【改稿中】銀髪幼女にTSしたニートな僕が過ごした1年間   作:あずももも

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3話 現状把握と今後の模索 1/2

 

両手で胸を揉んでみる。

 

………………………………。

 

これが胸っていうもの?

否、ただの脂肪だ。

それも男とおんなじ。

 

だって幼女だしな……けども、人種的な差異と個人差とで決めつけも行けない。

ひょっとしたらこの見た目で実は中学生くらいかも知れないんだし。

10歳を過ぎているんだったら、可能性はある。

 

だから揉んでみた。

もちろん肌越しに。

つまりは直接にだ。

 

今の僕はこの体に入っている意識なんだから事案とかじゃない。

 

だけど残念なのか安心なのか……弾力は確かにあるけど元の体のそれと違うのかどうか分からない。

昨日まで男だったんだから昨日までの僕の男の胸なんて当然に揉んだことがない。

 

だから分からない。

言うまでもないけど僕以外のは男女問わずに触ったことすらないからもちろん分からない。

 

……………………………………………………。

 

胸。

 

あると言えばあるって言えなくもない感じ。

逆もまた然り。

 

見た目相応に服を着てしまえば傍目にはわからないくらいの小ささだけど、脱いで触ってみれば男だったときとは違う感触が手のひらに伝わってくる……気がする。

 

辛うじてあると言い張ればあるけど無いと言われれば無い……気がする。

ぜんぶがぜんぶ経験値が足りなさすぎて判定不可能……そんな感じだ。

 

まぁそもそもこの体に第二次性徴が来ているのかどうか微妙だけどな。

見た目的に……だけど特に女の子の成長は個人差があるって言うから。

 

いやいや。

でもやっぱり。

 

そうして堂々巡りだ。

 

どうせなら手のひらに吸い付く……とまではいかなくても手のひらに収まって揉み応えのあるサイズは欲しかった気がするな。

 

どうせ女の子になったのなら実感してみたい。

その願いは贅沢なのかどうか。

 

失った分の体積を胸部に欲しかった。

 

そんなことを思いながら僕は風呂場ですっぱだかになりながら僕自身の胸を揉んでいた。

 

目の前の鏡には……全裸で胸を揉もうと努力している、銀色に近い長髪と眠そうな目を向けている幼女が映っていた。

 

 

◆◆◆

 

 

さて。

 

体が変わってしまってから一夜明けて逃げ道がなくなっちゃった。

昨日と違って早く起きたけども昨日と状況は変わっていない様子。

 

ぺたぺたともちもちになったほっぺたを揉んだり撫でたりしながら考えてみる。

 

……戻ってない。

とりあえず夢じゃなかったのは分かった。

 

目の前のものみんな大きいままだしな。

 

もう慣れたけど。

慣れってすごい。

 

昨日からさらに状況が悪化……たとえば角とか尻尾とかが生えていたりして人間の枠を超えたり、誰か知らない人や生物が目の前にいたり、そういった空想の世界でしかありえないことが起きていないのかさらに幼くなったりしていないのは喜ぶべきなんだと思うけど。

 

体が変わったことに変わりはなさそうだし、少なくとも今日はこのままだろうことを嘆くべきだろうか。

 

にしても顔の油が浮いてない。

寝起きなのにな。

不思議な気分だ。

 

ほっぺをつまんでみてもむにーっとしてるだけだし、おでこに至っては……さらさらだと……!?

 

そういえば子供のころは顔もすべすべだったなって思い出す。

中学までは顔を洗わないでいたってお風呂の1回だけで済んでいた気もする。

 

若さ……この場合は幼さか、っていうのはすごいな。

 

おとといまでの僕の幼いころがそういう体質だったのかどうかは分からないけど、今の体は洗わなくていいらしいのが分かった。

 

楽なのは良いな。

楽なのは良いことだ。

 

と、いつまでも顔を触っていたって仕方がないから体を起こしてもういちどだけ全身が戻っていないかチェックして、見間違えてたとかいう都合のいいことが起きていないっていうのを再確認。

 

ふぅっとひと息で気持ちの切り替えだ。

 

さてさて。

 

変身してから2日目にして改めてこう……心にずっしりとくるというか結構こたえるものがある気がする。

 

なにしろ昨日のは夢じゃなくって完全に現実のことだと分かっちゃって。

僕は使い慣れた体を失って代わりに見知らぬ幼女の体を与えられて……元に戻っていなくて。

 

ベッドでごろ寝しながら見た限り、スマホ越しのネットでもやっぱり世間では何も起きていない。

 

当たり前か。

 

……………………………………………………。

 

今さら科学的とか考えてもしょうがないからとりあえずで浮かんだ考えに任せる。

 

