【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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46.X7話 犯罪か否か(少女たち視点で) その2

そこそこ広めの部屋は、壁がほとんど見えない状態。

 

壁の下半分は本棚やラック、上半分はポスターで埋まっており、部屋の中央付近にはその小さい体に対してはあまりに大きいテレビとその下に据えられているゲーム機の数々、そして部屋の隅には机がふたつで囲まれている。

 

「それで、ゆりか」

「んい?」

 

「好感度……上げるってのは、まあいいとしてさ?」

「話が早くて助かるぜいりさりん。 さすが私の」

 

「それはいいから……あんたたち。 見た目はどうすんのよ」

「ほい?」

 

片方は普通の学習机で、もう片方は大きなモニターなどが乗ったラックと足元のデスクトップパソコンという、どう見てもごく普通の中学生女子のものだとは思えない内装の部屋。

 

隅にはうずたかく積まれている映画やアニメ、ゲームのパッケージや漫画本でできたタワーが数本。

 

なおその大半は彼女が少ない小遣いで娯楽を集めようと、中古で買い漁ったものばかりだとは彼女の自慢だ。

 

その部屋、ゆりかの自室には、学校帰りに引き込まれたりさが呆れた顔でベッドに腰掛けている。

 

「……はぁ、それにしてもあんたの部屋は……人を呼ぶなら、もっと綺麗にしなさいよ」

 

「……りさりんひどいよ! いくら親友でもあんまりだよ!」

「え、え? なにがよ?」

 

「そりゃー分かってるよ、あの響と私とじゃぜんっぜん釣り合わないってのは! でもはっきり言われるとぐさっと来るんだい!」

 

「あ、そっち? ……いえ、そういう意味じゃないの、見た目ってのは」

 

「いーのいーの、そんな慰めいらないって。 そーだそーだ、きっと響ならおんなじとこ出身の釣り合い取れたかわいーくてぼんきゅっぼんな彼女さんを」

 

「じゃなくてって言ってるでしょ! というかあんたもモテる部類なんだからいいじゃない!」

 

「へー、学年でも人気のりさりんさんがそんなお世辞を言うなんてねー、へー。 『も』ってとこから自信っていうか自慢が染み出してる感じがまた」

 

「いい加減にしなさいよ?」

 

「ごみん」

「ったく」

 

部屋の端と端。

 

りさは、すっかり慣れたゆりかのベッドの上でスマホ片手に。

ゆりかはその反対側にあるパソコン用机の前で、マウスをときどき動かして。

 

彼女たちにとってほどよい距離感の中で、昼間の続きの会話をしている。

 

「……で。 今のは単純な意味での……文字どおりでの見た目ってことよ」

「どゆこと? 単純って」

 

「……はっきり言うとよ……まずもってゆりかってば、高学年に入ったころ……4、5年くらい前からほとんど背、伸びないのよね?」

 

「えーそーよ――……。 なーんでだろーねー? 悲しいねー? ……これでも途中からは気にしてきちんと睡眠だって取ってるし、運動はもちろん……特に小学校ん頃は休み時間とか放課後にすっごくしてたし牛乳だって余ったのじゃんけんで勝ったときはいつも余計に飲んでたしー? ぶら下がりだって、ほら。 お父さんに頼んで、ほら! ほら! 部屋に買ってもらった懸垂用のでぶらーんって毎日してるし」

 

「はーい、そこまで。 あんた、よくそこまで口回るわね」

 

「グループじゃない子たちとも平気で話しできるりさりんには言われたかないやい。 ふ、持つものには持たざるものの気持ちなど分かりはしないのよ……」

 

「で。 私から言ってなんだけど、あんたの身長はどうでもいいのよ」

「ひどひ」

 

「だってせいぜいが知らない人からは小学生に見られるだけでしょ? 特に制服着てるときなんか、どこぞの私立小学校の高学年だとか。 ランドセルじゃなくてもそう見られるじゃない、よく」

