ロリコン探偵少女? 六伏コラン   作:デポジットカンチョーワールドカップ

5 / 9
どうもこんちには。デポジットカンチョーでございます。前回はアンケートの御協力どうもありがとうございます。今後は一万文字前後位を目安に投稿していくことにいたします。


メリーさん ニ

「う〜ん、マーヴェラス!!! 流石僕の親愛なる相棒の至くん! とれびあ〜んだよ! 実に見事なくじ運だ!!」

 

「はあ、どうも」

 

 結局あの後、認識阻害を態々外しても、それはそれで面倒だということになり、僕と所長はさっきのホビーショップをそのままに近くの公園にやって来ていた。まあ、認識阻害自体は所長が居なくなれば無意味になるものだったけど。

 そして、その所長はといえば、早々に公園の端にあったベンチに座り込み、さっき僕が引き当てたパンティ? のフィギュアを真新しい梱包から取り出すと、むふーっと鼻息荒くスカートの中身をじーっと覗き込んでいる。いや、おっさんかよ。

 

「いやあ、あそこで見事に引き当ててくれるとは! 流石は至くん! 僕の相棒♥ これは、臨時ボーナスの一つも出さないとイケないね♪」

 

「まあ、喜んでくれたなら良いですけど」

 

ここまで、素直に喜ばれるのは、正直、悪い気分じゃないし。

 

「そうだね、僕主演のAVでどうだい?」

 

「それの何処に、僕にとってのボーナス要素があるのか、よくよく考えて発言してくださいね?」

 

僕はホモじゃねーよ。

 

「あ、そうだ」

 

「今度は何ですか?」

 

「せっかくだから、一緒にこのフィギュアをおかずにオナニーでもどうだい?」

 

「何がせっかくなんですか、この野郎」

 

いや、ほんと、食事に誘うノリで、オナニーに誘わないでください。

 

「おや? しないのかい? オナニー」

 

「しません」

 

というか、何で「え? 本当に?」って顔になってるんですか。

 

「そうかい? じゃあ、僕だけ先に頂かせてもらうよ。至くん、膝借りるね?」

 

「あー、はいはい。別に構いませ……はい?」

 

何か、不穏な言葉が聞こえた気がした。慌てて顔を上げるが時既に遅し、とんっと軽い重みが右の太股に掛かり、パサリという音と共に一瞬視界が真っ暗になる。

 

「んっ……あんっ♥」

 

同時に響く、音だけは艶かしい、矢鱈と聞き慣れた声。顔に掛かった目隠しを退けると、そこには履いていたジーパンとトランクスを脱ぎ捨て、YESロリータ!NOタッチ!のTシャツを首もとまで捲し上げた所長が、ひっくり返ったカエルのポーズで、さっきのフィギュアを片手に、開けっ広げに露になった股間とおっぱいをねちっこく粉ね繰り回している姿があった。

 

「……」

 

「ん、んふ……♥」

 

「……」

 

「んくぅ!♥」

 

「…………所長」

 

「んあっ!?♥ あ、は……あっ? 至くん?」

 

「何やってるんですか?」

 

「見ての通り、んっ♥ 青姦オナニーだけど?」

 

僕の太腿を枕代わりに、ベンチにころん寝転がり、服従のポーズで、天に向かってにちゃにちゃと股間をまさぐりだした所長が「見ての通りだけど?」と、さも当然のことのように首をかしげてくる。何か、何でそんなことを?といわんばかりだけど、首捻りたいのは僕ですよ?

 

「普通に通報されますよ?」

 

「大丈夫さ。今回はきっちり始めから認識阻害をしているからね☆」

 

無駄に手際良いですね。それなら安心だ。うん、もう、そういうことにしておこう。

 なんだか、投げやりな気分になりながらベンチにもたれ掛かる。もう、この際、通報されないならどうでもいいや……。

 

「因みに、美少女だけには、僕の姿は見えるんだけどね」

 

「全然、防げてねーじゃねーか」

 

「あはははは♪」

 

