【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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46.X4話 女装? その2

女装。

 

女装。

 

……女装。

 

女の子にはなってしまったけれども、でも主観的には女装。

男の意識で女の子の格好をするって言うのは、女装。

 

僕にその気がなかったと言えば嘘になるのかもしれない。

 

だっていろんな服を……かがりに無理やりに着せられなくっても、ときどきなんとなく買っては着てみて「似合うなぁ」って思っていたし。

 

つまり僕は心のどこかに女装願望って言う変態的な嗜好を……?

 

「ねー、確かかがりんとひびきんが初めて会ったのって」

「……君と出会う、ほんの少し前だね」

 

「あ、そーそー。 そんでさ、そのとき会うきっかけになったのがかがりんがバイトしてた服屋さんで、んでお家で着せられてたお嬢さま系な……ひらひらのついたかわいーやつか清楚って感じのやつかは知らないけどさ、そーゆーのがキライだからって、せめてふつーの女の子っぽい服がいいから選んでって感じだったって感じだっけ?」

 

「……そうだね」

 

男ものも頼んだはずだったと思うけどなぁ……。

 

そんなぱっつんは結構気まずそうに、でも止まらないって感じに続けている。

うん、こういう話って楽しいよね……聞く方は。

 

「でもでも、かがりんと会うときだって『よっぽどじゃないとスカート履いてくんない!』ってグチってたとこからすると、ほとんどパンツルック……ズボンだったんだよね?」

 

「……ある程度なら女性、女子なファッションの語彙も分かるから平気だよ」

 

「あ、そっか。 イントネーション違うけどズボンのこと『パンツ』って言ったりするのも?」

「それは結構普通の男……男性でも知ってるとは思うよ」

 

「へー、そうなんだ。 あ、で、普段は完全に男の子ーって服装ばっかなんだよね。 だから……ま、響のその話し方とかクールさとかもあるんだけどさ、普通の響を見ると男の子にしか見えなかったわけよ。 髪の毛隠されてたのがいちばんでかいかな……フードとか取ってもさりげなーく後ろの毛がうまーく隠れるようにしてたし」

 

「ん……まあね」

 

まくし立てるゆりかと、まーだあわあわしているさよ。

 

けど、こうして僕自身のことを分析されるのって……その。

むずがゆいというか、なんというか。

 

「そんなだから私たち……りさりんも、響が男の子だって疑いもしなくってさ? でも『響が女の子なんだけど男の子だ!』って聞かされたときからずーっと気になってたのよ。 心は男の子、けど今まではずーっと女の子お嬢さま扱い。 だから響、どっちのカッコがいいのかって」

 

「……もちろん男のものだよ。 僕自身の……肉体ではなく心の、魂の感覚は男だから。 性自認っていう言葉もあるらしいけれど、とにかくそういうことなんだ」

 

「……えっと。 ……そういうことでしたら、響さんにとっては……あの、女性の格好というものは……」

 

「……うん。 前はともかく今は『女装』っていう感覚になるね」

 

なるべく嘘はつきたくないし、それに事実なんだ。

 

いろいろとしているうちに薄れてきてはいるし、もう10回以上も外で……スカートの頼りなさに困りながら、人の視線に困らされながら、女の子として歩かされた経験から慣れてきてはいる。

 

だって初めの頃なんてスカートに脚を通すのだって、ひらひらひらひらするしふとももに擦れるし頼りなさ過ぎてどうしようもなかったし。

 

子供用のでも、無くなっちゃった分敏感らしい前の部分にぴったり張り付く感覚で飛び上がってた女の子用のぱんつを穿くっていうのだけでもずいぶんと恥ずかしい思いをしたもんだし。

 

女ものを着て女の子な姿をして鏡を見るだけでも女装してるって感じられて恥ずかしかったし。

 

外に出るのだってものすごく勇気が要った覚えもあるし。

 

「これは必要なことで大切なことなんだ」って自分に言い聞かせないとできないことだったんだから。

 

でも、慣れっていうものはすごい。

今じゃこうやって指摘されなければそこまで意識しないもんね。

 

「けどさー、それでもお家に帰ったらお嬢さまなんでしょ? あいかわらずにひらひらひらひらしててふりふりふりふりしててお淑やかーな感じの」

 

「……そうだね、半分くらいはね」

 

お嬢さま設定。

 

今さら「爺やとかお抱えの運転手とかなんていない普通の一軒家でひとり暮らしなんだ……」なんて言えない感じだし、このままになっちゃいそう。

 

どうでもいいことだからそのまんまにしておくけれど。

 

「……つまり響さん……お家の方……いえ、ご家族、ご両親にも男性……だと、思って、見てもらえるようになったということですか……それは、とても良かったです……」

 

うん……普通の家なら家族がいるもんね……僕はいないけど。

いや、一応今はマリアさんたちが保護者って感じで通してるけどさ。

 

「ふーん……あ、でも、そーだってことはさ、女の子のカッコしててもそこまでヤじゃないんだ? だってかがりんとそーゆーカッコしてよく出かけてたらしいし」

 

「頻繁にじゃないよ。 かがりがわがままを言って駄々をこねて仕方がないときだけだからね?」

 

