【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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17話 学生たちの、夏休み(2) 2/3

「…………………………………………」

「♪」

 

アイスとかってカロリー高かった気がする。

 

いちいち何かにつけて「カロリーが」って言うんだから止めといた方が良いんじゃない?

 

そう思うんだけどこの子みたいな女性とか女の子とかいう存在らしい存在は理由をつけて食べるだけだろうし……別に良いや。

 

でぶるのは僕じゃ無いし。

 

僕こそがでぶりたいんだけどなぁ。

ああいや、でも標準体重越えは何となく嫌だしやっぱり普通で良いや。

 

そんなくるん子さんは僕の倍のアイスが乗っていたのに僕よりも早く食べ切って、そして例のごとくやっぱりお腹がいっぱいになってきてどうしようか迷うあのさくさくしたコーンの部分もさくさく平らげてご満足そう。

 

食べてるのを見てるだけで僕も満足しそう。

満足しちゃった。

 

やっぱり食欲か。

その栄養がメロンへ繋がるのか。

 

……アイスならなんとか食べられそうだし、僕もこれで肥えてみようか?

けど食べ過ぎてもお腹を下して栄養がだだもれになっちゃいそうでなぁ。

 

包み紙のところをなんか折り紙みたいにして遊んでたけどやっぱりゴミ箱へぽいっと捨てに行く。

 

行動のいちいちが新鮮だからって見入っちゃってたけど、彼女が戻ってきたから気がついたことをひとつ聞いてみることにする。

 

「ところで下条」

「かがりよ?」

 

「下条」

「むー、かがりだってば響ちゃんっ」

 

どうしても下の名前じゃなきゃ嫌なんだって。

関澤さ……ゆりかもおんなじだけど、どうして女の子ってそういうのにこわだりが強いんだろう?

 

男ならその辺どうでもいいのにな。

 

「…………かがり」

「なーに? 響ちゃん。 あら、アイスおいしかったわね!」

 

「そんなに買って食べて……お小遣いのほうは大丈夫なのか? いつも随分と使っているけれど」

「……あら」

 

複雑な表情できたんだ……って思うほどにレアな顔をしてぱっと反らした彼女視線の先には服屋と小物屋と香水屋とかで買った紙袋がずらり。

 

駅を出てたったの30分歩いただけでこれだ。

僕だったらもう重くて動けなくなってる量のお買い上げ品一覧。

 

どれもそこまでの値段じゃないのは一緒に連れ回されて「いいね!」botをさせられてたから知ってるんだけど、こんな感じで買い食いまでしてこのあとのお昼もあって。

 

……いつもこんな感じなんだけど、ちょっと羽目外しすぎじゃない……?

 

中学2年生のはずでしょ……?

 

高校生ならまだしも……いやいや高校生でも毎回こんなに豪遊できるの……?

 

おこづかいいくらなの……?

 

そう思ったんだ。

 

僕のときは月に千円くらいしかもらってなかったけど今の子は違うんだろうか。

まぁその辺は家によるとしか言えないしな。

 

僕みたいに小学生で500円からってコースもあれば「お年玉なの?」って金額をもらってる子も居た気がするし。

 

子供自身としてはそりゃあ多い方が良いんだけど……金銭感覚が決定的に狂いそうだよなぁ。

少なくとも今の僕みたいなプロニートを続けるための清貧な生活なんてできないだろうし。

 

それはともかくこの子の金遣いはちょっと、いや大分荒い感じがする。

 

浪費癖がつくとこの先が地獄だ。

ちょっと年上として……あくまで年上として、釘を刺しておかないといけない。

 

この子ってば頭がその辺に生えてるお花みたいだから「お金たくさんもらえるよー」ってだまされていかがわしいお仕事平気でしちゃいそうだし……心配じゃん……すっごく心配じゃん……。

 

「今朝親御さんにねだったと言っていたけど、いったいいくらだ?」

「あの、えっと」

「そこまで買うとそれなりの値段になっているはずだけど? レシート捨てていなかったのは偉い、見せてくれないか?」

「ひ、響ちゃん?」

 

「ひとつひとつは安いものだけど僕が見た限りでは7、8千円くらいにはなっているんじゃないか?今日の買い物だけで」

「違うわ、6千と……」

「6千円。 大学生が真面目に働いて6時間の金額か。 毎回そんなに使って何も言われないのか?」

 

