【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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46.X9話  怒りと女性/ 女子 その2

なんだか僕が、かがりのためのさよについて話していたら妙な空気。

 

滅多に僕自身の意見ってのを言わないからかな。

 

「おお――……」

「ゆりか?」

「はい」

 

「ほんとうに、分かっているわね?」

「はい」

 

「こういうときに冗談とかは」

「いやいやさすがにこの空気は読むさ、りさりん。 それよか、あのかがりんを警戒すべきだと思う所存で」

 

「……はうぅ……」

 

かがり相手には強く言うってのがどうしようもなく必要。

 

だから必要だって思ったら好く必要ありそうだけども……他の子の前でするとここまで見られるんだったら黙っていようかな。

 

注目されるのとか苦手だし……。

 

「あらゆりかちゃん、私がどうかしたかしら?」

 

いつものごとく一瞬でも自分の世界に飛んでいたらしいかがりがここで復活。

 

「いんや? なんでもないさ、かがりんや。 とゆーかそっちに戻したらいけないぞい」

 

「? そっち……?」

「んでんで、響の叱り方ってヤツはこーんな感じのローテンションでおとなしーいヤツだったんかい?」

 

「え? ええ、そうね、特に声が大きくなったりはしないわ。 やたらと声を出して怒る人って怖いもの。 だから響ちゃんの怒り方は……優しいわね?」

 

……この子がろくに僕の話を聞いてくれなかったのって、もしかして声が小さかったから……?

 

「そうねぇ……さよちゃんの怒り方と似ているけれど」

「怒ってはいなかったよ」

 

「あら、そうだったかしら」

「ああいうのは注意するって言うものなんだ」

 

大切なことだから何回でも教え込む。

いくらこの子でも10回くらいで覚えてくれるって信じて。

 

「で、響ちゃんのそれはもっと落ち着いていて、こう……ゆっくり静かに、諭すようにっていうのかしら? 私のお父さんみたいに。 そう、小さいころにはよくおいたをしてお父さんにも怒られたのだけれど、あのときのような印象だったかしら」

 

「お、おう……昔の自分をさりげなく言うのがすげぇ」

 

「あのときも確かに、響ちゃんなりに怖い顔をしていてね?」

 

え、「僕なりに」って?

 

「少しだけそんな雰囲気もあったのだけれど。 でも今響ちゃんの言っていたように、私のことを、宿題を忘れていた私のことを想ってのことだって考えてみると」

 

「はーい、かがりんそこまでよん」

「そうね、今度は響さんが困っちゃうわよー」

 

「あら? そうなの? さよちゃん」

「あの……なんで、私に……」

 

……あのときどんな顔をしていたのか、今さらながらに気になってきた。

 

僕のことなのにね。

 

「……とっ、とにかく! さよさんと響さんは怒るにしても……なんていうか、こう……その! 感情じゃなくってきちんと意志を伝えるタイプってとこね! 良いわよね、感情任せじゃないって!」

 

「りさりん強引ー。 なにもムリヤリ話いい感じにまとめようとしなくたって」

「そこ、うるさい!」

 

「なるほど。 りさちゃんは怒りんぼ、と。 そういうことよね? ゆりかちゃん」

「そゆこと」

 

「『そゆこと』じゃないわよ! あとかがりさんも違うからっ! これはゆりかだけになんだからね!? 普段は別に私怒ったりなんか」

 

「ふーん、へー、ほー?? ほんとーかなぁー? だってこの前もクラスで」

「だからゆりかうるさいってば!!」

 

……りさはゆりかを止められる唯一の子なのに、こうして乗せられて怒りやすいのが……それで誘導されやすいのが課題か。

 

沸点が低い……いや、ゆりかだけになのかな。

それだけ仲がいいゆえのってやつかなぁ。

 

そういうのってちょっと羨ましいかも。

 

「……まー? りさりん自身のそーゆー考え方で言いますと? りさりんはぁ、れいせーちんちゃくな響たちとは違ってぇ? 正反対でぇ? すーぐに怒るわ怒鳴ってくるわ、あ、これおんなじだわ、んでもってすーぐに手は出してくるゴリラ系女子だわ、おんなじことをずーっっと根に持つわ。 まー私は知ってたけどね? りさりんっていうオンナノコのこ・と♥」

 

「――――………………」

 

あっ。

 

またゆりかが調子に乗って。

 

「まーさーにー典型的なジョシってヤツよねー? ね――?? やっぱ間違ってないじゃん、いつも私が言ってるよーに、りさりんはツンデ―――あいたぁ!? ぶった!! ほらぶった!!! ほーらぶったよ!!!!」

 

ごん、って……すぐ近くで痛そうな音がしたと思ったらゆりかの一段と大きい声が響く。

 

そっと彼女を見てみると……ああ、実に痛そうに頭をさすっている。

そしていまだこぶしを握りしめているりさはというと、顔が真っ赤だ。

 

……ああ、かわいそうに。

 

なにがかわいそうかって……りさが、この先ずっと同じような形でゆりかに煽られては手を出してっていうのをみんなに見せつけさせられて「ああツッコミなんだ……」って理解され続けるだろうことが。

 

