ガンダムSEED NEOラウの『兄弟』地球連合の変態仮面ネオ少佐は娘を愛でたい   作:トキノ アユム

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ついにモビルスーツ戦!
視点はみんな大好き黄昏の魔弾さんです!(原作2話で退場の人)


ミゲル・アイマンの死闘

「アスラン!」

 起動した二機のモビルスーツ。今回の任務の奪取対象が動き出した事を作戦の成功と捉えたミゲルは、歓喜と共に戦友の名を呼んだ。

『ラスティは失敗だ』

 だが通信から聞こえたアスランからの報告は思いも寄らないものであった。

「なんだと? なら──」

 今起動しているモビルスーツには──

『あれには地球軍の士官が乗っている』

「ちぃ!」

 ミゲルはジンの重突撃銃の弾丸を牽制の目的で、敵の新型モビルスーツの足元を狙い、撃った。

「ならあの機体は俺が捕獲する。お前はそいつを持って先に離脱しろ」

 そう言うと、ミゲルは自らのジンを走らせ、敵の新型に突っ込ませた。

 様子見目的のジンの重剣の一撃はスラスターを吹かせた敵機が後ろに下がった事により、回避された。

(赤ん坊みたいな動きと、鈍すぎる反応速度。乗っている奴は大した腕ではないか)

 だがミゲルはそれだけでおおよその相手パイロットの力量を把握した。

 ならばもう警戒は不要だと、ミゲルは再びジンを敵機に接近させる。

(こいつならどうだ新型!)

 そして攻撃の瞬間にジンのスラスターを吹かせ、上空から機体の重量を乗せた重剣の一撃を叩き込んでやる。

 

 

 だがその瞬間敵の新型に()()は起こった。

 

 

(機体の色が、変わる!?)

 メタリックグレイから胸部が青、腹部が赤、そして四肢が白へと変化する。

 だが変化はそれだげではなかった。

「なにぃぃ!?」

 ジンのサーベルの直撃。

 火花を散らしながらも、ストライクには傷一つすらつかない。

「こいつ!? どうなってる! こいつの装甲は!?」

 通常ではありえない現象に、ミゲルは敵の新型から距離を取りながら、コクピット内で叫ぶ。

『そいつらはフェイズシフトの装甲を持つんだ。展開されたらジンのサーベルなど通用しない』

 アスランからの通信に、ミゲルは舌打ちをする。

 見れば、アスランが強奪したモビルスーツもメタルグレイから鮮やかな赤へとその色を変化させている。

(化け物じみた性能だなおい! しかし……)

 あのモビルスーツが厄介な代物なのは間違いない。だか乗っているのはただの平凡なナチュラル。捕獲するのは不可能ではないはずだ。

「お前は早く帰投しろ。いつまでもうろちょろするな」

 アスランにそう告げると、ミゲルは再び機体を駆り、敵の新型に白兵戦を仕掛けるのであった。

 

 

「こっちだミリィ!」

 その時、戦闘を繰り広げる地球連合軍新型モビルスーツ──ストライクに偶然乗り合わせた民間人のキラ・ヤマトの友人達もまたそのすぐ近くにいた。

「はやく逃げないとここはやばい!」

 状況は悪くなる一方だ。

 避難はしていたが、逃げ遅れてしまっただけでも最悪なのに、たった今近くでモビルスーツ達の戦闘が始まってしまった。

「!!」

 近くの建物にジンとは違う人型のモビルスーツが倒れる。

 倒壊する建物と瓦礫の中少年たちは必死に走る。

「……え!?」

 その時、その中の一人である少女──ミリアリア・ハウがある事に気が付いた。

 少し離れた場所に自分達と同じ逃げ遅れた民間人がいる事を。

 可愛い少女だ。パーティーに参加するような綺麗なドレスを着た金髪の女の子。

「……?」

 こちらの視線に気が付いたのか、少女は自分達を見て首を傾げた。

「あなたも逃げ遅れたの!? はやくこっちに!」

 近くで戦闘が起きているためか、ほとんど叫びに近い大声を出しながら、ミリアリアが手を伸ばす。

「なにやってんだよミリィ!」

 ボーイフレンドであるトールの声に、一瞬彼の方を見るが。

「待って! あそこに女の子が……」

 だが、戻すとそこに少女の姿はなかった。

「え……」

 困惑するミリアリアであったが、足を止める訳にも行かずに、トール達の後を追った。

 

