ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン

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そんなこんなでエピローグラストです。結構詰め込みます









あとトルメーの名前の由来を勘違いされている方が多そうなので、ここで説明します。

 まず前段階の時点でイルマの名前を決定しました。このときは見ている方は知っていると思いますが「デュリオと孤児院が同じ元悪魔祓い」という設定だったので、西欧の名前から適当に選びました。

 で、設定を変更するにあたって、その時まだ考えてなかった誠明の転生時の名前も考慮。この際方向性も含めていろいろ悩んでグレモリー家出身にすることにしましたが、名前でいいのが思いつかなかったりします。

 そんなこんなで悩んでいたら、ふと気づきました。

「あ、イルマってアナグラムしたらマイル(距離の単位)になる!」と。

 そこで、イルマの兄弟である誠明の現世の名前はメートルをアナグラムしてトルメーになりました。本当にそれだけです。

 断じて道間誠明からとるような形になってませんので、そこはご了承ください。


23 人間、惚れる理由ってのは千差万別である(もう悪魔だけど)

 デミ・サーヴァントについての説明が終わり、そして解散になった後だ。

 

 鶴木は疲れたので、早めに寝ようとする。

 

 だが、その背中に声がかけられた。

 

「麻宮君、少しいいかな」

 

「ああ、私からも少しいいか、麻宮」

 

 そう聞いてきたのは、木場祐斗とゼノヴィアだった。

 

 それに対して、鶴木は首を傾げながらも振り返る。

 

 何やら真剣な表情をしている。どうやら真面目な話なようだ。

 

「どうした? 悪いが眠くて頭が働かなくてな。できれば手短かかつ簡潔に頼むぜ?」

 

 まあおそらく、この二人が聞いてくるという事は―

 

「……君は、エクスカリバーやアーサー王に対して思うところはなかったのかい?」

 

 ―やはりこれだ。

 

 後ろでは紫藤イリナもちらちら盗み見ているし、どうやら気になるのだろう。

 

 エクスカリバーは、教会にとって重要であると同時に色々と面倒な事を引き起こした存在である。

 

 かつての大戦で七つに砕け、そして七本の聖剣として再精製されたエクスカリバー。うち一本である支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)こそ行方不明になり、挙句の果てにテロリストの手に渡っているが、基本的に教会の武装である。

 

 しかし、その使い手は非常に生まれづらい存在だった。ただでさえ希少な才能である聖剣使いのなかでも、ごく一部しか使用できないというものだった。

 

 その聖剣使いが聖剣使いたる理由である聖剣因子を見つけだしたバルパー・ガリレイの功績によって、聖剣使いそのものはある程度は量産できるようになった。これは元々エクスカリバーの使い手を見繕うものであり、実際効果は絶大だろう。

 

 だが、そのバルパーが外道だった所為で、初期の被験者は因子を抜き取られた時に全員殺されるという憂き目にあっている。祐斗はその唯一の生き残りだそうだ。

 

 そして、エクスカリバーとくればアーサー王である。

 

 ある意味で、アーサー王の力を手にする為の生け贄にされかけた鶴木に思うところがあるのだろうが。

 

「悪いが、俺は特にその辺気にしてねえんだわ。恨み節で共感が欲しいなら、他を当たってくれや」

 

 鶴木は、あえて本音でそう言った。

 

「そうなのかい? 聞くところによると、ぼく達とは違って最初から「実験体」である事を隠されてもなかったようだけど」

 

 そういえば、祐斗は元々は「神に選ばれる為」というお題目で集められたらしい。

 

 そう言ったところも影響があるのだろう。だからこそ、恨みも深かったのだ。

 

 だが、実際鶴木は本当にそこまで強い憎しみなどはないのだ。

 

「ま、魔術師(メイガス)なんてもんの性質見てると「その程度」のよくある事でいちいち切れるのもめんどくさくてな。ムカつかねえとは言わねえが、限定的にとはいえデータ採取用の俺だけ成功して、本命の素体が全滅した時点であいつらのメンタルにダメージ与えてると思うと、既に俺はやり返してるわけだからな」

 

 実際そこはとても大きい。

 

