ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲   作:グレン

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因みにマイナスされたのはマニアです。


4 若手六王(一人除く)の集い

 

 そして会合が終わった後に、ブルノウは一つの提案を若手眷属達にした。

 

 色々と親族が揉め事を起こして騒がしくなったお詫びとして、近くのレストランで飲み放題食べ放題を楽しんでくれと言ったのだ。

 

 リアスもソーナもそれに参加する事を決定したが、しかし表情には警戒の色もある。

 

「どうしたんですか、部長?」

 

「会長も、お詫びをきちんとしてくれる良い貴族様っぽいですけど?」

 

 イッセーと匙はそう不思議がり、大抵の眷属達も程度はともかく気前の良さには感心していた。

 

 だが、ソーナは額に指を当てると息を吐く。

 

「……バイキング形式とはいえ、大都市の中心部にあるレストランをいきなり貸し切りにするなんて横暴をする手合いではありませんよ、スメイガ・バアルというお方は」

 

 ソーナがそう言うと、リアスも腑に落ちたのか納得の表情を浮かべる。

 

 ソーナとは違い、リアスは違和感を覚えていた程度だったのだろう。この辺り、ソーナの方が謀略に向いているという事か。

 

 しかし違和感を感じているだけでも十分素質はあるだろう。むしろリアスの気質から言って、無理に謀略に頭を回すぐらいならそれに長けた味方と連携をとる方が有効ではある。リアスはむしろ前線で味方を鼓舞する方が向いている気質なのだから。

 

 そういう意味ではこの幼馴染、実に相性がいい。

 

「どちらにしても私達を招待する準備はしていたというわけね。でもツヴェルフやイルマが迷惑をかけたから、それを理由としてでっち上げた……と」

 

 リアスの推測にソーナは頷いた。

 

 そして、警戒の表情を浮かべながら皆を見渡す。

 

「何かあると考えていいでしょう。会合での姿から見て卑劣な事はしないでしょうが、皆気を付けてくださいね」

 

『『『『『『『『『『はい!』』』』』』』』』』

 

 そしてレストランに入り―

 

「イルマさまー。もう食べていいですかー!」

 

「お・す・し! お・す・し!」

 

「スメイガ様、とりあえず生頼んで時間潰させてください」

 

「君達ー!? まだゲスト来てないからねー!?」

 

 ……イルマとスメイガの兵士(ポーン)が凄まじくだらしない態度で二人に食事開始を要請していた。

 

 因みにイルマは大声を上げて制している。

 

『『『『『『『『『『………』』』』』』』』』』

 

 ………なんだこいつら。

 

 そもそも若手悪魔同士で挨拶した時から気にはなっていた。

 

 なんというか、全員が兄弟姉妹かというぐらい似通っている。合計16人いるイルマとスメイガの兵士達が、全員似通っているのだ。

 

 全体的に色素が薄め。しかもどこか人工物めいた美しさを持っている。この世界がもう少しSFじみていたら、デザイナーズチルドレンかと思いたくなるほどだ。

 

 だが、このざっくばらんな態度は違うだろう。普通に考えて、そんな事を考えて作るのならもっと忠実になるように作る。

 

「……何してんですか、一体」

 

 代表してイッセーからツッコミが入ると同時、後ろから声が届く。

 

「スマン遅れた。……ん? もう始まっているのか?」

 

 サイラオーグがそう尋ねると、スメイガは視線を少し逸らした。

 

 流石に気恥ずかしいらしい。

 

「……すまん。TPOは弁えてくれるのだが、どうやら君達相手なら無礼講でも問題ないと判断したらしい。こうなると本当に態度が雑なんだ」

 

 ……リアスもソーナもサイラオーグも、静かにイルマとスメイガの肩に手を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、立食形式のちょっとした食事会が起き始める。

 

『『『『『『『『『『いっき! いっき! いっき! いっき!!』』』』』』』』』』

 

「こらー! 一気飲みは危険だから禁止ー! イルマさん怒るよー!!」

 

 既にイルマとスメイガの兵士達は無礼講である。イルマが止めに回っている展開だった。

 

 そしてそんな中、イッセーと匙は適当に食べ物を物色しようとして―

 

「む、匙元士郎だったな」

 

 そこに、ツヴェルフ・シトリーが目ざとく見つけて近づいてくる。

 