僕だけか、あるいはごく少数……何人かの人間だけがこんな目に遭っているかも分からない。

 

それとも何だろうか、曰くありげな人形とか山とか神社とかそういった伝奇物でありそうな厄ネタが……創作ではなく実際に起きるものが僕に憑いたりしているのか。

 

そういうのってだいたいは無自覚なのがまた恐怖を誘う。

 

……怖いのは嫌だなぁ。

ホラー耐性はないからせめて洋風に魔法とかいった雰囲気の明るいものの方がいいんだけど。

 

なんでポルターガイストって聞くとそこまで怖くないのに幽霊って字を見るだけで怖いんだろうな。

 

こういうことを考えているとどんどんと気持ちが沈んできて親戚のおじさんに「仕事はまだ決まらないのか」って聞かれるときくらいの重い感じが体の内で広がっていく。

 

知り合いに聞かれても知らない人に聞かれても嫌な「お仕事は?」だ。

 

あ、想像しただけで胃がきゅってなる。

ニートは精神力がないと務まらない。

 

耐えよう。

耐えた。

 

昨日考えたときは驚いていたというのもあるけど……起きていたって言ってもたったの数時間だったし。

やっぱり寝るまでは頭の隅っていうより意識のほとんどでこれは現実じゃないって考えていたんだろう。

 

「寝て起きたら元の体に戻っているかも」とか「そもそも全部がよくできた夢とか明晰夢」とかそういう風に……さながら映画を見ているときのような気持ちで思っていたんだろう。

 

現実感がなかったとも言える。

すぐに適応できる便利な精神構造はしてないもんな。

僕の心は限りなくめんどくさい自負がある。

 

こんな、あの有名な「変身」みたいな超常現象……いや、アレと比べると天国過ぎるけど……に遭遇したとは言っても、いくら急がないといけなかった理由がなかったとは言っても……ちょっと楽観的すぎたかもなぁ。

 

仕方ないんだけど、これはいわゆる正常性バイアスというもの?

自分だけは大丈夫、何とかなるって根拠もなしに無意識に思い込んじゃう、あれ。

 

まぁ、虫とかにならなかっただけマシか。

虫と幼女とじゃ周りの目も僕自身の気持ちも果てしなく変わるもんな。

物理的にも生物的にも存在的にも。

 

肉体、見た目も……おとといまでのどこにでもいそうな平均的な男からは考えられないほどに良いものになっているんだし。

 

僕自身は美醜にさほどこだわらないとは言っても悪いのと良いのと選べるなら。

 

そういうことだ。

……ちっこくて不便だけどな。

 

「はぁ……」

 

せめて幼くなっていただけならだいぶマシだったんだけどなぁ。

男で昔の僕の顔、つまりは父さんと母さんが程よくブレンドされた顔つきだったら弟とでも親戚とでも言い張ってもおかしくはない。

 

けど、今の僕は…………。

 

………………………………。

 

どーしたもんかなぁ本当に。

 

突然のピンチに襲われたときに冷静に対処できる人とパニックになる人と現実逃避する人って感じでいろんなタイプの人がいるとは知っていたけど、僕はどうやら冷静に現実逃避するタイプだったらしい。

 

「変身」とかいう差し迫った危機とかじゃないものだったけど、ともかくそういうのに遭遇して一晩寝てから改めて考えてみるとそうなんだと思う。

 

知らなかった。

知るわけないか。

 

まぁ命の危険とかもこの社会じゃめったにないし、強いて言えばあのときも……いや、それはどうでもいいか。

あれはもう相当前のことだし、こういった想定外なことってずっとなかったからすっかり忘れてた。

 

じゃあ、僕がこれから取るべき行動は……。

 

………………………………ん。

尿意。

 

そうか、確か女性は男よりもトイレが近いんだっけ?

ましてや子どもだし。

 

昨日はそれどころじゃなかったから気にしなかったけどそういえば昨日もそうだった気がするし。

……ついてないから、短いもんなぁ……。

 

昨日トイレで何度となく目にした、消失しちゃって目にできなくなったあそこを思い浮かべる。

つるつるのあそこを。

 

……嫌だけど、やらかさないうちに起きてさっさと済ませておくか。

 

違和感がないとはいってもまだ少ししか使っていやいやいやいや語弊と誤解がある。

まだ半日しか過ごしていない体だからどんな間違いが起きてしまうのか未知数だし。

 

すっきりしたら今日からはまじめに今後の対策を考えないとだなぁ……。

 

「はぁ…………」

 

凄く。

 

とても非常に、めんどくさい。

 

 

 

 

よし。

 

必要はなさそうだったけどいつもの調子で顔も洗ってご飯も食べて洗濯も軽い掃除もして、普段通りの朝が来た。

 

