ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン×グレン

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……設定の仕立て直しに機能帰ってからの時間を全部使ってしまった


7 ビッチなイルマお姉さんの、ドキドキ神霊髄液講座。―だれか、イルマさんに仕事をください(涙

 

 ディオドラ・アスタロト。

 

 アスタロト家の次期当主。そしてシーグヴァイラ・アガレスを下すほどの戦闘能力を個人で持つ、実力者。

 

 彼は駒王町に移動する手はずを整えていた事が判明しており、何かしら接触する事は想定されていた。

 

 この件において、ブルノウは一つ予想をしていた。

 

 それは、ディオドラ・アスタロトが駒王学園に転入する可能性だ。

 

 グラシャラボラス家次期当主代理のイルマも転校する事は確定していた。その矢先にこれだ。

 

 おそらくブルノウが想定する最高の結果は、これいよって現魔王輩出家系の連携をとることだろう。

 

 政治派閥的にはイルマは敵だが、私人として気の良い付き合いをするなとは言われていない。その辺りをしっかり分ける事ができるのなら問題ない。

 

 また、現四大魔王が全員フリーダムな性格をしている影響で、その家族には真面目な者が多い。

 

 イルマは現アスモデウスであるグラシャラボラス本家のファルビウム・アスモデウスの直系の家族ではないのでビッチだが、それでも善良だ。

 

 だから、四人とその眷属が仲良くする事が理想だったろう。

 

 しかし、彼は決して完全無欠の存在ではない。想定が外れる事などいくつもある。

 

 いずれ彼の跡を継ぐスメイガの直轄部隊となっている、諜報工作部隊「歩き巫女」によって、アスタロトの本家が、本来のグラシャラボラス家次期当主に何かした可能性が出てきた。

 

 そしてそれに探りを入れようとしたイルマ達だが、しかし既にディオドラは帰ってしまった為それは失敗する。

 

 ……が、不安材料は更に増えた。

 

 ディオドラがリアスに持ち掛けたのは、自分の僧侶(ビショップ)のどちらかとアーシアとのトレードだ。

 

 トレードそのものは珍しい事でも何でもない。最近フェニックス家の才児ライザーが、頼み込んで僧侶にした妹のレイヴェルを母親の未使用の駒とトレードした。そも、上級悪魔で眷属を強化するといえば、権力や財力を利用してのトレードによる人材交換が主流だ。

 

 だが、懸想している相手をトレードで手に入れようとするその行動に、リアス達は嫌悪感すら示した。

 

 そもそもアーシアはディオドラの告白に了承していない。了承する事があり得ない事を差し引いても、ディオドラの行動は少々強引だろう。

 

 しかし、ディオドラはこの火種に油を注ぎ込んだ。

 

 次のレーティングゲームで自分とリアスが戦うのを良い事に、どちらが勝つかという賭けの商品としてアーシアを指定したのだ。

 

 ……何事にも例外はある。真面目な弟妹ばかりではないという事か。

 

 その場で殺し合いが勃発してもおかしくなかった。実際、イッセーはディオドラに掴みかかった。

 

 そしてここで、ディオドラはにこやかな笑顔のまま「下賤な下級悪魔に触れられたくない」と毒を吐く。

 

 まあ、由緒正しい上級悪魔ならそういうセリフを吐く事は想定内だが、色んな意味でタイミングが悪い。実際、アーシアは珍しく怒りを露わにしてディオドラを叩いたという。

 

 それにも関わらずディオドラはアーシアに愛の言葉を吐き、そしてイッセーを倒すと告げて変えていった。

 

「ディオドラ、許すまじ……」

 

 書類を確認してサインを書きながら、イルマは心底から怒りの表情を浮かべる。

 

 書類仕事の為、リアス達がボードゲームから誘いを受けたが断って仕事をしていた。鶴木達には参加を許可しているので、今頃楽しんでいるだろう。

 

 そしてそれはともかくだ。今回は非常にグレモリー眷属のストレスを高める結果になった。

 

 結果として、日本でも有数の神道の名門の娘と世界でも有数の伝説の聖剣の力と龍種でも有数の偉大なる二天龍の特性が融合した、世界でもトップクラスの清めの塩が撒かれる事になる。

 

 ……ディオドラに詰問するべくドアを開けたイルマ達に、それが襲い掛かったのだ。

 