 鶴木は本当なら死ぬはずなのだ。というより、失敗する事を前提にデミ・サーヴァント化の処置を行い、そこから得られたデータで成功体にする為の素体を調整するのが彼らの目的だった。

 

 だが、結果は真逆。データ取りのはずの鶴木が生存し、そこから得られたデータで開発された素体が全滅するという結果だ。実験そのものは盛大に大失敗と言っていい。

 

 この時点で意趣返しはできている。そういう意味では、恨みつらみに関してはそれなりにやり返せているのだ。

 

「……ま、不完全だから宝具としてのコールブランドとエクスカリバーが混ざってわけわかんねえ事になってるがな」

 

 そう言いながら、鶴木は聖騎士王の聖剣(カリブリヌス・キャメロット)を具現化する。

 

 それを軽く回転させながら、鶴木は苦笑する。

 

 アーサー王が使用したという聖剣は、実は数多い。

 

 カレドヴルッフ。カリブリヌス。エクスカリボール。エクスカリバーやコールブランドを含めると膨大な数になる。

 

 それらの伝承が「一つの聖剣」として混ざり合ってしまったのが、この聖騎士王の聖剣だ。

 

 アーサーが本能的に敵意を向けてきたのもそれが理由だろう。おそらく、聖騎士王の聖剣に混ざっているコールブランドの力を察したのだ。

 

 言わば紛い物というか、海賊版である。コールブランドに愛着があるのなら、嫌悪感の一つぐらいは起きてもおかしくない。

 

「因みに、俺単体だとこれただの聖剣としてしか使えねえんだよ。だから、アイネスさんの指導の下、魔術でエクスカリバーやコールブランドの特性を引き出してんのさ」

 

 そう言いながら、鶴木はポケットティッシュを取り出すと、放り投げる。

 

 そして、聖騎士王の聖剣を軽く振りながら、魔術を起動する。

 

「―抜刀術式(ブレイドコード)断空(カリバーン)

 

 その言葉とともに、切っ先が空間を切り裂き、そして離れたところにあるポケットティッシュを串刺しにする。

 

 今回使用したのは、コールブランドの力だ。

 

 それに祐斗達が目を見張る中、鶴木は聖騎士王の聖剣を解除すると、ニカリと笑う。

 

「便利っちゃぁ便利だし、おかげで俺はイルマ姉さんの眷属として不自由ねえ生活送れてるんだ。感謝する気はねえが、既にぎゃふんと言わせてんのに態々追いかける気もねえよ」

 

「……なるほど。中々強いな、君は」

 

 ゼノヴィアは感心するが、そんないいもんでもない。

 

 ……多少気恥ずかしいが、ここまで来たら話すべきか。

 

「ま、俺、イルマ姉さんのこと大好きだからさ。……会えて良かったって、心から思ってる」

 

 そして、鶴木は思い出しながら、語り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 物心がついたぐらいの時の話だ。俺は、ある言葉を言われた事があるのだけは覚えている。

 

「……守るよ、必ず守るから」

 

 そう言って微笑む、茶髪をツインテールにした二十歳ちょっとぐらいの女性の、悲しそうな微笑み。

 

 俺は親の顔を知らないが、たぶん彼女は親かそれに近い立場なんだろう。そんな気がする。

 

 まあ、結局気づいた時には俺は孤児で、何時の間にやら人体実験設備で、何時の間にやらデミ・サーヴァントパワーで生き残りの為にキメラと激闘なわけだ。

 

 まあ、きっとその人は守れなかったんだろうって事だけは、分かるわけだよ。

 

 で、そんな三年前のそんな戦いに、援護してきた人達がいた。

 

 何人もいた。本当に何人も……っていうか、クロックワークスの武闘派魔術師や血統尊重主義派の衛兵を引き連れた、イルマ姉さんだった。

 

 理由は分からねえ。教えてくれねえ。

 

 だけど、戦いが終わった後姉さんは俺を抱きしめてくれた。

 

「……守るから。私が、必ず守るから……っ」

 

 涙流しながら、そんなマジモードで告げるイルマ姉さんに、俺は忘れかけていたその思い出を思い出した。

 