むしろ、防ぐ気ねーじゃねーか。僕の突っ込みにけらけらと笑いながら、所長はフィギュアの両足に舌を這わせていく。既に、ぐちょぐちょになった股間からはにっちゃにっちゃと水音が鳴り、仰向けのままでもつんと上を向いた形の良いおっぱいからはとろとろと止めどなく母乳が流れ落ちていて、何かもうベンチ全体が水浸しになっている。

 秋の日差しが、少し肌寒い空気を温めて、程好く過ごしやすい天気。この大分寂れた感があっても、まだ日本の中心地のビル街の中、ぽっかりと空いた自然豊かな公園の中心で、

 

「あっは♥ 遂に逢えたね僕のパンティちゃん♥ 今日もノーパンなのかい? ふっふっふ、何故気付いたかって? 彼氏の目を誤魔化せると思ったのかい? おいおい、そんなに恥ずかしがることないじゃないか♪ 世界を守るために、自分のパンティを犠牲に頑張ってるんだろう? 誇るべき事であって恥ずかしがるようなことじゃないさ! だから、ほら、僕にパンティちゃんが戦った証を見せて……むふふ。その顔! 悔しそうで、恥ずかしそうでプルプルしてるの、最高だよ! 僕も思わず母性が刺激されてちゃうね♥ っていうか、刺激されちゃった♥ もう、パンティちゃんが悪いんだよ? こんなに僕をママにしちゃうなんて♥ ああもう、ダメだ。今日は許してあげないからね? ミルクあげるだけじゃ我慢できないからね? 今日は僕がパンティちゃんのママになってパンティちゃんを産んであげるからね? ほら! 来て! ママの中に帰って来てええええええええええ!!!!!!!!♥♥♥♥♥♥」

 

「……」

 

極めて業の深い絶叫と共に、僕が当てたパンティちゃん? のフィギュアで乳首とクリトリスを弄り倒していた所長が、とうとうフィギュアの頭を自分の胯間にじゅぽじゅぽと突っ込み始めたのだった。何かもう、「おっほ♥ おっほぉ♥」とかそんな声しか聞こえない公園の中で、僕は今日も矢鱈と良い天気に目を細め、

 

「え……?」

 

そして、不意に聞こえたそんな声に、僕は思わずその綺麗な天を呪ったのだった。

 

(おお、天におわす神々よ。僕は貴方を恨みます)

 

鈴の鳴るような、そして、それ以上に困惑の音を乗せた声。ここ一年、門前の小僧よろしく、所長のロリコン趣味に付き合わされ続けた結果、この辺の事に勘が働くようになった自分が嫌になる。果たして視線を下ろしてみれば、予想がついてしまった通り、小学校に上がるか上がらないかくらいの、人形を持った女の子が目を丸くして所長と僕を見詰めていた。

 幸いなことに……本当に不幸中の幸いなことに、周りにはこの娘以外に、所長の認識阻害を抜ける年頃の女の子は居なかったから、伝染の可能性は無いが、しかし、僕の前にいる頭のおかしな変態(所長)のおぞましさに、この年頃の女の子が耐えきれるわけもなく、見る間に、その大きな瞳に涙が溜まっていき、そして、

 

「い、」

 

「あ〜……」

 

「いやあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

「おっ♥ おっほぉ♥ 危ないね♪」

 

一瞬で決壊したのだった。

 絹を裂くような悲鳴が昼の秋葉原に響き渡る。いたいけな幼女の、本能的に所長のおぞましさに恐怖したその悲鳴は、しかし、無駄に能力だけは高い変態(所長)がパチンと指を鳴らすと、あっさりと遮断される。そして、

 

「あっは♥ 見られてる。見られてるよパンティちゃん!♥ 僕とパンティちゃんのスーパーウルトララブラブタイムが知らない女の子に見られちゃってるよほぉ!!♥♥♥ あっ、パンティちゃん、、嫉妬したのかい? むふふ、赤くなっちゃって。はっはっは、違うよ、からかってなんかないさ。焼き餅を焼いてくれて嬉しいのさ♪ 安心してくれたまえ。僕は今だけは君のものだとも♥ おっほぉ、そ、そんなところを急にひぃ!? ああ、いかせてくれ! いく、いくっ、いくううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!」

 