 真剣に死ぬかと思った。断末魔を上げて、即座にアーシアの治癒の力と自分達の治癒魔術を使用する羽目になった。ディオドラに対する敵愾心が、凄い勢いで上昇したのは言うまでもない。

 

 むろんその旨はブルノウにも連絡している。

 

 だが、ブルノウからはこう指示が来た。

 

―追加指示がくるまで、ディオドラを刺激する事は禁止。事情は追って連絡する。

 

 どうやら、ブルノウの方でも何か動きを察知したらしい。

 

 歩き巫女達は、部隊長であるボウゲツの主であるスメイガがリーダーだ。そしてこれは将来的にブルノウの跡をスメイガが継ぐからである。ゆえに、ある程度の命令権をスメイガも持っている。

 

 その過程で、何か動きがあったらしい。

 

 まあ、派閥が違う為若干動きが遅くなる事もあるブルノウ達でも警戒したくなる事態なのだ。魔王派や彼らと親密な者達が優秀な諜報部隊を保有しているのなら、同じように情報を掴んでも不思議ではない。

 

 そう思いながら書類仕事をしていると、ドアがノックされた。

 

「はーい! どうぞー」

 

「悪いわね。ちょっといいかしら」

 

 と、そこで何故かエロい妄想を掻き立てるコスプレをしたリアスが入ってきた。

 

 イルマは女子もいける口だが、しかしイッセーにぞっこんなリアスが誘惑するわけがないので、即座にスルーする。

 

 おそらく、イッセーに誘惑合戦でもしていたらヒートアップして鶴木の目を気にしなくなったのだろう。

 

 高ぶって我慢できなくなった鶴木がカタナにモーションをかけないかが心配だ。仕事は明日に回して今からゲームに混ざろう。

 

 リスンならまだいい。いや、個人的にちょっと複雑だが、リスンなら問題はないのだ。リスンの貞操観念が比較的高い方なので、そうなる可能性は若干低いのだが。

 

 しかしカタナは自分に匹敵するビッチだ。その理由を本人以上に理解している身としては、そしてその元凶である自分がとやかく言う気はないが、彼女が鶴木とそういう事をするのは止めたい。

 

 問題はないのだが、問題だらけなのだ。やるとするのならイルマ自身が二人を丸ごと食べる方向性なのだが、いろいろあってちょっと覚悟か決まらない。

 

 アイネスからは「いっそのこと、オリュンポスと同盟を結ぶという事で精神的言い訳をしたらどうだ? ほら、日本神話も和平に積極的だし」と言ってくれているが、その為には時間がある。

 

 精神の均衡を保てないので、後で鶴木を強襲して失神させる事にしよう。

 

 そう結論して、イルマはとりあえず言う事を言っておく。

 

「……普通に告白した方が手っ取り早くない?」

 

「何言ってるのよ。こういうのは告白されるからいいんじゃない」

 

 なるほど、乙女心は複雑怪奇という奴らしい。

 

 まあ、年頃の少女なら当然持っている感情だろう。そして、そういう事を大事にできる世界の方がいいのも知っている。

 

 だが、質の悪い悪意はこういう相手に牙を向く事が多いのが難点だ。

 

「……命がけの実戦するかもしれないんだから、告白する前に死んだり死なれたりするかもしれないじゃん? 縁起悪いこと言うけど、いつ死んでもいいように生きるって結構大事だとイルマさん思うな」

 

「……重いこと言うわね。前世の経験?」

 

 曖昧に笑って誤魔化しながら、イルマは書類を片付ける。

 

 まあ、どうせこの書類仕事は明日もやる予定なのだ。そして明日には余裕をもって終わる程度の量でしかない。

 

 で、ゲームに入る前にとりあえず入ってきた理由を聞くべきか。

 

「ゲームのお誘い第二弾? あ、ある程度できたから受けるけどね」

 

「それもあるけど、ちょっと急用が入ったの、その事について教えておかないとと思ってね」

 

 そういうと、リアスは戸惑った表情を浮かべる。

 

「……冥界でのテレビ番組に出演する事になっちゃったのよ」

 

 なるほど。十分にあり得る事だ。

 

 三大勢力の和平成立に一枚かんだ若手悪魔。

 

 最強の四大魔王であるサーゼクス・ルシファーの妹。

 

