ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン

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さて、次は旧校舎での会話です。


2 転生天使とイルマ眷属

 

「と、言う事でイルマ・グラシャラボラス眷属の有志のみんなと、紫藤イリナさんよ。あなた達の転入を歓迎するわ」

 

 放課後、オカルト研究部に集まった関係者各位が、イルマ達を迎えていた。

 

「はい、初めましての方もいれば、再会した方も結構多いですね。教会―いえ、天使様の使者として、この駒王学園に派遣されました!」

 

 イリナにぱちぱちと拍手が向けられる。

 

 そしてそれに続いて、イルマを一番前にして、イルマ・グラシャラボラス眷属も一礼する。

 

「はーい! ビッチまっしぐら次期当主代理、イルマさんと愉快な仲間達です! 大王派からのスパイとかじゃなくて、牽制及び外交官って感じでっす!」

 

「「「はい、そういうこと言わない」」」

 

 後ろから三連続でハリセンが叩き込まれた。

 

 大して効いてないようだが、しかしイルマは頬を膨らませながら後ろの眷属三人をジト目で見る。

 

「ぶー。どうせ疑われるんだから、はっきり言った方が角が立たないじゃんかー」

 

「本命は別にありますでしょう? それをしっかり告げなさいな、イルマ」

 

 カタナがそう言ってたしなめると、一歩前に出てイッセーとリアスに視線を向ける。

 

「……厳密には、ブルノウ様はリアス様と赤龍帝の二人と接点を作りたいとのことですわ。政治が絡まない限り積極的に協力するようにとのことですので、何かありましたら是非ご相談くださいませ」

 

「ま、三大勢力和平成立の地に大王派の影響力とかも入れたいんだろうけどな。あの人結構えげつない手とかも使うからよ」

 

「せやねぇ。魔王派とのパイプ作りにも余念ないし、その辺とかも考えとるんとちゃう?」

 

 後ろで鶴木とリスンがそう言っているが、しかし本気そうには見えなかった。

 

 リアスはそれに苦笑する。

 

 ブルノウが何を考えているかは分からない。実際、その全ての理由が納得できるような人物ではある。

 

 だがしかし、彼は不必要に足並みを乱すような人物ではない。そうでなければサーゼクス達も許可を出さないだろう。

 

「まあいいわ。私としても、ブルノウ様とのパイプが繋がるのは良い事だもの。ソーナはそれでいいかしら?」

 

「ええ。でも一応の事もありますので、一応オカルト研究部に在籍してくださいね」

 

 リアスに同意を示しながら、ソーナは念の為の釘をさしておく。

 

 今後悪魔として活動する事もある以上、リアス・グレモリー眷属そのものであるオカルト研究部に所属させるのが一番だろう。そういう冷静な判断だ。

 

 それに対して四人は納得を示すが、しかしカタナがふと気づいた。

 

「……乗馬部があったら兼任してもよろしいでしょうか?」

 

「残念。そもそもないわ」

 

 リアスが苦笑しながらそう告げると、カタナは肩を落とした。

 

 イッセーが首を傾げると、鶴木が苦笑いを浮かべながらカタナを指さす。

 

「フールカス家は馬に縁がある元七十二柱だからな。カタナは馬の調教が得意で、俺らはカタナが調教した馬を使い魔にしてんだよ」

 

 そう言いながら、鶴木はカタナの肩に手を置いた。

 

「元気だしなカタナ。日曜日とかに馬見に行けばいだろ? 付き合うぜ?」

 

「う~! 鶴木は本当にいい子ですわー!」

 

 涙目のカタナが鶴木に抱き着いて頬ずりする。

 

 その瞬間、イッセーから嫉妬の視線が出てきた。

 

 カタナ・フールカス。出るところは結構出ている体型で、控えめに言っても凄い美少女である。

 

 とはいえ、今はそれより先に気にする事があった。

 

 イッセーは一瞬視線をイリナに向けるとゼノヴィアに小声で尋ねる。

 

(……ゼノヴィア、イリナって、神の死とか知ってるのかな?)

