幻想郷でパン屋、始めました。   作:命麗 命

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どうもお久しぶりです。
長らく投稿を怠っていましたが、少々私生活に余裕が出来てきた、と言う事で再開したいと思います。

それと、今回はあのきんかわが登場です。



白黒シーフが通りますよっと。

朝焼けの中、村の中心地にとある店がある。

その店は、皆さん良くご存知の「ぱんやさん」であるのだが、今日は少しいつもと雰囲気が違う。

その相違点とは、客が全く居ない、という物であった。

 

何時ものぱんやさん、というか通常の店の場合、客が来ない事はかなりの死活問題という事は子供でも分かるのだが、今日は別に客が来なくても十分なのだ。寧ろ客が来たら困る。

 

何故かと言うと、まあ単純に休暇を取っているだけだ。

どうして休暇を取ったというと、これまた特に理由も無く、今日は一人でゆっくりと過ごそうと思い立っただけ。

外の世界ではブーイングの嵐だろうが、此処は幻想郷。

非常識が集まり、それが常識となる場所。

気分で休みを設けても、誰も文句は言わないし、それが普通。

 

因みに、ステラは今出かけている。

以前からそうなのだが、ステラは寺子屋に通っている。

族長の娘であるのも含めてか、知能面、知識面では寺子屋などと言う物には通わなくても良いほど博識であるが、ステラがそこへ通っている理由は他にある。

何を隠そう、ステラには同年代の知人が居ない。

知人はたくさんいる。

文や霊夢、パチェにレミィ、おばさんに店の常連さん。

決して多くは無いものの、皆快い人ばかりで、ステラの精神面の回復には大いに役立たせて貰っている。

しかし、ステラはまだ子供。

今挙げた人と気兼ねなく話せるほど神経が図太い訳ではないし、それに加え、たとえイメージは違っていても、大の大人に口には出せないような事を星の数ほどされて来たのだ。

どんなに薄れていようとも若干の恐怖心はある筈だ。

そこで、ほぼ同年代の子達が集まる寺子屋に通わせ、気兼ねなく話せる友達を作り、少しでも気を楽にしようと思ったのだ。

勿論、虐めが起きたような形跡があるとすれば、即刻止めさせる。

 

が、村の守護者が勤める寺子屋の治安は伊達じゃなく、虐めが起きたという話は全く聞かない。

それどころか、子供たちが率先して村の平和を守っていたりするそうだ。

まあ、子供がやるような事だから知れてはいるが、その心がけが何よりなのだ。

ステラも、その取り組みに参加しているらしく、寺子屋内では中々の有名人のようだ。

保護者としては願ったり叶ったりである。

 

さて、誰にしているか分からない近辺報告も終わった事だし、何をしようか。

この前貸本屋で借りた面白そうな魔道書を写本するのも良いし、庭の畑を拡大しても良い。

そういえば、レミィが博麗神社に遊びに行くと言っていたな、少々移動が面倒だが、其処で駄弁り合うのも風情があって大変宜しい。

 

そんな、平和で平穏な事を考えていると、突如店の扉が吹っ飛ぶ。

どうも何者かが突っ込んで来たらしい。

確認する前に首元に爪を当てておく。

勿論、殺すつもりはないが、暴れると厄介なので抑制力としての物だ。

 

「貴様何者だ、事によってはこの首を掻っ切るぞ」

 

「......ヒュウ、なんだよ霊夢、レミリア、話と全然違うじゃないか」

 

当事者が口を開く。

命が危ういにも関わらず軽い口調で、おどけた様な雰囲気を覚える。

服装は、白と黒の割烹着とローブを合わせたような格好で、頭上に大きな帽子を深々と

被っている、恐らく突っ込んでくる時に風で吹き飛ばされないようにしていたのだろう。

そのせいで顔は良く見えないが、肌の肌理細やかさと髪の長さから、女性、しかもかなり若いと見える。

手は見事なまでに降伏の意を表しており、争う意思はみられないので、私は手を下ろす。

すると、彼女は小声で「サンキュ」と言い、足元に落ちていた箒を拾う。

あの辺りに箒は置いていなかったから、彼女の物なのだろう。

というか形状的に家の物じゃない。

 

と、この惨事を呆れた様に見つめながら、扉の無い入り口から良く見知った顔達が見えて来る。

霊夢とレミィだ。

 

「いきなり突っ込めばそうなるわよ」

 

「お前はあれか?天性の馬鹿なのか?白黒」

 

「白黒いうな、魔理沙だって何度言えば分かるんだぜ」

 

「......レミィ、霊夢、彼女は?」

 

先程、恐らく彼女の名前であろう「マリサ」という単語が出てきたが、それが確実に彼女の物であるとは限らないし、そもそも私は人の名前をフルネームで覚えないと気になってしまう性格であるから、聞いておかないと気が済まない。

 

「私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ。気軽に魔理沙って呼んでくれ」

 

彼女、魔理沙は深く被った帽子の前鍔を少し上げ、ニカッと太陽の様な笑顔をして、明るい声をだした。

 

「ふむ、この二人と一緒という事は知ってると思うが、私はイント・レヴァイナット。この店の店主をしている、吸血鬼だ。イントと呼んでくれ」

 

「レヴァ、ごめんね。この馬鹿が後先考えずに突っ走るから...」

 

「ホントよね、魔理沙、もうちょっと被害を減らすようにしなさいよ」

 

「さっきからボロクソ言われてるな......酷いぜ」

 

「まあ、どうしてこうなったかは後で聞こう。取り合えず其処の椅子に座っててくれ、何か簡単な物を用意する」

 

そういって私は厨房の方へ足を運ぶ。

因みに、「ぱんやさん」の店内にはその場で食事を取る事の出来る場所が二つある。

一つは店の入り口から見て左下にある休憩所。

そもそも建築的にはリラックスできて尚且つ厨房が見えて子供は飽きずに待てる、という若干外界的な考えで作られたので、そういう面はしっかりと構築してある。

二つ目はテラス。

畑に隣接する位置に作られており、裏の川のせせらぎと鳥の囀り、畑の豊かな花々の香りに包まれ、その場所で美味しいパンとブレンドコーヒーを楽しむ......

そんな雰囲気を作っている、人気の場所だ。

あと、良くステラが日向ぼっこをしているので、特に男性陣はそれを見て和んでいる。

何故だかここの客は温厚な人が非常に多く、その男性陣たちは特に異質な目で見ることも無く、ただ癒されて帰って行かれる。

 

さて、簡単な物といったが、何がいいだろうか?

今日は休みだし、作りたてのパンは無いし、有ったとしても時間の経ったフランスパン位しか......!

そうだ、アレを作ろう。アレなら固いフランスパンでも、寧ろ固い方が美味しく作れる。

さて、腕によりを掛けて作ろうか。

あ、卵が無い。

仕方ない、裏の鶏小屋から取ってくるか。

 

 

 

 




ぱんやさんの裏には鶏小屋があります。
畑でとれる雑草や、余った野菜などを適当にあげているにも拘らず、何故か卵が美味しい。
カウンターに時々売り物として出す事もあるのですが、パン屋なので殆ど余る事がなく、客内では「レア物」として扱われています。
一個二十五円。
五個入りパック二百円。
安い!!(?)

ちなみに今回、話の構成的には前編です。
次回が後編になりますが、少々導入が変わってくるだけで、話としてはバラバラです。
ぶっちゃけると、次回この面子で寺子屋に授業参観に行きます。


カオスだな、うん。
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