詐欺という人の心理を突いた悪のソリューション。かつて詐欺師と呼ばれた者たちが集うひっそりとした新しいビジネス。
その名も・・・対人お悩み支援ビジネス。
結婚詐欺や恋愛など、人の心を専門にした事務所にアルバイトとして雇われた青年。
そんなある日持ち込まれた一つの相談。それは青年の同級生で・・・
常在戦場、達観系主人公が送る騙し騙されの問答無用のライアーゲーム開幕
-あなたのお悩み、解決します-
詐欺、それは人の心理を突いた悪のソリューション。
かつて詐欺師と呼ばれた者たちが集うひっそりと始めた新しいビジネス。
その名も・・・対人お悩み支援ビジネス
人の心は酷く不安定なモノである。どんな強靭な精神を持つものでも心の隙間は必ず存在する。どんなに高性能な機械にも想定外のエラーが起こるのだ。思考や感情という、目で見ることのできない不確定要素が大半を占める人間という存在はいやがおうにも心の弱さを自覚することになる。
しかし、それは決して悪いことではない。なぜなら、感情や思考は人間の弱みであり強みにもなりうるからだ。私たち人間は進化することができる。弱いからこそお互いを助け合うことができる。 そうして、今の世界はできた。人種、文化が違えど、根底は変わらない。だからこそ、私は言える。
心の弱さは人間であることの証であり、人間らしさである、と。
活気あふれる通りの横道に入り、しばらく裏路地を進むと、先ほどまでの賑やかしさが嘘のように静まりかえった区画に出る。道行く人はまばらで、日の光も多くは届かない。そんな場所に一つの店がある。その店は多少寂れていたが、本来ならばそこまで気に留めるものではなかった。しかし、周りの建物が綺麗なだけに余計に寂れた外観が際立っていた。
昼は喫茶店、夜はバーのようなものをやっているしい。その店にはいろいろな噂があり、曰く、犯罪者が経営している。曰く、とんでもなく美人な店員がいる。曰く、月に一度店が爆発する、などなかなか物騒なものばかりであった。ただ、一度訪れたものは皆口をそろえて言うことがある。
「あそこは悩みを解決してくれる」そう語る者たちの顔は笑顔であった。
そんなところがこれから僕が働くお店だ
この春、僕はこの町の高校に途中編入することになった。理由は、去年まで親の仕事で海外に行っていたから。しかし、それも今年中には終わり、日本に戻れるということで先に僕だけが先に帰されたのだ。仕送りはしてくれるそうであり、金銭面での心配はなし、学校生活についても無難にやっていける自信はある。ただ、一つ気がかりなのが日本に帰ってくる前に母に言われた一言。
友人に頼んでおいたからそこで働け、である。今のうちから社会経験をしておけというのだ。日本での生活の感覚を戻すという意味もあったらしいが。僕は、無難という言葉が好きである。可もなく不可もなく、という意味ではマイナスなイメージを持たれがちであるが、問題を起こさず、なおかつ出る杭を打たれない立ち位置であるため、人生を最も平穏に、平和に過ごすことができる。
どんなものでも行き過ぎたものは問題しか起こさない。故に、僕は過度な幸せも、過度な不幸も望まない。そんな僕の在り方は母のそれと遠くかけ離れている。なににおいても最上を目指そうとする上昇志向が非常に強いのだ。その在り方は破天荒であり、当然のように問題を起こす。さざ波一つない水面に跳んで入るようなものだ。そんな母の友人と言わしめるということは、少なからず面倒臭い人であることは想像できる。
父は常に僕に課題を課してきた。言葉にはしないが、態度や雰囲気で表すのだ。だから、学業は手を抜けないし、真面目に取り組んでます、という様子を形だけでも見せるためになににおいても優秀な成績を収めてきた。今回のことも、その友人に認められる必要がある。簡単な話、その人物に気に入られれば良いのだ。
このアルバイトも無難にこなそう。今までと同じように考えていた。しかし、それは間違いだった。未来の「木部奏多」はこれから起こる出来事をこう言うだろう
あそこでの経験は僕にとっての転換期であった。あそこで得たものはこれ以上にない経験であり、思い返すと、とても楽しかった。
けど・・・
あそこは魔境だった
(続きは)ないです