こういうときはたたみかけるに限る。

たたみかけられて学習したんだ。

 

それに正論ってのは強い。

こうやって押し通せるんだもん。

 

今の時代はロジハラとかいう謎の論理があるらしいけどそんなのどうでもいい。

これは年上の友人からの真剣な忠告だもん。

 

どうせいつものように「だって」とか「でも」とか「ところで」とか「思い出したんだけど」みたいなこと言って強引に打ち切ったり話題を変えようとするだろうからって思っていたから、息継ぎなしでひと息で言ってあげた優しい僕。

 

だまりこくったメロンかがりをじっと見上げる。

彼女の瞳の中にその反対の色の僕の髪色が映る。

 

でっかいメロン……じゃなくて、僕でもお洒落って分かる服装の私服はいつも新しいパーツになるし、言葉遣いとか話のところどころに出てくる言い回しとか雰囲気とかはちゃんとした家って気がするし、余裕があってお金多めにもらえる家庭ではあるんだろう。

 

でも中学生からそれはちょっとまずいんじゃない?

いや、他人の家の教育方針にとか言われたらしょうがないんだけども。

 

でもこの子だって中学生。

 

中学生ってことはあと10年以内には絶対……ほぼ確実……多分……きっと家を出て働いてるんだ。

 

この瞬間も全力で働いてない僕のことがあるから強く言えないけどたぶんそう。

 

んでこの調子で育っちゃって就職したら、お給料の大半を生活を切り詰めての買い物三昧とかなんとかリボみたいな陰謀でにっちもさっちもいかなくなる生活がおぼろげに見える。

 

それはちょっとかわいそうだ。

メロンしか育ってない未来が見える。

 

「えっとね、大丈夫なのよ。 平気なのよ、これは。 ええ、響ちゃん。 念のために貯金もしているし……」

「ほんとうかい?」

「え……ええ」

 

目が泳いだ。

 

分かりやすいなーこの子。

しれっと嘘つくような感じじゃないだけ良いのか。

 

「まだ夏だよ? 今年はまだまだ残っているよ? 次のお年玉まではかなりあるんだけど、ほんとうに残っているのか?」

「あぅ」

「毎回の外出で毎月の小遣いを使っているように見えるけれど? それはもう、夏休み前からだな」

 

くるんくるんとした髪の毛の先がしおれて行ってアイデンティティを失うかがりさん。

微妙な表情になって目線は外したままな元くるんさんは指をもぞもぞしたりしている。

 

……悪いことできそうな子じゃないのは良いんだけどなぁ……。

 

「毎回服を買っていたらいくらお金をもらっても終わらないよ? 大人ならまだしも、君たちの年頃はまだ背が伸びるだろう? 来年には今日買ったものも使えないかもしれないよ?」

 

身長は充分高い……多分160超えてるんじゃないかな、中学生の女の子なのに……どうも食べたものの栄養が胸とおしりに行く体質らしいし、その服もぱっつんぱっつんになりそうだよ?

 

「……実はね」

「うん」

 

「けっこう……そのね?」

「うん」

「まずいの……」

 

だろうね。

 

しおれた毛先をいじいじしだすしおしおさん。

 

あ、髪の毛そうやると気が紛れるよね、分かるー。

 

……じゃなくって。

 

最近思考まで汚染されて来たのに困惑。

 

「夏休みに使うはずだったお金も……あとお年玉も……秋までのおこづかいも」

「…………………………………………」

「もう、ほとんど残っていないの」

 

ああ……。

 

「やっぱり」

 

使い切るどころか前借りにまで手を出していた様子。

それなのに今日みたいにお金をあげちゃう親も親だな。

 

多分相当に甘いんだろう。

前借りさせるくらいだもんな。

 

「でもね響ちゃん!」

「うん」

 

「でもでも、夏休みじゃないとこんなふうに出かけられないし! 今使っておかないと当分使う機会もないのだし!」

「貯めておけばいいじゃないか。 欲しいものはキリがないんだから」

「でもっ!」

 

なんか元気になって来たらしい。

しゃべってるだけで元気になれるとかすごい才能だよね。

 

くるんっと髪の毛が立ち直る。

 