 そして、イベントとしてある程度は映像公開されている若手同士のレーティングゲーム。

 

 その全てにおいてちょっとしたゲストとして招く程度の価値がある。テレビ番組を作る側としても、リアスのような美少女が率いる美男美女の眷属をゲストにするのは価値があるだろう。

 

「OK! なら、留守はしっかり守っとくよ! どうせ明日は仕事の残りを片付けないといけないしねっと!」

 

 その返答に喜色を見せながら、リアスは何となく視線を書類の山に向ける。

 

 ……イルマは悪魔の契約活動を行っていない。

 

 駒王学園という表の活動場所を持っており、更に他にも二人の主と眷属悪魔の組み合わせがあるからだ。周辺の土地を細分化するにも限度がある。

 

 一応、悪魔の契約仕事としてはリアス・ソーナ両眷属で増援要請が出た時に出張る事になっている。しかしそんな保険程度で済ますわけにもいかない。

 

 なので、イルマは代わりとして「当主代理として当主の仕事を一部請け負う」ことが基本だ。

 

 学業は楽しんでいる。部活も充実している。そして時々性的にはしゃいでいる。

 

 だが、遊び惚けているだけでは断じてない。

 

 そんなイルマを、リアスは少し見直した。

 

「今週は大目ね。信頼されたという事かしら?」

 

 そう評価するリアスだが、しかしイルマは肩を落とした。

 

「……アイネスを説得しただけです。「馬鹿やった分のペナルティという事で! そう、仕事を増やすのがペナルティだから!」ってごり押しして本来の仕事量送ってもらいました」

 

 その言葉の意味を、リアスはすぐに理解した。

 

 つまり、普段はツヴェルフ・シトリーが仕事の殆どを代行しているのだ。

 

 そしてもう一つの真実も分かる。

 

 イルマは「説得」「ごり押し」「ペナルティという事で」と言っていた。その結果として、本来の仕事量を送ってもらっている。そしてゲームに誘われた時も、別段うんざりした様子はなかった。

 

 つまりツヴェルフ・シトリーによる当主代理としての仕事代行の更なる代行は、イルマにとって不本意なのだ。

 

「……主として強権でも振るったら?」

 

「無理無理。「指導者として適任なのは「有能な怠け者」。自分でないといけない事以外は、それ以上にできる者に命じられるのも立派な素質だ」と切り捨てられました」

 

 明らかに沈むイルマの反応からして、どうやら本当にツヴェルフの方が仕事ができるらしい。

 

 しかも言い分には一種の正当性がある。アザゼルも、若手悪魔のレーティングゲームでの(キング)の積極的戦闘参加に呆れていた。消極的だったソーナやトルメーの方を、王として評価していた節すらある。実際適材適所に人員を配置するのは当然だ。

 

 これで強権を揮えばむしろ無能扱いされかねない。主のハードワークを阻止する眷属の鏡とツヴェルフが褒められる可能性すらある。

 

「一応、「次期当主代理がする事に意義がある」タイプの仕事は送ってくれるんだけどねー」

 

「……裏を返せば、「やるのは別に誰でもいい」仕事は全部やってしまうってわけね」

 

 今回、体育祭で大暴れしようとした事によるペナルティという言い訳で、ツヴェルフは折れたという事だろう。

 

 たまにはやらせておかないと、むしろ反省しないでやらかすという脅しまでかけた可能性がある。

 

 そこまでしてまで仕事をやろうとするイルマを主としての意識が高いというべきか、むしろ「その手間が惜しい」と言わんばかりに粗方終わらせるツヴェルフの手際が恐ろしいというべきか。

 

「何をどうすればそこまで差が出るのかしら」

 

「相性のいい得物の差って事にしときたいけど、生憎地頭も場数も負けてるからねぇ」

 

 リアスに答えるイルマは、背中がすすけてそうだった。

 

「なにせ、神霊(ウォールメン・ハイドログラム・)髄液(アドバンスド)は魔術師としての才能が凄くないと使いこなせないから、更に差がねぇ」

 

「え? あれ、戦闘用じゃないの?」

 

 イルマの漏らした言葉に、リアスは首を傾げる。

 

 神霊髄液といえば、黒歌の毒霧を完全に防ぎ、同時進行で本体を見抜いて攻撃までしたあの液体金属だろう。

 

 それを使いこなせるのが何故デスクワークにまで使えるというのか。

 