 イッセーも匙も思わず身構えたのは悪くない。

 

 いくら上役に身分を弁えない事をしたとはいえ、いきなり両足を切断してくるような物騒な女である。

 

 挙句の果てにシトリー家の分家でありながら、本家の跡取りであるソーナまでディスっている。警戒心が出てくる事も当然だろう。

 

「な、なんですか……?」

 

「いちいち身構えるな。こういう場で流血沙汰を積極的に起こす趣味はない」

 

 警戒心丸出しの匙にそう答え、ツヴェルフは一枚の紙を取り出す。

 

 そしてそれを渡すように突き出し、匙は何となく受け取った。

 

 イッセーが覗くと、そこには悪魔文字で何か書かれていた。

 

 ……ちなみにイッセーは悪魔文字はまだ完全には習得できていないが、単語の一つは分かった。

 

「……病院?」

 

「イルマやスメイガがある理由で協力体制をとっている病院だ。四肢の切断などの治療においてはシトリー領の病院に匹敵する。念の為、明日にでも足を見てもらっておけ、連絡は入れてある」

 

 そう告げると、近くにあったクラッカーに乗せられたキャビアを食べ、そして呆れ顔を見せる。

 

「まったく。あの場で私が派手に制裁したから上役もそれで完全に終わらせたが、そうでなければソーナ様の今後に対する悪影響が懸念されたぞ。切断はやりすぎかもしれんが、あれぐらいのインパクトがなければ後々追及されていた可能性があるのだから、今後は発言には気を付けろ」

 

 その言葉は結構辛らつだが、真剣にソーナに対する気遣いが感じられるものだった。

 

 意外な反応に、イッセーは匙と顔を見合わせる。

 

 そして、この態度なら質問してもいいかと思って、イッセーは切り出した。

 

「あの、ツヴェルフさんは……下級悪魔を見下してないんです……か?」

 

「勘違いするな。私は前世の頃から名門貴族だ。平民より上の立場だし、そうあるべく鍛錬と研鑽を欠かした事はない」

 

 凄い事を言った。

 

 これはあれだろうか、中二病なのだろうか。

 

 二人が可哀想なモノを見る目を向けそうになるのを堪える中、ツヴェルフはそのまま告げる。

 

「だが、貴族は一族の衰退する可能性も視野に入れ、より良き血を取り入れたり、一門の発展の為に素質のある者を見つけ出す義務がある。ソーナ嬢が見出した駒価値四にして、ヴリトラの残滓を宿す者には一定の評価を下すとも」

 

 そう告げ、ツヴェルフは肩をすくめる。

 

「とはいえそれが間抜けな事をしたのだ。首をはねられなかっただけマシとは言ったが、上役達は場合によっては本当にそうした可能性だってある。そうなれば、ソーナ嬢は勿論、セラフォルー様の今後にも響く恐れがあったのだぞ」

 

 実際その可能性はあっただろう。

 

 匙が盛大に制裁を受け、更に話が完全に切り替わったからこそ、問題にならなかったのだ。

 

 スメイガの言葉を受けるまで、ソーナを馬鹿にすらした連中である。もしかしたら本当にソーナにペナルティが掛けられていた可能性もある。間接的にセラフォルーに悪影響もあるかもしれない。

 

 今更ながらにその可能性に思い至って、二人はゾッとする。

 

 その二人に憐憫の視線を向けながら、ツヴェルフはため息を付く。

 

「四民平等の民主主義国家出身では分かり辛いのは認めるが、いささか迂闊だ。ひと月ほど後に若手悪魔を祝うパーティに参加する事になるだろうから、その手の知識をそれまでに頭に叩き込んでおけ。本家の者に頼めば、最低限の知識は教えてくれるだろう」

 

「あ、はい。アドバイスありがとうござます……」

 

 匙も素直に頭を下げるが、しかし少しだけ歯切れが悪い。

 

 それに対して、ツヴェルフは怪訝な表情を浮かべた。

 

「どうした? 今は半ば無礼講だから、言いたい事があるなら聞くが?」

 

 その言葉に、匙が何か言うよりも早くイッセーが先に聞く。

 

 聞きたい事は多分同じだ。そして、足を切られた匙よりも自分の方がまだ気安く聞ける。

 

「あの、ツヴェルフさんは大王派みたいですけど……会長のことお嫌いじゃないんですか?」

 

