そうだろう?」

「むぅ――……はぁい」

 

くるんがへにょんとなった。

ここまでしおれていれば少しは持つだろう……多分。

 

「さて。 ……ゆりかからはたった今、僕へ……出会ったばかりのころから異性として意識してくれていたという話をされた……してくれたんだけども」

「うぇへへへぇ……」

 

あ。

 

今の照れてる声でちょっとどきってした。

 

「……ばかりだけれども、それに横入りしてきたのが君なわけなんだ。 それは恋愛って言うものを知識だけでしか知らない僕でさえルール違反だとは知っているよ? ゆりかがこんなに怒っているのもそのせいだよ」

 

「響ちゃん、なんだか少し怖いわ? もっと優しく教えて」

「で、だ」

 

いや、僕だって叱るみたいなことはしたくないけどもゆりかの気持ちが収まらないからね?

 

それは君のせいなんだって教えないと行けないからね?

 

「君は『好き』っていう気持ち自体を、ついこのあいだまで……あ、いや、夏休みの終わりくらいに君の家で聞かれたあたりまでは少なくとも知らなかったはずだよね? だからこそああして僕に聞いてきたわけだろう? 『好きってなんだろう』って」

 

かがりは恋愛のこととなるといきなり饒舌になって止まらなくなって、そればっかりに意識が向いちゃって……そのせいで他のことがみんなおろそかになって、それでよく提出物とか宿題を忘れたりしたりして。

 

そういう欠点こそあるけども大事な「恋愛」について人並み以上に知っている、興味があるからこそこんな場面でふざけて茶々入れしたりする子じゃないとは思う。

 

思うんだけどさ。

 

……あー、そっか。

 

告白っていう大好物な場面に当てられて「私も私も!」っていう気になっちゃっただけなんだろう……だってくるんさんだし。

 

……本当に君、中学2年なんだよね……?

 

発育が異様に良いだけの小学生じゃないよね……?

 

「そのとおりなのよ響ちゃん! 私、恋愛、恋心、好きっていうものがそれはそれはもう、一晩中でもお話しできるくらいなんだけれど! あ、よかったら今度ゆりかちゃんともパジャマパーティーで響ちゃんとのことについて語り明かして」

 

「下条さん。 また私たちに怒られたい?」

「もう、そうじゃないんだって!」

 

「……ならなんなんだ……まずは脱線しないように続きを頼むよ……」

 

「……ひびきぃ……その。 夏休みに勉強教えたって」

「ここまでは大変じゃなかったはず……多分」

 

とりあえずかがりの本場のくるんさんぶりを見たからか、ゆりかの怒りは収まっているみたい。

 

それどころか僕に対する同情的な視線を感じる。

 

「確かに、確かによ? つい先ほどまで、いえ、ゆりかちゃんの告白を聞いてそれが終わって響ちゃんの言うことも聞くまではね? 私、好きって何かがまだ……響ちゃんからアドバイスをもらったあのときからずっとね、こう、なにかが喉から出かけているみたいな感じだったのよ」

 

ふむ、一応考えてはいたんだ。

 

「だけれどもね、その『好き』の少し前の段階。 恋愛もので言うと意識しだした段階。 ゆりかちゃんなら、響ちゃんと初めて出会った後の2回目までの時期になるのかしら?」

 

「え、そこまで細かく分かんの? やべぇ、さすが恋愛マスター」

 

「ゆりかちゃんがそのあたりまできっと感じていただろう感情。 響ちゃんのことが異性、いえ、同性だったとしても……だって昔から女の子同士でも男の子同士でも好きになる人たちはいたんだもの。 で、私、それを持っていたみたいなんだって理解しちゃったのよ。 つい数分前、ゆりかちゃんが告白したのを聞いていたときに」

 

「え? マジ? かがりんが? 響に? 冗談じゃなく? え? その様子だとガチで?」

 

「ええ。 私が響ちゃんに『恋愛ってどういうものなんでしょう?』って尋ねたときに言われたのよ。 好きになるっていうのは結果で、探すものじゃなくて。 すぐ傍にあって、何かの拍子に好きだったって気が付くものなんだって」

 

「ほぇ――……ひびき、そんな詩的なこと言ったのね……ひびきらしい」

 

