ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲 作:グレン×グレン
だがしかし、最初の関門からしていきなり難易度マストダイ!!
放たれる弾幕が、追いすがる旧魔王派の悪魔たちを蹂躙する。
一発一発が上級悪魔の大技クラス。そして、その連射速度は秒速十発を超える。
制圧射撃ならぬ制圧砲撃というべき攻撃のせいで、中級下級の旧魔王派たちは近づくことすらできなかった。
そして、それをなすのは一頭の二角獣を乗りこなす一人の悪魔。
ユニコーンと対を無し、不純を司る馬であるバイコーン。それを従えるには、馬の調教において優れた能力を持ち、かつ貞淑さからほど遠いものであることが求められる。
元七十二柱の中で、馬を司る上級悪魔の血族。動物を支配して思い通りに操り使い魔とする、魔術師の特性を持った存在。そして、主の淫行に対して苦言を呈するどころか同伴してくれないことに文句をつける淫靡な少女。
カタナ・フールカスが
「駆けなさいませ我が愛馬、ノダチ! そして連装モードで吠えなさい、我が
そう吠えながらの乱射に、敵は接近したくてもできないものが大多数だ。
というか、上級悪魔が本気を出しても抜き打ちなどできない砲撃を、秒間十数発も打ち放つなど理解ができない。
しかも多少のインターバルは挟んでいるが、どうも砲身の冷却のためのようで魔力が切れる様子もない。息一つ切らしていなかった。
「な、なんだあの化け物はぁああああああ!?」
そう悲鳴を上げる者がいるのも当然である。
だが、それをかいくぐることができるだけの実力者も中にはいた。
弾幕は文字通りの制圧射撃で、とにかくばらまいているのが特徴だ。狙いをあえて付けないことで、広範囲に対する牽制を行っている。
故に、根性があれば突貫することは可能だった。
「おのれ、この薄汚い偽物にすがる連中がぁ!」
そして何とか砲撃をかいくぐり、そして上をとって攻撃を叩き込もうとしたその悪魔は―
「カタナに手を出すんじゃねえよ、チンピラ悪魔!」
即座に別方向からくる砲撃を回避する羽目になった。
そしてそれをなしたのは、一台のバイクを駆る一人の少年。
明らかに一品ものっぽいバイクに乗った少年は、しかしバイク故に両手が使えない。
なにせこちらは一応攻撃ぐらいはしているのだ。馬がある程度は自分で判断してくれるカタナ・フールカスはともかく、バイクでそれを回避するには両手による繊細な操作を必要とする。
が、それは腕が
今、彼の腕は四本あった。
背中から生える、一対の腕。それが交互に荷電粒子の弾丸を放ちながら、カタナを狙った悪魔を迎撃する。
狙いは甘いので回避こそできたが、しかしそれでもこちらをきちんと狙ってくるのでは意識を向けるほかない。
「カタナ! こっちも迎撃できる数には限りがあるんだから気を付けろよ!」
「わかってますわ、鶴木! ですが、あと少しで残敵は後退するのですから、ここがふんばりどころですもの!!」
「だったら貴様だけでもぉ!! 」
仲がよさそうな様相を見せる二人に、その悪魔はかなり怒り狂った。
いちゃつきというより家族のような掛け合いだが、男女の仲睦まじい様子は独り身にはきつい。
そして、彼は独り身だった。
その嫉妬の炎を燃やして、攻撃を叩き込もうとしたその瞬間―
「ほい、隙ありや」
―龍をイメージさせる魔力を身にまとった少女に殴り飛ばされて、その悪魔は地面にたたきつけられて失神した。
「せめて、一発でいいから殴りたかった。俺、彼女にフラれたばかりだったんだ………っ」
その後、捕虜になったときにそう漏らしたその悪魔は、尋問したものたちの好意でビフテキとワインを夕食におごってもらったらしい。
その尋問をした悪魔は、サーゼクスのシンパであったことがあだとなって、「魔王の落日」で立場が多少苦しくなっていた。しかも、それが原因でブルノウ派に鞍替えした彼女と喧嘩別れしたこともあって、人ごとに思えなかったのだという。
「ただいまイルマ姉さん。周りはカタナと鶴木が警戒しとるし、追いかけてきた連中は全員撃退もしくは追い払い成功や」
「ご苦労様じゃん! ほーれよしよしよーし!」
リスンはイルマに撫でられるが、それを気持ちよさそうに受け入れていた。
外見年齢を考慮しなければ親子のようなその光景を、しかしイッセーは認識している暇がなかった。