そんな閉鎖された空間の中、自分好みの女の子に見られながらするオナニーに興奮したのか、自分の胯間をフィギュアで泡立てていた所長が一際大きな嬌声上げる。ピンッとベンチに爪先を立てて、人形の突き刺さったおまんこの砲身を空に向けると、絶叫と共にプシャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!! と盛大に潮を吹いたのだった。

 

「……」

 

「……」

 

「あっ♥ あっ♥……」

 

秋空の下、季節外れの七色の虹に、女の子は呆然と佇み、僕は脳が理解を拒否するのを感じながら、矢鱈と良い天気な御天道様を睨み付ける。

 

「……」

 

「……」

 

「あんっ♥」

 

やがて、盛大なスプラッシュが終わり、所長がぶるりと震えると、最後の一滴がぷしゅっと切れて、空を恨みたくなる光景は終わりを告げたのだった。そして、

 

「やあお嬢さん。そんな悲鳴を上げて、何かあったのかい?」

 

「所長、あの痴態の直後によくそんなことを言えますね」

 

「…………?」

 

「そこ、「何を言っているんだい? 至くん」みたいな顔をしない」

 

「何を言っているんだい? 至くん」

 

「口にすれば良いって話でもないですからね?」

 

悲鳴を上げさせたのも、その娘を呆然とさせたのもあんただあんた。

 

「おいおい、そんなことはあり得ないね。僕は美少女の味方、六伏コランだぜ? 美少女にこんな、根源的な恐怖に苛まされないと出てこないような悲鳴を上げさせる訳がないだろう?」

 

「その自信が何処から来るのかさっぱり分からないですけど、根源的な恐怖は正解です」

 

所長=根源的なおぞましいナマモノ。

 

「いやいやいや、そんなわけ無いだろう? 見ての通り、僕はYESロリータ!NOタッチ!のTシャツを着ているだろう?」

 

「まず、Tシャツは免罪符じゃないですし、オナニーのためにたくしあげちゃってるから、そもそも文字が読めてませんよ?」

 

「おっと、しまった」

 

「ああ、下ろしましたね。ええ、母乳とよだれでべっちょべちょですけど。そして、下ろしたからといって、此れでよし! じゃないですからね?」

 

ていうかさ、

 

「所長」

 

「なんだい? 至くん」

 

「普通の女の子は、仮に話し掛けてきたのが自分と同じくらいの年齢の女の子であっても、股間から人形生やしていたら当然警戒しますからね?」

 

ていうか、普通に怖いわ。

 

「……てへ☆」

 

そう言って、所長はオナニーの途中で股座の中に深々と突っ込んだ、パンティちゃん人形をちゅぽん♪と引き抜いた。いや、「てへ☆」じゃないですからね?

 

「あんっ♥」

 

引き抜く瞬間も人形の突起が気持ちの良いところを刺激したのか、軽い喘ぎ声を出した所長に、女の子は一層警戒した表情を見せた。そんな、女の子に向けて満面の笑みを浮かべると所長は今股間の穴から引き抜いた、愛液ででろでろのパンティちゃん人形を突きつけた。おい、それは何か新手の呪いか何かか?

 そして、

 

「初めましてお嬢さん。僕は六伏コラン。探偵さ♥ もしよかったら、(パパ)が今産んだこの娘のママになって、二人で幸せな家庭を築いてみないかい?」

 

と無駄にキメ顔でのたまったのだった。いや、あんた自分の今の格好理解してるのか?

 

「い……」

 

「お? 良いのかい? いやあ嬉しいね。君みたいな美少女が僕のプロポーズを受けてくれるなんて、今日は何て良い日だ。絶好のオナニー日和で愛するパンティちゃんを産んで、こんな美少女にプロポーズを受けてもらえ「いやあああああああああああああああ!!!!!!!! いやあああああああああああああああ!!!!!!!!」……あれ?」

 

「あれ? じゃないですよ。どうするんですかこの子。本気で泣いちゃってますよ」

 

「おいおい、まるで僕のせいでこの子が泣いているみたいじゃないか」

 

「みたいも何も、そう言っているんですよ」

 

「でも、女の子はお人形遊びとか好きだろう? なら、おままごとに誘われるなんて日常茶飯事の筈じゃないか」

 