 

(……少なくとも、私と別れた時点では知らない筈だ)

 

 ゼノヴィアが悪魔に転生した理由は、コカビエルとの戦闘でコカビエルが聖書の神の死をばらしたからである。

 

 それで信仰の根源がなくなった事で、ゼノヴィアは戦意喪失するほどのショックになった。

 

 結局、それが終わってからゼノヴィアは教会を去る事になった。教会としても聖書の神の死を知る者は、神が残したシステムを不調にさせる原因になりかねないので、できる限り教会から離すべき案件でもある。如何に伝説の聖剣の使い手とはいえ、一悪魔祓いであるゼノヴィアが知っていい情報ではなかった。

 

 故にゼノヴィアはデュランダルごと追放。その勢いで彼女はリアスの眷属になった。

 

 イリナとはその時に喧嘩別れになったとも聞いている。イリナは戦線離脱していたので、聖書の神の死を知らなかったから理由が分からなかったのだ。ただ、ゼノヴィアとしてはイリナが知ったら精神の均衡を崩しかねないとして、そこだけは安心していた。

 

 しかし、アザゼル・オカ研・生徒会といった聖書の神の死を知るメンバーがゴロゴロいる環境かだ。隠すのは結構大変ではないだろうか。

 

 そして、イッセーはふと気になる事に気づいた。

 

(……っていうか、イルマさん達って知ってるのかな?)

 

(どうだろうな。リアス部長達も知らされてなかった事だしな)

 

 そこに関してもどうだろう。

 

 別にこっちは知っても大騒ぎにはならないと思うが、知っているなら知っていたで、イリナと迂闊に接触させるわけにはいかないかもしれない。

 

 イッセーは真剣にどうしたものかと考え―

 

「で、聖書の神の死に関しちゃ、流石に外部スタッフには伝えないようにな。流石にそこまで厳選出来ちゃいねえからよ」

 

 ―アザゼルがイリナ達にそう指示を出した。

 

「ちょぉおおおおおおおおお!? 先生、いきなり何を言い出してるんですか!?」

 

 人が心配しているところに、何を言っているんだこの駄天使。

 

 心の底からイッセーはツッコミを入れるが、アザゼルは呆れ顔を向けた。

 

「あほ。駒王学園(ここ)は三大勢力和平の地っていうある意味重要地点だぞ? 周辺担当のサポートスタッフならともかく、ここに直接派遣される三大勢力の代表格は知ってねえ方が問題だろうが」

 

 言われてみればその通りである。

 

 しかし、ゼノヴィア曰く「イリナが聖書の神の死を知ったら、精神の均衡を崩しかねない」という判断だ。

 

 実際信仰心はかなり強いし、反動も大きそうで心配である。

 

 不安げな表情を浮かべるイッセーだが、そんなイッセーにイリナはにっこりと笑う。

 

「総督の言う通りよイッセー君。ええ、私はミカエル様に選ばれる時にしっかり教えられているわ」

 

 その言葉に、イッセーとゼノヴィアは少しほっとした。

 

 特に付き合いの長いゼノヴィアは、むしろ意外そうな表情すら浮かべている。

 

「驚いたよ。イリナが何のショックも受けずにここに来ているとはね」

 

 その感心の言葉を聞いた瞬間、イリナは硬直した。

 

 そして一瞬でゼノヴィアに詰め寄ると、大粒の涙をこぼし始めた。

 

「ショックに決まってるじゃなぁあああああい!!! あらゆるものの父たる主が死んでるなんて、ショック以外の何物でもないじゃない!! 一週間寝込んでからここに来たのよぉおおおおおお! ああ、主よぉおおおおおお!!!」

 

 絶叫しながらテーブルに突っ伏すイリナに、大半が少し引いた。

 

 どうやら、結構前に教えられていたらしい。そして相当の間引きずっていたらしい。

 

 どのタイミングで教えられたのかは分からないが、この様子では和平が結ばれてからかなり早いタイミングで教えられたからこそこの時期にこれたのかもしれない。

 

 そしてイリナが号泣している中、とりあえずの情報共有をしようと判断したのか、リスンが苦笑いを浮かべながらリアス達に向いた。

 