受け売りなんだけどね。

 

「でね? 私ね、あのときの言葉がずーっと頭に残っていて、だからどのようなおはなしを読んでも響ちゃんの言っていたことが浮かんできてしまって。 だんだんと……いえ、初めのころは違和感があるとしか分からなかったの。 今まで大好きだった、普通の男の子と女の子の恋愛ものを……特別に好きだからって何度も読み返したようなものでさえ、あまりどきどきできなくなっていたりしたわ」

 

かがりの口が滑らかになってペースが上がってくる。

熱が籠もってきたらしい。

 

「代わりにね、今まで『そういうものもあるのかしら』って思っていたような、年上の男の人とのロマンスのようなおはなし。 学校の先生とか執事さんとかとの恋愛もの、振り向いてほしい女の子が一生懸命に振り向かない男の子を振り向かせるというおはなし。 そういうものが好きになってきたのよ。 今までこんなことなかったのに気がついたらそうなってしまっていて、『私、おかしくなってしまったのかしら』って思っていたのよ」

 

「だけれどね、あるときに出会ったおはなしで分かってしまったの。 男の子らしい……格好良くって女の子に人気なタイプの女の子で、マンガとかでは他の子から『王子さま』とか呼ばれるような子。 そういう子と女の子らしい女の子との恋愛もの。 ゆりかちゃんがたまに話しているような百合というものなのかしらね? そういうものに1番どきどきしてしまうことに気がついたのよ! 私、そんなこと今まで全然なかったから随分と悩んでしまったわ?」

 

「かがりんちょいと待って、分かった、分かったから。 もう怒んないから……せっかく私ががんばって告ったのを」

 

「あのときはとっても悩んだわ! だって私、これまで男の子たちに数え切れないほど告白されてきたのにいつもピンとこなかったのって、もしかして、その……女の子が好きだからじゃないかしらって。 本当にそうなのか確かめようって、ゆりかちゃんにおすすめしてもらった百合というジャンルの中でさっき言ったような組み合わせのものを」

 

「おっふ、まさか布教できるって喜んでたあれが」

 

「そう! 読んでみたら、それはそれはもう! 本当にどきどきして……このときになって初めて、キャラクターたちの恋愛模様を楽しむのではなくて私がその女の子になりきって、格好いい女の子を見ている女の子になりきって、恋をしている気持ちを少しばかり体験したの。 『ああ、こういう感情が恋なのかしら』って」

 

ヒートアップし過ぎたらしいくるんさんは物理的に近づいて来ている。

 

「あれはたぶん……いいえ、今のゆりかちゃんの告白を聞いていて響ちゃんのお返事も聞いていて、それではっきりと分かってしまったのよ! 実感してしまったのよ! 私、気がつかないうちに、きっと……お着替えを手伝ってあげたりしていたから女の子としか思っていなかった響ちゃんの中の男の子というものに、知らないうちに惹かれていて、つまりは好きだということに」

 

「……やぶへびだったかぁ……自分でライバル作り出したおバカな私です……」

 

「――でもね? 私のこれはゆりかちゃんほどではないと思うの。 だからゆりかちゃんから響ちゃんを取ることにはならないって思うわ?」

 

「ほぇ?」

 

「だってね、今こうしてお話ししていて……つまりは告白になるのよね? これって。 だって響ちゃんを見ながら響ちゃんのことが好きって言っているわけなのだし。 だけどゆりかちゃんのようにはね、さっきのゆりかちゃんみたいにはどきどきしていないの。 もちろん少しはどきどきしているわ? これが夜だったら眠れなくなるくらいにはね? もし今すぐにお付き合いしたいお相手を選なければならないなら響ちゃん以外には……学校のお友だちや先輩たちではなくて響ちゃんしか考えられないくらいには。 だからこれはきっと、ゆりかちゃんが響ちゃんのことを『結構好き』なら、私は『少し好き』なんだと思うわ」

 

「……えっと?」

 

「つまり恋愛漫画なら私は意識し始めて枕に顔をうずめるヒロインで、ゆりかちゃんはそれから随分進んだステップで……何回かデートしたりしている段階のヒロインと言うことよ」

「あ、うん……詳細な分析ありがと……」

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