 その疑問の意味を察して、イルマは指を立てて説明モードに入った。

 

「……ん~。ちょっと説明長くなっていいなら」

 

「気になってゲームを楽しめないから教えて頂戴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イルマさんの、ビッチビチ魔術師教室~。

 

 アイネスの愛用装備、神霊髄液《ウォールメン・ハイドログラム・アドバンスド》は、ルビに拡張(アドバンスド)とついている通り、元ネタがありじゃん。

 

 その名を月霊髄液(ウォールメン・ハイドログラム)。ツヴェルフ・シトリーの前世、アイネス・エルメロイ・アーチホールのボス、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが作り上げた魔術礼装っていうマジックアイテムの中でも、戦闘魔術としては最高の代物。

 

 これは、めっちゃ雑にまとめると形状記憶水銀。もの凄い量の行動パターンを記憶させて、必要に応じて魔術的にかけた高圧でその形状を千差万別に変化、攻撃・防御・索敵の全てを自由自在にこなせる万能武装。完全に趣味で作られた癖に、彼が持っていた装備の中じゃ最強。

 

 攻撃に使えば高圧水銀カッターで、分厚いチタンも細切れに! 防御に使えば全方位バリアで、しかも自動防御の反応速度は文字通り「マシンガン? 撃たれてから完全防御余裕でした」! 探索においても、1mm程度の隙間すら簡単に入り込む音波探知&熱源探知装置で敵を探し出す! 文字通りなんでもありな万能兵器!

 

 ……だがしかし、とある事情でこれだけで聖杯戦争のマスターを相手にする羽目になった彼は、この多機能性の根幹「水銀を高圧で操作する」に気づかれ、連鎖反応で構造上欠点をことごとく見抜かれた結果、最終的に惨殺される事になったんだよ。

 

 で、神霊(ウォールメン・ハイドログラム・)髄液(アドバンスド)は「武器としての」月霊髄液の改良型。なんでもエルメロイ復興させた人達も改良したけど、神霊髄液は「戦闘特化」で改造して、生き残りの人は「自立動作」を中心に改造してるから、別物になってるね。

 

 まあその辺は余談だから、神霊髄液の説明するね。

 

 改良点は大きく分けて二つ。

 

 一つは素材ね。月霊髄液はほぼ水銀。まあ、これでも水の十三倍重いからチート性能なんだけど、神霊髄液は一味違う。

 

 二つの世界の異能をフルに活用。比重がめっちゃ重いレニウムや、軽いけど超頑丈なオリハルコンを使ったアマルガムをベースにして、水の十七倍の比重にしてる。だから全能力が普通に使っても数段上。

 

 そしてもう一つは宝石粉末を取り込んだ事で使える、自動発動型宝石魔術。

 

 必要な時にこの宝石が瞬時に魔術を発動する事で、各種欠点を強引にカバーする能力があります。基本宝石魔術は使い捨てだから使ったら粉末補充する必要あるけど、それでも保険があるってだけでも段違い。

 

 因みに、これはクロックワークスの魔術師用装備の過半数が程度はともかく持ってるけど、ヒューズ機能があります。

 

 実はそのケイネスって人、「当時の技術じゃ超絶魔術じゃないと白兵戦だと防げない弾丸に、触れた魔術の魔力を経由して発動媒体をぶっ壊す能力を組み込んでぶっ放す」とか言うデストラップ喰らって魔術刻印をぶっ壊されたらしいんだよ。で、それ知ってるアイネスは保険もばっちり。

 

 そういう現象が起きる要素を徹底的に研究してパターンを記録。検出した瞬間に自爆して遮断します。

 

 ……で、ゴメン。此処までは実は一番肝心な説明に関係ない。

 

 あ、待って待って手に魔力込めないで! アイネスの努力を自慢したかっただけなの! 合金生成にはスメイガともう一人協力してるけど、神秘の秘匿って言う大原則があるから一部の情報しかない中で、月霊髄液の改良型作ったアイネスを褒めたかったの!

 

 で、話を戻すけど、その前身の月霊髄液。その世界の魔術師の集まり、時計塔の歴史に残る性能と機能美を誇ると言われています。

 

 そして、その中でも特に評価が高いのは、実は戦闘能力じゃない。

 

 考えても見て。超高速・超高圧・超精密な形状変化。それも「弾丸見てから防御余裕でした」なんて反応速度で。

 

 ……現代の科学技術で再現するとして、どんだけ凄いソフトとハード必須だと思う?

