ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン

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はい、ここからできる大王派の片鱗が見えてきます。


3 若き大王派筆頭、スメイガ・バアル

 

 そして、ソーナはまっすぐにブルノウの目を見返して告げる。

 

「……まず第一義として、そもそも我々は下級中級に対して不義理を働いています」

 

 その言葉に、ブルノウはわざとらしく考えこむ表情を浮かべた。

 

「ふむ、具体的には?」

 

「はい。レーティングゲームは誰もが平等に参加できる。これは魔王様がお決めになられたことです」

 

 そうはっきりと告げ、上役たちの多くは苦い顔になりながらちらりと四大魔王に視線を向ける。

 

 それを一瞥しながら、ブルノウはうなづいた。

 

「なるほど。だけどそれだけかな?」

 

「いえ、この際ですから全て言ってしまいましょう」

 

 腹をくくったのか、ソーナは一度呼吸を整えると、まっすぐにブルノウの目を見据えた。

 

 それを真正面からブルノウも受け止め、それを促しとしてソーナは続ける。

 

「私は人間界を勉強するにつれて、一つのことを確信しました。それは、家の格が低い平民であっても、しかるべき環境で学べば様々なことをなすことができるということです」

 

 これはソーナにとって推測ではなく確信でもなく、ただの事実である。

 

「私たち悪魔もまた、人間たちが開発した有用な技術を取り入れています。そしてそれら有用な技術を開発した人間の国の大半は、誰もが一定水準の教育を受けられる―すなわち義務教育制度の発達している国家です」

 

「なるほど、言いたいことはよくわかった」

 

 ブルノウはうなづくと、むしろ評価するかのように微笑を浮かべる。

 

「確かに、我々悪魔は血統で能力に大きく差は出るが、それはあくまで肉体強度や魔力量、そして魔力特性だ。しかしそれを理由にそれが関与しない学力や知能を鍛えることまで阻害している今の冥界の教育制度そのものを変えることこそが君の最終目標。レーティングゲームの学園は、その一環だね?」

 

「……慧眼、恐れ入ります」

 

 ソーナはブルノウを評価するほかない。

 

 一を聞いて十を知る。今の言葉だけで、ブルノウはソーナの言いたいことの多くを理解していた。

 

 しかし、同時に理解できないものがいることもまた事実だ。

 

「ソーナ殿。下級悪魔や転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、彼らに才能を見出されるのが常。そのような養成施設を作っては、伝統を誇りを重んじる旧家の顔をつぶすことになりますぞ?」

 

 実際問題、そういうものも確かに出てくる。

 

 特に大王派から出てくることは間違いなく予想できていた。

 

 血統にこだわる大王派が、血統による優遇政策を捨て去るなど嫌悪以外の何物でもないだろう。ソーナのような価値観そのものが蔑視の対象だといってもいい。

 

 だからこれはあくまで決意表明、宣戦布告として運用するもので―

 

「何をおっしゃいますか。むしろ我ら誇りを存続するためにも、ソーナ嬢の願いは尊重されてしかるべきです」

 

 ブルノウは、そう断言した。

 

 そして反論が出てくるよりも早く、しっかりと声を出す。

 

「領民達の農業技術や工業技術の上昇は、必然的に領地の発展につながります。そして発展した領地の持ち主は発言力が向上することも確定的に明らかです。それに、人間たちの世界では国家として機能していない落第点な国を「失敗国家」と呼んでいますが、その手の国家はたいていの場合、教職に給料をろくに払えていない―すなわち教育制度が杜撰なことが多いとか」

 

 その言葉に、むしろソーナが目を見開く。

 

 失敗国家という概念は、ソーナも知ってはいる。だが、その条件となる物についてまで冥界の貴族が知っているとは思っていなかった。

 

 その驚愕を知ってか知らずか、ブルノウは演説をするかのように言葉をつらつらと述べていく。

 

「そも、この場の多くの方々からしてみれば、他種族からの転生悪魔などという()()()物を貴族にしてまで取り入れることに不快感を抱く方々は多いでしょう」

 

 それをこの状況下で発言するのは、すさまじい度胸だっただろう。

 

 なにせ、この場の若手悪魔の眷属には数多くの他種族からの転生悪魔がいる。

 

