新約 とある魔術の禁書目録 12.5   作:N-SUGAR

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オティヌスは必須(鋼の意思)。


第一章 招かれた招かれざる者 Alien_Visitors .
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 怒り狂った神ほど人間にとって理不尽なものは存在しない。

 

 科学全盛の現代日本でそれを肌身に感じることができる人間はまずいないだろう。

 

 だが、何かにつけて例外と言うものは常に存在するもので、例えばそれは、とある学生寮の一室なんかで観測することができたりする。

 

「納得が! できん!」

 

 手のひらサイズの神様がまだ太陽も昇っていないような早朝から、取れない疲れを少しでも癒さんとする平凡な高校生の安眠を妨げる光景が、そこにはあった。

 

「昨日の夜から数えて三回だ! なんの数か分かるか!?」

 

 不幸な高校生、上条当麻が寝床とするバスタブの、中途半端に掛けられた蓋の上に立つ神様が震える声で問いかける。

 

「さぁ……。スフィンクスに追いかけられた回数か?」

 

 ふぁ……と、漏れでるあくびを手で押さえながら、蓋の空いてるところから首の上だけ覗かせている上条は、目の前の神様に答える。

 

 その答えに対し、北欧の最高神こと小人妖精☆オティヌスたんは、妖精が浮かべちゃいけない顔を浮かべながら、

 

「違う! これはあの進撃の巨獣に咀嚼された回数だ! 貴様も理解者ならばそれくらい理解しろ馬鹿!」

 

 と、金切り声を上げた。

 

「そんなとこまで理解しろったって無理に決まってますですよ……。ていうか、もうマジで本気にすごく眠い。まだ外も暗いしあと一時間待ってくれませんかねオティヌスさん……」

 

「待たない。そして貴様なら絶対に分かった筈だ。見ろ、このお腹を! あの怪物の歯形がくっきりと残っているだろう!」

 

 薄暗い浴室。オティヌスが指をさした箇所を目を薄めてよく見ると、うすらぼんやりと跡のようなものが見える。

 

「いや、まあ、うん。歯形って言うか、跡は見えなくもないけど……。甘噛みじゃん。遊んでるだけだって」

 

「例えそうだとしてもこちらの精神は常に生と死の狭間をオートパイロットだ! それもいつ気まぐれを起こすかわかったものじゃない欠陥品ときた!」

 

「わかったわかった! それだけ力説されればもう完全に理解してますとも! オティヌスはスフィンクスに追われない安息の住処が欲しい。だろ? だから昨日だってダイヤノイドまで赴いてオーダーメイドのドールハウスを注文しに行ったじゃないか。だから風呂場で大声出さないで! すごく響く!」

 

 反響する音に頭を揺さぶられて若干グロッキーになりつつある上条は何とかオティヌスを宥めようとする。

 

「注文できてないからこうして文句をつけてるんだろうが。しかも例の騒ぎでダイヤノイドが無期限営業停止になったおかげで今後注文できる見込みもない」

 

 しかし、オティヌスの機嫌が直る気配はない。

 

 どうにかいい言い訳を見つけなければと、上条は口を開く。

 

「……だから代わりに厚紙でできた箱をくり貫いて、テープで固定したやつを」

 

「ああ、あの案の定猫まっしぐらでバラバラにされたやつか。秒で忘れてたぞこの私ともあろう者が」

 

 沈黙。

 

 上条にはもはやオティヌスに掛ける言葉が見つからなかった。というか、言い訳が尽きた。

 

「えっと……。頑張れ?」

 

「頑張ってどうにかなる問題だったらこんなことになってな────い!!!」

 

 怒れる神の理不尽な八つ当たりを何とか逃れたい眠気MAXの上条だったが、この類いの怒りを沈める方法なんてものは、対三毛猫対策に建設的な意見を出すのと同じレベルで存在しない。というか、この二つは同じことなので、つまりは現状存在しない。

 

「……適当なオモチャ屋に行ってシルバニア的なお家を購入するというのは……」

 

「サイズが合ってないわたわけ!」

 

 自分でもそれは分かっていたし、その上で苦し紛れに絞り出した提案は案の定却下される。

 

 スフィンクスの件はわりとオティヌスに悪い事をしているとそれなりに思っている上条だったし、だからこそこまめに対策も色々考えてみているのだが、しかしこうもすげなく却下され続けると流石に嫌気がさしてくる。

 

 というか、オティヌスはオティヌスでちょっと贅沢すぎるんじゃないか? 

 

 目標のグレードを幾分落とせば、少なくとも「三毛猫に捕まらない」という目的だけなら達成することは不可能ではないのだ。その上で自分の居心地やその他住環境について色々と注文を付け足すから、方法が無くなっていく。

 

 そう考えると、上条は急にスフィンクス問題について考えるのが馬鹿らしくなってきた。

 

 いずれ解決しなくてはならないとはいえ、それは別に今この場で睡眠時間を削ってまで考えることじゃない。

 

 くどくどと文句を垂れ続けるオティヌスを尻目に、上条は重たい瞼を閉じた。

 

「…………ぐう」

 

「……おい? 人間? お前まさかこのタイミングで寝落ちとかそんなことがあるのか? お前が日々不幸に巻き込まれ過ぎて慢性的に疲れているのは分かるがだからって人が、というか、神が怒りを顕にしている目の前でレムレムできるとかそこまでか? それはもはや寝落ちというよりは失神に近いぞ?」

 

 オティヌスがあまりのことに少し心配そうにペチペチと上条の頬を叩くが、当の上条は全く目を覚まさない。

 

「むにゃ……、親方……空から金髪碧眼の女の子が……」

 

「しかもこの一瞬でどんな夢を見てやがるんだこいつは!? とうとう管理人のお姉さんですらなくなったぞ!」

 

 しかもなんだか天空の城みたいなことになってるし……、この前やってた金ローはとなりの義妹メイドの、『兄貴がちょっと怪しいメイド喫茶で妹系猫耳ゴスロリミニスカサンタメイド相手にうつつを抜かしてやがった死刑裁判』に巻き込まれて見逃してただろうに……。

 

 と、謎の夢を見る上条に呆れていたとき、オティヌスははたとある可能性に思い至った。

 

「……ん? いや、待てよ? 金髪碧眼ということは……もしかして……私か? 私の夢を見ているのか?」

 

 突っ込みが追い付かずに息切れしながらも、衝撃の可能性にオティヌスは少し口許を緩ませる。

 

「ふ……ふん。まだ怒りは止まないが……というか、根本的解決が成されない限り永遠に続くと思うが、夢にまで見るくらい私のことを意識しているというのなら、ひとまず矛を納めてやらないことも……」

 

 腕を組んで頬を染めながら、何かぶつぶつ言っている神様に構わず、眠りこける上条は更に寝言を放つ。

 

「むにゃ……。触手まみれ……」

 

「どんな夢を見ていやがるんだ貴様はあああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 オティヌスが上条の顔面に拳を振り抜く。しかし、ちょうどその瞬間に上条が寝返りをうち、拳がすっぽ抜けてつるりと滑る。反動で空中に放り投げられたオティヌスは、そのまま欠伸をした上条の大きく開いた口の中へと吸い込まれていくのだった。

 

 一時間後、窓から差し込む朝日で目を覚ました上条の目の前には、どう見ても人間の歯形と思われるものを肩の周りにくっきりと残し、ぐったりと力尽きている神様の姿があった。




現状報告

????:学園都市潜入。

?????:学園都市潜入。

???:学園都市潜入。

上条当麻:二度寝。

オティヌス:気絶。


あとがき

スフィンクスとオティヌスのコンビが好きだったり。
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