体の動きっぷりは激しかったけどやったことは変わらない。

習慣ってそういうもんだ。

 

さて、僕はこれからこの姿で動く必要があるみたいだ。

少なくとも、なったときと同じように突然に戻ったりするまでは。

 

変わった原因はまだって言うか分からないままかもしれないけど、まずは長期戦になるって想定で動いた方がいいだろうな。

 

今日明日あさってに戻れる保証もないし。

最悪を想定しておくに越したことはないもんな。

 

いつも通りに、ほっとひと息つくためのコーヒーを煎れる。

 

冷凍で常備してある豆をゴリゴリと引いて専用のヤカンでお湯を回しながら蒸しつつ煎れるやり方が好きだ。

 

……足元に引きずってきたイスがないとこれすらもできないけど。

軽くて倒れない踏み台に使えそうなもの家にないかな……?

 

別の体になったからちょっと不安だったけどいい匂いって感じるコーヒーの香りにほっこり。

 

……けど、意識だけがそのままで体だけが変わるっていう非現実的な現象の変身。

 

この元凶が魔法か超能力か……隠された何かが目覚めたとかそういうものかはわからないけど、仮にそういうものだった場合には僕にはどうしようもないし対策なんてできないから保留。

 

今できるのはあくまで僕が思いつける、現実的な受け身な行動しかない。

 

それに、映画やマンガとかの受け売りでこう考えてみるけど、もしそういうものだったとしたらそういうもの……ややこしいな。

 

うん、とりあえずで「魔法」でいいか……魔法に縁のある何かしらからアプローチとかがあると思う。

だって僕の身に起きているのは性別が変わるのと美形化……そして、若返り。

 

若返りだ、若返り。

それも十数年の。

 

もし他にも何か魔法の力的なものに目覚めているんだとしたら、なおさら放ってはおかれないだろう。

それがいいことか悪いことかは分からないけど、それは僕にはどうしようもないこと。

 

気にするだけムダなことだ。

 

ともかくそういうのが一般人のただの男に起きたんだ、きっと発見され次第に我先にと押し寄せてくるだろう。

昨日の夜はぐっすり眠れて本当に良かった次第。

 

ま、こういう特別な力って力を使ったときに感知されるって相場だし現実的に考えてみても実際にそうだろうから、僕が使えるようになるまでに多少時間がかかるかもしれない。

 

……けど、どちらにしても僕はそれまで待てばいい。

っていうよりは待つしかないからただこうして家の中で待っていればいい……って思う。

 

僕はただ適当に、いきなりびっくりさせられるのだけを我慢すれば良いんだ。

 

……………………………………………………。

 

……映画とかだとシリアスさを出すために連れて行かれてひどいめにあったりする可能性も充分にあるんだけど…………今考えてもしょうがないし怖いだけだし、なにより避けようがない。

 

なんかじくじくする。

あー、やだやだ。

嫌なことを思いついちゃった。

 

だから暴力描写のある小説とか映画は苦手なんだ。

そこだけカットしておいてほしいっていつも思う。

 

砂糖とミルクをいつもよりも少なめにして少し苦くしたコーヒーをすすりながらしばらく、ぼんやりとテレビを流し見る。

 

……テレビの向こうはいつも楽しそうでいいな。

もちろん僕には想像もできないような過酷な世界ではあるんだろうけど。

人気商売の弱肉強食とか僕からはいちばんに遠い世界だからな。

 

ちかちかとする光と音で、だんだんと落ちついてくる。

 

するとさっき考えていたことが映画や小説とかの空想上のもので、そんなものが一切ないっていう可能性のほうがずっと高いっていう……ある意味でもっと恐ろしい可能性にたどり着いてしまう。

 

――――――――――――――つまり。

こうなっているのはこの世界で僕、ひとり。

 

同じ目に遭っている人が誰ひとりとしていないんだから誰にも理解されないし、たとえ理解されたとしてもどうしようもないということ。

 

そうなると僕がこのまま一生戻れない。

そんな可能性もかなり大きい。

 

現実は小説より……って言うんだし。

 

こんなに幼くても、幼いからこそ逆に数年待てば成長して大人にはなれるだろう。

大人の女性っていうことにはなるけどこのまま小さいままってことは……さすがにないよな。

 

さすがに。

 

ないよね?

 

……………………………………………………。

 

……不老不死系統の話ってものすごく嫌な感じしか…………これ以上は止めておこう。

もっと現実的で、今考えておかないといけないことについて考えよう。

 

そう思っても僕の思考はすぐに映画とか漫画とかの展開の方向に引っ張られがちだった。

そう思わないと、そういうご都合がなんにもないっていう悲惨な未来しか浮かばなかったから。

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