 ……涙こぼれたよ、あの時は。

 

 違う人なのは分かってる。っていうか髪の色とか全く違うし、背丈も年齢も違うしな。

 

 だけど、その時俺は被って見えた。

 

 ……ああ、もうこの際だからはっきり言うぞ。

 

 俺はエロイ。遊びたい。何故かカタナに抱きしめられるのがすっごくいい気分になるし、カタナみたいな体系の美少女とエロい事したい。童貞卒業したくて堪らないし、ヤリ部屋行きたいです乱交したいです大学部行くならヤリサー一直線です。

 

 だけど、それとは別でイルマ姉さんが大好きだ。惚れてる。LOVE的な感情持ってる。

 

 だけどまあ、血統尊重主義はのイルマ姉さんは、結婚に関しては「できればビジネスLIKEで行く方向だから!」とバッサリモードだ。

 

 だけどまあ、それでいい。

 

 この恋心に決着つけて、別の恋愛始める事もあるかもしれない。

 

 もしかしたら、万年単位で引きずったままくたばるかもしれねえ。

 

 だけどまあ、俺がイルマ姉さんの眷属悪魔やる理由は、俺がイルマ姉さんに恋しちまったからで十分だ。

 

 ああ、俺は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この出会いをくれたあいつらに、一応の感謝ってもんも持ってるわけだよ。プラスマイナスを計算して「ざまぁ」で済ましていちいち突っかかる気はないって感じだな」

 

 そう、顔を少し赤くしながらも本気の表情で告げる。

 

 そんなはっきりとしたのろけを聞かされて、祐斗もゼノヴィアもイリナも面食らっていた。

 

「……一つ、聞いていいかな」

 

 そして、祐斗は一つだけ聞く事がある。

 

 これは、リアス・グレモリーの眷属としては聞いておきたい。

 

 イルマ・グラシャラボラスとリアス・グレモリーのスタンスの違いを理解したからこそ、聞いておきたい。

 

「イルマさんに、恋愛に生きてほしいと思った事はあるかい、麻宮君?」

 

 それに対して、鶴木は少しだけ真剣に目を伏せる。

 

「ないわけじゃねえな、木場」

 

 そう返答し、だがまっすぐにその目を見つめて鶴木は告げる。

 

「だけど、それ以上に俺は主の意思を尊重したい。血統尊重主義派の一人として、その在り方を忘れずに生きようとする、イルマ姉さんの生き方を尊重したい」

 

 そうはっきりと告げた。

 

 そして、すぐに破顔すると肩をすくめる。

 

「そもそも、史実の政略結婚はそんなに強引にはされねえよ、基本的に。ありゃグレモリー本家とフェニックス本家が下手打っただけだろ」

 

 バッサリ切られた。

 

 そのグレモリー本家の世話になっている身としては、返答に困る内容に祐斗は苦笑するしかなかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして体育祭の日になっても、イッセーは起きなかった。

 

 そして、鶴木が何故かアーシアの二人三脚の代役となりかけている。

 

 イッセーと波長が近く、身体能力が抜群という事が理由だ。松田とその座をかけて殴り合いに喧嘩になりかけたが、最終的にコイントスで決着した。

 

「……イッセーさん」

 

「ま、かなりやばかったからな。命があるだけめっけもんだしなぁ」

 

 ただでさえ暴走する能力である覇龍を、更に暴走状態で使用したのだ。死んでないだけましである。

 

 とはいえ、アザゼル曰く「これからが大変」とのことだ。その辺については詳しい説明はイッセーと一緒に行われるらしい。

 

 とはいえ、せっかく無事に乗り切ったのに、晴れのイベントに一緒に参加できないのは、正直かわいそうなのだが―

 

「……ご安心召されよ、アーシア殿」

 

 ―その言葉と共に、忍び装束の女性が唐突に表れた。

 

「キャッ!?」

 

 アーシアは驚いて振り返るが、鶴木は正直慣れたので、普通の表情で振り返る。

 

「何してんだよ、ボウゲツさん」

 

「失礼。火急の朗報ゆえに、突然来訪させていただきました」

 

