【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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18話 学生たちの、夏休み(3) 2/3

僕の安寧は打ち砕かれた。

 

せっかくのオフの日に誰かと会いたいだなんて思えないのが僕みたいな人間。

ゆりかも僕たちに近い気はするんだけど……やっぱり女の子だな。

 

いや、男でも「今ヒマ?」って電話してくる人もいるって言うし単純に性格か。

 

「やっぱ響だよね! そのミニマム銀色ぼでー! こんちゃー」

 

……君だってミニマムじゃん。

 

そう言いたいけどぐっとこらえる。

僕は大人なんだから。

 

でもせっかくよさげなシリーズを吟味していたのに横やりが入って嫌な気分。

 

気分が乗ってるときに邪魔されると嫌だよね。

そういうときに限って宅配とか電話とか来るんだもん。

 

……だけどなんでレモンさんがここに?

 

本当、なんで?

 

見間違いかとも思ったけど、あいかわらずの小学生っぽい雰囲気のままな関澤さんが近づいて来ちゃったからどうやら本物らしいって分かっちゃう。

 

遠くで目が合って合わなかったフリをしてお互いに離れるってのは望めなかったらしい。

 

あっという間に50センチを切る距離まで迫ってきて、ぐーっと顔を近づけてくるゆりか。

この距離感……ほんとうに小学生と言っても過言ではない。

 

彼女の悪戯っぽい目元とか口元がはっきりと見える。

 

警戒感はゼロだ。

……ここでも僕は男って見られてないらしい。

 

悲しい。

 

でもなんで制服も着ているんだ?

 

あ、でも、普段に比べて胸肩周りの露出が少ないから少し安心はする。

だって話しているあいだってふとした拍子にそういうところってどうしても目が行くし。

 

なんかそういうのって昔から気まずいんだよなぁ……。

 

リアルの人間相手じゃなくても、テレビとか漫画で露出が多い人とか出てくると反射的に目を背けちゃうあれ。

 

一体何なんだろうな。

別に潔癖症とかじゃないんだけども……。

 

でもこれなら安心だ。

 

安心して子供扱いができる。

学習塾に来る中学生ならお手の物だ。

 

「……ゆりかか。 おはよう」

「奇遇だねぇ、こんなとこで合うなんて。 まさか運命!?」

 

ないない。

 

「……なわけないけどさー。 にしても離れたとこから見てもほんと小さいねー響は。 迷子かって思っちゃったくらい」

 

「うるさい」

「えへへぇ、お互いさまだし同志だし仕方ないよねー。 ……あ、この前も私、迷子って間違われて警備員の人に優しく声かけられたトラウマがぁー」

 

いらっときてつい返しちゃったけど、どうやら目の前のぱっつんさんは結構悲しい目に遭ったらしいからそっとしておこう。

 

でもなぁ……気がつかなかったって感じで視線を合わせずにそそくさと離れるつもりだったのに。

いや、そもそもすぐに追いつかれるからムリだったか。

 

……それに、今はゆりかだけじゃないから気が気じゃない。

つまり彼女は学校帰りかなんかで……同級生か誰かを連れているんだ。

 

「……………………………………………………」

 

関澤さんの隣には友人と思しき距離感で立っている女の子。

 

身長が高い……たぶん平均よりは……だから僕を見下ろす形になっている普通の中学生的な子。

横にいる関澤さんと比べるとその差は明らかだ。

 

ちっちゃいって悲しいな。

 

いやそれでも背が高いというか全体的に……こう、大きい。

 

運動部って感じな子。

ワイシャツから覗くうっすらとした筋肉は多分ちゃんと動いてる人のもの。

 

健康的な感じだから男子から人気がありそうな印象だな。

 

髪の毛は長くもなく短くもない感じだけど、最近見た雑誌に乗っていた髪型になっているからおしゃれはしているらしい。

派手なヘアピンもしているし。

 

……さりげなく相手のヘアスタイルを気にしているのに気がつく。

 

最近いろいろとあれだし、ちょっと気をつけないと……。

本格的に心まで女になるわけにはいかないんだ。

 