 それどころか現四大魔王の眷属の中にもいる。というより、女王以外は全員他種族で構成されている。

 

 一歩間違えれば魔王に喧嘩を売る所業。

 

 だがしかし、ブルノウはあえて全方位に発言することで、それをカバーする。

 

 その言葉にむしろ納得顔や同意を見せるものたちが多くいたのだ。

 

「確かにその通りだ。使い捨ての手駒の予定が、最上級悪魔の座にすらつく手合いが何人も出てくるのは、正直不愉快だな」

 

「和平もなったことで死地に送り込むのも難しい。ならこれ以上増やさぬ努力は必須か……」

 

「そこまで考えてのことだったのか。失礼したソーナ嬢。セラフォルー様も、そういうことならもっと早く教えていただきたかったですぞ」

 

 納得し、評価し、賛同するものたちが何人も出てくる。それはいいことかもしれない。

 

 だがしかし、その対応にセラフォルー達四大魔王は複雑な表情を浮かべる。ソーナもだ。

 

 ソーナに転生悪魔を貶める意図はない。むしろ人間で構成されている自分の眷属のことは、大事に思っている。セラフォルー達も他種族からの転生悪魔を差別する気はないだろう。

 

 だが上役たちは差別意識に凝り固まり、それに理解を示していたと勝手に喜んでいる。実に不快だ。

 

 しかし、ブルノウはあえてスルーして話を進めてきた。

 

「それらをどうにかするためには、正しく悪魔である者たちが切磋琢磨し隠された素質を見つけ伸ばせる環境を作ることは必要不可欠。……そして、彼らに向上意欲を持たせるためにもそれなりの餌を用意するべきではあります」

 

 何かが違う。

 

 何か、自分たちの願いとは全く異なる方向に向かって話が進んでいる。

 

 そう感じたソーナだが、しかしすでに話の中心にいるのはソーナではなかった。

 

「……確かに魔王様が公言した内容に嘘偽りがあっては、平民たちの勤労意欲が削られてしまうかもしれません。とはいえ現在の法制度ではどうしてもこのままでは難しいことが多い。誰かが対案を考える必要が―」

 

「……では父上、このような手法はどうでしょうか?」

 

 と、そこでブルノウの言葉をさえぎり、スメイガが一歩前に出る。

 

 そこには、不敵な笑みが浮かんでいた。

 

「実は私もレーティングゲームに連なる夢があります。というより、大改革を行うことを夢の一つとしておりました」

 

「……ふむ、なにかね?」

 

 上役の一人が促すと、スメイガは指を鳴らす。

 

 そして日本人らしき眷属悪魔が、一瞬その姿を消した。

 

 そして次の瞬間に、リアス達も含めた上級悪魔たちの目の前に、紙の束がおかれている。

 

 その紙の束は資料であり、その一番上には大きく書かれていた。

 

―レーティングゲーム下部リーグ構想

 

 その文字に興味深い表情を浮かべる悪魔たちに、スメイガが告げる。

 

「ソーナ嬢が言った通り、魔王様はレーティングゲームを平等にすると宣言しております。しかし現在のところ、レーティングゲームは貴族だけが独占している状況。これは今後において危険因子があるでしょう」

 

 スメイガはそういうと、静かに首を振る。

 

「三大勢力で和平を結び、更に各神話とも和議を結ばんと動いている状況下。しかし、それは同時にこれまでとは全く異なるマウントの取り合いが行われることになるでしょう」

 

 スメイガの言葉に、誰もが一瞬首をかしげる。

 

 そして、スメイガはその疑問を多くのものたちが浮かべるのを見計らってから、はっきりと告げた。

 

「我ら悪魔側の利点になる形でいうのなら、これまで他勢力が独占していた異能保有者や種族を転生悪魔にスカウトするチャンスができます。アースガルズのヴァルキリーや、オリュンポスの死神などですね」

 

 そう、各勢力には各勢力で独自の戦力がいる。

 

 悪魔でいうなら転生悪魔だ。そう言った独自戦力を保有する勢力など、それこそ腐るほどいるだろう。

 

 そして、転生悪魔は他種族から転生させることもできる。このメリットは、ある意味で莫大だ。

 