 

「こいつ!」

 攻撃を加えながら、ミゲルの苛立ちは募っていく。

 突破できない装甲というのもそうだが、それ以上に拙すぎる相手の動きがミゲルを苛立たせるのだ。

 ナチュラルのパイロット。それはコーディネーターのパイロットからすれば一笑にふす存在だ。

 奴等はコーディネーターの自分達から見ればあらゆる面で劣る。

 だがミゲルは知っていた。

 そんなナチュラルにもたった一人だけ例外が存在することを。

『ファントム』

 隊長と同じで仮面を着用しているという連合唯一のモビルスーツのエースパイロット。

 ミゲルは以前戦場でその男と遭遇し、敗北の苦汁を味会わされた。

 以降、『黄昏の魔弾』の異名を持ちながらミゲルは一部の仲間からナチュラルのパイロットに敗れたパイロットと後ろ指をさされてきた。

 それはまだいい。屈辱なのは確かだが、それ以上に得難い経験と越えるべき壁を得たことで、自分はかつての自分よりもあらゆる面で成長する事が出来たからだ。

 そういった点では、『ファントム』に感謝すらしている。

 だが、だからこそミゲルは許せなかった。

 あの『ファントム』よりも性能のいい機体に搭乗していながら、満足に動かすことのできない目の前のモビルスーツを操縦するナチュラルの士官が。

「生意気なんだよ! 『ファントム』以外のナチュラルがモビルスーツなど!!」

 叫び、剣の斬撃をお見舞いしようたした瞬間であった。

 不意に目の前のモビルスーツの動きが変わったのは。

 こちらのジンのサーベルをかいくぐったかと思うと、体当たりをかましてきたのだ。

「なにぃ!?」

 思いも寄らない反撃に驚愕しながらも、ミゲルは崩れた機体の体勢を直ぐ様立て直す。

「このぉ!!」

 ジンのスラスターを吹かせ、相手の距離を縮めようとするミゲルであったが──

「なに!?」

 敵の新型の頭部のバルカンで牽制され、ジンの加速は中断された。

 いや、問題なのはそうではない。

 相手の頭部のバルカンはこの前にも発射されたから把握していた。

 問題なのはそのバルカンの弾丸を全弾こちらに当ててきたという事だ。

(まさかこいつ!)

 満足な加速が得られず、バランスを崩した斬撃。

 それを新型は避けるまでもないと言わんばかりに、ジンの顔面に拳を叩き込み、迎撃する。

「ぬおぉ!!」

 とてつもない衝撃と共に、壊れかけた建物にジンが吹き飛ばされる。

「なんだあいつ! 急に動きが!!」

 ジンを建物の瓦礫から立ち上がらせながら、ミゲルは自分の感じていた事が正しかった事を理解する。

 信じられない事だが目の前のモビルスーツの動きは時間が経つことに、成長していっている。

 しかもただの成長ではない。

 蛹から蝶が出てくるような劇的なものである。

「こいつ! まさか『ファントム』なのか!?」

 ナチュラルとは思えない動きに、思わず呟いたミゲルではあったが、「いや」と直ぐ様自らの言葉を否定する。

 奴がパイロットだとしたなら、最初の動きは絶対にあり得ない。

 何百回と奴の戦闘データを元にしたシミュレーションを行ってきたミゲルは自分の直感に確信を持っている。

 こいつはファントムとは別の出来る奴だと。

 ストライクが動く。

 スラスターを吹かせ、上空へと。

(逃げる!? いや……)