「仮にそうだとしても、普通の女の子はそんな、体液でデロデロになった人形を行き成り突き付けられたら、怖がりますよ」

 

「んー? でも、世のロリコンは美少女の体液はおしっこでもうんt「言わせませんよ?」

 

主にコンプラ的な理由で。

 

「おいおい至くん」

 

「何ですか?」

 

「今更、僕がコンプライアンスとか気にしても手遅れじゃないかい?」

 

「そう感じてるなら、せめて服着る努力しろよ」

 

股間に物突っ込んでないでさあ。

 

「まあ、良いや」

 

「いや、良くないですからね?」

 

泣き叫ぶ女の子を前に、けらけら笑っている辺り、この所長も大概良い性格をしているよね、本当に。

 

「っていうか、普通に汚いですよ」

 

比較対象がアレだったけど、股間の体液とか普通に衛生面で問題あるでしょうよ。

 

「いやいや、至くん。よく考えてみたまえよ。人間は須らく産まれてくる瞬間はみんなママのマン汁に(まみ)れて産まれてくるんだぜ? それがばっちぃなら、赤ちゃんは産まれてくる瞬間がばっちぃ事になる。それは古き日本の廃れた風習、産褥=穢れよって女性は穢れという考えそのものじゃないか」

 

「人権を盾にして巧みに自分の行動の正統性を主張していますけど、それとこれとは話が違います」

 

つか、いきなり体液まみれの人形出されたら、その女性だって嫌がるわ。目の前の女の子みたいに。

 

「体液まみれといえば、中古の人形は基本的に未開封以外はブラックライトを当てちゃいけないってのは知っているかい?」

 

「いえ、初耳ですけど……」

 

っていうか、"体液まみれといえば"っていう前置きが不穏なんですけど。

 

「ああ、中古市場で流れてくるフィギュアっていうのは前の所有者がオナニーの時にザーメンぶっかけてる率がかなり高いんだよね。ほら、同人誌と違って、ザーメン掛けても洗えば済むからさ」

 

「はい、予想以上にきったない理由でしたね」

 

「で、ブラックライトをあてると、ザーメンが掛かったところが光るからさ。こう、色々と分かっちゃうんだよね」

 

「う わ あ」

 

「で、しこたま精液をぶっかけて「もうこのフィギュアは飽きたし、場所も取るから中古で売っちゃえ」ってのが安く中古市場で流れてくるわけ。当然、使用済みで、二つの意味で中古だから、怖いもの見たさにブラックライトは御法度なんだ。清潔なフィギュアが欲しかったら新品を買うか、最低でも未開封の無駄に高額な転売品を買うかのどっちかになるのさ」

 

「闇が深いなあ」

 

つーか、普通に怖いわ。

 

「初めから売り目的で無傷のまま攫うのも、散々輪姦した後に安く叩き売るのも、遊郭と女郎屋に繋がる日本人の古くからの伝統だからね。仕方ないさ」

 

「日本人碌でもないですね」

 

「人間そのものが碌でもないのさ」

 

「自分と所長を見ていると良く分かります」

 

僕の言葉がツボに入ったのか、所長はけらけらと笑い声を上げた。

 

「そういえば、新品のフィギュアしか買いたくないって言うのは、この場合処女厨になるのかな?」

 

「あー、そうかもしれないですね?」

 

「ふむ、ネットとか処女厨は暫し馬鹿にされるんだけど、僕は正直処女厨の気持ちが良く分かるかな。他人がザーメンぶっかけたフィギュアとか買いたくないし」

 

「それは、処女厨じゃなくても嫌だと思いますし、それ以前に精液ぶっかけたフィギュア買いたくない人間が自分の体液掛かったフィギュアを他人に渡そうとしないでくださいよ」

 

「いや、美少女にエッチな体液付着した私物を渡したいってのは別に男なら変じゃないぜ? そういう欲望が根源的にあるから、男はフィギュアにザーメンぶっかけるわけだし」

 

「あー、まあ確かにそうですね?」

 

矛盾はなかった

 

ダブルスタンダードなだけだった

 

「そういえば、処女と言えば、男は女性の処女に対して様々な持論を持っていたりするけれど、当の女性はさして処女に価値を見出していないらしいね。男性が処女に高値を付けるから「じゃあ、大切にしておこうか」ってくらいで」

