ロリコン探偵少女? 六伏コラン   作:デポジットカンチョーワールドカップ

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本編の合間に思い付いた小ネタです。また思い付いたら時々差し込むと思います。


所長「至くん、至くん。パンツ買いに行こうぜ」

―……くん―

 

ん……

 

―…た……くん―

 

んん……

 

―至くん―

 

……ん?

 

……何か、急に小さく温かな感触が頬を撫でて……。

 

「……んん」

 

……まあ、眠いし、どうでも良いか。

 

「う〜ん、流石は僕が見込んだ停滞の化身。このまま寝かせてあげたい気持ちと、いたずらをしてみたい気持ちの両方が僕の中でせめぎあっちゃってるよ」

 

「は?」

 

そして、聞こえてきた、あるはずのない、よく知った声。そして、その不穏極まりない言葉の内容に、僕の意識は一瞬で夢の中から現実に引き上げられた。

 

「やあ、おはよう、至くん♪」

 

目を開いた先に居たのは、愛用の縦縞トランクス一丁という見慣れた姿で、幼い体格に似合わない大きなおっぱいの谷間越しに、実に嬉しそうに此方を見下ろしてくる所長の笑顔だった。

 

「!」

 

僕は思わず飛び起きたが、その場所が悪かった。丁度、所長が僕の顔を跨ぐようにして立っていたせいで、起き上がった僕の顔面が所長の胯間に直撃してしまう。

 

「はぐぅ!?」

 

咄嗟のことでまともに一撃を食らった所長が、男なら誰でも同情するそれに、切ない悲鳴を上げてどさりと僕のベッドの上に倒れた。本当なら、一応の部下らしく所長の心配をするべきなんだろうけれど、

 

(……何で、良い香りなのさ)

 

「至くん……」

 

所長の胯間に顔面を叩き付けた瞬間、鼻孔に触れた無駄に香る花の匂いに、地味にショックを受けていると、仰向けのまま、ちんぽ(と、言わないと不機嫌になる)を抑えた所長が、ぽつりと声を掛けてきた。はい、何ですか?

 

「この体勢、何かAVのフィニッシュシーンみたいだね♥」

 

「……」

 

仰向けになって、(胯間に頭突きを食らったせいで)息が上がった顔

 

細い両腕で横から押し潰されて、(所長の個人的な趣味で)母乳を噴き出しながらぷるぷると震えるおっぱい

 

僕の両肩に掛かる、少女にしては既に完成されてる感のあるすらりと長い両足

 

うん。言われてみれば、体制はその通りだ。けど、

 

「ふん」

 

「おごぉ!?♥」

 

それは、本当に体勢だけの話だった。

 僕が所長の白いお腹に拳を振り下ろすと、所長はさも大ダメージを受けたかのように腹を抱えて悶絶した演技をする。実際は、使い魔と魔法使いは互いにダメージを及ぼせないんだから、全然効いてないでしょうに。

 

「ノリが悪いぜ、至くん。こういう時は、お情けで、心配してるフリをするのが、男が世を渡るコツさ♪」

 

「別に器用に世を渡る気もないですし、そもそも、こういう時は男の甲斐性とか言うものじゃないですか?」

 

「女の子が一方的に要求してくる、男の甲斐性とかレディファーストとか、あれ、僕嫌いなんだよね。幻想の男の水準に現実の男が達していないことに文句を言うくせに、言うほど自分達が幻想の女の水準に達していないところが特にね。しかも、それを言うと、さも男が天地をひっくり返すような悪事を働いたと言わんばかりに騒ぎ立てるし」

 

「ずばずば言いますね。ほんと」

 

「男と女、両方経験してるけど、中身は男だからね。乙女心()とか、エゴ以上の意味なんてないない」

 

ほんと、多方面に喧嘩売るなあ。

 所長は一頻りけらけらと笑うと、「よっ」と後ろに転がりながら立ち上がり、両手を上げてポーズを取る。

 

「で?」

 

「んむ?」

 

「どうしたんです? こんな朝っぱらから」

 

しかも、休日に。

 

「おや、どうやって? の方は気にならないのかい?」

 

「大体、魔法で済んじゃうじゃないですか」

 

そういう意味じゃ、聞くだけ無駄だ。

 

「ま、それは確かにそのとーり」

 

もう一度けらけらと笑うと、所長は少しだけ勿体ぶったフリをして、こほんと無駄に大仰に咳払いをした。

 

「たまには一緒に遊びにでも出掛けないかって思ってね」

 

