ガンダムSEED NEOラウの『兄弟』地球連合の変態仮面ネオ少佐は娘を愛でたい 作:トキノ アユム
それはそうと、いよいよ明日が新作Gジェネ発売日!
ステラを全力育成だぁ!!
「ステラ! 右腕強制パージ!!」
「!!」
咄嗟のネオの指示を、ステラは的確に実行した。
「動、けぇぇ!!」
そしてステラに指示を出すと同時にネオは、機体にあるスラスター全てを噴射し、回避行動を取っていた。
だがしかし、ビームはあまりに大きい。
完全に避ける事は叶わず、左腕を持っていかれる。
「ぐぅ!」
「ネオ!」
ビームにもぎ取られる右腕。直前に強制パージをした為、機体全体へのダメージの拡散は防いだが、バランスを大きく崩してしまった。
「姿勢制御と回避は俺がやる! ステラは『準備』を!」
「分かった!」
何に対してとは言わなかったが、幾つもの死線を共にくぐり抜けてきた二人にはそれだけで十分であった。
崩れた機体のバランスをネオは細かいマニュアル操作で修正していく。
だが――
『終わりだネオ!』
その隙を見逃すラウではない。
彼は反転し、ストライクへの進路を変え、ネオ達の漆黒のジンへと向かう。
「しつこい!」
当然それを読んでいたネオは、機関銃を構え、接近してくるラウのシグーの射線を読み切り、回避行動をとる。
「ぐ、が!!」
「ん!!」
進行方向を無理矢理曲げるような軌道に、コクピット内のネオ達の身体を凄まじいGが襲う。
だが二人の動きにまったく衰えはない。
ネオは正確無比なラウの射撃を、落下しながら躱し、ステラはネオの指示を実行する。
「着地するぞステラ!」
「うん。こっちも準備いいよ!」
よし! とネオは覚悟を決める。
(先読みしろ。次の奴の一手を! 仕掛けてくるであろう攻撃を!!)
経験と直感による先読み。
それがネオを『ファントム』たらしめている武器の一つ。
そしてその武器は的確に次の敵の動きを予測する。
「来いラウ!!」
「行くぞネオ!!」
そしてラウ・ル・クルーゼもまた勝負に出た。
モビルスーツは言うまでもなく巨大だ。それほどの重量があるものの着地とはそれだけで危険が伴う。
着地しただけで脚部が破損し、行動不能になるなどよくある話だ。
だが相手が相手だ。そんなミスをするとはラウは欠片も思っていなかった。
しかしそれでもラウは着地する瞬間を狙い、行動に出た。
ミスを期待してではない。彼が狙うのは着地する瞬間に出来るであろう『隙』であった。
着地の瞬間に、故障はなくても、その動きはワンモーションの遅れが生じる。
ラウが狙うのはそこであった。
『ムウ!!』
通信に向かってネオが叫ぶ。
あの男に自分は止められない。
奴の射撃なら目をつぶっていても躱す自信がある。
ラウは勝利を確信し、シグーをネオの機体が着地するであろう場所に向かわせた。
(やはり最期はこの手で引導を渡してやる)
ラウが選択したのは近接武装による強襲。
それは決して感傷から選んだものではない。
確かに射撃武器による攻撃が最もリスクがないが、それでは確実にネオの機体の装甲を貫き、奴を葬れるとは限らない。
だが近接攻撃であれば、敵がどんなアクションをとっても臨機応変に対応が出来る。
『チェックメイトだネオ!!』
着地した漆黒のジンに装備はない。重剣による近接攻撃なら、どう転んでも対処できる。
(勝った!)
距離を詰め、確実に始末できる間合いに達した時、ラウはそう確信した。
『私の勝ちだ!!』
ラウはネオの選択を目に焼き付けようと、その目をこれ以上ない程に見開く。
完全な詰み。少なくともラウはそう確信した。
だが――
『なら、盤上ごとひっくり返すまでだ』
「!?」
次の瞬間、ネオはまったくの予想外な行動に出た。
回避でも防御でもない。
漆黒のジンのアーマーが強制パージするという奇想天外な行動を。
「ネオ!?」
予期しなかったネオのアクションに流石のラウも一瞬反応が遅れる。
そしてそれが運命の分かれ道であった。
弾け飛ぶパーツ達に、レールガンが直撃する。
(! ムウか!)
相手にならない些事と判断し放置していたムウのメビウスゼロによる射撃。
自分に対しての攻撃であればどうとでも出来るが、ムウが狙ったのは自分ではない。
レールガンが狙ったのは、弾け飛んだアーマーパーツであった。
「まさか――!!」
その行動の意図を理解した時にはもう遅く……
撃ち抜かれたアーマパーツは引火し、爆発を引き起こした。
「ぐおおおおおお!!!」
突っ込む形であったラウはその爆発をモロに受け、機体のバランスを大きく崩す。
(やってくれたなネオ!!)
地上に激突しようとする機体を、何とか急上昇させながら、ラウは自らがネオの策に嵌められた事を悟る。
最初から奴はこの状況を予測していたのだ。
おそらくお互いが様子見をしている時に、ムウに通信し指示を出したのだ。
自分が隙を作り、奴の近接攻撃誘う。お前はその時、俺達の間にレールガンを一発撃ってくれ……と。
(そしてレールガンが来るタイミングを計算し、アーマーを強制パージさせた!)
そこに来るであろうレールガンの弾丸に、アーマーのパーツを置くために!!