 そう告げたボウゲツは、アーシアに対して軽く一礼すると、すぐに告げる。

 

「兵藤一誠殿は目覚めなされました。既に動く事にも支障ないので、そろそろ転送される頃です」

 

 その言葉に、鶴木もほっとする。

 

 ある意味一番の功労者な彼が、漸くだが目覚めた。それも、楽しみにしていたアーシアとの二人三脚にも間に合いそうだ。

 

 アーシアも感極まって涙目になっている。これは中々大丈夫そうだ。

 

 そして、それと同時に駆け寄ってくる姿があった。

 

「アーシアァアアアアアア!!」

 

「イッセーさん!!」

 

 勢いあまって抱き着き合う二人に苦笑しながら、鶴木は素早く結んでいた足をほどくと、イッセーの肩を叩く。

 

「ったく。俺は寝取る趣味も寝取られる趣味もないんだからな? 間に合わなかったらお前が起きた時俺は殴ってたぞ」

 

「悪いな。だけど、きっちり間に合っただろ?」

 

 その返答に頷きながら、鶴木は無言で去っていく。

 

 男同士の付き合いだ。しかも、思いを寄せ合う少女との大一番である。

 

 ここは、無言で応援するのが男のたしなみという奴だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして借り物競争前の僅かな時間。鶴木はありえない姿を見つけた。

 

「……何やってんすか、ルシファー様」

 

「はっはっは。今の私はサーゼクス・グレモリーだよ。完全オフだ」

 

 そう告げるサーゼクスは、すぐに笑顔を苦笑のそれに変える。

 

「それに、私は少しの間表舞台に立たない方がいいと言われてね。いわゆる強制オフという奴だよ」

 

「ああ~」

 

 確かにそうである。

 

 トルメー・グレモリーという血族の筆頭格が裏切り、あの作戦における被害の殆どを彼の手の物が担当したようなものだ。数はともかく、質においては結構残酷な目に遭っている。

 

 そのうえ、公開映像で一瞬で倒されるところを見せつけられた事で、サーゼクスの発言力は大いに低下。本家の跡取りであるディオドラが裏切りをぶちかましたアジュカ・ベルゼブブほどではないが、かなりのダメージがある。

 

 そんな状態なら、まあ職場に顔を出さない方がましだという事だろう。

 

 ……これを派閥躍進及び目的の一つを達成する為の好機と捉え、いい気分ではないが一気に攻め込んでいるのが自分達の盟主であるブルノウである。

 

 いっそ皮肉ってくれた方がまだ気分がいい。そんな感想を鶴木は抱き、そしてボウゲツと顔を見合わせると苦笑いを浮かべる。

 

 そんなボウゲツに視線を向けたサーゼクスは、興味深そうな表情を浮かべた。

 

「……君が、受肉したサーヴァントの一人だそうだね。ブルノウの話では、諜報部隊の「歩き巫女」は君の手によるものだとか」

 

 その言葉に、ボウゲツは静かに一礼する。

 

「はっ! アサシンのサーヴァント「望月千代女」を真名とする者ですが、しょせんサーヴァントは影法師故に、ボウゲツとお呼びください」

 

 望月千代女。世界で唯一、歴史に名を遺した女くノ一。

 

 三百人の歩き巫女という諜報部隊を作り上げ、あの武田信玄の力となったくノ一である。

 

 実は実在しないのではないかと言われてもいるが、どうやらそんな事はなかったらしい。

 

「因みに宝具の一つは文字通り「歩き巫女」。適性のある人物に自分のスキルを分け与える能力で、亜種聖杯で受肉させる際に忍び重視に調整してる特注品でさぁ」

 

「……あまり話さないでいただきたいのですが」

 

「気にしなくていいよ。ブルノウからもその辺りの情報は提供されているからね」

 

 鶴木の余計な言葉にボウゲツが眉を顰め、しかしサーゼクスは朗らかに笑う。

 

 そして、サーゼクスはボウゲツに向き直ると深く一礼した。

 

「今回の件、君達「歩き巫女」のおかげで非常に助かった。本来なら公式の場で言うべきだが、今は状況が状況なのでこの場でする事を許してほしい」

 