今イッセーたちは、巨大な馬車にのって突撃している。
目的地はディオドラが「そこでアーシアと契る」などとかほざいた神殿。距離にして後30kmといったところか。
走ったり飛んだりして向かうよりは体力の消費が少ないということで、万が一のためにブルノウが用意したらしい。
ちなみに、馬は全部カタナが調教したものだ。
イルマ・グラシャラボラス眷属の悪魔全員分が馬系統で統一されている。カタナの馬の調教センスは素晴らしく、さらに魔術的な使い魔の技術を教えたことで、すさまじい速度で馬を育てることができるとか。
「世が世ならライダーのサーヴァントになりかねん女だが、今はどうでもいいな」
そう告げたアイネスは、素早く神霊髄液を利用して一種のモノクロ映像じみた真似までして、わかりやすく説明してくれた。
曰く、ディオドラは禍の団に内通していた……どころか、かなり前から旧魔王派と接触していたらしい。
曰く、ディオドラはオーフィスの蛇によって強化されていた可能性が高い。シーグヴァイラの眷属相手に無双したのは、その力によるブーストと思われる。
曰く、旧魔王派はディオドラたち内通者の力を借りて、現魔王関係者の暗殺を行っていたらしい。グラシャラボラス本来の次期当主の事故死も含めて、かなりの数にかかわっているそうだ。というか、グラシャラボラス次期当主の死はディオドラが一枚かんでいることが断言できたとのことだ。
曰く、このレーティングゲームのゲストに各神話の神々がいることもあって、禍の団の旧魔王派は世界転覆の狼煙として現魔王派の関係者を中心に血祭りにあげるつもりでテロを起こしたらしい。
曰く、事前にディオドラを捕まえて阻止するよりもこのまま襲撃を誘発させて、迎え撃って禍の団最大派閥である旧魔王派を叩き潰す方が将来的なメリットがあると、アザゼルが提案。各神話勢力の猛者たちが乗り気だったこともあり、サーゼクスやブルノウが押し切られて、このカウンター作戦が発動したらしい。
曰く、元から禍の団との戦いを「短期間かつ高密度」と判断していたブルノウは、激化する前に若手に戦争の空気だけでも経験させ、かつディオドラと旧魔王派幹部が「若手眷属一チームをつぶすためだけに戦力を多めに割く」という馬鹿でなければしない、到底低いとしか言えない可能性の保険として、会合に参加した若手悪魔たちを招集。トルメーは戦力が強大なので本命の神々側につくことになったが、それ以外はリアス達の窮地に対する保険となるために参加してくれたこと。
曰く、さすがにあの質と量の併用は想定外だったので、伏札にする予定だった鳩羽の全力を開放したとのこと。こちらについてはすべて終わった後に改めてボウゲツとともに詳細を説明すると確約してくれた。
曰く、それと同時にブルノウは、ディオドラによる各種持ち出しをボウゲツが隊長を務める諜報工作部隊「歩き巫女」を指揮して確保しているらしい。ディオドラは禍の団に入ったとしても先立つものがないからいつか自滅するとのこと。
そして、これらはすべて余談である。
………最悪の情報は、ここからだった。
「………アイネスさん、イルマさん、リスン。マジなのか?」
イッセーは、震える声でそう確認をとる。
信じたくなかった。信じられなかった。信じることを拒否したかった。
元から、ディオドラはいけ好かなかった。
イケメンというだけで嫉妬心が出てくるのに、さらにアーシアを口説く間男。挙句の果てにこちらを見下しきっていた。
近いイメージとしては、リアスの婚約者だったライザーだ。あの男も最初はこちらを馬鹿にしてきた。
だが、今の話を聞いたらライザーに謝りたくなった。
あの男は、無様をさらしたイッセーに「お前はリアスの眷属である」ということを強調し、イッセーがさらす無様はリアスの無様にもなることを遠回しに伝えてくれた。リアスのためだとは言え、わざわざ教えてくれた。決闘したときも、こっちの覚悟と性能を理解して強敵だと認識し本気を出した。
だが、ディオドラは違う。
ディオドラ・アスタロトの眷属や周囲の使用人について調べた歩き巫女たちが、すべてを調べてくれた。
彼の眷属のうち、女性は全員が元シスターや聖女と称された人物。さらに家で囲っている使用人や愛人なども同様。それも、熱心な信徒や教会本部に近いものたち。
この露骨なまでの統一は、もはや趣味としか思えない。