ふたりがセットで扱われることとか、困ったら呼ばれることとか、げんこつし過ぎて手が痛くなるだろうこととか、いじられていつも人前で顔を真っ赤にさせられるだろうこととかも。

 

でも嫌なら距離置くだろうし、それが良いって思ってるのかもね。

恥ずかしいから絶対言わないだろうけども。

 

「ほーれ! やっぱ一昔前の暴力系ヒロインりさりんじゃん!!! 見てみぃ、すーぐに手ぇ出すでしょりさりんって!!!!」

 

「あんたが! ヘンなこと!! 言うからでしょ!!!」

 

「ヘンなコトってなにかにゃ――……あごめんなさいこれ以上はなんも言いませんユルシテ」

「……もうっ」

 

「りさちゃん? 暴力はダメよ? そう響ちゃんが前にも言っていたわ?」

 

「………………………………」

「………………………………」

「………………………………」

 

いつもの2人のじゃれあいにかがりのヘンな止め方が合わさって静かになる僕たち。

 

「………………………………?」

 

「……あ、あー、かがりんの無意識で無差別な煽りがりさりんを……ちょい待ち今のはノーカンだって!!! てなわけでさ、響やさよちんみたいな性格ならさたったのひとことで済ませてくれるだろうって」

 

「たったの? ひとこと?」

 

「あ、振り上げないで! そこそこ! そこそこでゲンコツなんて絶対しないからーって思ったのよほんと! あー、痛かった、まったくりさりんは」

「……もういっかい、いっとく?」

 

あのふたり、放っておくとあのままループしそう……実際するし。

普段の休み時間なんかもあんな感じなんだろうな。

 

けども……ん。

 

「……ついでに聞いておきたいことが」

 

「あ、ちょい待ち待ってくださいりささま、響さまの発言ですぞ!」

「あんた、そういうところ……」

 

「あら、なにかしら響ちゃん。 あ、ゆりかちゃん、たんこぶ」

「できているかもしれないけども……人の話は聞こうね、かがり」

 

「え? ええ、響ちゃんのことはちゃあんと聞いているわ? だけれどもゆりかちゃんの」

「こっちを見てね、かがり」

 

僕の声が発せられているときにはこっち見てくれるけど、ワンフレーズが終わるたびにゆりかのたんこぶの有無が気になってあっち見ちゃうかがり。

 

「……響さんも、大変だったんですね」

「……ありがたいよ、りさ」

 

ちょっと疲れた系女子のりさがため息。

それに合わせてため息をひとつ。

 

「む、りさりんがなんだかひびきんと……まさか泥棒……」

 

こういう、話がごちゃごちゃになる感じっていうのは嫌いじゃない。

最初は困ってたけども、慣れてくればこういうものなんだって分かるし。

 

さすがは女子中学生、一瞬でも油断するとすぐに脱線してあさっての方向へぐにゃぐにゃと飛んでいっちゃうんだよね……。

 

「で、かがり」

「あ、たんこぶがちょっと」

 

「かがり」

「ええ!」

 

「……たいしたことではないんだけれども、ついでだから。 かがり。 君は、怒るときに…………怒る……だろうけれど、そういうときにはどうなるのかって思って。 僕の予想としては……りさのように、ついつい熱が入ってしまう形のそれなんだけども」

 

だって僕のために2回も怒ってくれたさよとか、ゆりかの煽りで反応するりさって続いたんだ。

 

気になるじゃん?

 

ゆりかのそれはまだなんとなく想像できるからいいとして、かがりはなぁ……。

 

服のこと?

 

この子は怒りはしない、ただ修正しようと迫ってくるだけってのは知ってるし。

 

胸のこと?

 

……ゆりかに言われたりしても恥ずかし混じりの文句だけだし。

 

つまりは彼女が怒る、イラッとするだろう原因を想像できないんだ。

だってくるんだし。

 

「私が怒るとき……」

 

いつになく真剣な表情で考え込む。

真剣も考え込むも似つかわしくない表現。

 

「…………怒る、とき……?」

 

……雲行きが怪しくなってきた。

 

……いつの間にかりさたちも、じゃれ合うのを止めてかがりに注目している。

さよも見上げるようにして横から見ているし、僕だって横顔を見ている。

 

みんなが……初めて見るくらいには珍しい表情をしたかがりを、見ている。

 

いつにない静寂。

 

いつもこうだったら楽なのにって思っちゃうくらいの、心地いい空間。

 

ここがファミレスの一角で、私服の女子中学生4人と……見た目小学生な、けどもストールで髪の毛を隠しているものの近くじゃ顔が見えるからって誰かが通りがかるたびにじっと見られる僕がいて。

 

そんなすみっこだって、つい忘れていたくらいに静かだ。

 

「………………あの。 怒るのって……ほんとうには……ええと、ない……かも、しれない、わ? そうでしょ? 響ちゃん」

 

どうやら本気で心当たりがないらしく、かがりとは思えなくおろおろした声が返ってきた

 

かがりがそう言うのを聞いてみんなの気が抜ける雰囲気とともに、僕は思い出した。

 

ああ……この子はこういう子だったなって。

 

良くも悪くも空想の世界に浸る子なんだよね。

常識もあるし普通に会話もできてぱっと見は高校生か大学生。

 

……でも中身は結構不思議系なんだって。

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