「い、いえ。我らは主の命令を果たしたのみです。その言葉は主にお告げください」

 

 若干戸惑うボウゲツだが、しかしサーゼクスは頭を上げない。

 

 心からの感謝が実際に籠っている事の証明だった。

 

「君達が動かなければ、ディオドラ・アスタロトに捕われた少女達は、禍の団(カオス・ブリゲート)に連れていかれ、ディオドラの捕縛によって居場所をなくしていただろう。……彼女達を救えたのは、君達のおかげだ。しかもリアスまで助けてくれたんだ。礼を言わせてくれ」

 

 兄として、悪魔として、良心を持つ者として、サーゼクスは頭を下げる。

 

 和平成立故にこれからはできないだろう行動だが、しかし既にしていた事に関しては和平が成立したがゆえに追求しづらい。それがディオドラの行動だった。

 

 そしてそれゆえに対応が後手になり、結果として彼女達の未来は暗くなるところだっただろう。それを救えた事は彼にとっても喜ばしい事だ。

 

 そして、私人としても妹の危機を救った者達に礼を言うのも当然のことだった。

 

 その意思を組んだのだろう。ボウゲツは静かに一礼を返す。

 

「……もったいなきお言葉ですが、謹んで受け止めさせていただきまする」

 

 それをなんとなく眺めていた鶴木だが、しかしふと気づいた。

 

「あ、時間だ。……すんませんルシファー様。競技に参加しなけりゃいけないんで、俺はこの辺で」

 

「ああ、すまない。引き留めて悪かったね」

 

 そして鶴木は駆け出し、それと入れ替わるように姿を現す者がいた。

 

「サーゼクス様。一応御身はいまだ魔王なのですから、できれば護衛をつけていただきたい」

 

 そう苦言を呈するのは、スメイガの眷属である鳩羽だった。

 

 それに対して、サーゼクスは苦笑する。

 

「いや、今の私の現状だと、血統尊重主義派に直接接触するとうるさい人達が出てきそうだからね。こっそりさせてもらったよ」

 

「おかげで泣き付かれましたよ。後で謝っておいてください」

 

 そういった鳩羽は、しかし感慨深げな表情で体育祭を見つめる。

 

「まあ、生ぬるくなったというべきところもあるけれど、良い世の中になったというべきなのかしら」

 

「君のいた時代の日本とは、色々と変わっているからね。確か、君もサーヴァントなのだろう?」

 

 そのサーゼクスの言葉に、鳩羽も頷いた。

 

「はい。私は本来、陸奥の乗組員の一人でしかありませんでしたからね。こんな形で未来のヒノモトを見れるとは思いませんでした」

 

 そう告げる鳩羽に、サーゼクスは苦笑した。

 

「……神滅具、魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)を保有していたがゆえに、櫛橋家を追い出された者を、戦艦と併用する事で空母と戦艦の融合を狙った大日本帝国海軍の計画は恐ろしいものだった」

 

「結局、教会の非ヒトラー派に潰されましたけどね。……当時の責任者、一発殴りたいです」

 

 流石に死んでいると、サーゼクスは苦笑いする。

 

 櫛橋鳩羽。五大宗家の一角である、櫛橋家の生まれ。

 

 しかし、他国の異形に対する鎖国的体質が根強かった五大宗家において、神滅具の保有は認めがたく冷遇されていた。

 

 それを、現代より強く結ばれていた帝国海軍が「戦艦との併用」を考慮してスカウトされたのが、彼女だ。

 

 結果的に、悪魔祓い達の中でも、ヒトラーと敵対する方針で動いていた者達によって暗殺され、陸奥まで沈められたのは色々と思うところがあるらしい。

 

 そして、死後彼女は「戦艦陸奥」の代表として、英霊になった。

 

 おそらく、近年の艦船擬人化ブームなども影響があるのだろう。戦艦などを擬人化する風習は昔からあったらしいが、最近は特に事になっているのも原因だろう。

 

 付喪神信仰や、日本の英霊信仰も大きな影響力を発揮しているかもしれない。意外とサーヴァントシステムというのは融通が利くようだ。

 