さらにディオドラが保管していた手紙から、アーシアについて情報交換が旧魔王派との間で行われていたということが判明した。
そこに乗っていたのは、教会ですら当時はわかっていなかった、アーシアの神器の詳細情報。
アーシアの神器である
……簡単に結論は出る。
ディオドラは、信仰心の強い女性をたぶらかして手籠めにすることに悦楽を感じる外道であり、そのためなら自分に傷跡が残ろうとかまわない、趣味のために生きる、タチの悪い男だ。
そう、アーシアが追放されたのは、ディオドラ・アスタロトという一人の外道の悪意だということだ。
それを、三人は静かにうなづいて認める。
「裏は取れてるじゃん。……ブルノウ伯父様が、保護したディオドラが部下に連れ出させようとした、使用人の一人に尋問して聞き出し終わってる」
声のトーンが平たんな、怒り狂っていることが嫌でもわかるイルマの言葉がすべてを物語っている。
状況証拠も証言もそろった。さらに物的証拠まで
ある。
もはや語るまでもなく、ディオドラという男を許す理由はなくなった。
「………イルマさん。ディオドラは、一応今の魔王ベルゼブブ様の血縁者なんですよね」
「まあ、ベルゼブブ様は実家とは縁が薄いから大丈夫だとは思うけど、ルシファー様とは悪友らしいから、リアス部長の眷属なイッセーは殺さない方がいいじゃん」
イルマにそう言われて、イッセーもこぶしを握り締める。
思っていたのとは事情が違うが、しかしそれなら確かにディオドラを殺すのはまずい。
いろいろと主の兄であるサーゼクスがややこしいことになるだろう。それは、我慢しなければならない。
だが、イルマはこう続けた。
「でも(禁則事項)を引きちぎるのはイルマさんが許すじゃん。責任は全部イルマさんがとるって言うか、タマの片方はイルマさんが噛み千切っていいかな? あ、ちゃんと千切るときはつぶさずに、ディオドラの目の前でつぶすから安心して?」
「……すいません。ディオドラに同情したくないから落ち着いてください」
一瞬でディオドラに同情心が生まれてしまった。
よくよく見れば、イルマの目はいつの間にかまったく笑っていない。表情はこちらを和ませるためか笑顔なのが、余計に怖い。
全くよくわからないが、どうやらディオドラはイルマの逆鱗を踏み抜いているらしい。これはまずい。
ディオドラに対して手加減をしてしまうかもしれないという、とりあえず殺さない方が後々情報収集的に楽なので気にしなくてもいい不安を覚えたイッセーは、気合を入れなおす目的で神殿をにらみつけ―
「ん?」
アイネスのその声とともに、銀色の幕が目の前を覆った。
そしてその次の瞬間、それを突き破って矢じりのようなものが少しだけ姿を見せる。
三秒。イッセーは思考が停止した。
そして、全員が同じようにぽかんとなり―
「……一応、|神霊髄液《ウォールメン・ハイドログラム・アドバンスド》の自動防御を設定して正解だったか。まさかこの距離から正確に狙撃ができるわけもないし、おそらく牽制がたまたま命中コースだったのだろう」
アイネスはとりあえずそう結論付ける。
当然といえば当然だろう。
ここから神殿まで、まだ20kmを超えている。望遠鏡を使っても、そんな距離から離れている人物を見つけるのは容易ではない。馬車の中という物陰ならなおさらだ。
纏めて広範囲を吹き飛ばす砲撃なら、まあおかしくない。それならいい。
だが、狙撃で当てるなど不可能だ。
狙撃とくればゴル〇13とかが想定されるが、あんなものはフィクションである。
考えてみるといい。上級悪魔クラスの砲撃なら、砲撃の半径がメートル単位でしかも二けた以上だから当てるのもだいぶ楽だろう。だが、狙撃とは銃弾や矢である以上、半径に換算すれば大きめに見積もってセンチ単位で、しかも一桁だ。
それを当てるのがどれだけ大変かなど、言うまでもない。
人間世界でいうならば。狙撃銃による狙撃の場合、1kmも離れていれば人体のどこかに当てることができただけで奇跡なのである。
それが、20km先の地点から相手の頭を狙った狙撃など、できるわけがない。
「とはいえ、敵も迎え撃つ体制はできているというわけね。これは面倒だわ」
リアスはそう判断し、警戒心を強くする。
ディオドラに対する殺意は絶大だが、しかし警戒する必要が増えたことでそれを抑えるほかなくなってしまっている。
そも狙撃とは、確実に命中させる以上に「狙撃されている」とう事実を認識させることが重要なのだ。
