【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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12話 苦手は、やはり、苦手 2/3

「……へ? 私の雰囲気が……?」

「なんだか同一人物とは思えなくて」

 

あのときJKさんもとい下条さんの態度とかがいきなりまるっと変わったのが気になってた。

 

ずっと話してたからどうしてかなーって思ってただけだけど、この子の顔と胸を交互に見ていたらなんとなくそのままするっと。

 

だって気になるもん。

 

いくらめんどくさがりの僕だって……最初に会ったときだっていきなりがらっと人格が変わったような豹変するよ。

 

気になるでしょ。

僕みたいに人とのコミュニケーションに難を抱えてる仲間って気持ちが裏切られたんだもん。

 

ひどい裏切りもあったもんだ。

 

あ、僕は別に好きで人と話さないんじゃないんだ。

ただ会話をすると何日も尾を引くくらいに疲れるから話さないだけなんだ。

 

そんな自己擁護はいいとしても、最初はそういう感じの僕の同類かと思って安心していたのに別の生き物みたいになっていたのが気になると言えば気になる。

 

や、別にムリに離してもらおうとは思わないけど。

あと話が長くなりそうなら別に良いけど。

 

「あ――……あれはね――……。 響ちゃん覚えていたのね、恥ずかしいわぁ…………」

 

おや予想外の反応だ。

 

下条という名前の子は髪の毛のくるくるしているところに指を巻きつけながら、あのときほどじゃないけど少しだけ顔を赤くしていた。

 

あ、その仕草って結構落ちつくよね。

分かる分かる。

 

僕もこんな体になって髪の毛触るようになったから。

 

……なるほど。

 

これが女性同士の「わかるー!」なのか……!

またひとつ知らなかったことを知ることになった。

 

まぁどうでもいいことだけど。

 

「…………………………………………」

「…………………………………………」

 

とまあ聞いてみたけどしばしの沈黙。

 

そのうちにやっぱり本気でどうでもよくなってきて帰りたかったことを思い出した。

けどこの雰囲気で「じゃ、帰るので」っていうのはさすがにないってのは僕でも分かる。

 

けど帰りたくって気を抜くとそわそわして来ちゃう。

この小さくて軽い体を押さえるので精いっぱいだ。

 

初対面じゃない人との会話はつらい。

強引な人との会話はつらい。

 

明確な目的のないこういう会話もつらい。

苦行でしかない。

 

質問をしたのは僕なんだけどもう興味が薄れてきたし、なんにも言わないであいづちだけ打っておいて終わるのを待つべきだったかも。

 

……「もう帰ります」って言えば、適当な理由つければ帰ることができるだろうっていうのもつらい。

ずっと年下相手なのに「でもいきなりは悪いし……」って思っちゃう情けない僕の心もまたつらい。

 

優柔不断すぎる僕自身がつらい。

 

「…………………………………………」

 

………………なんで年下の子と話をしているだけでこうなるんだろう。

10くらいは歳、離れているはずなのに僕の方が子供じゃないか。

 

僕の人生経験が標準的なJKさんたちに満たない疑惑。

……いや、男って会話の頻度は低いものだから……低いよね?

 

周りのきゃぴきゃぴする感じの声がわずらわしい。

 

……あとなんか知らないけどやたら僕に対して好意的なのはなんで?

あのときとは違ってテーブル越しだからまだなんとか耐えられるけど、そうじゃなければお金だけ置いて全力で走って逃げたい。

 

今の僕は肉食獣に迫られた草食動物の危機感って言うものを誰よりも味わっていそう。

 

「……あのときはね」

 

あ、これ長くなりそうな気配。

やっぱ聞かなきゃよかった。

 

「先輩たちもそうだったのだけれど、それ以上に社員の人のプレッシャーがすごかったのよ。 眼光というか思念というか迫力というか」

「…………プレッシャーですか?」

 

たかがバイトだろうにって思うけど女社会は分からないからなぁ。

 