女社会ってルールから逸脱しちゃうと目立つらしいから、あくまでそういうルールを知るために雑誌とかで勉強してるだけなんだから。

 

ともかくここのところ髪の毛だけはさらに伸びてきているレモンさんとは違って女の子女の子している子。

 

メロンさんも似てる感じだけど、また違う方向。

 

僕の知り合いにこういう子はいなかったからまだ言語化できないけども。

あ、アニメとかマンガで言うならバレー部とかしてそうって言えば通じそう。

 

小学生みたいなゆりかとバレー部的な子。

いろいろな意味で凸凹コンビだ。

 

「……………………………………………………」

 

そのうちの凸のほうからずーっとじーっと見られているんだけど……。

 

なに?

 

ガンつけられてる……?

 

いや、まさか。

 

単純に上から見下ろされているだけだ、気にしても無駄なんだ。

そういう言葉に出来ない思いをを込めてゆりかを見てみる。

 

お願いだから挨拶だけでおしまいにして?

この子を紹介したりしないで?

 

そんな気持ちを込めて。

 

「やんっ! 響ったら、情熱的!?」

「…………………………………………………」

 

通じなかったらしい。

ゆりかだもんな。

 

本当にボケてるのか素なのかがさっぱり。

ゆりかだしな……。

 

「……あー、こほん。 えっとね? うちのクラス、今日登校日だったんよ? なんにもすることないし、ただ朝早くに集まってイスに座って話聞くだけのやつ。 意味ないよねーって言いながら適当に過ごしてはい終わりでもう帰りなのよ。 だからこの時間」

「……そうか」

 

「で、このでかいのは『りさりん』って言ってね? うん、名字が『りさ』で名前が『りん』。 りさりんって名前に見合わずでっかいんだけど、もちふたつの意味でね? りさりんと私は去年からおんなじ……あいた!?」

 

「『りさ』ね? り・さ! 名字は杉若! あと余計なことは言わない!!」

 

「んー、痛いよりさりーん」

「だからー、り、さ! ちゃんと名前で呼びなさいって! 初対面の相手でしょう!」

 

ぎゃいぎゃい始まる中学生たち。

 

……あぁなるほど……ゆりかはいつも人の名前、変な風に呼んでいるのか。

いつもみたいにゲームとか流行りのネーミングをもじったりして。

 

僕のこともときどき変な呼び方するし1人でぶつぶつつぶやいていたりするしな。

 

……あれ?

 

もしかしてこの子、ちょっと変?

 

……ちょっと考えてみたらくるんメロンはあんなだけどゆるふわで一括りにできるし、それに比べてぱっつんレモンはって言うと……。

 

……………………………………………………。

 

僕は常識人な人しか相手したことがないからこういうときに動けない。

 

そんな僕の前であっという間の決着。

身長差っていうか体格差であっという間に後ろから抱えられるぱっつんだ。

 

彼女もまた軽そうだもんなぁ……。

多分僕と大して変わらない気がする。

 

「うぁ」とか変なうめき声とともに僕に負けず劣らずな脚がぷらぷらとしていてどう見ても子供だ。

 

うん、間違いなく小学生だな。

 

で、それを見るともなくぼーっと見ていたら、ひととおりぶらぶらさせて満足したのかりさりんさんとやらの目がふたたび僕と合う。

 

「……ごめんね、うるさくって。 で、あなたが響さん……だっけ? 最近コイツが噂してたから名前だけ知ってるわ」

「みぞおちは地味に来るんだよりさりん……」

 

「あ、はい……よろしく。 えっと……りさ、さん」

「ん、よろしくね?」

「りさりんだってうう゛ぉえ」

 

すごいうめき声が聞こえるんだけど大丈夫だろうか……。

 

いくら僕でも初対面の相手に嫌がっている呼び方をする趣味はないからちゃんと挨拶。

語感が良すぎるから気をつけておかないとついぽろっとしちゃいそうなりさりんさんに。

 