「響ちゃんと出かけていると、その……小さいのに立派な男の子と一緒におでかけしているみたいでなんだか新鮮だし、他のお友だちとはまた違う感じでなんだか楽しくって、つい……普段はこうじゃないのよ……」

「………………………………」

 

僕と出かけると……。

 

「…………………………………………」

 

……一瞬どきってしたけど初めのころのかみあわなさとか気まずさを思い出したら当然か。

 

今だって服装だけはかがりに合わせてやっとの思いで来たスカートだけど話し方とかまでは変えていないしな。

 

肉体はどう見ても女だけどって言うか着替えのときに下着まで見られたから女だって知ってるんだけど、でもそれ以外は成人男性がにじみ出しているんだろう。

 

でもなー。

 

口調まで変えたら……今はいいかもしれないけど戻ったときが怖いことになるもんなぁ。

こういうのって1回染みついたらぽろっと出てきちゃうもんだし。

 

いい歳した男がちょっとうわずった声で女の子みたいな話し方したらやばいじゃん。

このご時世だから「そういう人なんだ」って指摘されなさそうって言うのもまたやばいじゃん……。

 

僕はノーマルなんだ……アルファベットで自己のアイデンティティーを表現しなきゃいけない大変な人たちじゃなくって由緒正しい紛れもない正真正銘の男なんだ……。

 

「お金も貯金箱にあったらあったで部活の帰りの買い食いとかでちょっとずつ減って行くのだし……本当にいつの間にかなくなっちゃっているのよ? お金って難しいものよね……」

「そうか。 大変だな」

 

「分かってくれるの響ちゃん!」

「あぁ、少しね」

 

とりあえず危機感は持っているようでなによりだって分かったから良いや。

あと親御さんもお金渡してるんだから毎回注意くらいしてるだろうしな。

 

典型的なお金に……いや、勉強とか全般かな……そういうのをみんな自己管理できないっていうよりはまだ中身は子供なんだって分かったけど。

 

いや、小学生でも我慢したり先を見て貯金できる子はいっぱいいるんだけどな。

この子にそこまでは求められない。

 

体だけが急成長して中身が追いついていないんだな、きっと。

栄養もさぞかし肉体に吸い取られているに違いない。

 

このまま順調に成長……いや、体は充分だから精神的に……するといいんだけど。

将来が少し心配なところだ。

 

「でも、ありがとう」

「ん?」

 

「私、いつもお金のことになると怒られてばっかりなのよ」

「そうだろうね」

「だから響ちゃんみたいに優しく言ってくれる人は………………………………あっ!」

 

もうびっくりするのにも慣れてきた不思議な感覚。

 

下条さんのたれ目が向いた方向に続くと……そこには女性客がわんさかなお店。

あぁいう雑貨の店、女性はほんっと好きだよな。

 

小物が好きなんだよな。

ゲームでクリアに関係ないちっこいものを収集するって考えたら僕でも納得できる。

 

「響ちゃん! あのお店行きましょう!!」

「かがり?」

 

「この前テレビで見たのよ! 配信の人も言っていたわ! 有名なんだって! またいいもの見つかるかもしれないわ!」

「かがり、そろそろ止めたほうが……それに君は今の僕の話を」

 

そこでぐいっと腕を引っ張られて僕の口が止まる。

 

僕は僕の腕を見る。

 

いつの間にか紙袋を片腕に抱えて僕の片手をつかんでいるかがりの手。

いつの間にか掴まれていた。

 

いつの間にか。

 

なんでこんなに動きがすばやいんだ。

質量保存の法則はどこに行った。

 

「分かってるわ! 見るだけ! ここは見るだけだから! ね、いいでしょう!?」

「はぁ…………」

 

「分かるー」or「いいね!」以外の選択肢が無いみたいだからのそのそと立ち上がる。

 

あんな人混みにあえて突っ込んでいく神経が分からないけどそれがこの子だからなぁ。

 

あぁいうところに行くと僕、女の人たちのおしりとかで顔を押されるから好きじゃないんだけど。

男がほとんどいないから、かろうじてなんとかぎりぎり我慢できるけど。

 

男だと僕の顔にベルトとかの金属がちょうど当たって痛いんだよなぁ。

あと見たくもない膨らみが目線だという。

 

女の人のかばんもよく当たりそうになるけど意外と女の人って僕のことにすぐ気がついて避けてくれるから楽だし。

 