「ちなみにウチらはイルマ姉さんから少し前に聞かされたわ。確か、アイネスさんは眷属になったときから聞かされたとか言うとったな」

 

「うん。イルマさんとスメイガは伯父様からだいぶ前に教えられてるじゃん。ちょっと会議的な事あってね。アイネスはイルマさんの眷属になった時にその第二弾的な感じで」

 

 イルマはそう言いながら、リスンを抱き寄せると頬ずりする。

 

「いいタイミングで言ってくれたねー。リスンはそういうの得意だから助かるじゃんか」

 

「イルマ姉さん。年齢大して変わらんのやから、あんまし年下扱いせんといてーな」

 

 リスンは恥ずかしそうにイルマから離れたがっている間に、イリナは何とか復活した。

 

 何時の間にか、ゼノヴィアと共にアーシアと友情らしきものを育んでいる。

 

 何やら微笑ましい光景にイルマがほっこりしながら、しかし首をひねった。

 

「あれ、でもイリナちゃんがここに来たのって、要は三大勢力で重要地点のここのバランスをとるって感じでいいんだよね? 大王派(うち)の表向きの理由みたいに」

 

 その言葉に、イリナは頷いた。

 

「ええ。ミカエルさまは三大勢力和平の地であるここに、天使側から誰も来てないのは深刻だと懸念されておりましたから」

 

 確かに正論である。

 

 三大勢力和平の地というこの地は、精神的な意味で三大勢力にとって重要拠点だ。

 

 しかも魔王の妹二人が在学し、堕天使に至っては総督が来ている。一応バックアップスタッフは三大勢力から来ているが、それはあくまで周囲を含めたサブメンバーだ。

 

 そういう意味では。天界・教会勢力からも人員を送っておいた方がいいのは当然だ。

 

 だがしかし、一つ疑問がある。

 

「えと、イリナちゃんって教会の筆頭戦士とかそんな感じなの? なんかイッセーくんの知り合いっぽいけど、権威的なのもないと色々うるさいのが逆に突っかかってきそうだけど?」

 

「イルマ姉さん、悪魔側の筆頭はぜったい大王派(ウチ)だぜ? ブーメランじゃね?」

 

 鶴木の指摘ももっともだが、確かに懸念材料だ。

 

 三大勢力和平の地。魔王の妹にして輩出家系の次期当主が眷属込みで二組が生徒として所属。そして堕天使総督が教師として所属。そこに縁づくりの一環として、大王派有力者の銘にして、魔王輩出家系の次期当主代理も眷属数名とともに転入。

 

 これに対するバランサーとして派遣された天界・教会スタッフがイリナである。

 

 悪魔と堕天使側のそうそうたる面子と釣り合いをとる為のスタッフである以上、送られてくる人物には相応の立場が求められる。天使でも上位階級が必要だ。教会関係者なら、それこそ枢機卿クラスが必要だろう。

 

 言っては何だが、若手聖剣使い程度で務まる役職とも思えなかった。

 

 しかし、イリナはそこで凄く得意げな笑みを浮かべる。

 

「ふっふっふ。安心しなさいそこな人! 今の私は文字通り新生したのよ!」

 

 そう告げ、そしてイリナは両手を組んで祈りを捧げる。

 

 その瞬間、背中からまばゆい光とともに一対の白い翼が生えてきたのだ。

 

 その光景に大半の者が驚く中、アザゼルは感心の表情を浮かべながら頷いた。

 

「まさか、転生悪魔の技術を応用した転生天使ってことか?」

 

「はい! 悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の技術をベースに、トランプを参考にした御使い(ブレイブ・セイント)といいます。十四柱のセラフの方々を王として、試験的に編成されました」

 

 そう告げるイリナの手には、Aの文字が輝いている。

 

 トランプを元にしているという事は、おそらく(エース)という事だろう。

 

 そんなイリナをしげしげと見つめながら、アザゼルやイルマはふんふんと頷いた。

 

「なるほどな。おそらく神の子を見張る者(グリゴリ)が提供した人工神器の技術も取り込んでるな。トランプ主体ってことは駒による能力強化じゃなく、役による集団強化とか、特別戦力としてのジョーカーとかも考えられるな」