「ええ。 響ちゃんがお店に近づいてきたときから働いていた人たちがみーんな騒いでいてね? まだ顔も見えないのにどこか普通ではない雰囲気っていうだけで。 それでね、ある人がね、響ちゃんのこと芸能関係とかどこぞのお嬢さまとか、とにかくそういう普通ではない子が来るのって言い出してね?」

 

「…………………………………………………………………………は?」

 

変な声が出たけど下条さん(JKさん)は気にする気配もない。

 

なに言ってるんだろう。

この子もその人も。

 

下条さんはがたんと身を乗り出してくる。

 

どうやら熱が入ってきたらしい。

 

僕はもうダメだ。

 

胸が迫ってきて視界が苦しい。

視線も苦しい。

 

押しつぶされる幻覚が生命の危機を訴えかけてくる。

 

「何十年も毎日人の服を選ぶ仕事をしているとその人がどんなところで働いているのかふだんどういう服を着ているかが分かるんですって! すごいわよね! 私は離れたところから聞いただけなのだけれどあのときにもっと聞いておけばよかったって……ええと何の話だったかしら? あ、そうそうそれでねそれでね? 中でも私みたいに臨時でたまたま応援に来ていた……あ、あのときに人手が足りなかったのは何故かは分からないのだけど働いていた人たちの半分近くが一気に熱を出して休んでしまったんですって、変よねぇ? あら、えっと……あ、そうだわ、その不思議な人……って言っても、もうおばあさんに近いくらいのお年なのにハキハキしていてとてもそうは見えないくらいに若く見えたのだけれどね?」

 

「…………………………………………」

「…………………………………………」

 

よくそれだけ口が回るなーってほへーって見てたら急に動きが止まって、何だろうって思ったら座り直して圧迫感が引いていく。

 

一気にまくし立てて疲れたしい。

 

そりゃそうだ。

 

イスにすとんって座った下条さんは紅茶を少しだけ飲んで「ほへぇ」ってため息をついている。

 

……話がぶつ切りっていうか横に逸れたりしていて気になるけどうるさくなるよりは静かなほうがいいし、このまま適当な話題に戻ってほしいな。

 

本当に何となくで聞いただけだしな。

さっさと食べてさっさと解散って流れにどうにかして持っていきたいところ。

 

そう思った矢先にウェーブの子はとんっとカップを置くと、さっきみたいに腰を浮かせては来ないけど上半身だけでぐぐぐっと近づいてくる。

 

僕も合わせて引こうとしたけど背もたれに邪魔されて無理だった。

……ここのイス、肩までもないはずなのになぁ……つくづくの小ささよ。

 

またまたの圧迫感で「あ、逃げるのも逸らすのもムリそう」って悟る僕。

 

「それでね、その人はオーラっていうのが見えるらしいの! テレビでたまに見る超能力みたいなものかしらね! よく分からないんだけどその人がね、響ちゃん聞いてる?」

「……はぁ」

 

目を逸らした一瞬を目ざとく指摘されて目線すら避けられない様子。

 

「良かったわ、でね? その人がね? 響ちゃんが入って来ようってしているときからひと目で! たったのひと目でよ? 『あの子は普段からずっと相当の人の視線を集めている子だ』って言い出したの。 それも、お店の外でフードを被っていたときからよ!? すごいわよね!? それだったから途中までは半信半疑だったみんなも、響ちゃんの顔と髪が見えた瞬間から他の人もはしゃぎだしちゃってもう大変な騒ぎだったのよ! ……あ、もちろんお客さんたちに気がつかれないように静かに騒いでいたのよ?」

 

聞かないと終わらなさそうだから話を斜め聞きするのは得意だ。

 

……ええと?

 

つまり?

 

どういうこと?

 

…………………………………………。

 

そのとんでもなくとんちんかんなことを抜かしおった人があのフロアを地獄に変えた元凶と。

 

よし、それだけ分かれば充分だ。

 

それだけのためにこんなにも熱心なんだな。

どれだけ話し好きなんだろう。

 

けどその元凶さんがいる可能性があるんだし、今日あっちに行ったとしたら地獄を見たかもしれない。

だとするとたったひとりを相手にしている今のほうがマシなのかも?

