【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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49話 「あの日」と、彼が、「響」になった日/春 6/10

髪の毛が伸びない。

 

つまり僕が――これから歳を重ねても成長できないっていう可能性が高まったっていうことで……だからずっと、この幼女の姿のままっていう未来が見えちゃうんだけども。

 

それはそれで僕にとっては都合がいい面もある。

 

まずもって、ある朝起きたら前の僕に戻ってるっていう可能性を捨てられる。

 

つまりは毎晩「いつ成人男性に戻れても良いように」って選んでたぶかぶかなパジャマとか、シャツとぱんつだけな格好じゃなくても良くなったってこと。

 

肌がさらさらするから気持ちよかったんだけども、パジャマだとズボンはずり落ちるしシャツ&ぱんつだと朝寒くて目が覚めるしでなんだか微妙に良くない。

 

さらにはこんな幼女な体……おまたに二重の意味で生えていないから完全につるつるですっきりしてるし洗いやすいし、胸だってないから性差を気にしなくてもなんとかいられる状態なら僕の中の男も「まぁぎりぎりセーフかな」って言ってるし。

 

あとは将来。

女性にとっては当たり前な、けど25年間男だった僕にとっては嫌な生理っていうのにならないから。

 

だって考えてみてよ……こんなところから毎月血がわんさかと出てくるなんて想像するだけで嫌だし、あれっておなかが痛くなったり気分が悪くなったり怒りっぽくなったりするらしいし、つまりは少女にならないで幼女のままのほうがいいって決まってるでしょ……?

 

そういうわけですっかり僕の体として使い慣れたこの体、もう鏡を見ても恥ずかしく感じることなんてない……いや、あんまりないし、恥ずかしいはずのところを見ても……まぁ僕にその趣味がないからだと思うけど、僕自身の僕が持っている体の一部だとしか考えられなくって、感じられない。

 

もちろん僕は僕。

 

意識は大人の男のままなんだけども、こうして裸になってお風呂に入るときには僕自身のことを「小さな女の子の体を持ってるなー」って思っていること自体は認識しているし、毎回なんとなくそう感じているのはふとしたときに自覚できる。

 

そういう矛盾した気持ちでもやもやすることも少なからずあるけど。

 

それでも僕は男だし、つるつるっていうのもあるし。

 

男の性っていうのは一応あるわけで、だから少しだけ、ほんの少しだけ鏡や湯船で直接見たりするときに嬉しいっていう感情が浮かんでくることは浮かんでくる。

 

けど、それだけだ。

 

軽く体を流してから踏み台を使って湯船に入って「今日くらいはいいや」って髪の毛ごとお湯に沈むと、銀色のすごい量の髪の毛がわーって広がる。

 

あ、このタイルのところ。

よく見たら、びっしりとカビが。

 

……見なかったことにしておこ……叔父さん、ごめんね……。

 

なんとなくいつもみたいに体を、肌をくすぐるように触って気持ちよくなる。

 

一応は女の子だから太ることができればそれなりに女の子らしい感じになるんだろうけど、今のところはまだまだ肉をつけている最中。

 

だけど初めの頃から腰骨が、腰っていうものが男のときよりも横に広い気がするんだけどこれはどうなんだろう。

 

ただの先入観なのか、それとも女の子っていうのはこの歳でもすでに骨盤っていうのが男よりも広いんだろうか?

 

なんとなく興味はあったけど結局として調べなかったくらいだからどうでもいっか。

 

けど。

 

将来。

 

万が一にも……前の僕に戻ることもなく女の子として成長してきたとしたら、出るところが出てくるようになってきたとしたら。

 

生殖ができる体になって……そして、前の僕にはなかった性欲っていうものが出てきたら、そういうものが変わるんだろうか。

 

案外男に欲情……。

 

「うげ」

 

うん、しないだろう。

すごい嫌悪感だ。

 

具体的に言うとほろ酔いを過ぎてがぶがぶ呑んでて一気に「うげぇ」って来ちゃう感じ。

 

これで安心だね。

 

 

髪の毛をシャンプーで丹念に洗う。

そして流す。

 