 そんな彼女が、今の日本を受け入れてくれている。これは良い事だと思う。

 

「ほら、すぐに護衛のところに戻ってください。血統尊重主義派とつるんでたら、後で何言われるか分かったもんじゃ―」

 

 そう、鳩羽がサーゼクスを促そうとしたその時だった。

 

「サーゼクス様! ちょっとこっち来てください!」

 

 真剣な表情をした鶴木が、駆け込んできた。

 

「サーゼクス様の力が、俺達のクラスに必要なんです!! どうか、イッセー達の為だと思ってお力をお貸しください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、一着でゴールしたのは麻宮鶴木君です! ですが、借り物がちゃんとしてなければ意味はないですよ?」

 

「大丈夫! この人は真正のシスコンですぜ!! ねえ、サーゼクス様」

 

「なるほど。確かに私は妹が大好きだ、見てくれ、私の待ち受け画面はリーアたんの子供の頃のお昼寝タイムなんだ」

 

「おお、これは確かにシスコンっぽいですね。確かに借り物もシスコンだし……ん? この人どっかで見たような―」

 

「お兄様に鶴木ぃいいいいいいいいいい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 この瞬間、リアス・グレモリーの体術の技量がギャグ展開限定でサイラオーグとすら渡り合えるレベルにまで高まることとなった。

 

 麻宮鶴木、借り物競争で勝利する為なら、自勢力のトップを躊躇なく引っ張り込む怖いもの知らずである。

 




 イレギュラーズにおけるヒロイポジションのつもりで作った鶴木ですが、プロローグとホーリー編では上位の脇役ていどで済んでしまったのが残念です。ラグナロク編ではもう少し描写を増やしていきたいところですね。

 そして、その鶴木の視点中心で進んだこのラストエピソード。下手に甘言を向けられなかったこともあって木場のようにこじらせることがなく、物心ついた時の思い出と重なる行動をとったイルマに対する恋心の方が主体となっているため、人格的に変な歪みはありません。実際出がらしとしてポイ捨てされた祐斗とは違って、「データ取りが本命よりも成果を上げた」というカウンターそのものだという自覚もありますからね。




 そして体育祭でサーゼクスと絡む形で、鳩羽とボウゲツの来歴説明。

 ボウゲツはまあ想定されている通り望月千代女。彼女の宝具はFakeのキャスターほどの強化は望めないですが、その分大量使用が可能なので、諜報組織として運用するにはうってつけ。これによる歩き巫女の諜報組織としての能力こそが血統尊重主義派の大きな力になっております。

 そして鳩羽はまあ、活動報告でだした長門をベースに発展させたものです。陸奥について調べたときの「原因不明の爆発による沈没」をうまくネタにして「神滅具との併用による無敵戦艦完成の妨害のための暗殺兼破壊工作」といった感じですね。時々教会側に毒を吐くキャラにしようか悩んでおります。





 そして章のオチは激おこリアスタイムwww

 このために鶴木には借り物競争に出てもらいました。原作短編の運動会ネタを参考にしましたね。









 とりあえず、ちょっと設定を調整するために一日あけてからラグナロク編を書こうかと現在は考えております。

 ラグナロク編は本格的にオリジナル味方設定が大量に絡んできますので、見直しとかも必要。さらに主人公である鶴木&イルマのパワーアップモードの設定練り直しや、ふと思いついたカタナの強化手段とかもありますので。

 とはいえ激戦必須なのはお約束します。ロキ陣営は強化されるし、トルメーも一枚かみますし、スメイガも眷属を連れて参加して、最後のクロックワークス側サーヴァントも参上します。いろいろと激戦規模が上昇します。しかも之でも当初の予定より加減してます。具体的には「トルメーが戦略核奪って戦場に投下して雑魚一層」作戦で宝具の一つを公開する予定でしたが、そこは押さえました。

 あと、ヴァーリはフェンリルをぶちのめす前に命がピンチになります。そこはご了承ください。

陸奥鳩羽の設定はよかったかな?

  • まあ、最近はやりだしいいかな?
  • ちょっとこれどうよ?
  • 最高です!!

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