ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン

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そんなこんなでラグナロク編スタートです。

ですが、まず最初にやるのは修行編!!


第二章 放課後のラグナロク 罪王前身の王命、失墜せよ悪神と白龍
1 D×Dのいいところは、結構な頻度でトレーニングシーンが書かれているところ


 

 とある異空間で、剣劇の音が響く。

 

 振るわれるバスターソードの名はデュランダル。単純な破壊力なら聖剣でも随一となるだろう、最高峰の名剣でもある。

 

 しかし、それに立ち向かうものはひるまない。

 

 彼は悪魔だ。悪魔にとって聖剣は天敵であり、まともに戦うことは危険以外の何物でもない。

 

 ましてや、それが筆頭格であるデュランダルならばなおさらだ。かすめただけでも余波で消滅。それが上級悪魔ですら起こりかねない。

 

 その絶大な猛威を、模擬戦とはいえちゅうちょなく敢行するは、イルマ・グラシャラボラス眷属が一人、麻宮鶴木。

 

 唯一の純粋人間ベースの眷属にして、アーサー王の力を宿す、デミ・サーヴァント。

 

 彼に力を貸したのは、ブリテンの伝承の頂点に立つもの。デュランダルに並び立つ極点の聖剣と、核としてならそれすら超える、選定の聖王剣を混ぜ合わせしもの。

 

 故に、模擬戦ごときで臆する道理はかけらもなし。

 

 恐れるな。

 

 逃げ出すな。

 

 わが心には並び立つ同胞と心安らぐ仲間と愛すべき主がいるのだから。

 

 故に―

 

抜刀術式(ブレイドコード)天閃(ラピッドリィ)

 

 ……変異の駒《ミューテーション・ピース》で転生した騎士(ナイト)である自分が、ただの騎士に後れを取るなどありえない。

 

 騎士の特性とはすなわち速度。そして自身は速度を高める力を持っている。

 

 ならば、力での勝負など無粋。やるなら速度での翻弄こそが本懐。

 

 その判断のもとに、躊躇なく四方八方へと移動し、ゼノヴィアの攻撃を一切かすめさせることなく回避する。

 

 それをなす要因は、大きく分けて二つ。

 

 一つは、聖騎士王の聖剣(カリブリヌス・キャメロット)を宿す自身の能力の片割れ。

 

 コールブランドとエクスカリバーの力を足して二で割ったその聖剣は、必然的にエクスカリバーの持つ七つの特性をすべて発揮することができる。

 

 未熟な鶴木では魔術師としての特性を最大限に発揮することで一つ一つを二小節で発動させるのが限界だが、発動さえ可能なら、最大限に発揮できる。

 

 それによる、速度強化が発動した今、鶴木は最高速度でゼノヴィアを大きく上回る。

 

 そしてもう一つが、彼が宿すもう一つの力―神器《セイクリッド・ギア》だ。

 

 流星破装(メテオ・バスター)。荷電粒子を放つ小銃にして、荷電粒子を纏う小銃を具現化する、近年発見された新型の神器。

 

 彼はそれを、更に亜種として具現化する。

 

 展開されるのは、背中から生える一対のクローアーム。

 

 これにより、両手で運用することが向いている聖騎士王の聖剣を運用しながら、彼は神器を併用することができる。

 

 銃身の短さなどの諸問題故に有効射程は短いが、クローアームとして稼働させることによる多機能性は、使いこなせばかなりの力になる。

 

 事実、姿勢を低くすることで彼は事実上の四本足として高速機動を行い、敏捷性能を大幅に高めることに成功した。

 

「悪いが、この模擬戦は俺の勝ちだ!!」

 

 鶴木は吠え、相手がこちらを完全に見失う好機を狙う。

 

 だが、相手もただではやられはしない。

 

 エクスカリバーの一角を与えられ、さらにデュランダルを受け継いだ逸材。ゼノヴィア。

 

 かのヴァスコ・ストラーダの後代となる彼女もまた、生粋の逸材である。

 