「は?」

 

何か、所長が妙なことを言い始めた。

 

「どうしたんですか? 急に」

 

「まあ、そういう反応もになるよね」

 

「そりゃ、大分唐突でしたからね」

 

割りと本気で。

 

「至くんが僕の事務所に来てから、そこそこ時間も経っただろう?」

 

「まあ、一年は経ってますよね」

 

「そろそろ、仕事だけじゃなくて、プライベートの繋がりもあって良いんじゃないかなと思ってね」

 

「はあ……」

 

また、妙なことを言い始めた気もするけど、その心の方は嘘を吐いてもいない。

 

「仕事だけの相棒というのも、あんまり詰まらないだろう? それに、僕はこういう性格で立場だから、中々友達を作る機会に恵まれなくてね。端的に言って、友達が居ないんだ」

 

「少なくとも、僕なんかよりは大分取っつきやすい性格してると思いますけどね」

 

変態行為はあれど、自粛出来ないわけでもないんだし。でもまあ、不老の魔法使いって立場が、友達というありきたりな関係の構築を阻んでいるというのは分からないでもない。実際、僕が使い魔でなかったら、不老の人間と友達を続けられるかというと、中々に難しいとも思う。

 

「あとはまあ、あれだ。"この世"生まれの魔法使いが"あの世"に堕ちる理由第一位は使い魔との仲違いなんだ」

 

「うわ、しょうもない」

 

「ま、確かにね」

 

僕が思わず漏らすと、所長も苦笑混じりに頷いた。

 

「けど、これが案外馬鹿にならない。不老の魔法使いにとって、対等な友人を作るのは至難の技。むしろ、不可能と言っても良いくらいでさ。実際、自分の使い魔以外とは数百年話したこともないって魔法使いは相当に多いんだよね」

 

「はあ……」

 

何て言うか、現代の孤独死とかその辺を聞いているみたいだ。

 

「孤独死は確かに近いかもね。使い魔に見捨てられて、孤独に耐えきれなくなった魔法使いが"あの世"に堕ちる訳だから」

 

「……何か、世知辛いですね」

 

「だね」

 

所長はくすりと微笑んだ。

 

「まあ、そういった事情は置いておいて、単純に至くんと友達になりたいとも思うわけだよ。何時までも雇い主と従業員じゃあ、味気ないだろう?」

 

「まあ、それはそうですね」

 

別段僕としても所長との関係の名称を従業員と雇用主のまま維持したい理由がある訳でもない。

 

「ん。至くんのそういうのに頓着しないところは好ましいと思うぜ」

 

「さよで」

 

面倒臭いだけな気もするけどね。

 

「じゃあ、改めてってのも変ですけど、交友でも深めますか」

 

「ああ。宜しくってのも変だけど、まあ気持ち的には宜しくお願いします……かな」

 

そう言って首を傾げた所長が差し出してきた右手を、僕も何となく面映ゆい気分になりながら握り締めたのだった。

 

「で?」

 

「んむ?」

 

「遊びに出かけるって、何処か行きたいところは決まっているんですか?」

 

「ああ、それかい」

 

頷いた所長が、不意ににまーっとチェシャ猫の様な笑顔を浮かべた気がした。……なんか嫌な予感しかしないんだけど。

 

「あの、やっぱり欠せ「おいおい、親愛なる至くんにここで断られたら、僕の男らしいシャイな心は粉々に砕け散って、涙が溢れて止まらなくなるぜ? もう、あれ? こいつ本当に男だっけ? いや、なんかもう男でもいいやってなっちゃうくらい、演技してすんすん泣くぜ? 男の感情は女でも簡単に理解は出来るけど、男の感情に共感できるのは男だけなんだから、ガチで落としに行ったら、流石の至くんでもダメージは必至だぜ?」うん、僕が悪かったのでそれだけは本気でやめろ、この野郎」

 

僕が思わず遮ると、当然ながら、してやったりの笑みが返ってきた。うん、もうこの際仕方ない。僕は降参と諦観を伝えるために両手を上げた。

 

「で、何処なんですか?」

 

「うん、そうだね……至くん」

 

「はい」

 

 

 

「パンツ買いに行こうぜ」

 

 

 

「……」

 

やっぱり、この世はくそったれだった。

 

 

 

 

     ◆

 

 

 

 

「で」

 

「んむ?」

 

「ここで良いんですか?」

 