これが低身長の悲しみ。

 

今度ゆりかと「分かるー」しよう。

 

僕はbotだ。

 

「ほら早く早くっ」

「待ってくれ……」

 

せめてもの抵抗でわざとゆっくりと歩く僕。

 

……彼女や奥さんの買い物に付き合わされるっていうの、こういう気分なのかもな。

 

うんざりしてきてからが本番だというやつ。

しかもそういう関係だから機嫌悪くさせたくないって言うどん詰まり。

 

なまじ距離が近いぶんその辺で待っているとかできないの。

 

「………………………………」

 

実際に体験してみて痛感しているけどこれはきつい。

やっぱり僕は独り身で良いや。

 

結婚とかするにしても……相手に大きな希望を抱かない冷めた関係が理想だな。

 

 

 

 

それから30分。

 

くるんはくるんくるんしていた。

 

「それでね! その子が言うにはね!」

「そうか」

 

止まらないかがりの「そういえば」でつながれるお友だちとやらの話。

 

「それはすごいな」

「でしょ!? でね!」

 

「なるほど。 その子はそれでどうなったんだ?」

「あ! やっぱり気になるの? そうよね、実はねっ」

 

以下似たループが延々と。

 

おしゃべりには話をさせておくのが効く。

ただこうして適当に話を聞くフリをしておくだけで無駄に歩かされるのを回避できるし。

 

結局なんにも変わってないかわいそうな子だけど、さすがにちょっとマズいと思ったかお店の中を見るだけで買い物はせず流れるようにして喫茶店へ。

 

ずいぶんと連れ回されて僕はもう体が芯から重いのにこの子は元気そうでなによりだ。

 

「疲れたよ……」ってどうにか説得してやっと入った喫茶店。

このチャンスを逃すわけには行かなかったんだ。

 

僕の体力はもう限界なんだ。

 

でもお洒落すぎる町なもんだから外でだるんと休める場所なんかないし駅も遠いしで、高くないお値段の喫茶店。

 

あとはここで話でもしておけば……っていうよりは今みたいに話をさせておけば今日のところは満足してくれるだろう。

 

これで1週間くらい……持たなそうだよなぁ……。

 

僕にとってはもう丸1日経った気がするんだけど……現実ではまだお昼前なわけで2時間経ってなくってこの子にとってはまだ10分なんだろうなぁ……。

 

相対性理論を思い出す。

 

時間の流れが相対的って言うところだけ。

 

「でねっ」

「うん」

 

学校外の知り合いってことで話したい話題がまだまだまだまだあるみたい。

適当に突っついてやればいくらでも出てきそうだし、このまま疲れさせておこう。

 

おしゃべりだから話していると楽しくなってくる性質でそこまで疲れないか……。

まぁ外ではしごするよりはよっぽどましだからそのくらいは我慢だな。

 

手元には豆の香りが薄いコーヒー。

ここのお店は僕的には失敗だった。

 

豆を浅煎りしすぎだし、たぶんそもそも豆が古いしお湯の量が多い。

不満しかないけど……まぁ所詮はチェーンだし、安いから入ったんだしで文句は言えない。

 

いちどグルメになってしまうともう元には戻れない。

生活水準は下げられないんだ。

 

……帰ったらちゃんと飲み直そう。

ちょっとだけ濃くして、ブラックで。

 

下条さんの会話を少しだけ聞くフリをして単語だけ拾ってかんたんな情報整理をしつつ話したさそうなところを聞いてあげる……というのをぼんやりとする。

 

僕はそういうのが得意。

なに話したか頭を素通りするのが欠点。

 

……でも、ここまで振り回されてかなり歩いたけど、思ったほど疲れてない気がする。

 

地道な筋トレと近所の散歩のおかげで体力がついたおかげかな?

 

そうじゃなかったら今ごろは息も絶え絶えだろう。

 

春ごろだったらまず間違いなくそうなっていたはずだ。

いや、梅雨でもまだ怪しい。

 

少しだけ進歩かな?