 駒が一つ? 変異でない? それがどうした笑わせる。

 

 たとえその程度の肉体的素質しかなかろうと、自分は確かに伝説の存在を受け継いだものなのだ。

 

 その事実を叩き込むべく、ゼノヴィアはデュランダルを逆手に構える。

 

「なめるなよ、麻宮!!」

 

 そして、ゼノヴィアはデュランダルを地面にたたきつける。

 

 その瞬間、周囲の地面が一斉に吹き飛んだ。

 

 まるで爆撃機が大質量の爆弾をたたきつけたかのような大爆発。その勢いで隕石の衝突のごときクレーターが発生し、余波で鶴木を宙へと吹き飛ばす。

 

 誰が想像しよう。それが、剣の刺突による余波で発生したものなどと。

 

 異形を知らない者たちでは、この想像をすることだけはありえない。

 

 そして、それは裏を返せば異形を知るものならばこの程度のことは予想可能だということ。

 

 相手はデュランダルである。たかが隕石の激突程度の破壊程度、出せないようなら片手落ち。

 

 故に、余波で吹き飛ばされた鶴木はすでに迎撃態勢をとっている。

 

 背中の流星破装を構え、弾幕を発射。ゼノヴィアを接近させないようにしながら体制を立て直す。

 

 しかし、ゼノヴィアはデュランダルとそのオーラを盾にして突撃。騎士としての速度で一気に迫る。

 

 しかし破壊力に優れる流星破装の火力は絶大で、ゼノヴィアの加速は一歩遅れる。

 

 そして、ぎりぎりで攻撃可能な程度の対応を可能とした鶴木。

 

 そして、ぎりぎりで可能な程度レベルで間合いを詰めれたゼノヴィア。

 

 勝負はすなわち、この一瞬の剣劇で決まり―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、そこまで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―割って入った聖と魔の融合した剣が、二人の斬撃を受け流す。

 

「熱くなりすぎだよ。お互い本気になりかけてるところ悪いけど、これは模擬戦だって忘れないように」

 

 この世で唯一、聖と魔を融合させることができる、聖魔剣を生み出すことができる異能保有者。リアス・グレモリーのもう一人の騎士。

 

 木場祐斗が、苦笑しながら模擬戦の時間切れを宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、別の場所の模擬戦も白熱していた。

 

「う、うぉおおおおおおおお!?」

 

 悲鳴を上げながら、渾身の力の連続打撃をイッセーは放つ。

 

 一発一発の攻撃力は、上級悪魔すら悶絶させる。鉄拳という言葉すら生ぬるい、絶大な攻撃力を発揮する打撃力だった。

 

 それも、若手ならばオーフィスの蛇で強化されていても悶絶しかねない威力のこぶしだ。これ単体で並みの眷属悪魔の必殺技と形容していいだろう。

 

 それこそが、神滅具(ロンギヌス)が一角である赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)。神すら殺しうるとされる絶大な力の頂に立ったものは、伊達ではない。

 

 だが、その担い手である兵藤一誠は苦労していた。

 

 彼のトレーニングメニューはシンプルイズベスト。

 

 来る方向が分かっている砲撃を、こぶしで弾き飛ばし続けるというわかりやすいもの。いわば連続攻撃を弾き飛ばし続けるという、単純なものである。

 

 だがしかし、それが難しい。

 

 来る方向は分かっている。一発一発は弾き飛ばせる火力だ。

 

 だがしかし、それが雨あられと放たれるのなら話は別だ。

 

「どうしましたの! 私、実はそろそろお茶を三杯目なのでトイレ行きたいのですが!」

 

「いや、俺も休憩したいんですけどね!!」

 

 その砲撃担当、カタナ・フールカスは余裕だった。

 

 絶大な余裕だった。ランニングどころか、早足の散歩気分の感覚で撃ちまくっていた。

 

 三光叫喚(ディストラクション・スクリーマー)の連射モードの砲撃を弾き飛ばし続ける。それが兵藤一誠の訓練だった。

 

 はっきり言おう。疲れる。

 