 

……いや、甘味地獄だからどっちも変わらないか。

空間全体が甘さで包まれてるもんな。

 

男な僕にとっては完全にアウェーだ。

 

「そんな中で響ちゃんから私に声をかけてくれたじゃない? 私てっきりそのオーラの人とか社員の人が相手をするものだと思っていたからぜんっぜん意識していなくて!」

「オーラの人」

「あ、ちゃーんと響ちゃんの男の子でも女の子でもどちらでもきれいなお顔と手入れの届いた立派な髪の毛は見ていたわよ?」

「そうですか」

「とにかくだから響ちゃんの相手をしているあいだずーっとずーっとみんなから嫉妬されちゃっていて! あの視線はそれはもう怖かったわー」

「そうですか」

「部活の試合で、あ、部活って小学校でいうクラブ活動のことよ?」

「知っています」

「あら知ってた?」

「はい」

「そう。 でね? それの大きな試合で私がポカしちゃったときとそのときの仲間たちの視線よりもずっと怖くって。 ……あぁ、今思い出してもあの体の芯から冷えるような感じが蘇ってくるくらいよ!」

「そうですか」

「ええ!」

「そうですか」

 

僕はたたみかけてくる言葉にくらくらしながらbot役を務めた。

 

話の速度も話数も1対100くらいだろうしな。

加えて理解度もケタ違いだ。

 

だって速いし速いし早いし早いもん。

 

「…………………………………………」

「…………………………………………」

 

っていうか話はそこでおしまいなのかぁ……。

 

聞いていたっていうか半ば放心していた僕はこれだけのダメージを受けているのに、当の話していた彼女は「言い切った……!」っていう顔をしながらケーキを頬張っている。

 

つまりはどやっているんだ。

 

そのほっぺを両側からギュッと押してやりたい気持ちをこらえる。

でも僕は子どもじゃないんだし寛容になろう。

 

……それにしてもあれだけまぁよく口が回るもんだ。

男女で口げんかをしてはならないとか言う感じの言葉の意味を魂から理解した。

 

これは僕でなくても勝てない。

 

彼女いたことないけど絶対そうだ。

間違いない。

 

もっとも彼女ができるなんて機会は少なくとも当面は失われているしどうでもいいか。

もともと欠片もその気がなかったのもどうでもいいし。

 

「彼女が絶対にできない」と「万が一にもできるかもしれない……けどしない」というのには天地の差がある。

 

将来的に元の体に戻ったとしても……万が一にもその気になったとしたら相手はきっと婚活ってやつで選ぶしかないだろうし選ばれないだろうし、そうなると彼女って感じでもなくなるのか。

 

相手が好きじゃなくていろいろ考えた上でのそういう関係。

両方が納得済みなら良いはずだ。

 

「…………………………………………」

 

……いや。

 

僕は両親もいない職歴もないとてつもない地雷案件だから、どうにかしてお節介な人を探してのお見合いしかないのか……?

 

自分をアピールするのなんて苦手だし相手の話題について行くとか無理だし。

甘酸っぱい恋愛っていうのに興味は無いでもなかったけど……そもそも初恋すらまだだしなぁこの歳で。

 

そんなものは僕の人生において来ないのかもしれない。

 

いくら恋愛マンガや心理学の本を読み漁ってもその気持ちがいまいちよく分からないしな。

 

静かになったからかそんなどうでもいいことがぽんぽん浮かんでくるかと思ったら、JK下条さんはまたメニューを眺めはじめ、ひとつひとつを指しながら味について語る。

 

そんな口元を見ながら僕はぼんやりと思う。

 

たいしたことは言っていないみたいだし語尾が上がってから思考を戻しても間に合いそうだな。

口と頭が直結しているんだろうか、女性っていうものは。

 

もしかして僕もそうならないといけない……?