 

「まあ、男も自分の童貞にはさして価値を見出しませんしね」

 

「しかし、そうなると、女性は男が考える程レイプに対してダメージを受けていなかったりするのかね? 痴漢冤罪なんかも金銭目的だし。内心は「お金も払わずにタダで私にエロいことしやがった!! だから強姦は重罪だ!!」みたいな?」

 

「多方面に喧嘩売らないでください」

 

「とは言っても、僕は女の気持ちなんて絶対に分からないしね。至くんだってそう思うだろう? 女性用の漫画は小学生向けからしてレイプの繰り返しなのに、リアルのレイプを本気で嫌がる理由が金銭以外に思いつくかっていうと、僕には分からないぜ?」

 

「ノーコメントでお願いしますよ。ええ」

 

僕は藪を突く趣味は無いんですよ。

 

「で、それはそれとしてだ、お嬢さん」

 

「!?」

 

一頻り笑った所長がくるりと女の子の方を振り返り、こてんと首を横に倒す。

 

「僕のおまたから産まれてきたパンティちゃんのママになってくれるかい?」

 

「当然の如く、そこまで話を戻す所長に、ある意味尊敬の念を抱きます」

 

いや、普通怖いでしょ。

 

「んー? でも、この娘はさっきからずっとお人形を抱いているだろう?」

 

「はあ」

 

「!?」

 

「つまり、お人形が大好き=僕のパンティちゃんの事も大好き=僕の事も大好き。よって、僕と結婚してくれるに違いない♪」

 

「いや、論理もくそも破綻しまくってますし、下半身真っ裸な変態の事好きになる理由は無いし、ふふん♥ じゃありませんからね?」

 

何でそんなに自信満々なんですか。

 

 

 

 

「……らい」

 

 

 

 

「んむ?」

 

そんな僕と所長の会話の中、ぽつりと小さな声が響いた。

 

「お嬢「人形なんて大っ嫌い!!!!!!!!!」おや」

 

首を傾げた所長の前で、やおら絶叫を上げる女の子。その鬼気迫る表情と雰囲気に、僕と同じく所長も妙なものを感じたのか「はて?」と首を傾げた。同時に、僕の脳裏に所長の疑問符が流れ込んでくる。

 

(人形を大切そうに持っていながら、人形が嫌い?)

 

その疑問に、僕も同意だった。その女の子は、所長に気付いた瞬間から手に小さな人形をずっと大切そうに持っていた。にも拘らず、人形が嫌い。所長の存在に思わず反発した可能性も捨てきれないが、そういう雰囲気でもないのだ。

 

「……!!」

 

その女の子は、自分があげた叫び声にびっくりしたのか、はっとした表情になって言葉を詰まらせると、僕と所長の視線からそれを守る様に、ぎゅっと手に持った人形を掻き抱いた。

 

「「……」」

 

思わず顔を見合わせた僕と所長の前で、何かに怯える様な表情になる女の子。さてどうしたものかと首を傾げる僕達の間で、不意に「おねえちゃ~ん」というおっとりとした、何処か間延び気味な声が響いた。

 

「! ゆき!!」

 

「んむ?」

 

「……」

 

顔を上げた所長と僕の前にやって来たのは、人形を抱いた女の子とよく似た、心持ち穏やかそうな雰囲気の女の子だった。その女の子の出現に、今度は慌てた様子で人形を抱いた女の子が走り去って行く。

 

「かえろっ!!」

 

「お姉ちゃん?」

 

そして、さっと後から来た妹と思われる女の子の手を取ると、首を傾げるその娘を無理矢理引っ張る様にして、足早に公園から立ち去ったのだった。

 

「……」

 

「……」

 

後に残された僕と所長はもう一度顔を見合わせ、

 

「かえろっか」

 

「……ですね」

 

でろでろのフィギュアと上司のパンツ&ジーンズを片手に、その場を後にしたのだった。

 

 

 

 

     ◆

 

 

 

 

 数日後の事、

 

―あんっ! やだぁ!?―

 