 すでに十分間オラオララッシュを続けている。それもやたら目ったら殴り掛かるのではなく、砲撃を一発一発正確に殴り飛ばすという疲れる作業だ。

 

 そうでもしなければ無理があるという難点そのものである。一発一発はディオドラの本気より低いが、ちょっとでも隙が発生すればそのままつるべ打ちで防御に失敗するだろう。

 

 そんな感じのハードトレーニングを積みながら、しかしカタナは余裕だった。

 

 魔力量だけなら超越者級。その言葉に嘘偽りはない。

 

 カタナは砲身を柱で固定して、引き金を引きながら魔力を引き出させてもらっているだけ。そしてゆっくりお茶をたしなんでいる。

 

 お嬢様気質……というより、末席とはいえど元七十二柱なので間違いなくお嬢様な彼女なので、実に絵になっている。

 

 絵になっているが実に疲れる。というか、精神的悪影響は非常にきついというほかない。

 

「……とりあえずトイレ行きたいので、そろそろ押し切りますわね?」

 

「……はい?」

 

 おい

 

 ちょっと待て。

 

 それってつまり―

 

「今まで手加減してたのかよぉおおおおおお!!!」

 

 その瞬間、弾幕の密度が二倍ぐらいになった。

 

 普通に戦えば問題ない。

 

 この状態のイッセーは、直線加速度なら木場祐斗すら超える。駒王学園に在籍している悪魔たちの中なら、トップに到達する自信がある。

 

 だがしかし、今回は足を止めての精密連撃の連射だった。そのため、ある程度の拘束術式がかけられている。

 

 必然的に、回避不可能だった。

 

「ぎゃぁあああああああああ!!!」

 

 悲鳴が、響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそのころ、紫藤イリナは完敗を喫していた。

 

 事実上の二対一ではある。なにより、相手は仮にも元七十二柱次期当主の代理を務める逸材である。

 

 蛇で強化された転生悪魔十数人を相手にして、発動さえ許せば一方的に不殺で完全勝利できるという、とんでもないスペックを保有している猛者である。

 

 だがしかし、自分もミカエルの(エース)なのだ。

 

 しかも、自分が最も得意とする土俵をもってして敗北した。

 

 これは、痛恨の敗北である。

 

「元悪魔祓い(エクソシスト)で現御使い(ブレイブ・セイント)の私が、悪魔祓いの技術で倒されるなんてぇえええええ!! ああ、主よぉおおおおおお!!!」

 

 想像以上にショックなので、イリナは心から神に祈りをささげて現状を嘆いた。

 

 そして、それをなしたのはイルマ・グラシャラボラス。

 

 メイン武装である光力の刃を形成する大型ナックルダスターにより、イリナを追い詰めて勝利を飾ったりしている。

 

 ついでに言うと、そのガンドレットは光力の弾丸まではなってきていたりしている。どうやら悪魔祓いの基本装備としての機能を保有しているらしい。その上で、頑丈な異形すら殴り殺せるナックルダスターとしての機能まで持っている複合武器のようだ。

 

 マルチウェポンはハルバードから銃剣、トンファーに至るまで割と存在している武器である。加えていえばバトル作品の花形といってもいい。

 

 だがしかし、使いやすさまで含めると完成といえるレベルに到達することは難しい、上級者向けの武器でもある。

 

 それを使用してイリナを撃破したイルマのポテンシャルは、間違いなく優れている。

 

「ふっはっはー! イルマさん専用装備、ブレイクアームズとリスンの魔眼をなめたらいけないじゃん!」

 

「ウチとの相性は抜群な装備やからなー」

 

 ハイタッチを交わしながらの二人を恨めしげに見ながら、イリナは首をかしげる。

 

 というのも、そもそもイリナとその武器の相性は本来イリナ側にとって有利である。

 

 ぶっちゃけていえば、ブレイクアームズは悪魔祓いの武器を組み込んだナックルダスターだ。それはすなわち、対悪魔用の側面を備えていることになる。

 

