https://syosetu.org/novel/190378/
前回、謎の巨大ロボの襲撃で行動不能になったアラマキ爺さんが意識を取り戻す所から始まります
アラマキが意識を取り戻すと彼の目に映ったのは白い布と鉄骨が組み合わさったテントの天井と涙を浮かべる漢陽の顔だった
そして、周囲から負傷者のうめき声と医者などの医療関係スタッフが右から左へと怒声と共に走り回っていたのが彼の耳に入った
「ご主人様、目を覚ましたのですね!!」
「漢陽……グゥ!?」
アラマキは起き上がろうとするも体に激痛が走り、顔を歪めるのをみた漢陽はとっさにアラマキの身体を支える。アラマキが視線を下にずらすと大破した強化スーツを脱がされた代わりに自身のしわだらけの身体の各所に白い包帯が巻かれていた
漢陽自身も彼女の愛用のメイド服をボロボロであり、いたるところに包帯が巻かれている
「ご主人様、骨が折れていないとはいえ、全身を強打している上に半日近く意識を失っていたのです。今は安静にしてください」
「……ここはどこだ? グリフィンの救援隊が到達したのか?」
「いえ、BLACKWATCHの救助隊が作った仮設拠点の医療用テントの一つです。過激派の司令部近くで気絶していたご主人様をAODの皆さんがここに連れてきたのです」
「そうか……ワシがここに搬送されるまでに漢陽の周囲で何があったのかをすべて話せ」
アラマキが真剣な目で漢陽に向かって言うと彼女はアラマキが搬送される前に彼女自身の周囲で起きた事を語り始め、アラマキは無言で聞いていた
「以上がご主人様が搬送されるまでに起きた事です」
「ふむ……巨大機械兵の奇襲は知っていたが……規模も対象も無差別に空間ごと削りとれたように消失する異常現象か」
「ご主人様……かつての経験から心当たりがありますか?」
漢陽の質問にアラマキは過去に自身と対峙していきた
「ないな……漢陽の話の条件に完全に合致するタイプはワシは知らん。そもそも、アブノーマルですらない可能性が高いな」
「そうですか……では、迎えのヘリまで来るまでお休みになってください」
「そういえば、タビー達はどうしている? ここにいるのか?」
「タビーさん達は無事です。仮拠点の外で撤退の準備を進めています」
漢陽の言葉を聞いて、安心したのかアラマキはこう言った
「そうか……では、少し休むとするかの」
「はい、ご主人様」
アラマキは、さきほどまでの厳しい口調を和らげると全身の力を抜き、周囲から聞こえる負傷者達のうめき声に耳をむける
(この喧騒の中にいるとWW3に米軍の先遣傭兵部隊として従軍した事を思い出すわい)
――――――――
作戦から数日後
PMCグリフィン本部から少し離れたグリフィン直轄病棟の一室で、ベッドから半身を起こしたアラマキは、眼前に立つ男――PMCグリフィンの社長、クルーガーに向かって頭を下げていた
「スマン、わざわざ無理を言って今回の作戦に参加したのに、このザマな上に掴んだ情報はほとんど外れも同然じゃったわ」
「いえ、情報の回収の件はスポンサーであるハーヴェル個人の意志だ。それにあなたの部下達によるドローン支援は作戦遂行に大いに助かっている」
「いや、それはタビー達の働きのお陰ですわい」
アラマキが苦笑いを浮かべる
「今回の手に入れた情報の中にアタリと言えるものもあるのだろう?」
クルーガーはそういうとアラマキは一息つくとベッドの脇に置かれた私物入れの棚から一枚のメモリーカードを取り出した
表面に「音楽劇オートマターズ」と刻印されているそれをクルーゼは首を傾げた
「このメモリーがそうなのか?」
「今回、BLACKWATCHの連中が司令部で手に入れたという情報の中で
「しかし、これは商業用の動画メモリーにしか見えないが、これは擬装なのか?」
「いや、中身もワシが若いころ鑑賞した演劇を記録した動画ファイルじゃ……しかしの」
アラマキが意味深に笑みを浮かべながら、メモリーに視線を動かし言った
「動画ファイルの表示設定で字幕設定を「自動翻訳」にして、再生させた時に情報が表示されるという仕掛けが施されていたわ…。とはいえ、余波の影響下で殆どが文字化けで読めた物じゃないし……手がかりというには少々根拠が弱いしな」
アラマキは一息つくと遠い目で言葉を続けた
「あのメモリーで分かった事は、連中の補給は「大元」と呼ばれるナニカに関連している事と稀に幹部の一人と接触した過激派のメンバーが消えているという事……それとメモリーに細工を施した者がとある幹部に対して不信感を抱いていた事ぐらいかの?」
「大元……過激派の影に隠れている組織の事か? とある幹部とは誰の事だ?」
「大元関連しているであろう部分の大半は文字化け状態で読めなかったし……幹部に関する部分も同じように文字化け状態だよ」
「まぁ、ファーニーズの関係者に違いないだろう」とアラマキが言うとクルーガーは無言でメモリーカードを少し見た後に、手に取った
「このメモリーを専門部署で解析させる……協力感謝するぞ、アラマキ元指揮官」
「礼におよばんよ……社長、これから大変だぞ。ある意味で鉄血よりも厄介な連中と戦う事になるかもしれんからな」
「……もちろん、分かっているぞ」
クルーガーがそう言って、病室から出ていった後にアラマキは一人呟いた。
「正直な話、
アラマキはそう言うと何かに気づいたのか、額を抑えてこう言った
「しかし、斧以外の武器や強化スーツは壊れてしまった……強化スーツはペルシカに頼むとして、壊れた武器はどこで調達しようかの?」
今回で大規模補給路破壊作戦コラボ編は終了です
強化試作アサルト様ありがとうございました
ちなみに、最後に出てきた「新戦力」ですが……近いうちにゲーム本編でも実装される新要素の事です
最後に、アラマキが手に入れた情報を残したのが誰か?を追記しておきます
オマケ:
数日後にメモリーカードの解析によって解読可能になった文面から抜粋
尚、奴に見られた事も考慮して、この機密データは大半の部分を文字化け状態に擬装した暗号で隠しておく
俺の同僚か職場の関係者だったら、この部分以外の文字化け状態を直せるはずだ
「解読不能」はただ者じゃない……それこそ、噂のアンノン――万能者と同程度の存在と言っても過言ではない
最後に、君を裏切る結果になった事について謝っておく
すまない……アンジェリカ