「ふっふっふ、泣き叫んでも無駄だよいつきちゃん♥ 直ぐに僕のケンタウロスの大根サイズチンチンでおなかをボゴォさせて赤ちゃん産ませてあげようじゃないか」

 

「爽やかな朝の食卓で、何ゲス極まりない発言してるんですか「ん?」

 

食卓に置いたノートパソコンで起動したM○GENで、パンツ一丁の所長が改造された美少女キャラをのんびりとレイプしていた所長が不意に首を傾げた。

 

「? どうかしましたか?」

 

「ああ、一寸新しい依頼みたいなんだけど」

 

「はあ」

 

全開のロリコン美術教師から二か月振りだから、久しぶりと言えば久しぶりだけど、美少女専門かつ極めて特殊な依頼方法を要求する事務所としてはむしろ早いペースだとも言える。

 

「で、それがどうかしたんですか?」

 

「これ、一寸見てくれないかい?」

 

「ん?」

 

そう言って、所長が指さしたノートパソコンの画面を覗き込むと、

 

「あれ? この子達って確か」

 

「ああ、だよね?」

 

そこに居たのは、ベンチに座る二人の女の子。一人は右腕に小さな人形を抱えていて、その隣には妹らしきおっとりした少女の姿。

 

「数日前の?」

 

所長の胃もたれを起こしそうな濃厚オナニーを見せつけられた、あの人形の娘に違いなかった。

 その二人が肩を寄せ合って、じっと所長がばら撒いた魔法少女りりかるサクラの付箋を見詰めている。

 

「……」

 

「どうします?」

 

先日、あれだけ怖がられていると、まともに依頼になるかという疑問もあるけれど。

 

「そうだねえ……」

 

少し首を傾げた所長だったが、直ぐにパンッと手を打つと、コントローラーを置いて軽く伸びをする。

 

「まあ、美少女の依頼だ。僕としては男らしく義を見てせざるは勇無きなりといきたいかな」

 

「ちんこ付いてないですけどね」

 

「でも勃起は出来るんだぜ?」

 

ぷるぷるっと揺れたおっぱいの先で、少しだけ乳首を勃起させながら、所長が不敵に笑った。いや、してやったりみたいな顔する要素無かったですからね?

 

「じゃあ、早速依頼者の所に行くから、一寸皮パン取ってくれたまえ」

 

「はいはい」

 

あ、流石にパンツ一丁で行く気はなかったんですね。まあ、ゲイ御用達っぽいレザーのズボンもどうかとは思いますけど。

 

「あと、サスペンダー」

 

「はいはい」

 

皮のズボンだと、腰を縛るベルトだと肌がこすれたりかぶれちゃいますしね。

 

「制帽」

 

「……」

 

うん、なんかもう大体予想がついた。

 

「じゃ、最後に鞭を持って……さあ、出発♥」

 

「うん、まともな格好を期待した僕がバカでした」

 

つか、おっぱい丸出しだと流石にしょっ引かれますよ?

 

「大丈夫だって。この通りサスペンダーでちゃんと乳首は隠してあるから♥」

 

「そんなんじゃ、一寸動いたら一発でズレるでしょうに」

 

「その辺は僕の魔法で一発さ♪」

 

「便利ですね、魔法って」

 

「個人的に、美少女に見られながら、一寸乳首が擦れて気持ちよくなれるから、サスペンダーは最高にエロいアイテムだと思ってるんだけど、至くんはどうだい?」

 

「そういうジャンルがあるのは知っていますけど、ドストレートにサスペンダー=エロって発想することはないと思います」

 

「でもレザーはエロだろう?」

 

「それ以前に、日本に居たら日常的にレザーを見る事自体が無いですよ」

 

多分。きっと。メイビー。

 

「ま、いいや、それじゃあ早速行こうか」

 

「はいはい」

 

「四つん這いになりたまえ、至くん」

 

「その鞭ケツの穴に突っ込みますよ?」

 

僕と所長は例によって青い光に包まれ、依頼者の元に向かうのだった。

 

 

 

 

     ◆

 

 

 

 

「来ないね、おねえちゃん」

 

 隣で足をぶらぶらさせながら、退屈そうに呟く妹の声を聴きながら、私は唯頷く事しか出来なかった。手に持った人形を抱きしめ、もう一度手に持った付箋をなぞったけれど、何も起こる気配はない。