 つまり光力を発動する装備だ。ゆえに、悪魔に対して特攻ではある。翻って、光力をつかさどる天使にはそこまで有効な武器ではない。

 

 あくまで特攻にならないだけでダメージは入るが、しかしそれは通常攻撃だ。そこに変わりはない。

 

 なのに、なぜか自分が悪魔になったのかのようにダメージが入った。

 

「あの、魔眼ってトルメー・グレモリーが持ってた強奪とかいうの? 私は魔力とか使わないんだけど」

 

 と、その辺も含めて疑問をかけてみれば、イルマは苦笑する。

 

「ああ、魔眼っていっても能力から格まで千差万別だからねー。トルメーのは神滅具クラスの対悪魔&魔術師(メイガス)特化型の魔眼だね」

 

 そう言いながら、イルマはリスンの頭を優しくなでる。

 

 それを心地よさそうに受け入れるリスンの目は、金色に輝いていた。

 

「リスンの魔眼は「黄金」ランクの「模造」の魔眼。凝視した対象に自分の能力や特性を劣化再現させる能力じゃん」

 

「元の世界じゃ役に立たへんクソ魔眼なんやけどなぁ」

 

 そういうイルマとリスンの言葉に、イリナは納得した。

 

 つまり、今のイリナは悪魔の特性を付加されていたので光力に対して弱くなっているということなのだろう。

 

 結果として、光力を発動する装備であるブレイクアームズに対してダメージが増大化したということだろう。

 

 つまり、リスンに見られると悪魔の弱点が自分にも追加されるということだ。ついでに言うと、彼女は龍の要素があるので、更にドラゴンスレイヤーにも弱くなる。

 

 そこまで考えて、イリナは何かしらの運命を感じ、ブルノウがイルマたちをリアス達のところに送り込んだ意図まで理解して思わず震えた。

 

 この魔眼、イルマの眷属たちだけでならイルマや鶴木との連携で効果を発揮するだけだ。だが、グレモリー眷属とまで含めて連携すれば爆発的に効果が発揮する。

 

 聖騎士王の聖剣(カリブリヌス・キャメロット)とブレイクアームズだけだった、攻撃力増加能力がさらに上昇する。

 

 ゼノヴィアのデュランダルに、木場祐斗の聖魔剣。さらに堕天使出身である朱乃も雷光を解禁している。とどめにイッセーのアスカロンは龍殺しの聖剣なので、攻撃力の倍増率は倍率ドンだ。

 

 組ませて戦闘すればサポート役としてすさまじいレベルに到達する。

 

 ここまで考えてのことなら、ブルノウの慧眼はすさまじい。そして、将来的なリアスとイルマの連携を踏まえたうえでのことなのだろう。

 

 最近、冥界では政治闘争で血統尊重主義派が一気に勢力を拡大しているらしいが、これならきっと―

 

「ミカエル様はいろいろと心配していたけれど、これならサーゼクス様達も大丈夫みたいね」

 

 そうほっとした声を出した時―

 

 

 

 

 

 

 

 

「「………あー、どうだろう」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―シンクロで、二人は遠い目と乾いた笑いのコンボを叩き込んでくる。

 

「いや、ブルノウ様はマジでええお人やけど、良くも悪くも大人やからなぁ」

 

「伯父様のことだし、サーゼクス様に同情はしても、このチャンスを逃す気はないだろうなぁ」

 

 その言葉に、イリナは首をかしげる。

 

 話を聞く限り、ブルノウ派政治的には派閥が違うが、サーゼクス達ともにこやかに話ができる善人だということはわかっている。

 

 純血悪魔の権利拡大及び、転生悪魔の権威が過剰になることを抑制することをスタンスにしているが、しかしそのあたりのバランスも考慮している。大王派の中では非常に良心的で、彼らが中心となる転生悪魔に対する扱いの悪さを法整備で抑制することも考慮していると聞いた。

 

 なら、サーゼクス達があまり失権しすぎることは避けるべきではないだろうか。

 

「ブルノウさんって、いったい何を考えてるの?」

 

