【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

35 / 213
16話 学生たちの、夏休み(1) 1/3

とうとう世間。

っていうか学生たちは夏休みっていうスペシャルな期間に入ったらしい。

 

良いよね、夏休みと冬休みと春休み。

なんで秋は無いんだろ。

 

シルバーウィークはなんか違うしなぁ。

 

まぁ僕は毎日が夏休みの最終日だからあんまり関係ないんだけど。

 

ああいや、ふらっと出かけて何日か泊まってってことができた成人の男だったときには関係あったか。

 

ホテル代とか夜行バス代とかフェリー代が乱高下するもんな。

閑散期こそが狙い目だ。

 

とにかく夏休みというのを何年か年ぶりにテレビとかよりも前に知ることができたわけだ。

 

だってメル友……古いかな……な関係の現役JCさんたちにとっては試験が終わるイコール夏休み。

直前の1週間くらいは授業も少なめで実質的に夏休みに近い気分だったからって普段の倍くらいうざったかったし。

 

そういう会話が飛んできていたから思い出した、とっくに忘れていた感じの僕の懐かしい学生生活。

 

たいした思い出はないのに歳を取ってくるとただただ昔が懐かしいって思えるのが不思議だ。

歳を取ったって言っても高校を卒業してから換算だからそこまでじゃないけど。

 

それが今はこんな子供になって幼くなったもんだから余計に老けたように感じる不思議な感覚を味わってた僕。

 

不思議だよなぁ。

 

まぁ縁もゆかりも無い幼女に変身するわハサミが空中遊泳するわな方が不思議かも知れないけども。

 

それにしてもちっこい関澤さんもでっかい下条さんも楽しそうでなにより。

 

僕みたいなプロのニートってのは年中有休な感じをずぅっと満喫しているわけで、これまでもこれからも緩急のない緩慢な時間を過ごすだけ。

 

それに比べて真面目な学生さんってのは年がら年中無理やりに大人数の空間に閉じ込められて親や先生たちの言う通りに過ごさなきゃいけなくって、したくもない勉強とか試験とか課題とかいう苦行をさせられるから大変そう。

 

同情はするけど僕もやったからなぁ……。

「がんばって?」ってしか思えない。

 

学校って大変だよね。

 

「友だち」とかいうものを作らないと休み時間とかがさらなる苦行の時間になるシステムだし。

集団生活って言うのはそういうものだ。

 

僕みたいに月に何回か誰かと適当にちょっとだけ話せればいい人種にとっては拷問のような空間だけど、多分必要なんだろう。

 

だって高校以降はその「友だち」ですら自分から合いそうな人を動いて探さなきゃいけないんだもんな。

強制的じゃないもんだから隣の席に座った子に話しかけるタイプの人間じゃなければほんっとうに話す人が居なくなる。

 

そうして気がつけばぼっちっていう存在になる。

 

積極的ぼっちと消極的ぼっちのどっちが良いんだろうね。

 

そんなわけで解き放たれた学生さんたちが暑くてしょうがないこういったときくらい羽目を外したくなる気持ちはよく分かる。

 

常識的な範囲で外すのなら問題も何もないしな。

 

それは分かるんだけどとにかく相手するのがめんどくさい。

うるさすぎてとっくに常時マナーモードにはしているんだけどちかちか光るしなぁ。

 

あんまりためすぎると読むのだけで10分くらいかかるしなぁ。

 

子守は大変だ。

 

 

 

 

若い人は気が短い。

 

肉体年齢で言えば僕がだんとつに若いんだけど心はわりと元々の同年代よりも上な感じ。

つまりは精神的な体感時間の密度が違うんだからしょうがないんだ。

 

「……うーん?」

 

この体になってそうとう幼なくもとい若くなったはずなのに体感時間はそれほど変わったようには感じない気がする。

 

もともとだるだるしていた時期を除いてはわりと毎日毎日が濃かったようにも感じていたし、その辺はやっぱり個人差なんだろう。

 

ニートって続けられない人もいるみたいだしな。

僕にはニートになる素質と資格があったっていうことだ。

 

多分お金がなくてもバイトとか派遣しながら似たような生活してただろうし人の根元は変わらない。

 

毎日それなりに知的好奇心を満たしたりしているからなんだろうか?