 他種族が貴族の領域を侵すことに抵抗のある上役たちも、戦力としてのヴァルキリーや死神の価値は理解できている。うまく飼い殺しができるのならそれに越したことはないと思うだろう。

 

 それに対してよだれが出てきそうになるタイミングで、しかしスメイガは火種を透過する。

 

「ですが、たいていの物事にはデメリットがあります。……具体的には、他の神話体系の文化や価値観が流れ込み、民草を惑わす可能性があることです」

 

 その言葉に、誰もが一瞬息をのんだ。

 

 デメリットがある。この発言は、和平を望み主導した魔王たちに対して一種の批判的意見となるだろう。

 

 だが、それをあえて踏み込むようにスメイガは告げる。

 

「……最悪の場合、和平による文化交流を隠れ蓑に思想を誘導、民草を暴走を誘導し、彼ら自身に神話勢力側に支配されることを望ませることで侵略の大義名分を得る。そういうことも想定しなければならないのが、現状です」

 

「待ちたまえ」

 

 サーゼクスはそれに待ったをかける。

 

 その目には明確な叱責の意志があった。

 

「それは邪推しすぎだろう。確かに可能性が全くないかと言われれば否定しきれないが、下手にそんなことをすれば、将来的に禍根を生む可能性もある。神々ともあろうものがそんな愚行をするとは―」

 

「失敗国家」

 

 サーゼクスの言葉を、今度はトルメーが遮った。

 

 魔王クラスの力を持つ、レーティングゲーム最強の皇帝(エンペラー)。そのディハウザー・ベリアルを打ち破った者の言葉に、誰もが意識を向ける。

 

 その視線を平然と受け止めながら、トルメーは苦笑を浮かべていた。

 

「人間の国家の話ですが、トップが必ずしも賢者などということはない、むしろ強大な力が権力に直結しやすい我ら異形の世界だからこそ、浅薄な考えしか持たない愚か者が盟主となる勢力がいる可能性は考慮するべきではないですか?」

 

「……ふむ、望外の援護、感謝する」

 

 そう軽く礼を言ったスメイガは、すぐに話を戻した。

 

「まあ邪推の極みなのは自覚しておりますが、しかし謀略というものは何かあることを前提として動くべきもの。ことが起こってからでは遅いですし、最悪の事態を想定して対策は取っておくべきでしょう」

 

 その言葉に、サーゼクスたちも正論ゆえに反論をやめる。

 

 そして、大王派の貴族と思しき初老の男がさらに話を勧めようとした。

 

「そして、それがレーティングゲームの下部リーグだと?」

 

「はい、詳しいことはまず資料を軽く読んでいただきたい」

 

 その資料には、いくつかのルール構成が書かれていた。

 

 現段階の冥界の技術ならば、事前にフィールドを準備すれば疑似的に悪魔の駒の特性を付与させることは可能。それこそ純粋な悪魔であろうと転生悪魔であろうと、他種族であろうと可能であることがまず各種資料とともに明言されていた。

 

 そのうえで、そのシステムが明言される。

 

 この下部リーグを人間界のスポーツで例えるなら、いわゆる草野球の類だろう。

 

 眷属悪魔と同様にリーダーとなる王を中心に女王・戦車・騎士・僧侶・兵士の役目を果たすものを用意する必要はあるが、一定人数を保有しているのならば下級悪魔が王になってもいい。

 

 特殊ルールなどを運用するために費用を用意させることが明言されているが、それさえできれば文字通り誰でも参加可能。

 

 そのための運営資金は融資による寄付で賄うことになっているが、すでに何人かの貴族がある程度の融資をしてもいいという署名をしていた。

 

「人間界のスポーツ競技におけるプロのリーグとは異なる、いわゆるセミプロの大会などを参考にいたしました。まあリタイアなどの金のかかるシステムは基本的に使用しないので本格的な戦闘にはなりません。そうですねぇ、そういう意味ではサバイバルゲームが一番近いかもしれません」

 

「さばいばるげーむ? どういったものなのかね?」

 

 興味を示した上役たちにスメイガが説明する中、ソーナは寒気を感じていた。

 

 教育機関制度の発達の重要性を認識し、ごっこ遊びにかなり近い形だが、文字通り下級中級でも参加できるレーティングゲームが公式に認められる。これはいいことではある。

 