やられた……心の底からラウはそう思った。
事実、ラウは一手を誤ったのだ。
チェックメイト寸前で、盤上をひっくり返したネオの奇策によって。
(となれば……まずい!! 奴は盤上をひっくり返した程度で満足などしない!!)
ひっくり返した盤で敵を撲殺してくるのがネオ・ロアノークという男なのだ。
「!」
ラウは咄嗟に機体を振り向かせる。
案の状、スラスターを狙ったネオの攻撃が来ていた。
ナイフの形状をした武器を、シグーの盾で防ぐ。
おそらくこちらが爆発を受けた直後に、こちらの乱れた軌道を読み、投擲したのであろう。
後少し反応が遅れてれば背部のスラスターに直撃し、機体は撃墜させられていた。
「……流石だ。それでこそ私の――!」
言葉は最後まで続かなかった。
何故なら突如としてシグーの盾が爆発したからだ。
「ぬおおおお!!」
投げられたナイフに爆薬が仕込まれていたのであろう。接触後に時間差で爆発されるように設定されていたのか、盾ごと左腕を持って行った。
『終わりだラウ』
「!!」
気配はすぐ近くにあった。
見ると、こちらを狙う漆黒のジンの姿が迫ってきていた。
その左手には特殊な形状をした重剣が握られており、躊躇いなくこちらのコクピットを――
貫くかに思えた瞬間、漆黒のジンのモノアイが光を失った。
『!?』
「!?」
必殺のタイミング。それを自ら捨てた漆黒のジンは、地へと堕ちていく。
(マシントラブルか?)
明らかな異常事態にラウはこちらも攻勢に転じようとし――
「ちぃ! こちらもか!」
自らの機体もまた限界である事を悟った。
正面から受けた爆発と、左腕の損傷で機体のパフォーマンスは最悪に近い。
正直、何時止まってもおかしくない状態だ。
『クルーゼ!』
「!」
ムウのメビウスゼロが墜落するネオを援護するように、レールガンを撃ってくる。
「うるさいハエが!!」
回避行動を何とかとるが、その反応はやはり鈍い。
「……潮時か」
ラウの決断は早かった。ネオとの決着は彼にとって何よりも優先すべき事ではあるが、この状況では満足な結果を得る事は叶わないだろう。
ならばここにいる理由はないと、ラウは機体を反転させ撤退行動に入る。
『また会おうネオ』
通信機械がいかれているのか、返事はない。
だがラウは確信していた。ネオもまた自分と同じであることを。
彼もまた自らの半身との闘争を望んでいる事を。
「……なにがまた会おうだ」
コクピット内で落下運動に身を任せながら、ネオは溜息を吐いた。
「どう答えてもお前は無理やり会いに来るだろうが……変態仮面が」
「……ネオ?」
毒づくネオに、ステラは不思議そうな声を出した。
「ん、どうしたステラ?」
「楽しそうな声、してる」
「……」
肯定はなかった。だが否定もせずにネオは苦笑すると、
「変態仮面なのはお互い様か」
生きているカメラでコロニーの空をネオは見る。
もう離れて言っているラウのシグー。ムウとアークエンジェルが攻撃を加えているが、あの変態仮面の事だ。絶対に逃げ切るだろう。
(本当の勝負はここから……か)
地上にいるであろうストライクを撃破する為に、奴はこちらを執拗に追撃してくるだろう。
奴の事だ。その際に奪ったGも全機投入してくるはずだ。
それをこちらは限られた戦力で対処していなければならない。
「頭が痛くなるな」
やることは山積みだ。
思わず愚痴を漏らしたネオに、
「大丈夫」
「ステラ?」
彼の娘であり、パートナーでもあるステラは答えた。
「ステラをネオが守って、ネオはステラが守る」
それはきっと何の根拠もなく、これから起こる事を露ほども分かっていない発言だ。
だがしかしそんな何の意味もない少女の言葉が――
「だから何が起こっても絶対大丈夫」
「……ああ」
この世のどんな言葉よりも、ネオの心を安心させた。
「やっぱり俺の娘は最高に可愛いな」
そう呟いたネオに迷いはもうなかった。
「……ああ」
撤退をしながら、ラウはふと思い出した。
そう言えば自分は地球軍の新型のモビルスーツの破壊に来ていたのだと。
途中で戦闘意思を失っていたから、放置していたがアレの破壊が表向きの自分の最優先事項であったと。
「アデスは渋い顔をするだろうが……まあいいさ」
元よりラウにとって残った地球軍のモビルスーツの存在にそこまで執着はなかった。
ネオの側に残す駒としての価値がなければ破壊する気ではあったがミゲルの撃墜と、こちらを狙ってきたあの射撃を見て、とりあえずは及第点を与える価値はあると判断した。
「……次こそは決着をつけたいものだなネオ」
こちらの駒は強力だ。4機の新型もデータの吸出しさえ終われば、戦力になる。
対するネオの駒はたった1機の新型と、ムウ・ラ・フラガ。
圧倒的な戦力差であるのは誰の目から見ても明らか。
「くくく……」
だがラウは期待に心を震わせていた。
その戦力差さえもあの男なら覆してしまう……そんな確信がラウにはあった。
故に――
「修理のついでにアレの準備を急がせなくてはな」
一人呟くラウの声はどこまでも楽しそうで――
「奴がドレスを新調したのであれば、私もそれに倣わなければな」
そして何処までも純粋であった。
キリがいいので、原作とは違いますが、ここで第一話が終わった感じですかね。
技の変態仮面ネオさんと、力の変態仮面ラウさんの勝負はこれからだ!