本を読んで家事を自分でして散歩とかしてお酒呑めば幸せだもんな。

 

まぁいいや。

 

そんなわけでメロン下条さんやレモン関澤さんがヒマになったこの夏休みっていう時期。

 

この1ヶ月くらいの期間、華の中学生相手にたったの2、3回……今までみたいな頻度でちょっとだけ話すだけだったら愛想を尽かされかねない。

 

元々特に近所に住んでるわけでもなければ同じ趣味が……関澤さんとはあるけどそこまででもないし精神的にも同性でもないから温度差も結構ある。

 

なんでか僕に興味持ってくれてあっちから毎日怒濤のつぶやきをくれるけど……でも多分充実した夏休みってのを楽しむだろう彼女たちをほっとくと愛想を尽かされるんじゃないかなって思う。

 

それは困る。

 

とにもかくにもこのエセ中学生な設定で面と向かって話ができて、なにより最初っから自己紹介し直さなくていい関係っていう貴重な知り合いを失う可能性があるのはいただけない。

 

相手は多感な時期のおしゃべりで生きているぴちぴちの女子中学生だ。

 

アラームを駆使したり「この後は約束が……」とかで長くても30分会うだけなのは彼女たちの反応を見てもそろそろ限界。

 

そろそろ学生っぽい距離で学生っぽくだらだら話しながら会う時間を増やすかお引き取り願うかの境目に来ている気がする。

 

僕としてはこのペースがいいんだけど……性別も年齢も性格もなにもかも違うからしょうがない。

 

出かけるたんびにめんどくさい人と知り合うから男で中学生くらいの子とも知り合えそうって思ってたけどそんなことはなかった。

 

僕みたいに休みの日は家でじっとするタイプで本とかについて語れる相手が欲しかったのになぁ……。

 

まぁ無理なら別にどうでもいい。

これで何年もやって来てるんだし。

 

そんなことよりあの子たちを放置してたら僕の方がなんとなく会いにくくなって来てそのままフェードアウトしそう。

 

気がついたらもう忘れ去られて「あなた誰?」とかいう風なことにもなりかねない。

 

そんなこと面と向かって言われたらいくら僕だってしょげる。

1年くらい寝込む。

 

ぼっちなことを思い出してちょっと落ち込んできたところで、だるんと起き上がった僕は体の力を抜いてぽふんってクッションに埋もれる。

 

「ぅ――――――……」

 

さらさらという音。

 

あー気持ちいい。

 

お気に入りになったビーズなクッションに顔から突っ伏してダメになりながら1人で勝手に想像して1人で勝手に傷ついて1人で勝手に癒やされよう。

 

この体の何がいいって、顔のあぶらとか汚れとかぜんっぜんないから気にしなくてもいいこと。

 

多分中学生になってにきびが……とかになる以前の幸福だ。

 

おかげでこうして枕とかシーツとかクッションとかに顔をうずめたって一向に汚くも臭くもなりはしないしな。

 

気をつけるのは寝落ちしたときのよだれくらいだ。

 

寝落ちには気をつけなければならない。

この体はわりと寝落ちするからなぁ。

 

「む――……」

 

脚をぱたぱたしたりしながら癒やされてきたから考える。

 

そんなわけだからって、ここのところ気合いを入れて結構頻繁にお茶したりお昼食べたりしながらあの子たちと会う努力をしている。

 

でも僕は用事をまとめて片づけるタイプだからおんなじ日に近い場所で時間をずらして会うことにしている。

話が長引いたりして危うくニアミスしそうになったりもするけど、今の僕は現役のDCってやつってことにしてるから多分大丈夫だよね。

 

おかげでまだ忘れ去られてない代償に僕の精神はものすごく、ものすごーく疲れている。

 

暑さも地味に効いている気がする。

 

夏バテかもな。

幼女だし。

 

なんだかだるいから「次の約束してたのキャンセルして良いかな……?」って言うとわざわざスケジュールアプリを無言で見せつけられるから女の子って怖い。

 

年下なのに言葉に表せない恐怖が芽生えるんだ。

女の子って怖い。

 

それでも「やだ」って言えない。

女子中学生にすらNOと言えない僕の心の弱さ。

 

というよりも何回か言ってみたけどものすごく反発されてしぶしぶ引き下がったというのがほんとうだけど。

 