 

「おうふ。 事実の羅列が私を襲う」

 

人は、悪意がなくても人を傷つけられる。

 

りさは、ゆりかの傷口をぐりぐりと抉り続ける。

そしてゆりかはその度に落ち込んだり怒ったりする……フリをする。

 

りさも、それを知っている。

あくまでも冗談で済ませられる範囲で繰り返される応酬。

 

そんな2人の友人関係。

 

幼なじみなどでもなく、席が近かったわけでもなく。

 

クラスでの……学校での「グループ」も違えば趣味も違い、性格も見た目も、健康的な体つきと未成熟な体つきという違いがある彼女たち。

 

そしていつの間にか仲が良くなって……こうして放課後や休日にも会い、ばらばらのことをしながら時間を潰す関係。

 

ゆえにお互いに攻撃し、されてもある程度のところまでは許し、別の機会に同等の反撃をしてチャラにする。

 

例えばゆりかが今日こうしてさんざんに「ちいさい」ことを言われているのは、その直前にりさの「大きくなった」ことについて言いふらされたりしたものや、後日に体操着に抱きついて感想をまくし立てたり……もちろん多くの男女が揃っている場面で……したり。

 

「……ま。 私服も子供っぽいシュミだからいっつも小学生に見られてるけどね。 せめて中学生らしい服くらいは選びなさい。 こーんだけいろいろ揃えられるんだからお小遣い、けっこうあるんでしょ?」

 

「ぐぬぬ……おじいちゃんおばあちゃんおばちゃんが私の敵だい」

 

「あらいいじゃないー、モテモテよ?」

「好きでもない相手にモテてもいいことないって、それ、いっつもりさりんが言ってることー」

 

「ちょっと方向性違うって思うけど……まーね。 けどまだ中学なんだから背、伸びるわよ。 きっと……ええ、たぶん」

 

「あ、やっぱ厳しいのね」

 

「だからまずは、今度私が着いていってあげるから……せめて小学生に見られない服装揃えなさい。 ね?」

 

「ぁーぃ……けどりさりん。 なんか今日のは辛辣すぎない? 私なんか悪いこと……したわ、そーいや。 したよね」

「そうね、したわね」

 

「……まだ怒ってる?」

「今のですっきりしたし、もういいわ。 んで話戻すと」

 

がば、とイスから立ち上がり……くるくると回り続けるそれを背に対面のりさの元へと走り寄り……さっと、りさが避けたところにあった、彼女が腰掛けていた枕に向けてダイブするゆりか。

 

ダイブし……そのまま動かなくなることしばし。

 

「パンツ」

「お金取るよ?」

 

「んな安物で擦り切れて……いつから穿いてるのそれ」

「んー、多分小学校の」

「女子力低っ!」

「どーせちんちくりんですよー」

 

その衝撃でめくれ上がったスカートを戻してやりつつ、りさは続ける。

 

「……もう。 いつもならこの程度、教室とかで言っても平気でしょうが」

「だってー、りさりんだしー」

 

「それがどういう意味かは聞かないでおくわ」

「それがええ」

 

おもむろに座り直すと、抱きまくら……なぜかカバーが掛かっていない……を取り出しては抱きしめ、じぃぃっとりさを見上げるゆりかと、床から引っ張り上げたクッションを背に壁に寄りかかるりさ。

 

「ゆりかのことじゃなくて……いや、それもあるんだけどさ。 問題は響さんよ、響さん。 あの子……いえ、あの人……いえやっぱりあの子ね。 あの子、あんたよりもずっと背が低いのよ?」

 

「あ」

 

「背の低いあんたでさえ、歩いているときはのぞき込まないと顔が見えないんだっけ? 私も本屋ではぱっとしか見なかったし、なにより立ち上がってからはずっと背の高い下条さんが横にいたから分からないけど……あんたよりも頭ひとつぶん小さいわよね。 うちの学年の背の順でほぼ先頭のあんたよりも、さらに、ずっと」