りさりんなのに体格いいけど。

……言葉の響きがいいな、りさりん。

 

確かに合っているかもしれない、りさりん。

 

「そんなに怒らなくてもさぁりさりん……。 いつも呼んであげて喜んでるじゃないりさりん」

 

「名前まちがって覚えられるからじゃない! せめて最初のときくらいはまともに呼びなさいって何度言ったら! あと喜んでないからね!?」

「そんなー、顔赤くして喜んじゃっ……あ、ちょいまち、ギブギブっ」

 

お腹をさすりながら口を尖らせるのに負けじと詰め寄っているぱっつんとでかいりさりん。

 

身長差が著しいな。

まるでカツアゲだ。

 

まぁケンカ売ったのはちっこい方だけど。

 

……今でもカツアゲってあるんだろうか?

いやそんな経験も見たこともないけど。

 

単純に僕が治安の良い町に育っただけか?

 

「ゆりか、あなたがいっつもいっつも学校でそう呼んでるからすっかり定着しちゃったじゃない! しかも私がいないときでもなんでしょ? 顔だけ知ってるような人からいきなり『りさりん……さん?』とか呼ばれることもあるのよ!? それもしょっちゅう!!」

「おぅ、私のりさりんが浸透している……良いね!」

 

「あんたのじゃないし良くないわよ! おかげで呼ばれて恥ずかしい思いをして、それで毎回フルネームを言わなきゃならない私の苦労が」

「えー、親しみやすくっていいじゃんりさりんー」

 

「よくないわよ……って、こら! ちょっと、止めなさいってば!」

「えー、ケチー」

「ケチ言うな!」

 

ゆりかがりさ……さんにしがみついてうねうねもぞもぞしている。

 

「……………………………………………………」

 

あんなにくっついて暑くはないんだろうか?

夏服だし冷房効いているし、平気か。

 

でも女性ってやっぱり距離感近いよなぁ……男同士だとここまでひっついたりしないもん。

ましてや公共の場所、ましてや初対面の僕の前で。

 

と、途中でゆりかが痛そうな顔をして離れてじゃれあいがぴたっと止まる。

 

ほっぺをさすりさすりしている。

 

……あー、身長差があると胸の下のところ……ちょうど顔のあたりに来るよね。

あれ、ブラジャーとかが当たるとけっこう痛いんだよなぁ……僕も何回かあるから分かる。

 

かがりに良く抱きつかれるから知ってるその痛み。

おかげで抵抗感も薄れたけど。

 

スポブラみたいに布だけでできているのならまだしもだけど……普通のは意外と痛いんだよなぁ……。

 

金属がむき出しなわけでもないのに何でか痛いって感じる。

なんでだろ?

 

「……………………………………………………」

 

……頭を抱えてうずくまりたい気持ちになった。

 

だって、こんなこと自然と考えてるんだもん……。

こんなことがすっと思い浮かぶのが怖いんだ。

 

だけど嬉しいことに僕から意識が離れている様子。

 

このスキにうまいことどうにかしてそっと身を引きたい。

けどそれにはじゃれあっている彼女たちの真横を通らないとならない。

 

だって僕はすみっこのコーナーに閉じ込められる形になっているから。

 

……どうしよう。

 

「………………………………」

 

することもないからぼんやり立ってるしかない悲しみ。

 

こうして女子中学生同士のやりとりを見ていると……ふだんのゆりかもスイーツと着せ替え以外のときのかがりもけっこう遠慮してくれていたのがよく分かるな。

 

あのかがりでさえ結構控えめだってことが分かる程度に距離が近いって言うか肌同士が密着しすぎている。

 

制服の硬いはずの生地がふんにゃりしてるもん。

きっと柔らかいんだろう。

 

……暑そうとしか見えないけど。

 

目の前で繰り広げられているような……取っ組み合いとかじゃないけど体の大部分が触れあいながらの軽い感じのじゃれ合い。

 

こんなのされたら絶対に距離を置くな。

レモンならともかくメロンだったら。

 

不純でも異性でもないけどなにやらいかがわしい交流だもん。

そういうのってもっと相手を知ってからじゃなきゃじゃない?