 だが、その主導権は明確にブルノウとスメイガに奪われている。

 

 そして何より、何か根本的なものが違う。

 

 ただ民の為の想い、その為の理想を語った自分達と、彼らは明確に違う。

 

 理想を語るのではなく、現状の危険性を語る事で上役達の気を引いた二人が主導権を握っている。これは結果的に下級中級の悪魔達により良い未来を与える事ができるのなら構わない。

 

 だが、その根本にあるものが違う。

 

 そう、設計思想というべき根幹の方向性が異なっているのだ。

 

「……民主主義という人間界の政治体制を揶揄する言葉にパンとサーカスというものがあります」

 

 スメイガは、上役達にそう告げる。

 

「これは自分達に利益さえあれば愚民達はどんな人物にでもしっぽを振る事を揶揄したものだと捉えていますが、実際大半の民草に崇高な理想や誇りを理解しろとなどというのも無理な話でしょう」

 

 スメイガは、はっきりとそう断言する。

 

「残酷な事に知的生命体の多くは俗物です。理想や大義の為に生きていない以上、他勢力が自分達に利益があると思えば、もろ手を挙げて我らに害なす者達を歓迎します。そうならない為にも一定の餌や娯楽、そしてガス抜きは必要かと」

 

「……確かにその通りだが、それで我ら貴族の中に平民共に後れを取るものが出てきたら、どうするのかね?」

 

 その懸念に、スメイガは平然と答える。

 

「決まっています。そのような貴族の資格なき恥さらしなど追放すればよろしい」

 

 その言葉に、一瞬空気が凍り付いた。

 

 そしてそれをあえて無視し、スメイガは断言する。

 

「そも貴族を名乗るのであるならば、平民より上であるべき貴族として相応しい資質を見せるのが義務でしょう。下級中級より優れているからこその上級であり、翻せば下級中級に後れをとらえるのなら、それは貴族の資格なき者達だ」

 

 そう言い放ったスメイガは。はっきりと言い切った。

 

「貴族とは、血統とはブランドです。ブランドとはそれに見合った規格を維持しているからこそ価値があるのです」

 

 そして、スメイガは澄み切った眼を向けてこう言った。

 

「少なくとも、貴族足らんとする気概のないロクデナシに名門の名を与えたままにするのは良くない事かと」

 

「……ふむ、では一つ聞こう」

 

 そこに、サイラオーグが割って入る。

 

 その目には警戒と感心の二種類の色がある。

 

「この場にいる者の大半は知っていると思うが、俺は消滅の魔力を司るバアルの出でありながら、特性どころか魔力すら欠片も持っていない」

 

 なんてことの内容に告げたサイラオーグは、しかし鋭い視線をスメイガに向ける。

 

「……そんな俺を、お前の望む貴族の在り方はどう判断する?」

 

「ふむ」

 

 そう頷き、スメイガは考えこむ姿勢を見せる。

 

 そして数秒待ってから、まっすぐにサイラオーグの視線を見返した。

 

「確かに悪魔として欠陥品ではあるが、しかしそれに甘んじることなく一級の武人になったのは褒められる事だろう。少なくとも、バアルというだけで大した成果も出せない者よりは心構えは大王の家に相応しいと思うな」

 

 その言葉に嘘偽りはない。

 

 心の底から評価している。まず間違いなくサイラオーグは傑物の類であり、優れた武人であり、バアルとしての誇りに見合うものを得ていると発言した。

 

 そして、そのまままっすぐ彼の見据える。

 

 そして、はっきりと告げた。

 

「だが当主としては不適格だろう。もっと他に適任がいると思うな、私は」

 

 まっすぐに、そう言い切った。

 

 侮蔑ではない。悪意もない。見下しているわけでも断じてない。

 

 サイラオーグ・バアルという男が傑物だと断言したうえで、しかし大王バアルの跡取りとなるには不適格だと断言した。

 

 そして、それに対してサイラオーグも眉一つ動かさない。

 

 この場にいる者達には知らない者も多いが、サイラオーグは蔑まれ続けてきた人物だ。

 

 その彼からすれば、バアル当主として不適格と断じながらも、同時にその努力と成果を心から認めたスメイガにはむしろ好感が持てる。

 