パンツを買いに行く。そう言った所長についてやって来たのは、僕がイメージしていたランジェリーショップとはかけ離れた、極々普通の量販店だった。

 

「んむ? ……ああ、もしかしなくても、高級下着店とかそういう類いを想像してたかな?」

 

「まあ、そうですね」

 

いや、普段から縦縞のトランクスなんて愛用しているんだし、変じゃないと言えば変じゃないんだけど。ていうか、

 

「そういえば、所長」

 

「なんだい? 至くん」

 

「今更の質問なんですけど、何で何時も縦縞のトランクスなんですか?」

 

「……」

 

「……」

 

「……至くん」

 

「はい」

 

「男の僕が、女物の下着を愛用するわけがないだろう? そんなの、変態じゃないか「お前が言ってんじゃねーよ」

 

本当に、説得力皆無だった。

 

「ていうか、前々から疑問だったんですけど、所長は何で態々女の身体になんてなったんですか?」

 

「あれ? 言ってなかったかい?」

 

「所長がロリコンで、美少女をおかずにするために、今の身体になったって話は嫌と言うほど聞きましたけど。それでも、普通はそんな理由でちんこ捨てないですよ」

 

「突っ込むものも突っ込めなくなるしね♪」

 

やかましいわ。

 

「でもまあ、至くんが今言ったのが端的な理由なんだよね。補足するなら『生きている生身の美少女』が良かったってのはあるかな」

 

「はあ」

 

「後、付け足すなら、生身の美少女が良かったけど、子供の反応は要らなかったんだよね」

 

「そこ、問題発言」

 

「問題発言だろうと、本音は本音さ。そして、至くんにまで嘘を吐いてもしょうがないだろう?」

 

「まあ、それはそうですけどね」

 

ばれる嘘とか無駄だしね。

 

「僕、美少女の身体と、エロゲーの美少女の反応は好きだけど、現実の美少女の中身は完全に好きにはなれないんだよね」

 

「あ、それは初耳」

 

「だってほら、創作と違って、可愛いげのなさが可愛くないだろう?」

 

「まあ、その辺は創作ならではですよね」

 

可愛くない反応の中に可愛いげがあるのは、男の制作者が男が好む可愛いげの分量を理解しているからって部分が大きい。巧い女の人もその辺は分かるんだろうけど、流石に子供に求めるものじゃないか。

 

「その辺は洗脳すれば簡単に解消出来るは出来るんだけど、流石にロリコンを自認する僕としてはそれはどうかとも思うしね」

 

「所長って変なところで節度が顔を出しますよね」

 

無いよりは良いんだろうけど、節度が今一歪なところがある。

 

「そういう訳で、至くんが美少女になって相手してくれるなら、僕としては万々歳だね。そうだ、至くん。僕と身体交換しないかい?」

 

「おい」

 

ほら、こういう所とか。

 

「冗談だよ至くん。流石の僕でも親愛なる君をおもちゃにする気はないよ。君とは同じおもちゃで遊びたいのであって、間違っても君で遊びたい訳じゃないからね」

 

「信じますよ?」

 

割りと本気で。

 

「ま、話を戻すと、変身願望ありきで女の体になった奴と、この世のありとあらゆる美少女でオナり尽くした結果、より満足できる美少女を求めて美少女の身体になった僕とではスタンスが大分違うってことさ。僕にとって美少女化は手段であって目的じゃない。だから、もし理想の美少女が目の前に現れたら、僕はすぐにでも男に戻るだろうね」

 

「成る程ね……」

 

何となく最後の一言で所長の身体に対するスタンスが分かった気がした。所長にとって、今の身体は様々な感情の妥協点なんだろう。そう考えると、子供の体格におっぱいだけが大きいアンバランスなチョイスも、何となく所長の妥協点を浮き彫りにしている気がした。

 

「感情的に男だから、下着とかその辺で女物を着ける事に抵抗があるってことか」

 

「そーゆーこと♪ パンツなんか、程好くぶらぶらして、適度に落ち着かせてくれるトランクスが個人的には一番気に入ってたからね。ガラパンじゃないと寝られないんだ♪」

 

「割りとノーパンのことも多かったですけどね」

 

「アイアムノットブリーフ派」と笑う所長に肩をすくめると、それがおかしかったのか、所長はけらけらと笑うのだった。

 

 

 

 

因みに、買い物自体は前振りのやり取りはなんだったのかといわんばかりにあっさりと終わった。しめてお徳用のトランクス三枚入りを3セット。

 