そういう意味ではこの狙撃は確かに成功している。
―その認識は、あまりにも敵をなめてかかっていた。
「で、部長。とにかくディオドラの奴をどうするかですけど―」
ディオドラに対する怒りで、イッセーは狙撃が命中しかけた恐怖が薄かった。
そのため、すぐに動けた。リアス達のほうに近づきながら、身をひねらせる。
その瞬間、食い込んでいた矢がいきなり高速で飛んできて、イッセーの服をかすめた。
それに一瞬遅れて視線を矢が突き刺さっていた方向に向ければ、そこには新たに矢が突き出ている。
そう、それは漫画とかの超絶技巧で見たことがよくある内容だ。
狙撃で当てた弾丸に更に狙撃を叩き込み、防壁を貫通する神業。狙撃とか銃撃とかの使い手がやるタイプの超絶テクニックである。
「……ちょっとカタナに鶴木!? 敵確認してほしいんだけど!?」
思わずイルマが絶叫するのも当然だ。
いくらなんでもそんな超絶技巧。まだ十五キロ以上離れている場所からできるわけがない。
つまり、敵はもっと近いところからいるはずであり、すなわち二人が確認してくれないと困るのである。
だが、その二人は怪訝な表情を浮かべた。
「はい? 使い魔を放ってますけど何も見つかりませんわよ?」
「……双眼鏡で確認したけどよ、遺跡の入り口辺りに二人いるぐらいだぜ?」
その二人の返答に、誰もが絶句する。
何度も言うが、どんどん近づいているとはいえまだ十キロ以上余裕で離れている。
そして、面制圧で広範囲を吹き飛ばす「砲撃」ならともかく、一点収束でピンポイントで貫通する「狙撃」でそんな距離を当てるのは不可能に近い。
それが、一回当てた場所と同じところに当てる。それも、移動している馬車の中という、視認困難な場所でだ。
へたをすれば、イッセーもたまたま狙われたのではなく、禁手に覚醒した赤龍帝という最強格の戦力が視線をそらしていたタイミングを狙い、難敵をしとめるつもり可能性すらある。
断言してもいい。狙撃手は神域という領域を超えた、次元違いの化け物である。狙撃の神ならぬ狙撃の龍神だ。
「範囲砲撃! 一斉射撃であの辺りを吹き飛ばすよ!!」
「イルマ! そんなことをしたらアーシアが巻き添えになるかもしれないわよ!!」
イルマが本能レベルで警戒し、面制圧でとにかく迎撃を試みようとしたのも正しい。
それに対して、砲撃なんてしたら巻き込んでしまう位置にアーシアがいる可能性を警戒したリアスも、目的を考えれば正しい。
だが、それで論争が勃発しかけたのが致命傷だった。
そう、まさにその瞬間、矢による攻撃は数十発同時に放たれた。
すべてが音速を軽く超越し、まるでガトリングガンのように大量に放たれ、そしてリアス・グレモリー眷属とイルマ・グラシャラボラス眷属の全員の脳天に狙いを付けられていた。
一瞬、口論が発生しかけていたというその心理的空白を、その狙撃手は一瞬たりとも見逃さず。
「おい、キラルナ。これで終わりか?」
「いや、どうやらボス格が釣れたようだ」
そして、激戦の幕は上がる。
何度か申し上げましたが、トルメー眷属は全員受肉したサーヴァントで、しかも総力を挙げればアザゼル杯で優勝が狙えるレベルの超実力者です。
現状のイッセーたちでは、一対一どころか総出で挑んでも強みをぶつけられたら全滅しかねない超強敵。とりあえず当面はトルメーが舐めプするので全員集合で仕掛けてくることはありませんが、されたら今のイッセーたちなど全滅必須です。
その一人であるキラルナのスーパー狙撃タイム。もうこれでお分かりだとは思いますが、彼はアーチャーです。
そう、アーチャーです。ここでアンケートです
弓を使うくせに肝心の宝具が弓じゃないアーチャーって、どう思います?
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意味が分かりません
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バッチオーケー!
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そんなとこ原作再現しなくても……
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邪道だ、弓宝具追加しろ!!