 そして、だからこそあえて聞きたい。

 

「では、マグダランか?」

 

「いや、そこまでは言わんよ」

 

 意外にも、スメイガはそう言い切った。

 

 苦笑を浮かべ、スメイガは肩をすくめる。

 

「マグダラン殿は確かにバアルの力を宿しているが、悪魔としては凡庸だ。植物学への造詣は深いが、バアルというブランドの中核に似合った能力があるかどうか……という意味では少々な」

 

「なるほど、つまりこう言いたいのか。……いっそのことお前がバアルの当主の座を奪う、と」

 

 そのサイラオーグの発言に、その場の者達がざわついた。

 

 スメイガはレーティングゲームのタイトルホルダーすら撃破した逸材だ。消滅の魔力もきちんと持っている。更に先見の明を持ち、今後の和平の先を見越したプランまで提示してきた傑物だろう。

 

 だが、分家筋であるスメイガがバアルの次期当主の座をとるのは、もはやお家騒動の領域だ。

 

 一部の大王派から殺意すら叩き付けられる中、スメイガは静かに首を振る。

 

「まさか。私は私で色々とやるべき事もやりたい事もある。バアルの当主までこなせるほどの素質があるとは思っていないさ」

 

 その言葉に、大王派達は殺意を収め―

 

「……だが本家としての責務を果たせぬのなら、優秀な分家にこそバアルの未来を譲るべきではある。無能を長としては大王の血族の沽券に係わるしな」

 

 ―続く返答で一気に青ざめた。

 

 つまり、スメイガはこう言ったのだ。

 

 自分は継ぐ気はないが、現当主の血筋はバアルを率いるには不適格だと。

 

 そうはっきりと言い切ったその言葉に、サイラオーグは思わず苦笑いを浮かべた。

 

「……お前も意外と不器用だな」

 

「失礼な。腹芸や政治力がなければ立ち回れん人生を送っていると自負しているぞ?」

 

 不服そうにそう返答するスメイガ。

 

 そして、それは意外と当たっているらしい。

 

 サイラオーグは少し見渡してみれば、確実に大王派と断言できる家の者達の中でも、殺気に近い視線を向けているのはそう多くない。

 

 褒めるような表情を浮かべている重鎮も相応数いる。それも、バアルの家の者にもいる始末だ。

 

 父親であるブルノウに至っては、重鎮達が見えないのを良い事に笑っている。それも失笑でも嘲笑でもなく、本心から楽しんでいる。

 

 しっかり後援者の確保はしていたらしい。この会合の為の下準備は万全なようだ。

 

「なるほど、少なくともアドリブと根回しは俺よりできるようだ」

 

「まあな。領地を持つ貴族ともなれば、政治家としての素質は必須だろう?」

 

 この瞬間、サイラオーグとスメイガはお互いを認め合った。

 

 相容れないところはある。レーティングゲームでぶつかれば容赦はしない。政治的に対立する事も何度もあるだろう。

 

 だがしかし、少なくとも大言壮語するだけの能力と覚悟がある。

 

「お前とは長い付き合いになりそうだ」

 

「まあ、同じバアルの若手同士だ。それこそ数千年は顔を合わせるだろうな」

 

 好敵手と認め合った男同士の、友情のようでそうでないよく分からない関係が生まれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ? ソーナ会長の夢の件は?」

 

「っていうか、俺の心配が完全に忘れ去られてるんだけど……」

 

「お二人とも。この場で大きな声は出さない方がよろしいかと」

 

 完全に置いてけぼりにされたイッセーと匙が寂しげにしている中、治療の手伝いをしていたシーグヴァイラの女王がそう助言した。

 

 ちなみにこの三人、全員ドラゴンに縁のある者達である。妙な縁が生まれていた。

 




スメイガ「ぶっちゃけ、今のバアル本流ってバアルの悪魔としてはどうよ?(意訳)」

本来は別の流れで提案するつもりだったレーティングゲーム下部リーグ。ソーナが近しことをしかし馬鹿正直に宣言したので、その辺の流れを自分に引き寄せました。

まじめな話、腹芸という一点においては若手悪魔でもぶっ飛んでいるのがスメイガです。これには理由がありますが、まあタグをよく見てくださる方々ならすぐにわかるかと……。

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