 

……中学生の女の子の買い物についていくだけだから誇れることじゃないけど……。

 

えのき1本から数本ぶんになったくらいの進化。

 

まずはもやしが目標だ。

 

さて、メロンさんの手持ちはいよいよとなくなったらしい。

 

いつものようにセットで必ず千円は超えるような甘ったるいお店を名残惜しそうに見ながら「こっちにしましょう……」っていつものように手を引かれながら入って来たもんな。

 

僕の提案が通るって思ってもなかったから僕がびっくりしたくらい。

 

まさかスイーツを食べるお金すら心許ないなんてな。

当然お昼も食べられずまさかまさかの昼前解散だ。

 

……ご飯のお金使い込んじゃうとかやばくない……?

 

僕が言わなくてもこの子の友だちとか親御さんにお説教だっただろうな。

 

でもお金が無いわけじゃないから……コンビニで買ってその辺でとかラーメン屋とかみたいなところならぜんぜん余裕だろうけど、そういうのは好きじゃないみたいだし。

 

この子といるときにはものすごーく珍しいできごと。

僕にとっては嬉しいことこの上ないな。

 

お祝いに帰ったらラーメンでも作るか。

 

味噌か醤油か……暑いから塩でさっぱりだな、うん。

 

煮卵を作っておかなかったのが痛い。

仕方ないから奮発してスーパーの煮卵を買って帰ろう。

 

「まだこれくらいはあるんだから!」ってお財布を取り出して……中のお札がほとんど姿を消していたのに気がついて本人が驚いて多少は反省もとい落ち込んでいた彼女。

 

カフェまたは喫茶店って言うホームグラウンドに入っておしゃべりっていう本能をし出してすっかり元通り。

 

まぁそんなもんだよね。

 

けど、聞いているとこういうのはよくあることらしくって、ときどきお会計で足りなくなって友だちに借りることもあるんだとか。

 

ちゃんと返してる……?

 

反省するとか言っていても甘いものを食べられないことに対して真剣だったしな。

そうかんたんには治らないんだろう。

 

将来が思いやられる。

 

「で、そのとき私、こーんなに困っていたのよ!」

「そうか、それは大変だったね」

「そうなのよ、それでね……?」

 

どうでもいい話が続いてるらしい。

 

ふんわり系な彼女の会話はボディランゲージが激しい。

そのたびに揺れるぷるるんはさぞかし目の毒なんだろう。

 

学校や家であったこととか見聞きしたことをストーリー仕立てで最初から最後まで、強調したいところはそのあとでもういちどって感じで声音も使い分けながらの演出は見事なもの。

 

楽しそうでなにより。

毎日が幸せそうだ。

 

熱心に聞くと疲れてきて僕の会話を受信するキャパシティーを超えるから会話の10分の1くらいしか聞かないで残りは通り抜けさせているけど……それでも彼女の私生活はだだもれだ。

 

たぶん個人情報とか気にしてないんだろう。

気にしないんだろうな。

 

「あれは申し訳なかったってちょっと思ったりしてるの……」

「それはしかたないさ」

 

しょうもないことは意識にも引っかからない。

 

でも話を合わせるってほんとうに大変だからときどきちゃんと意志を持って会話するんだ。

 

まずは中学生になりきって、それも将来的になるかもしれない「なんとか女子」みたいな人たちに囲まれた生活に溶け込むための情報収集って目的があるから、こうしていられる。

 

あとはちょっとした感性とか興味のポイントとか意外と発見があるものだからそこまで退屈はしない。

 

まぁ僕の目的はとりあえずはJC、次はJK、そしてJDそしてOL……今は言わないか……そんな感じに無難に擬態することにあるんだから細かい名前とかはぜーんぶスルーしてはいるんだけど。

 

忘れていても何とかなるしな。

どうせ話してくれるんだし。

 

僕がこの体のままで迎える未来に向けてこの子たちを利用することには罪悪感もあった。

 

でも今はこうして話を聞いてあげているんだし、僕が疲れたころにおしゃべりして満足しているんだからウィンウィンだろう。

 

服飾の店ではとりあえずでアクセサリーをつけられて服屋ではとりあえずでいろいろ店員さんと一緒になって着させられているしな。

 

抵抗するだけムダだっていうこともある。

なにを言ったって結局は着飾れるんだから。

 

むしろ僕がもっと対価をもらいたいくらいまであるんじゃない?

 

だってこれってお守りでしょ?

 

胸とおしりだけでっかいけど中身は小学生な中学生のお守りでしょ……?

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