「いや、考えてることはいろいろあるんやけどな? その中の一つの準備が同盟のおかげで一気に進んで、しかもトルメーのおかげで押し通しやすくなっとるからなぁ」

 

 イリナにそう答えるリスンにうなづき、イルマははっきりと告げた。

 

「ぶっちゃけ伯父様。魔王という概念を過去のものにするために動いてるから、たぶん遠慮なくここで動くと思うなぁ。アイネス貸してほしいって言ってたし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、アイネス。君にはこれだけの過酷な仕事をしてほしい。……有給一週間でどうかね?」

 

「もらっておきましょう。さすがに、これを全部終わらせるには二十時間はぶっ続けで行動する必要がありますからね」

 

「すまないね。だが、初代殿の目を出し抜くには、この悪魔政府の混乱期をつくのが一番いい。そして、この混乱期は必然的にサーゼクス様もアジュカ様も、そして彼も忙しいから、スケジュール調整のためには「大量の仕事」を片付けたうえで調整する必要がある」

 

「とどめに、秘匿会議参加の礼として一日のオフまで作るには、|神霊髄液《ウォールメン・ハイドログラム・アドバンスド》の100リットルを使用しての演算が必要不可欠ですからね。……最後いります?」

 

「何を言っている。ただでさえ政治的に窮地に立たされている者に、大絶賛追い込んでいる筆頭格が極秘会談を申し込むんだ。……対価と誠意は必要不可欠だ」

 

「私に対する誠意が有給一週間ですか。……できればイルマに対するカウンセラーの準備もお願いしたいのですが」

 

「トルメー・グレモリーが道間誠明の可能性があることについてか。まあ、ディオドラが保有していた教会の少女たちと同じ要領である程度は効果が見込めるが、しかしカウンセラーも人だから、嫌悪感を抱かない限度がある。人選は慎重にいかなければ」

 

「そうですね。それに、万が一を考慮すれば我々の婚約相手にもある程度の事情を知っておくべきでしょうしそのあたりも必須でしょう」

 

「……イルマの立場だと、どうしても正式な結婚においてはそれなりの人員にしなければいけないしね。なにせグラシャラボラス家の次期当主代理だからな」

 

「当人がその気なので、その辺は大丈夫ですけどね。……ですが、トルメーが誠明だとするなら、イルマにとっては核兵器を通り越して反物質爆弾です。いや、イルマ・グラシャラボラス眷属にとって致命的な損害を引き出しかねません」

 

「ああ。できればトルメーはほかの者が討ち取らねばならない。幸いにも今の彼の能力で、イルマたちのレベルを投入するなどありえないが―」

 

「トルメーが気付けば動きかねません。道間日美子は、道間誠明にそれだけのことをしたのですから。また、万が一にでも「亜種聖杯でイルマ・グラシャラボラス眷属について調べる」なんてことをした暁には―」

 

「―彼の悪意は、間違いなくイルマ・グラシャラボラス眷属(君たち)全員に向けられるだろうね。いや、ディアクルスたちはさすがに対象外だが」

 

「……ブルノウ様、褒章の件なのですが、私の休暇ではなく「試作型」の解放を考慮していただきたい」

 

「………確かにな。もしトルメー・グレモリーが悪意をイルマたちに向けるとすれば、それこそ駒王町すら巻き込んだ大事変となる。いかに赤龍帝とアザゼル総督がいるとはいえ、それだけでは押し切られる」

 

「はい。トルメーの相手はアイネス・エルメロイ・アーチホールとして私がしますが、奴の眷属であるディアボロス・サーヴァントをイルマに直接差し向ける可能性もあります。私が奴を倒すにも、イルマが奴らから身を守るにも―」

 

「―試作型ぐらいは必要不可欠だね。それに、アーマードカートリッジも魔眼対策が必須だろう。対策はあるかね?」

 

「アーマードカートリッジのシステムは、三大勢力間の技術協力で大いに進んでいます。私専用のカートリッジの応用で、対魔眼特化型魔術工房をクロックワークスに作らせれば、何とかなるかと」