 

今のだけで普段の僕の会話量の1ヶ月ぶんにはなるんじゃないだろうか。

すると同じようなおしゃべりの人と丸一日話していれば、すぐに1年ぶん。

 

「…………………………………………」

 

早く男に戻りたい決意が固くなっただけだった。

 

 

 

 

飛び飛びでしか理解できなかったけど、要するにそのば……おばあさんがとち狂ったことを言い出したせいで、僕があの場所限定でものすごく目立っていたらしいのは分かった。

 

そのおばあさんのせいで。

 

……絶対にヒマつぶしで適当なノリで適当なこと言ったに違いない。

そのせいで同じくヒマだった店員の人たちの悪ノリが過ぎたんだろう。

 

で、バイトの初日だったこの子がそれに乗せられてしまったと。

なんだか天然っぽい雰囲気だもんな、この子。

 

からかいたくなるのはよーくわかる。

 

胸でかいしな。

 

けどその場の雰囲気ってバカにできない影響力があるからしょうがないかも。

だからお店に並んだりするサクラっていう古典的な手がいまだに通用するんだし。

 

静かなこの瞬間を少しでも長引かせるため、僕も残っているケーキとすっかり冷えているコーヒーをちみちみと胃に収める。

 

甘ったるさと苦さが交互に来る。

飲まなきゃやっていられない。

 

しかし苦みは甘みに負けてきている。

 

まずい。

この先が厳しそうだ。

 

あ、今度コーヒーリキュール飲もうっと。

 

……しっかし女性はオーラとか運命とかそういう非科学的なもの本当に好きだな。

さっきちらっと目にしただけだけど、こんな賃料の高そうなところにも大きな占い屋みたいなのがあったくらいだし。

 

あそこにだけは連れ込まれないように気をつけよう。

 

でも、オーラとか占いとか……普段静かすぎるのが嫌いだからテレビをつけっぱなしにしてることが多いけど、朝とお昼と夕方のあいだの時間はそういう系の番組とかCMとかが多いもんな。

 

ターゲットが完全に分かるってものだ。

 

だけど僕は普通の感性な普通の男。

そういうのが完全に外れているって知ってる。

 

そんなの僕だって適当に言えるもん。

 

なーにが人目を引くだ、フード被ってて分からなかったくせに。

とりあえずで元凶のその人に向けて邪念をありったけ飛ばしておこう。

 

こちとら少なくとも丸2年ほぼ完全に引きこもってからの半引きこもりなニートをやっているんだぞ?

 

偉くないんだぞ?

 

僕に負ける人間なんてそうそう居ないんだぞ?

 

今の容姿ならともかく普段からずっとっていうのは完全なデマでしかないんだぞ?

 

そもそもほとんど見られてなんていないんだからな。

そのためのカーテン締め切りひきこもり生活で苦労したんだ。

 

まったく、すがすがしいほどに真逆のことを言う人だな。

けどニートって言うのはいささか評判が悪い。

 

ニートじゃなくってその人が言うみたいにどこぞのお嬢さまとか芸能人とか……いや、見方を変えたなら…………ダメだな、あまりにも、あまりにもしょぼすぎる。

 

僕はしょげた。

 

僕の価値の余りの低さを考えると男に戻ったあとの人生が悲惨でしかないって分かるから。

 

「それで? あのときは店員という立場があって聞けなかったけれど響ちゃんの正体は何かしら? 私は多数派のお嬢さま派だったんだけど」

「多数派」

 

多数派とは?

 

「そうよ! だって自分からお店に服を選びに来るような子が、どう見てもサイズが合っていない変な服を着ていて!」

「うぐ」

「なのに妙にそれが似合っていて」

「……?」

 

「しかも普通の女の子の服を自分で着るっていうのに慣れていなかったもの」

「む」

「試着のときもシャツがはみ出していたり髪の毛を挟み込んでしまっていたりリボンがほどけていても気にしていなかったし」

「ほう」

 

「おまけに……下着だって! あんなに安いの買っちゃダメよ!」

「おおう」

「あらごめんなさい、こんなところでつい大声を」

 

大丈夫だ、他の女の人たち全く聞こえてないから。

耳がぴりぴりするくらいにうるさいからな、ここ。

 