 

「あ――――……たしかに、ねぇ」

 

「ってことは、よ?」

「なんぞ? りさりん」

 

ふぅ、とため息をつき……少し迷ったものの、結局りさは思っていたことを口にすることにしたようだ。

 

「響さんとあんた。 万が一、億が一いい仲になれたとしても」

「億が一……しどひ」

 

「だーってほとんど接点がないじゃない。 で、そうしたとしてもよ? どれだけそれっぽい服装にお互いにして出かけたとしても……手、繋いだりしていても――小学生の姉と弟にしか見られないわねって」

 

「ごふっ」

 

「小学生同士の」

「ちょ、りさり」

 

「世間一般的にはロリなあんたと、世間では……はっきり言っちゃうと低学年な響さん。 ロリの反対は……えっと、ショタって言うんだっけ? それ。 好意的に見てくれる人がいたとして、気がついてくれる人がいたとして、あんたたちがそれを言って回ったとして。 どう見ても『ほほえましい小学生同士の姉弟のおでかけ』よね……顔とか髪の毛の色で姉弟じゃなくても知り合いのそれに近い感じの。 誰が見ても『あら仲が良いわねー』って感じの」

 

「ちょっと待っ」

 

「そうねー、たとえば響さんが『おねえちゃん大好き!』とか言いながら抱きついて、あんたが『私も響が大好き!』なーんて言ったりしても……いえ、余計にね、これ。 どー見ても、間違っても彼氏彼女とかそーいう関係じゃないわねぇ。 思いっきり好意的に、事情を知ってる人から見たとしても……やっぱり小学生同士の仲良しさんね。 あ、小学生同士の微笑ましい仲には見えるから安心してね?」

 

「あの、ちょっ」

 

「けど普通に見てみるとよ? 響さんとあんた、遠い国からの親戚とかものすっごく珍しい繋がりがない限りには、血が繋がっていないっていうのはひと目で分かるんだし、つまりは赤の他人。 それに……仮にでも手を出したりしたら」

 

「手を出す? ……あ、あらーりさりん、だいたんなこと」

 

「――――――――――『犯罪』よね、それ。 かなりの年下をたぶらかしたって感じで」

 

「ぴぃっ」

 

「だって……いえ。 そんな中であんたが中学生だって知られたら、どう見ても小学生、よく話さないとまず同い年だって信じられない響さんを、いろいろして拐かしたって見られても……しょうがないわよねぇって」

 

「  」

 

とうとう声を上げられなくなったゆりかは――抱きまくらに張り付いて微動だにしなくなる。

 

りさも言い過ぎたと気がついたが……いちど口にしてしまった、それもケンカなどではなく素面で話してしまった、伝えてしまった事実に……今からながら慌て。

 

「……あ。 えっと。 あ、そうよ! 響さん、お家の方でもなにか事情とかいうものがあるんでしょ? だから大丈夫よ! 何が大丈夫かは分からないけど大丈夫っ!! あ、そうそう!! 仮に、億が一にでも両思いになってあんたかあるいは響さんかのどっちかが乗り気になってそういう関係になりでもしたら、その次の日とかには黒塗りの車何台かから黒服サングラスな人たちがわーっとここに来たりなんかして――」

 

「りさりん落ち着いてぇぇぇ、暴走しないでぇぇぇ、んでもって私も考えてたよーなこと言わないでってば、分かってるってばー!!!」

 

顔が真っ赤になり、どこかうわの空で話し始めたりさに向かい、抱きまくらを放り投げて抱きつき正気に戻そうとするゆりか。

 

しかし悲しいかな、りさの暴走という名の妄想は広がって行き、さらに悪い方向へと話は進んでいき――――最終的には2人とも轟沈した。

 

中学生女子な彼女たちの、限界までの恥ずかしさをもって。

 

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