 

「王を除いた十二枚は、聖書関係だと十二使徒ともかけてるのかもね。でもAってことは結構期待されてるのかね、イリナちゃんは」

 

「そこは私も疑問なのよねぇ。でも、この名誉があれば死んでも後悔はないわ! これからはミカエル様への信奉を糧に生きていくのよぉおおおお!」

 

 微妙に変な方向に暴走している気がして、何人かが心配していた。

 

「おいおい、大丈夫かよ」

 

「自分を見失うよりかはまあいいだろう」

 

 と、付き合いがあるイッセーとゼノヴィアが言い合う中、イリナはそれに気づかず話を続ける。

 

「あとミカエルさまは、転生悪魔と転生天使の異種混合戦も見据えていらっしゃるわ。御使いの制度も将来的に上位天使様達全員に行き渡らせて、レーティングゲームのように盛り上げたいっておっしゃっていたの!」

 

 壮大なミカエルの計画に、アザゼルとイルマは再び感心する。

 

「ま、長年いがみ合っていた関係だから急な和平に不満も出そうだしな。そういう鬱憤晴らしや、相互理解の為にゃ最適か。人間界のオリンピックみたいな代理戦争になりそうだな」

 

「あ、それいいかも。伯父様とか「レーティングゲームの映像は入手しやすいから、敵対勢力に手の内が知られやすい」って不安視してたし、いっそのこと和平結んだ勢力全部を巻き込ませるような大改革とかした方が、情報戦的には良さそうじゃん?」

 

「中々凄まじい懸念をしているわね、ブルノウ様は」

 

 リアスがブルノウの不安に若干引くが、しかしレーティングゲームのグローバル化は夢が広がる内容ではある。

 

「異種混合戦とは楽しめそうですね。対神戦術を考えるのは楽しめそうです」

 

「きょ、教会を相手にするのはちょっと怖いですぅ」

 

 戦術で事実上の金星を上げたソーナと、まだ吸血鬼とは敵対している教会に恐怖するギャスパーが対照的な意見を漏らす。

 

 そしてそこから、レーティングゲームの話題を中心として盛り上がりながら、転校生達の歓迎会が行われる。

 

 それを楽しみながら、同時にイルマはブルノウの話を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは私の勘だが、おそらく禍の団との戦いにおいて、兵藤一誠は一つの特異点になるだろう」

 

 そう告げるブルノウは、静かに窓の外を見る。

 

 それは何となく気を落ち着かせる為なのかもしれない。だが、同時に遠くを見る事で何かを見据えようとしているのかもしれなかった。

 

「かつて三大勢力の共闘という、当時の誰もが考えもしなかった事態を引き起こした要因が二天龍だ」

 

 そう、二天龍はそれだけの事をした。

 

 当時総力戦の真っただ中だった三大勢力は、しかし喧嘩のついででそれに割って入った二天龍を止める為、手を取り合った。

 

 その結果として二天龍は倒され、魂を神滅具に封印される事になる。

 

 しかし全くこりていなかったのか、宿主までもが激突を繰り返し、地形を変えた事も一度や二度ではない。

 

「その二天龍が、和平を結んだ駒王会談のきっかけに深く関わり、そして駒王会談で激突した」

 

 駒王会談のきっかけとなった、コカビエルの暴走。その過程において今代の二天龍は初の出会いを遂げた。

 

 そして駒王会談において、赤龍帝である兵藤一誠と白龍皇であるヴァーリ・ルシファーは一度激突した。

 

 だがそれは、裏を返せばすぐには激突しなかった事でもある。

 

「今代の二天龍は異端なんだ。出会えばその場で殺し合いが勃発していると言ってもいいのに、見方によっては共闘一歩手前の出会いを果たしている」

 

「まあ確かに、貢献度は段違いですが共闘ですね」

 

 スメイガはブルノウの意見に賛同する。

 

 赤龍帝は主と共にコカビエルを迎撃し、そして白龍皇がそのコカビエルを鎮圧した。

 