けどよく観察されていたらしい。

 

こうしてまた会うって思ってたら絶対あんなことしなかった。

女物初挑戦だったんだからしょうがないんだけど……もやってする。

 

ちなみにあのときの激安ぱんつは全然よれてこないからまだまだ現役だ。

パンツなんて何年かに1回まとめて買い替えるものだし。

 

あの激安ぱんつ、僕的にはトランクスに比べて柔らかくて守られている感がお気に入り。

 

なかなかの掘り出し物だった。

やはりワゴンはチェックすべきだな。

 

この子には不評みたいだけども。

 

それにしてもそこまでよく覚えているな?

僕なんか今言われても「そうだったっけ?」ってなるのがあるのに。

 

まぁ僕の記憶力は対人でなく対物特化だからってのもあるんだけど。

 

「そんな感じで着たって言って出てきて……そのまま私たちに整えられるのを待っていたのも証拠のひとつよ! 両手を広げてじっと待っていたもの!」

 

え?

 

服屋ってそういうものじゃ?

 

「………………………………」

 

……違ったな、そういえば。

最近観たなにかの映画に影響されていたか……?

 

「おまけにカジュアルなものよりも綺麗系の服がぱっと見てとっても似合っていたし? なんというかしっくりくるというかそんな感じだったわっ! だから響ちゃんが帰ったあとで『あれはマネージャーの人とかメイドさんとかに毎日着せ替えさせてもらってる』って言い合っていたの。 あれは盛り上がったわー」

 

お、おう。

妄想たくましい。

 

「……そうよ! さっきも響ちゃん、車で送ってもらっていたじゃない? あれ、お付きの運転手の方だったりして! そうよ、もしそうなら響ちゃんをひとりで歩かせるわけにはいかないから今でもすぐそばでSPの人とかが響ちゃんを守っていたりして…………!」

「………………あ――――…………」

 

その話の流れからだと見事な推理になっている気がするな。

こじつけもここまで華麗だとそれはそれでお見事。

 

「っ! やっぱりそうなのね!?」

 

どういうこと?

 

「どの人なのかしら護衛の方たち……」

 

いや、居ないって。

 

妄想は飛躍したらしくあたりをキョロキョロしだすおっぱいさんもとい下条さん。

 

いやだってさっきまで視界の半分くらいに広がっていたし。

子供だから見ちゃ悪いんだけど占有率的なのが高かったもんだからしょうがない。

 

おぉ、左右に体を動かすと本当に立体的。

目線のちょうど正面で動く以上自然に焦点が合っちゃうのはしょうがないこと。

 

うん、しょうがない。

 

見ちゃうけど下心はこれっぽっちもないから安心して。

 

でも確かに状況的には……結果的に推理を重ねて状況だけを見るとそう思ってもおかしくはない……のかも?

 

……探偵ものでも読んだんだろうか。

たまたまな偶然な状況をどうにかこじつける辺りは才能がありそう。

 

中高生ってそういうのに一時的にはまるよね。

 

そう思うと生暖かい目になる僕。

 

かつて僕が通った道だって思えば優しくなれるんだ。

でもやっぱりこの子の発想は飛躍しすぎている気がする。

 

よくもまあたった1回だけ……いや、今日で2回か、不運なことに……しか会っていない人間にそこまでよく熱心になれるなぁ。

 

すごすぎてほへーって感心する。

今日の僕はほへーってしてばっかだな。

 

この他人への興味の強さが将来的にママ友とやらや井戸端会議で発揮されることになるんだろうか。

そういえば学生のときも噂とかってまず女子に広がりきって、そのあとに僕たちにも流れてきていたような気がするしな。

 

男と女、ここまで違うか。

 

けどこう思うってことは、少なくとも今のところ僕の脳みそだけはまだ立派に男のままの様子。

甘いもの苦手なのも変わらないしな。

 

そうしてまた、ちみっとビターな味と香りを楽しみながら時間が過ぎるのを待つ僕だった。

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