 ミゲルはその瞬間に気が付いた。

 サブカメラを映すモニターの端に、何人かの人間の姿がある事を。

「民間人!?」

 服装と挙動から見るに逃げ遅れた所をここに来たと言った所か。

 ストライクがこちらが動くのを誘っているのは明白。

 それに乗るのは愚の骨頂だが……

「ちぃ!!」

 ナチュラルと言えども民間人。

 それが近くにいると分かっていながら巻き込むのは、許される事ではない。

(……今更だけどな)

 中立のコロニーを襲撃した時点で、自分達は既に多数の民間人を巻き込んでいる。

 だがそれでもと。偽善と分かっていながらも、ミゲルは軍人としての矜持を選んだ。

 スラスターを吹かせ、ストライクを追いかける。

 だがその速度ははっきりと分かる程に遅い。

「やはりこいつでは駄目か!」

 ここに来て今搭乗している機体が自分専用のカスタムジンでない事が悔やまれる。

 機動性も、反応速度も全てが遅い。

 だが──

「舐めるなぁ!!」

 記憶にあるファントムの存在がミゲルの闘志を燃え上がらせる。

 奴と戦った時、相手の機体は自分の機体よりも低い性能であった。

 だが奴は勝った。

 格の差を見せつけるように、鮮やかに圧倒的に自分に勝って見せたのだ。

「モビルスーツの性能の差は戦力の決定的差じゃねえ!!」

 先程とは離れた位置に着地した新型を確認したミゲルはメインとサブモニターで周辺を一瞬だけ確認する。

 民間人は──いない。

 やはりあの新型は誰もいない場所に自分を誘導したのだ。

 戦場でそういう行動を迷わず取れるというのは同じ軍人として尊敬するが──

「舐めやがって!!」

 それとは別にそう言った事に気がはらえる程の余裕が相手にはあるという事実に、ミゲルは苛立ちを覚える。

「っ! 来るか!」

 ジンが着地したと同時に、敵の新型はついに攻勢に転じてきた。

 機体の両腰から射出されたナイフを両手に持つと、ジンとは比べ物にならないスピードと運動性を持って接近してくる。

「速い! だが──」

 迫ってくるストライクの動きをミゲルの目は完全に捉えている。

 既にミゲルは敵の新型を重機関銃で迎撃するという選択肢は捨てている。

 あの速度で動いている機体に当てるのは至難の業であるし、仮に運よく直撃させられたとしても、フェイズシフト装甲とやらに阻まれ、大したダメージにはならないだろう。

 常に冷静さを失わず、自分が選べる最善手を数ある選択肢の中から的確に選び取る。

『ファントム』の敗北からミゲルが会得した技術の一つ。

 撃破は不可能でも、突撃する敵の新型の完璧な対処方法を頭の中で組み上げたその時であった。

 

 

 突如として飛来したモビルスーツ用のナイフに、頭部を貫かれたのは。

 

 

「なにぃいいい!!??」

 敵の新型からの攻撃ではない。連合の白いモビルスーツの両手には変わらずに二本のナイフが握られている。

(後方だと!? 馬鹿な! レーダーには何も反応がなかったぞ!?)

 生き残ったサブカメラで飛んできた方向を確認し、ミゲルは目を見開いた。

 そこには一機のジンがいた。

 只のジンではない。追加装甲が施されているのか、通常のジンよりも大きな胴体とそれと対照的なほっそりとした四肢。

 だがそれはいい。問題なのはそれが漆黒の機体色をしていたという事だ。

 黒……それは忘れもしない()の色。

 地球連合軍唯一のモビルスーツのエースパイロットにして、亡霊の異名を持つ化け物。

 その名は──

 

 

「ファントム!!!!」

 

 

 漆黒の亡霊の名を叫ぶのと、正面から接近していたストライクのアーマーシュナイダーがミゲルのジンの首のジョイント部分に突き刺さるのは同時であった。 




この作品のミゲル君はネオさんにぼこぼこにされた経験を糧に特訓して強くなったスーパーミゲル君なので、原作よりも強いです。
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