流したらトリートメントをつける。

染みこませるっていうのをする。

 

僕は生まれてからずっと……普通なら中学生くらいで出てくるはずのそういう感情も本能も衝動も、今に至るまでついぞ感じることがなかった。

 

だから逆にそれに期待している僕自身っていうのもあるのかもしれない。

だってみんながそれに夢中になっているように見えるのに、僕にはそれがなかったから。

 

そんな寂しいことはないもんな。

まぁそもそも好きになった相手すらいないんだからどうでもいいんだけど。

 

……そんなことは体が大きくなり始めて、明らかに幼女から少女になって初めて考えればいいか。

それまではむしろ今のままっていう可能性のほうが高いんだし、考えるだけ、期待するだけ損だ。

 

今までとおんなじなら、それでいいんだから。

 

結局として去年から1センチも伸びていない身長のこともあるし、冬眠からなかなか戻らない体重のこともあるんだし。

 

無意識でコンディショナーを馴染ませ終わってすすいで、体も……ちゃんと、体の真下についてる2つの穴まで適度に綺麗にして、これでばっちりだ。

 

 

「ふぅ……」

 

温かくなって汗を流して、さっぱりした。

これで今夜はお風呂に入れなくてもなんとかなりそう。

 

この体は汗、ほとんどかかないけど、それでもこの腰まで伸びている長い髪の毛を洗わないで寝るというのには抵抗あるし?

 

「さて」

 

これからは忙しくなるだろうし、ずいぶんと緊張もするだろう。

最後になるだろうお気に入りのコーヒーも飲み納めと行こうかな。

 

……この後が控えているからだめだけど……ほら、一応僕って法律上は……成人になるのか未成年になるのかは分からないけど、多分倫理的にも道徳的にもこの見た目でお酒はダメって言われるはず。

 

だからコーヒーで我慢だ。

 

「あ」

 

……洗濯物。

 

着ていた服はいいとして濡れているこのタオルたち。

 

「……いやいや」

 

どうでも良いことばっかりが思い浮かぶなぁ……。

 

どうせ帰って来られたのなら僕自身でなんとかするし、帰って来られないんだったら次に来た誰かによって処分されるんだろうからどうでもいいんだ。

 

「ふむ……良し」

 

下着だって……シャツはともかくぱんつは柔らかくて白い、おまたにちょうど当たる部分……クロッチが汚れやすいのが嫌いだから、普段からトイレの後にトイレットペーパーを当てているもんだから、半日ほど履いていたこれを間近で見ても汚れは見られないし特段恥ずかしいことはないはず。

 

今日着ているのはかがりに選んでもらった春らしいコーデというやつで、つまりは去年の今ごろに初めて選んでもらったときのもののひとつ。

 

「よし」

 

髪の毛も乾かしてきちんと整えて。

身支度は済ませ終わった。

 

ふと、なんとなく鏡に近づいて洗面台に身を乗り出し、じっと僕の目をのぞき込む。

 

「………………………………」

 

薄い色の瞳。

 

その周りのまつげも眉毛もまた銀色で、生えていないようにも見えるくらいの細いそれら。

 

そういえば人の脳みそって男性と女性でちがうって言うけど、僕の場合はどうなんだろうね。

 

結局に女の子らしい話題っていうものには意識しないと楽しめないくらいには男だし、普段感じる感覚としては男としての視点は残ったまま。

 

町に出たときなんとなく見ちゃうのだって女性だし、なんとなくで近くの女性の胸を下から見上げちゃうし、かなり視線に近いところにあるスカートの下のふとももだって気がついたら見ている僕がいる。

 

だから意識は男。

 

なんだけど、これからはどうなるんだろ?

もし成長したらそういうところが変わっていったりするのかな。

 

成長しちゃったとしたらどう転ぶかがわからないっていう不安感がつきまとうんだ。

 

そうなるとしても、できれば女性を……あくまで好きになるとしたらだけど、そういう対象が女性のままでいてくれるとありがたいところだけど。

 

そこは魔法さんの気分次第なんだろうな、きっと。

 

だって魔法さんは気分屋だもん。

まるで魔女のお供の猫みたいにさ。

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