やっぱり僕は押しに弱いみたい。

気をつけないと。

 

でも上からのぞき込まれて声が上から降ってくるとなぁ……体格差で抑え込まれるんだよなぁ……。

この低身長が憎い。

 

「ぬー!」

 

ばたばたと全霊を込めて憎らしさをクッションに発散。

でも大した力は発揮できない僕だ。

 

もふもふな感覚に癒やされてなんとかがんばれている現状だけど、これでも前よりはずっと耐性も体力もついてきているのは感じているし……こんな僕でもちょっとは進化できている感じ。

 

現役JCたちに比べるとまだまだだけどな。

それもこれも実質的幼女なこの体が悪いんだ。

 

食っちゃ寝しているのに体重も微増したと思ったら減って戻るしな。

 

「…………………………………………ぇ?」

 

もしかして成長期はまだ来ないの?

 

いやいやそんなこと無いはず。

 

ほら、胸だってちょっとは……なかった。

 

「………………………………」

 

揉めない胸は胸じゃない。

 

足元に転がっている別のクッションを蹴り飛ばそうとして失敗した僕はずてって床に転がる。

 

髪の毛が散乱している。

なんなら口にも引っかかってる。

 

シャツがめくれ上がっておへそが寒い。

スカートって破廉恥な格好だよなぁ。

 

どうしようもない。

 

めんどくさいなら2人まとめて相手しようって考えみたこともある。

せっかくだし一緒くたにしちゃえばふたりで会話していてくれるだろうしって。

 

だけど毛先が内に外にとくるくるしているのとストレートにさらさらしているのが学校帰りだったときに知ったんだ。

 

おんなじ制服着てるって。

 

だからたぶんおんなじ学校の同学年なんだろうしなおさら良いって思ったんだけど……おんなじ空間に居るうるさいのが倍になったら騒音の相乗効果で僕が瀕死になるのに気がついた。

 

危ないところだった。

思いつきで動くと危険なんだ。

 

だから別々に会うしかないから週に4回とか6回とか会話する時間があるわけ。

話をするのにどうにかしてくっついていくのに精いっぱいで帰ってきたらくたくたになるわけ。

 

いつも帰ってきたらそのままこうしてシャツとぱんつ以外をさっさと脱いじゃって30分くらいは眠らないと動けなくなるしな。

 

はじめのころは帰ってから翌朝までぐっすりだった。

それを思えば相当に……確実に耐性がついてきているって思う。

 

けど……なぁ。

 

先は長い。

 

「む――――――――――……」

 

もう1回クッションにへばりついて潜って幼女な敏感肌で全身で快感を味わい尽くした僕。

 

慎重に体重をかけないようにして抜け出ないとビーズのさらさら具合に負けてもうしばらくふかふかして無限ループだからって、そろりそろりと体を離す。

 

「ふぅ」

 

エアコンの冷たい風がひんやりと来て気持ちがいい。

 

「うむ」

 

部屋の隅にある姿見、前の僕の背丈な鏡には髪の毛をぼさぼさにした銀髪の幼女。

 

気がつけば部屋に置くようになっていたけど……あれ、なんでそうするようになったんだっけ?

 

「…………………………………………?」

 

ちょっとフリーズして考える。

 

なんでだっけ?

 

「…………………………………………」

 

何でか分かんなかった。

 

まぁいいや。

 

そんな鏡を前にちょっとズレた下着姿で乱れた銀色とクッションでもふったおかげで桜色になっている顔と肌を晒している幼女な僕は実に扇情的……じゃない。

 

クッションをぎゅっとしているとなんだかすぐに息が上がるこの体。

地味に運動になっているのかもな。

 

だけど、こんな格好になっても扇情的にはあと5年は足りない。

 

色気が壊滅的だ。

くびれすらない寸胴だもんな。

 

いや、僕の子供のころとかと比べると人種的にはほっそりしてるんだけども……最近会ったメロン下条さんとかお犬様の今井さんとかと比べると肩と腰とお尻のラインに差がありすぎる。

 

悲しい。

 

悲しいから成長してくれないと困る。

魔法さん、お願いします。

 

僕は祈った。

 

でもその後でやっぱり元の体に戻してって頼み直した。

 

「………………………………」

 

ぺたぺた足音を立てながら冷えた体をクーラーが効いてなくって良い感じに蒸し暑い廊下であっためる。

 

ま、9月になるまでだし。

正確には8月の最後の週になるまでかな?