「なるほどなるほどぉ。 つまりはあれかい? 響にとっては、前からそーだし慣れてるけど、少なくとも今の響にとってはスカートとかワンピとかが女装って感覚になるのは変わらんというワケね?」

 

「……………………うん」

 

「いいないいなー、いいないいなぁ――……私も女の子ーな響、見てみたかったなぁ――……。 ね、ね? さよちんもそうは思わないか! 改めて今見てみたいって思わない!? 考えてみたまえよさよとん! この、ひびきのこの見た目で! 響のホントの性別知ってるからこそ、こーんな長い髪の毛でも男の子だってしか見えないでしょ?」

 

「……え……あ、はい」

 

「なのになのに、こーんなキレイ系クール系ショタっ子なひびきが、かがり仕込みのかわいー服着てるのって……ね……? 見たく、ならない? ね、ねぇ?」

 

「え……えっと…………そう、かも……」

 

「だよねだよねー、あー見たいなー、せめてりさりんと私っていうまだ見てない哀れな女子たち的には見たいなー、見たことあるさよちんもまた見たさそうな顔してるなー」

 

「え……ええと……ええっと……」

 

……ゆりかの目がおかしい。

直接的な表現にすると、かがりの目と同じになっている。

 

つまりこれは……避けられないと見た。

 

もちろん僕が本気で拒否すれば済む話なんだけれど、それまでする気力がない。

そこまでする理由もない。

 

なによりもかがり……とさよには見られているんだし。

女子は、いや、女性は――不公平には敏感に反応するという。

 

……つまりこれは、そういうことだ。

放っておくといつか爆発するあれ。

 

爆発物をほったらかしにして別れるわけには……いかないよね……。

 

「……いいよ。 今度……持って来てもらって、お見舞いのときに」

 

「え、いいの!? え? え?? マジ!? マジで!?? 私てっきりお断りかって思ってた! やったね! やっぱこういうのって言ってみるもんだね!!」

 

がたっとイスから立ったかって思ったらすぐそばまで来ていたぱっつんさんの下からの鼻息が熱い。

 

ついでに言えば遠くのはずの黒めがねの中の目も輝いているように見える。

 

……そこまで僕の女装が見たいの……?

 

あ、女の子だから単純にかわいい服を着ているのを見たいってのもあるのかな。

 

「……着ること自体には慣れているし、女装感はあるけれども……だけど君たちは僕のことを男扱いしてくれるんだ。 そんな格好をしたとしても。 それならいいんだ、君たちがそれで満足してくれるのなら……」

 

流れでOKするしかない圧力でOKしちゃったけども……ま、まあ、大丈夫。

 

少なくともかがりのように……夏のかがりのように、徹底的に「小さい女の子」扱いはされないのなら僕のメンタルはまだまだだいじょうぶかもしれない……かなぁ?

 

「……で、ですけど。 響さんはそういう格好をするのも……えっと……その」

 

「男の格好の方がいいのは当たり前だけれども、女ものを着ていても男扱いをしてくれるのなら、そこまでは気にならないかな……だって肉体的には女なわけだし。 君たちなら茶化すようなことはしないだろうし」

 

女歴。

 

自分で思いついておいてなんだけど変な表現だけども、冬眠していた期間も含めれば1年近く、そうでなくても半年も経っているんだ。

 

落ち着いて考えてみれば、もう今さらって感じもする。

 

「!! じゃ、じゃさじゃさ!!! 着てもらう服ってリクエスト可能ですかそうだと私とってもうれしいんだけど!? だってだって私にとっては、あ、りさりんもそっか、とにかく響のスカート姿とかってはじめてになるんだし、響さえいいんだったらホントにいいんだったらかがりんイチオシのベストとかリクしたい超したいコスプレとかもしてもらいたいそのくらいは私たちがお金出して買ってくるから良いでしょ良いでしょひびきねえひびき!!!」

 

「…………………………………………いいよ」

 

「ぃよっしゃあ響がキゲンよさそーな感じだからって言いだしてみてよかったホントによかったぁー!!」

 

ちいさい全身でガッツポーズを取るゆりか。

 

……僕は、見た。

さよも、後ろを向いているけど……ぐっとしているのを。

 

「ならなら、さっそくにかがりんにご相談を……あ、ちょいタンマ、響がかわいーカッコしてるってもっかい想像してみたらわりとヤバめ、タンマタンマ、鼻血出そう」

 

のそのそとイスに座り直して突っ伏しているゆりかを、いつになく俊敏な動きで心配しているさよ。

 

「……ごめん、心の準備できるまでもちっと待って。 ドキがムネムネでヤバいの」

「……そこまでなのでしたら……えっと、無理をしない方が……」

 

「いや、無理じゃないの。 いんや、無理をしてでも見なきゃ行けないの……それが可愛いものを愛でる私たちの宿命だから……」

 

……もう遅い。

 

場の雰囲気と罪悪感とが混じって「いいよ」って言っちゃったんだ。

もう発言を無かったことにはできないんだ。

 

ああ。

 

やっぱり僕って押しに弱いちょろい男なんだ……近い内に女装させられるけど。

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