ガンダムSEED NEOラウの『兄弟』地球連合の変態仮面ネオ少佐は娘を愛でたい   作:トキノ アユム

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ザフトの変態仮面サイドです。
胃「(ストレスで)お前を殺す」
アデス艦長「!?」

デデン!!


ミゲル出撃

 隊長機の損傷。それはヴェサリウスのクルー達に衝撃を与えた。

 あのクルーゼ隊長がよりにもよって、ナチュラルに不覚を取る等とは……

 だがしかし……

(やはりこうなったか)

 ヴェサリウス艦長であるアデスは口には出さないが、驚く所かむしろ納得していた。

「ミゲルがこれを持って帰ってくれて助かったよ」

 帰還したラウは一息つくことすらせず、その足でヴェサリウスのブリッジに上がると、パイロット達を収集し、新たな作戦開始前ブリーフィングを行っていた。

「でなければいくら『ファントム』が相手だったとはいえ、機体を損ねた私は大笑いされていたかもしれん」

 誰もが真剣な顔で、ミゲルが持ち帰った記録映像と、ラウが持ち帰った記録映像を見る。

 映像に映るのは、奪取し損ねた地球軍の新型モビルスーツと漆黒のジンだ。

 その動きがどちらも搭乗しているのがナチュラルとは思えない程の動きを見せている。

「オリジナルのOSについては君らも既に知っての通りだ」

 皆が一様に頷く。

 捕獲したモビルスーツのOSは粗末の一言に尽きる代物であった。

 それでは何とか動ける程度のレベルでしかモビルスーツを動かせない。

 ……そのはずだった。

「なのに、何故この機体だけがこんなに動けるかは分からん」

 映像が新型のモビルスーツの切り替わる。

「『ファントム』のように操縦の殆どをマニュアルでやるなどという馬鹿げた離れ業をやってのけれるとは思えんしな」

「……」

 力強い頷きを見せたのは、ミゲル・アイマンだ。

 その目は闘志に満ち溢れており、自分に不覚を取らせた新型モビルスーツと『ファントム』への再戦に燃えていた。

「だが我々がこんな物を残し、放っておくわけにはいかんという事は、はっきりしている──捕獲できぬとなれば今ここで破壊する。戦艦もな」

「ただし」とラウはそこで言葉を区切ると笑みを浮かべた。

「『ファントム』と1対1でやり合おうとは考えるな。君達では奴には勝てん」

「クルーゼ隊長!?」

 オロールが抗議の声を上げる。口にはしないが、その場にいる他の者も同じ意見であった。

「何故ですか? 訳を教えて下さい! いくら地球軍のエースとはいえ、しょせんはナチュラル──我々の敵では……」

「よせオロール」

「ミゲル……」

 身を乗り出しなおも追及しようとしたオロールをミゲルは手で制した。

「その様子なら君は理解しているようだな。ミゲル」

「勿論です」

 ラウの視線を真っ向から受け止めると、ミゲルは力強く頷いた。

「奴の強さと恐ろしさは、隊長を除けば、この場で誰よりもよく理解しています」

 固く拳を握りしめながら、ミゲルは不敵に笑う。

「俺はこの時をずっと待っていたんです。奴に有効な戦術も戦略も全て考えています。間違っても1対1などという奴の独壇場となる舞台では戦いません」

「では最早私から言う事は何もないな。君に託すとしようミゲル……侮らずにかかれよ」

「は!」

「ミゲル、オロールは出撃準備! D装備の許可が出ている! 今度こそ完全意に息の根を止めてやれ!!」

「「はい!」」 

 アデスの指示を受けると、ミゲルとオロールはブリッジを後にした。

「アデス艦長! 私も出撃させて下さい!」

「ん?」

 ブリーフィングに同席していたアスラン・ザラからの思わぬ申請に、アデスは怪訝な顔をする。

「機体がないだろう。それに君はあの機体の奪取という重要任務を既に果たした」

「ですが!」

 尚も食い下がろうとするアスラン。

 だが到底許可など出来るはずもなく──―

 

 

「いいだろう。君がそこまで言うのならば許可しよう」

 

 

「今回は譲れアスラン! ミゲル達の悔しさも君にひけはとら──へ?」

 横からの思いも寄らぬ了承に、素っ頓狂な声を上げ、アデスはラウを見た。

「た、隊長今なんと?」

「行かせてやれアデス」

「!?」

「ありがとうございますクルーゼ隊長!」

 聞き間違いでもなんでもなく、はっきりとラウは出撃の許可を出した。

「いやしかし、隊長も言ったではないですか! 機体がな──」

「あるじゃないか。他でもないアスランが奪取してきた機体が」

「隊長!?」

 一体何を言い出すのだと、アデスは自らの耳を疑った。

 折角捕獲した貴重な機体をもう実戦に投入すると言うのかと。

「データの吸出しは終わっている。なら行かせても問題あるまい?」

「し、しかし!」

「本当なら私が出たい所だが、奪取した新型の解析を優先するため、『アサルト』の準備はまだ出来ないと整備班の者達に釘を刺されてしまったからな……」

「……まだ『ファントム』とやり合う気だったのですか?」

「当然だろう? 決着がつくまで私は奴を追い続ける」

「……っ!」

 その一言が決定的だった。

 治まっていた腹痛が再発し、アデスは無意識の内に腹部を手で押さえた。

「そう難しい顔をするなアデス」

「……」

 したくてしているわけではない。

「それにかえって面白いではないか」

「な、なにが……ですか?」

 何とか声を絞り出したアデスに対し、ラウは上機嫌に言う。

 

 

「地球軍のモビルスーツ同士の戦い……そしてそれを前に『ファントム』がどう動くのか」

 

 

 絶対前が建前で後ろが本命だろう。

「出撃準備をしろアスラン! 隊長の厚意を無駄にするなよ!」

「はい!!」

 そう思いながらも、ラウの意向に従い、アデスもまた出撃許可を下すのであった。

 これが終ったら、絶対に医務室に行こうと固く心に誓いながら……

 




アデス艦長の胃に敬礼
(^-^ゞ

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