 

今どきの子たちは9月に入る前に学校だもんな。

 

それまでの辛抱だ、がんばってみよう。

期限があればなんとか持ちそうだしな。

 

もうひとふんばり。

 

将来……できるかどうか怪しくなったけど社会人として隅っこに出る予定なんだからちょっとはがんばって会話に対する耐性をつけよう。

 

でも、昔は夏休み宿題っていえば8月31日の夜中って決まっていたものだけど今はそうでもないらしい。

 

かわいそうにな。

 

 

 

 

「やあやあひびきんひびきん、おっはよー!」

 

僕の名前を「ひびきん」って呼ばれたのは学生時代を通り越して初めてだ。

どういう言語センスをしているんだろ、この子。

 

「って、やっぱいつ見てもそのカッコ大変そうだねぇ――……肌を出せないってこの季節はほんとうにつらそう。 見ているだけで私まで響の暑さが移っちゃいそうだよー」

 

「慣れているからね」

「……私にはムリそう」

 

「慣れだよ」

「そんなもん?」

「そんなものだ」

 

そんなどうでもいい会話をしながら、改札の近くで先に待っていた……夏だっていうのに心なしか髪の毛が伸びている関澤さんのところにたどり着いた。

 

あいかわらずこういうところってほんとうにざわざわしている。

夏休みなのにこれって、年齢層がいつもより低めだからか?

 

僕としては視界が開けるからありがたいところだけども。

平均年齢が低くなってるからなんとなく紛れられるしな。

 

そんなわけで今日は関澤さんと会う。

 

でも「小さいもの同志」とは言ってもこうして真正面に立ってみると身長差は歴然としている。

真ん前を見るだけだとちょうど彼女の慎ましい胸元になるしな。

 

見ようとしてるんじゃない。

視線がデフォルトでそこになるんだ。

 

僕は悪くないし僕に少女趣味は無いから大丈夫。

 

髪の毛が肩にふわりと乗っている感じになりつつあるレモンさんはとにかく涼しげな格好。

肩から胸元まで結構大胆な、汗を吸うと下着が透けるくらいのシャツと短めのスカート。

 

良いなぁ。

 

できるなら僕もこんな格好をしたいし……したら涼しいんだろうなぁ。

 

僕なら下着はただのシャツで充分っていうか着なくてもたぶん誰にも気づかれないくらいの胸だからそれはとっても悲しいことなんだけど、とにかくそんな感じだし輪をかけて子供体型だしな。

 

ここまで短いスカートだと風が吹いたら見えちゃいそうだから僕ならもうちょっと長めにするけど。

 

この身長だとちょっとかがめば覗けちゃうくらいだ。

興味は無いからしないけど。

 

それにしても……いくら準子供体型だからとはいってもそのふとももはあんまりよくないんじゃない……?

 

派手すぎない……?

 

変な男寄ってこない……?

 

最近の子ってみんなこうなの……?

 

僕は心配で不安になる。

 

僕が男だからなんだろうけど女の子のふとももってのは視線が吸われる物質だって本能で理解している。

それは男の劣情ってのをかき立てる存在……らしい。

 

僕は大丈夫なんだけど不安になって、彼女の普段の制服姿を見慣れているから余計にそんなことが気になってしょうがない。

 

ちなみに彼女も胸はレモン未満な同志だからそちらの方は心配が要らない。

今見えてるのも見せブラってやつらしいし。

 

まぁそんなの知らない男にとってはそれだけで嬉しいんだけどな。

 

悲しい性だ。

 

その性はいつか、どうにかして取り戻したいもの。

 

でも今はその当てがないんだから素直にこの子を守る心意気で行こう。

 

変な輩が寄ってきたら……どう見ても小学校高学年なファッションにもなってる関澤さんをかどわかそうってするロリコンが来たらブザーを鳴らしてやるんだ。

 

見た目は幼女でも中身はこの子を守る男。

その心意気で行きたいところだ。

 

「なんか今日は元気だねぇひびきん。 良いこととかあったん?」

「いや? 別に」

「そっか」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。