 

「わかった。どちらにしても「今後の王」をトルメーから守るためにも必要なカートリッジになるだろう。政策許可は出しておく」

 

「ありがとうございます。……それと、もう一つ進言したいことが」

 

「……英雄派のことだね? 何かしらの細工の可能性は考慮しているけど、記憶操作以外にもあるということかい?」

 

「はい。霊媒医療の使い手を当面集中して神の子を見張るもの(グリゴリ)の監視施設に全員送り込んでいただきたい。解析魔術の使い手からの報告を聞く限り、早急な霊媒治療の必要があります。資料はこちらに」

 

「………英雄派、か。英雄の負の側面と業をこの上なく盛り込んだ、まさに禍の団に所属する英雄なだけあるよ」

 

「日常で一人殺せば殺人者だが、戦場で百人殺せば英雄……といった言葉があるとかないとかですが、地で行ってますね」

 

「まあ、英雄なんて返り血で光が反射してるようなものだからね。業は深いよ、本当に」

 

「そこだけではないからこその英雄であるのでしょうが、そこがあるのも否定できないですからね。……では、私はそろそろ時間づくりを行います」

 

「ああ、タイミングとしては、オーディン神の来日をおとりにしたい。その辺を考慮して詰めてくれ」

 

「了解です。……ついでにあいさつ回りと、彼らの治療支援の要請もかねて、オーディン様には直接説明もかねて私も向かうとしましょう」

 




 鶴木の神器はすでに説明していますが、わが作品では結構な頻度で出てくるオリジナル神器である流星破装です。ただ亜種です。あとまだ禁手ではないので、設定資料集とかちょっと書き直しておきます。

 一方イッセーが超苦労するカタナの砲撃網。まじめな話、砲撃の威力でイッセーがカタナを超えるには、本当に疑似龍神化による∞ブラスター&ロンギヌススマッシャーか、完全龍神化ぐらい入る相手ですから。もっとも、カタナも装備が追い付いていないのでまだまだ伸びしろはあるのですが。

 そしてイルマとリスンについても設定追加。ちょっとした理由でイルマは専用装備として結構カスタマイズされたものを持っています。ディアクルスのハルバードやアイネスの刺突剣の上位互換です。ちなみにナイフはハルバードや刺突剣と同様の物で、これは結構な人数が持っている設定です。

 リスンの魔眼は協力だけどこの世界でないと意味が薄いものを設定しました。魔術回路をコピー&ペーストさせることもできますが、それを開いて固定化させるという手間が必須ですから、型月世界ではレアなだけであまり意味がないです。この世界でしかもリスンがブネ家の悪魔だからこそ、凶悪なサポート系能力として具現化します。特に龍殺しの聖剣持ちであるイッセーと組むと、どんな相手もアスカロンの特攻対象になるという凶悪コンボです。
 ディオドラが悶絶したのはこれが理由。リスンに魔眼で見られたことで龍属性が付加されたため、鶴木による祝福の聖剣の力でブーストされたアスカロンがスーパー特攻を与えました。









 そして、その裏でアイネスに協力を要請していろいろと暗躍するブルノウ。

 そして「試作兵器」という謎ワード。完成品が勿論ありますが、それについてはある程度の話が進んだら出てきます。他にも派生型が何種類か出てくる予定で、アザゼル杯編かルシファー編にはさらにそれを参考にした新装備も出そうかと考えている、血統尊重主義派の切り札です。

 そして英雄派が使い捨てている神器使いに生存フラグが立ちました。全員生存とまではいかないですが、クロックワークスの魔術により蛇の存在感地と摘出のめどはたっています。

 ……どのタイミングで英雄派幹部に逆襲の牙を届かせるか、今から考えとかないとなぁ。

ブルノウが呼ぼうとしている人物の正体は誰だクイズ!!

  • ディハウザー・ベリアル
  • リュディガー・ローゼンクロイツ
  • タンニーン
  • ロイガン・ベルフェゴール
  • ビィディゼ・アバドン

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