 

―魔法少女りりかるサクラの付箋に涙を落として強く願うと、美少女の悩みを何でも解決してくれる名探偵が現れる―

 

そんな、私にでも分かる嘘に頼って、隣の娘と一緒に名探偵を待つけれど、こんなことに意味なんて……

 

 

 

「やあ、待たせたね!」

 

 

 

「!」

 

 だけど、じっと目を瞑っていた私の前で、不意にそんな声が聞こえてきた。少しかすれた、ママよりも大人っぽい声。何となく、何処かで聞いた気もするそんな声に釣られて顔を上げた先には、

 

「漆原さきちゃんだね? 君の悩みをばっちり解決に来たぜ♪」

 

上半身真っ裸で、四つん這いになったおっぱいの凄い大きなお姉ちゃん……そう、昨日私が見た、公園のベンチでおしっこをしていたお姉さんが、昨日のお兄さんにお尻を踏まれたまま、何となく格好をつけた雰囲気で笑っている姿があった。

 

「……え?」

 

絶対に誰も来ない。そう思っていたのに、何故か来たのは何か変なお姉さんと、そのお姉さんを踏みつけながら、物凄く冷たい目でお姉さんを見下ろすお兄さん。正直、私は自分が何をしようとしてたのか、その一瞬で忘れちゃう程だった。

 

「あひぃ♥♥♥」

 

急にすぱーん!! という大きな音が鳴って、お姉さんが悲鳴を上げる。お姉さんを踏みつけていたお兄さんが手に持った棒みたいなもので、お姉さんのお尻を叩いた音だった。私もゆきも悪い事をするとお母さんにお尻を叩かれるから良く分かる。あれは、私達がとっても悪い事をした時と同じ叩き方だった。

 

「♥♥♥♥♥」

 

びくびくっと震えたお姉さんがふーっふーっと涎を零しながら息を吐く隣で、お兄さんの方が足を退けて、私とゆきの方を振り返ってきた。その目に、私とゆきは思わず顔を見合わせた。とっても、とっても冷たくて、何となく怖い何を考えているのか良く分からない目のお兄さんだった。

 

「あ、あn「六伏コラン探偵事務所の鈴笛至です」

 

私がお姉ちゃんとして話をしようとすると、お兄さんはそう言って自己紹介をしてきた。

 

「こちらの所長と、お二人の依頼を受けに参りました。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 

そう言って、時々パパやママが偉い人にそうするように、お兄さんは私とゆきに下の方まで頭を下げてきた……。

 何か、変なお兄さんとお姉さんだけど、もしかしたら、このお兄さんとお姉さんなら、私の話をちゃんと聞いてくれるかもしれないと思った。

 

「ふーっ、もう、至くんはいきなり過激だなあ♥」

 

「人にいきなり四つん這いを要求してくる所長相手には妥当な反応だと思いますよ、僕は」

 

「僕なりの愛情表現さ。好きな子に全裸土下座をさせたり、四つん這いにさせたいってのは男の根源的な欲望の一つだろう?」

 

「それは割と特殊な趣味ですし、仮に理解できたとしても、男が男に要求するものじゃないでしょうが」

 

「じゃあ、僕にやらせてみるかい?」

 

「……」

 

私もゆきもお尻を叩かれるのは絶対に嫌なのに、このお姉さんはなんだかとっても嬉しそうだった。……大丈夫なのかなあ……。

 

 

 

 

 




鈴笛至
突っ込み役の助手
所長がタフすぎるせいで、なんかどんどん突っ込みが過激になっていく
けど、使い魔なので所長にダメージを与えることはない(出来ない)ため
自分のストレスの方がたまってきている気がする23歳
最近、NBAの観戦に嵌っている

六伏コラン
突っ込まれ役の所長
突っ込むって何を!? 勿論ナニです。そんな所長
美術室のレオナルドの時にはちゃんと出動時はフリフリではあっても人前に出られる格好だったのですが
今回は上半身真っ裸にサスペンダー、レザーのズボンに制帽(警察官の被っている帽子)というスタイル。多分、今後はこの路線で衣装弄って行きます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。