「ありがとうございましたー」

 

間延びした店員の声を背中に、自動ドアを抜けるも、まだ入店して十五分も経っていなかった。うーん、

 

「所長」

 

「なんだい? 至くん」

 

「これ、遊びにきたって言えますかね?」

 

今更ながらにパンツ買うとか、レジャーからは程遠い訳で。

 

「僕は中々に楽しかったぜ?」

 

だが、むふふっと笑った所長は、実に楽しげに口角を持ち上げた。

 

「ほら、女の子連れでパンツ買わせるのって、コンドーム程ではないにせよ、エッチな買い物させる羞恥プレイに似た所があるだろ?」

 

「おい、こら」

 

僕をおもちゃにする気はないんじゃなかったのかと。

 

「おもちゃじゃないよ。性欲の対象さ♥」

 

「もっと悪いわ」

 

というか、ホモじゃなかったんじゃないの?

 

「勿論、単に今の至くんに性欲を抱いている訳じゃないぜ? こう、目付きの悪い猫背気味の美少女になった至くんが死んだ目で僕のパンツを買おうとしている姿を想像して……むっふふふふ」

 

「……」

 

あまりのおぞましさに、僕は思わず右手の拳を振り抜いた。ひょいっとしゃがんで避けた所長はけらけらと笑いながら走って逃げ出した。

 

「至くんは僕以外の誰よりもよく知っているだろうけど、僕は構ってちゃんなんだ!! だから、こう至くんに構って貰いたくなるわけだ!!」

 

「……」

 

叫びながら距離をとった所長が、交差点を駆け抜けてくるりと振り返った。その顔に浮かんだ笑顔は実に無邪気な、それこそ、本当に外見通りの美少女と錯覚してしまいそうな、そんな笑顔だった。

 

「大好きだぜ至くん♪ 構って構われたくなるくらいにさ! 僕はナルシストじゃないけれど、自分勝手で自分の自由第一な魔法使いだから、君への親愛は多分に自己愛を含んでいる! けれど、君は僕で、僕は君だ。だから、僕は世界で一番()を愛してる!!」

 

高らかに叫ぶのは良いんですけど、恥ずかしくないですか? それ!

 

「恥ずかしいけれど、僕はMもこなせるから全く問題ないとも」

 

けらけらと笑った所長が、しかし、次いでにまーっという笑顔を浮かべてきた。…………嫌な予感しかしないんだけど。

 

「因みに!」

 

「……」

 

そして、その予感は嫌な方向に、即座に的中した。

 

「今回は特別に至くんと遊ぶために、認識阻害は完全に切断しているからね♪ 同じ魔法使い達から『口から先に生まれてきた糞野郎』と呼ばれた僕の口を塞ぎたければ、この六伏コランを物理的に捕獲してみせることだ☆」

 

「……おい」

 

「はっはっはっはっは!!」

 

そう言って、実に愉しげな、そして、それ以上にサディスティックな笑みを浮かべて、所長は脱兎のごとく駆け出した。

 

周りを見ると、(中身を加味しなければ)美少女に白昼堂々とバカップルと呼ばれる人種ですらしない、愛の告白(なんてものではなく、実際はお遊び混じりの爆弾投下)をされた僕に刺すような視線が注がれていた。あー、うん。成る程ね。これ、所長を捕まえないと、今後ろくに外も出歩けないと……。

 

「生爪を剥ぎます。一枚一枚、丁寧に」

 

内心を繋ぎ、百メートルくらい距離を稼いだ所長に、直接宣言すると、慌てた所長がその場で土下座を始めた。すぐに追い付いた僕は、事務所にあった工具の中で一番適切な道具は何れかを考えながら、

 

「ぐへぇ!?」

 

土下座する(外見だけは)美少女の後頭部に渾身のニードロップを見舞ったのだった。矢鱈と良い天気な秋空に中指を突き立てると、腕時計の二本の針が丁度午後1時を指したところだった。

 

 

 

 

 




鈴笛至
所長とはプライベートでは友人同士にランクアップした
あのコランと付き合っていけるだけでも、実は割りと凄い男なのかもしれない
パンツは普通にトランクス派。但し、コランみたいなコテコテの縦縞トランクスは履いていない
というか、あの柄は量販店でも見た記憶がない

六伏コラン
ぼっち。友達が居ない。付き合っていると疲れる
構ってちゃんで構いたがり
今でもちんちんの感覚が残っているせいで、パンツは男物のトランクス派
ちんちん男の証
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