 

レモンとさくらんぼならくっついたってごつごつとしてたいして気持ちよくもないだろうからゆりか相手は気にしなくても良いけど……なんか悪い感じがするしで僕からはしないけど、あのメロンは要警戒だ。

 

だけど困った。

 

どうしよう。

 

どうしようもない。

 

「………………………………」

 

うん。

 

普段の2人の関係はよく分かった。

 

いつまで経っても僕のことを忘れて普段のようにじゃれているだけのようだし、ここはさっさとお暇しよう。

 

うん、それが良い。

「勉強があるんだ」とか適当だけど嘘じゃないこと言ってさよならするんだ。

 

「えっと、ふたりとも。 その……元気だな……」

 

「僕は元気じゃないからそういうのは余所でやってね」っていう意味を込めたけど口が回らない。

 

圧縮言語が世界に広まれば良いのにね。

 

「あっ…………ごめんなさい、つい」

「私たち、ラブラブだからむぎゅっ」

「ゆ・り・かー?」

 

……頭を押さえつけられている。

 

身長的に僕もこうされたら身動きが取れない。

りさりんさんの近くへはあまり寄らないようにしよう……。

 

「……ようやく静かになったわね……。 あ、ごめんなさい。 確か体が弱い……んだったわよね? このアホから聞いているの。 大丈夫?」

「いえ、このくらいなら平気で」

「そう? よかった」

 

僕のことを話されていたって分かってちょっとイラッてきたけど、考えてみればそうだよな。

ゆりかとて一応は女の子だからおしゃべりが好きなのには違いない。

 

きっと僕っていう珍しい生き物に会ったことはとっくに知らせてはいたんだろう。

 

問題はどこまで話すかだ。

 

あんまり細かく……なにからなにまで話しているようだったら今後はちょっと会話に気をつけないといけないかも。

だって会ったことがない人にまでみーんな筒抜けっていうのは気分が悪いし。

 

かがりからの、彼女の友人やら家族やらの個人情報の漏洩っぷりを知ってるから余計に。

 

あと、僕っていう存在があまり知られるのもなんだかまずい気がするし。

……かがりの話しっぷりを聞いているときに気がつくべきだったかな。

 

顔も知らない人の下の名前とか性格とかどんなことをしたとか、気がつけば10人ぶん以上は頭に入っちゃってる恐ろしさ。

 

見知らぬ子たちのプロフィールが知らぬ間にインプットされている。

 

噂の力は怖い。

気をつけよう。

 

もう遅いかもしれないけど。

 

「…………あ――重かった……大丈夫よー響。 響の話はほんとそんくらいしかしてないし。 友だちだって言ってもなんていうか……ふつーじゃないじゃん? 私たち。 あ、もち悪い意味じゃなくて! ホント!」

 

確かにそうではあるね。

 

学生の彼女的にも学外の近所で知り合うなんて早々ないだろうし、僕にとってはこういう関係なんか10年ぶりくらいまであるし。

 

「えーっと……事情持ちっていうか? そういうの、どこまで言っていいのか分かんなかったからさー。 同い年で小さいもの同志でクール系で。 そんくらいだよねぇりさりん?」

「あ、それでいつもふわとしか言わなかったのね……って! だから名前!」

「りさりんのこと?」

「り・さ・よ!」

「ふーい」

 

……ひとまずゆりかは大丈夫と。

 

線引きできる子だって分かったから少しは安心だ。

 

じゃあ残るはかがりだけだな。

 

もう手遅れかもしれない……けど話されるのはイヤだって伝えておかないと。

どれだけ聞いてくれるのかは分からないけどなぁ……あのおしゃべりくるんは。

 

……………………………………………………。

 

やっぱ無理かも……。

 

「……そうか。 僕、あまり知らないところで噂されるのは苦手だから助かるよ」

「よかったー。 いつもお家のこととかになると話そらすしなんとなーく思ってたの当たってたね! で、ところでさ響? YOUはなぜここに!」

 

両手を突き出すようなポーズ。

 

……ちょっと古いぞ。

いや、テレビを見ていれば昔の流行りとか目にすることもあるし、おかしくはないのか?