 その言葉に、ツヴェルフは苦笑した。

 

「……派閥としては合わないが、私人としては敬意に値する。少なくともイルマよりはよっぽど立派な上級悪魔だとも」

 

「アイネスー!? 聞こえてるんだけどー!?」

 

 イルマからツッコミが入ったが、しかしツヴェルフはスルーする。

 

 そしてジュースを一口飲むと、匙とイッセーの肩に手を置いた。

 

「今後政治の場では対立する事もあるだろう。だが、私としてはソーナ嬢のような高潔な好敵手こそ、スメイガやイルマの政敵に相応しいと思っている。欲の皮が突っ張った家柄だけの馬鹿などより、何百倍も張り合いがいも勝ちがいも負けがいもある相手だ」

 

 そう告げると、ツヴェルフは背を向けてイルマやスメイガの眷属達のところへと向かっていく。

 

 しかしその前に一歩止まると、不敵な笑みを浮かべながら振り返った。

 

「……貴族の目を気にしなくていい所ではアイネスと呼んでくれ。それが魂の名だし、ツヴェルフという名は気に入らんのだ」

 

 そして、今度こそツヴェルフ―アイネスは去っていった。

 

 その背中を見ながら、匙はぽつりと呟く。

 

「……嫌な人かと思ったけど、結構立派な貴族さんだったんだな」

 

「ああ、会合の時の上役より何倍も良い人だな」

 

 イッセーも考える。

 

 あの時速攻で凄まじい斬撃を繰り出した時は、正直怒りの感情も覚えた。

 

 だが、切れ味が鋭い方が治療が楽だという話をどこかの漫画で読んだ気がする。

 

 あの時あれだけ凄まじい攻撃をして匙を切り裂いたのは、派手に制裁するだけでなく、匙に後遺症が残らないようにする配慮だったのかもしれない。

 

 偉そうな人ではあるが、そこにはしっかりとした気遣いがある人だ。ノブレス何とかという言葉は、きっと彼女のような人の為にあるのだろう。

 

 こっちを見下して来るばかりの上役じゃない。礼節をきちんと弁えた人なのではないかと、イッセーは思った。

 

「……でも中二病だよなぁ」

 

「中二病だよなぁ」

 

 前世とか魂の名前とか、正直痛々しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、リアス達上級悪魔は上級悪魔で集まっていた。

 

 眷属達を気楽に食事させるためにも、そちらの方が都合がいいと判断した者が多いのだ。その辺、意外と似た者同士なのかとリアスは考える。

 

 イルマとスメイガには敵意すら感じたりした。ツヴェルフが匙に近づいた時は、ソーナが珍しく声を荒げそうになった。

 

 だが、それをイルマが止める。

 

「大丈夫大丈夫。アイネスは基本ベクトル偉そうだけど、ねちねち厭味ったらしい事はしないから」

 

「ああ、おそらく切断した足の処置の為に医者を紹介しに行ったのだろう。さっき病院に連絡していたしな」

 

 そうスメイガも続けたので、ソーナ達は若干呆気にとられたものだ。

 

 どうやら、あの割と凄惨な制裁は上役の不満を解消する為の気づかいだったらしい。

 

 できればもっと穏便な方法をとってほしかったが、まあ派手ゆえに上役もねちねちとした嫌がらせはしてこないだろう。

 

 大王派を公言する者達には魔王派として思うところがあるが、リアスは話の分かる相手の類と彼女達を認識する。

 

 なので、話を進める事にした。

 

「……それで? 呼ばれたのは若手悪魔達全員でしょう? なんで私達だけなの?」

 

 ここにいるのはホスト側であるスメイガとイルマだ。ゲストとして来ているのは、リアスにソーナにサイラオーグだけである。

 

 アスタロトのディオドラやアガレスのシーグヴァイラ、そしてグレモリー分家のトルメーの姿が見えなかったのはどこか気になった。

 

 それに対して、スメイガは肩をすくめる。

 

「三人揃って断られたよ」

 

「シーグヴァイラは絶対に外せない用事があるんだってさ。なんでも会合の所為で時間がギリギリで、ライトアップまで間に合うか自信ないとか言ってたけど、なんだろ?」

 

 イルマがそう首を捻るが、しかしリアスには心当たりがあった。

 