 

 そう、月霊髄液の最大の評価ポイントは、「戦闘時に使う10リットル」でそれだけの超絶行動を可能とする「演算能力」。ぶっちゃけ魔術版スパコンとしての能力が特に評価されてるんだよ。

 

 まあ、一流の魔術師(メイガス)はちょっとしたスマホ程度の芸当ならできるし、だから魔術師って基本的に科学を敬遠してるんだけど、それは別の話。

 

 ちなみに、復興したエルメロイの改良型は、そっちの方も改良してるそうです。疑似人格ある、会話できる、家事も少しはこなせる。あと映画見てそっくりさんの真似とかできるし、格闘技試合の実況も即興でこなせるとか無駄機能まで独自に作ったそうです。ツッコミどころ多いけど、要は水銀100%なのに視覚を再現してるって事だよね。ぶっちゃけ戦闘能力以外は完全に神霊髄液が負けてる。なんでも次期当主の護身用兼秘書として使ってるから、用途的にはピッタリな強化だよね。

 

 だけど、神霊髄液も戦闘特化ってだけで、元々月霊髄液が持ってる機能はほぼ持ってる。

 

 そしてもう一つ。実は神霊髄液は作成協力者のおかげで隠し玉があるんだけど、それ使うと再使用ができない。

 

 だからアイネスは、戦闘時に使う量はケイネスって人と同じで十リットルだけど、異空間に予備も含めてドラム缶一個分……200ℓだっけ? それぐらい持ってる。

 

 あ、それと不意打ち喰らった時の為に液体金属なのを利用して一リットルぐらい仕込んでて、匙君切ったのはそれだけど、これ余談じゃん。

 

 まあ、流石のアイネスも200ℓ全部使ったりとかできないけど、それでも演算だけなら100ℓぐらいはいけるわけ。

 

 ………魔力切れてすぐ失神していいなら、エシュロ〇だって引っ掻き回せるとか豪語してたよ。

 

 しかもアイネス、魑魅魍魎蠢き権謀術数渦巻く時計塔の政治にも関わってたから、そういうの凄く上手い。あと「魔術師は研究者が本文」だから、そっちの方が得意。

 

 だから、イルマさん仕事したいのにアイネスが一瞬で全部終わらせて来るから仕事したいのにできないんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……誰か、次期当主代理として月イチでいいから残業させてください。

 




 実はアイネスは「事務的な補佐官」という補佐官としてのポテンシャルにこそ本領を発揮するタイプです。というか、地震をそう定議しています

 魔術師を「貴族にして研究者」と痛感し、ましてやその理由が魔術界の神童であるケイネスの死によるものですから、ケイネスより魔術師として格下である自分ならなおさらと思っている節があります。レーティングゲーム的に言うなら、サポート型のウィザードタイプを当初の目標にしていました。

 ですが、それゆえに使用装備はかなりこだわっています。魔術師の力を宿したまま悪魔化したことを最大限に利用して月霊髄液を武装として選択し、更に発覚した欠点をつぶす努力までしました。そのため神霊髄液は武器としては月齢髄液の完全上位互換です。
 そして月霊髄液を主武装のベースにしたもう一つの理由が、月霊髄液が誇る演算能力。神霊髄液を演算に完全に割り振ったアイネスは、デスクワークにおいて規格外です。今後のブルノウの活動においても貢献する予定です。









 ただしその能力とイルマに対する過保護的な感情、くわえて統治者の資質における持論もあって、イルマの仕事を取りまくるという悪癖ができています。イルマとしては「当主代理としてやるべき仕事」はきちんとやりたいのに、アイネスが「当主代理という立場がが絶対に必須な仕事」だけ渡して全部やってしまうので、イルマは窓際一歩手前状態です。
 しかもイルマの魔術回路ではめっちゃ効率悪い方法を使わないと神霊髄液を使えないうえ、貴族としての教育期間の長さや資質もあって、デスクワークにおいてアイネスの足元にも及ばないから「私がやった方が早い」という意見に反論できません。

 そして、次から数話かけてそんなアイネスの過保護な理由が語られます。

 それが終わったらついにVS旧魔王派ですので、お待ちください。

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