 事実上負傷はさせたが、終始手加減されていた赤龍帝。そして不意打ち気味だがそれを一蹴した白龍皇。

 

 どれだけ役に立ったかでいえば雲泥の差だが、確かに共闘といえば共闘だろう。

 

 これまでの二天龍の関係から言って、これは異例以外の何物でもない。

 

「確か、アザゼル総督は「白は力を、赤は女を」と今代の二天龍を評していたそうですね」

 

 アイネスは、会談がらみに資料で見たアザゼルの発言を思い出す。

 

 そう、今代の二天龍はお互いの決着に対する意識が薄い。

 

 目の前の赤龍帝を蹂躙するチャンスを、むしろライバルに歯応えがない事を残念がった、白龍皇ヴァーリ・ルシファー。彼は初激突で一矢報いたイッセーの成長を期待してはいるが、アースガルズの神々との戦闘など、強者との戦いそのものを熱望して禍の団に鞍替えした。

 

 赤龍帝である兵藤一誠に至っては、そもそも強敵との戦い事態を忌避している節がある。ハーレムを作る事を第一義としており、それもレーティングゲームや悪魔の契約などで叶えるつもりで、命がけの戦いそのものを楽しむ気質が薄い。

 

 双方ともに共通しているのは、お互いに対する執着心よりも優先する事があるという事だ。また、何らかの形でルシファーに縁があるという事だろう。

 

「ルシファーのひ孫である白龍皇。ルシファーの妹を主に持つ赤龍帝。彼らはこれまでの二天龍に比べると明らかに異端だ。それが、この世界を急激に動かす二つの大きな二大勢力に所属している」

 

 和平を結び、そしてその波を広げようとしている三大勢力の若手悪魔。リアス・グレモリー眷属に赤龍帝。

 

 世界最強の存在が率い、世界に破壊と混沌をまき散らそうとしている禍の団の愚連隊。ヴァーリチームに白龍皇。

 

 ただでさえ急激かつ大きな変化を生み出し、相乗効果でお互いを激しく燃え上がらせかねない二つの大きな勢力の誕生。

 

 そのお互いに、ただでさえ大きな影響を与える二天龍が所属。その上双方ともにこれまでのパターンから外れているイレギュラー。

 

 それについて考え、イルマは頷いた。

 

「うん。間違いなく何か起こりそうですね」

 

「そういう事だ。はっきり言って、できる事なら近くに誰かつけておきたい」

 

 ブルノウの懸念も納得だ。

 

 世界を大きく動かす前代未聞の二大勢力に、異例極まりない二天龍がそれぞれ所属している。

 

 二天龍が決着をつける時が、相乗効果で膨れ上がった二大勢力によるハルマゲドンになるかもしれない。

 

「先ほども言ったが、「君主は運命の変転には備えなければならない」。私は君主ではなく盟主だが、出来れば接触可能な赤龍帝にはある程度の渡りをつけておきたい」

 

 白龍皇に渡りをつける事は不可能だ。彼は禍の団に所属している。

 

 そんな彼に接触するのは自殺行為だ。反逆者として冥界を敵に回しかねないし、そもそもブルノウ達の性質的に彼のような気質の物はあまり好めない。

 

 ならせめて、赤龍帝には誰かつけておきたいのだ。

 

「年代、実力、人格の三つを考慮して、かつ縁のある君が適任なんだ。……それに、懸念材料も一つある」

 

「と、いうと?」

 

 ブルノウの言葉にアイネスが尋ねると、ブルノウは肩をすくめた。

 

「……ベルゼブブ輩出家系アスタロトの、ディオドラが日本に向かう準備をしていると聞いたよ。……案外、彼らも同じ事を考えているのかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このミーティングにおける推測で、最も的外れなのはこの推測だった。

 

 ブルノウ・バアルも完全な存在ではないという事ではあった。




 この時点において、ブルノウは「ディオドラも駒王学園に興味がありそうだ」といった感じでしか見ていません。 彼も完ぺきではないので、勘違いすることも多いのです。









さて、次でようやくイルマたちの事情が明かせます。

そしたら次はサーヴァント風ステータスの大規模更新になる予定ですね。

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