 

「こーんなイヤーなコーナーに来てるってことは参考書とか単語帳? マジメさんねー」

「あぁ、ちょっとね」

 

なんかおかしいなってさっきから思ったんだけど……気がついたら二頭筋から先がしびれていた。

ふたりに気を取られて、さっきまで比べていた重いテキストを持っていた様子。

 

……指の関節と手首と肘……大丈夫だろうか。

とりあえずとして明日に筋肉痛は確定だなぁ。

 

だって貧弱だもん。

幼女だもん。

 

「さすが響ー、まじめさんだ! ……だってよー? りさりーん? 夏休みの熱い中わざわざ1人でお勉強のものを買いに来る精神を見習いなー? 話も上手で先生ウケもよくって頭もよさそうってイメージしかないのにダメな科目はとことんダメなりさりーん?」

 

「……こんの、今回の成績で勝ったからって……。 私は毎日少しずつやってるって言ってるよね……?」

「今回だけじゃなくて中学入ってから……あ、はい、おとなしくします」

 

「………………………………」

 

痺れたところって原因がなくなると1回強烈に痺れるよね。

 

しびしび。

僕はしびしびしている。

 

「でもさーりさりん、昨日だってゲームで夜更かししてたって言ってなかったー? イヤな予感がした私からの今朝のコール、なければ遅刻だったじゃーん? 下手すれば今日がサボりだった可能性すらあるのはご存じで??」

「あ、あれは……っ! あれは、たまたま熱中し過ぎちゃってちょっと寝るのが遅くなって目覚まし時計、無意識で止めちゃってただけじゃない! ふだんはちゃんとしてるんだから! ……あ」

 

ぱちっとりさりんさんと目が合う。

 

「……ちゃんとしてるんだから、ですからね!」

「うん」

「何故に敬語? りさりん」

 

……ふむ、こうして見ていると人を煽るのって意外とかんたんそう。

 

レモンさんが調子に乗っている。

唐揚げにかけているかのよう。

 

なんだか微笑ましいけど僕のいないところでやって欲しいところ。

 

あ、でもだんだんとしびしびがしびくらいになってきた。

 

「……でもさーりさりーん? もー1週間くらいずーっとそればっかしてない? ゲームも開いてるって言い張るページも。 ほんとに大丈夫……?」

「…………少しは、やってるから大丈夫……よ」

 

急に真面目な口調になったゆりかに戸惑う、りさりんさん(仮)。

 

「えーほんとうかにゃー? りさりんさーん? ウソついてるんじゃなーい?」

「ほ、ほんとうだって言ってるでしょうが!」

「あ・や・し・い♥」

 

しびれが取れてきたら今度は軽い痛みが両腕に広がる。

なんだって僕がこんな目に遭うんだ……理不尽だ……。

 

ふたりはこんな感じでずっと会話しているし、これ、僕がいなくても別にいいよな……?

 

もう帰って良い……?

 

帰らせて……?

 

仲がいいのはいいことだけどさ、僕にはここまで砕けた友人関係とか作れたことなかったしさ。

 

こういうのはマンガとかの世界だけの話かとも思っていたけど現実にいる普通の子たちでもあるらしいって分かったのは結構びっくりだけどさ。

 

興味がなかったっていうか中学からできた友人たちはみんなどこか僕みたいな性格ばっかりだったし、高校からはいないも同然だったならまだしも僕の両親のことで腫れ物扱いだったしなぁ……。

 

当時はなんとも思わなかったけど、こうして年下の子たちが戯れているのを目にすると……ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。

 

寂しい学校生活だったのかって。

 

灰色の学生生活だったんだって気にもしていなかったのに、どうしてか急に胸が締めつけられるような気持ちになったんだ。

 

……不思議だよなぁ、心って。

 

当時はなんとも思わなかったのに、こうして大人になってから……こう、きゅんってなるんだから。

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