 会合の場でいきなり発生した揉め事。イルマのエロい意味でのコスプレ発言にキレたシーグヴァイラの態度から、ある程度の予想はつく。

 

 彼女はオタクだ。それも、ダンガムという事はロボット関係のオタクだろう。しかも相当熱意があるタイプと見た。

 

 そしてリアスが担当している日本は、ダンガム発祥の地である。

 

 なので、ダンガムのイベントだってちょくちょく行われているのだ。

 

「……たぶん、有明ね」

 

「ああ、テレビで「1分の1スケールダンガム」の駆動イベントとかやってましたね」

 

 ソーナも納得したのか、呆れ顔になりながらも頷いた。

 

「流石はオタク大国にして技術大国ニッポンだな」

 

 スメイガも理解があるのか、すぐに分かったようだ。

 

「……よく分からんが、ディオドラとトルメー殿は何で断ったのだ?」

 

 分からないなりに踏み込みすぎてはいけないと判断したらしい。賢明である。

 

 そして、確かに気になったりはする。

 

 特に問題を起こさなかったり、むしろ上役達に味方するような意見をこぼしたりしたディオドラとトルメーが、大王派の実力者として名高いスメイガの誘いを無碍にする理由は少し気になった。

 

 それに対して、スメイガは苦笑した。

 

「トルメー殿は別件で会いに行く相手がいるそうだ。なんでも関係を持っている術者と会合だとか言っていたぞ」

 

 そしてイルマも続けるが、何故か表情が険しかった。

 

「で、ディオドラは家に帰りたいんだってさ。最近忙しかったから趣味に没頭したいって……ね」

 

「……イルマ。人の趣味に深入りするのは失礼な事だぞ?」

 

 スメイガがたしなめるが、イルマは少しむっとしていた。

 

 こう言った貴族としての嗜みより趣味を優先することにいら立ちでも感じているのだろうか。などとリアスは感心し―

 

「私だってヤリモクで逆ナンしたいの我慢してるのにー!」

 

 ―一瞬でそれを投げ捨てる羽目になったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして簡単なパーティもお開きになり、それぞれ居城に戻る事を考えなければならない時間になった。

 

 イッセーは帰り支度をしながら、結局このパーティは何だったのだろうと考える。

 

 何かあると言われたが、特に何もなかった気がする。少なくとも、イッセーの視点からは普通にパーティだった。

 

「さて、それでは最後に一ついいだろうか」

 

 スメイガはそう言うと、皆を見渡した。

 

 自分の義妹にして従妹であるイルマ。

 

 現ルシファーを排斥したグレモリーの次期当主であるリアス。

 

 堂々と「バアル本家の後継に相応しくない」と告げたが、同時にバアルの貴族としての気概と武力に敬意を払うサイラオーグ。

 

 そして、イルマの眷属であるツヴェルフの本家筋であるソーナ。

 

 彼女達を見渡して、スメイガは告げる。

 

「まあ正直に言おう。イルマ以外のこの場にいる者達とは、政敵になるのは間違いない」

 

 当然と言えば当然だろう。

 

 スメイガとイルマは大王派である事を公言している。しかし、リアスとソーナは対立派閥である現魔王の妹で、家族仲も良好だ。サイラオーグはバアル家次期当主の座にいるが、スタンスは全く異なっている。

 

 政治思想で言うならば、間違いなく正反対だ。

 

 だが、スメイガもイルマも三人とその眷属に対して、好意的な表情を浮かべている。

 

「……だが、我々は後の冥界の未来を担う者達だ。だからこそ見極めたく思っていて、そして二つだけ安心材料ができた」

 

「それを見極める事が目的ですか。……で、何を見極めたかったのですか?」

 

 ソーナが納得の表情を浮かべながら深入りする。

 

 それにはイルマが答えた。

 

「善悪どっちよりの人かって事と、悪魔の未来をより良くしたいって思ってるかどうかって事」

 

 そう返したイルマは、軽く肩をすくめる。

 

「伯父様は大王派の重鎮だけど、平民達も含めて悪魔社会を豊かにしたがってるんだよね。だから、自分達だけ良ければ下民共はどうでもいいとか思ってる、大王派の主流派のことが正直嫌いなわけ」

 

 さらりと凄い裏事情を言い放った。

 

 リアス達がこれをむやみやたらにばらまいたりしないと確信したからこそ踏み込んだのだろうが、しかしまあ凄い事だ。

 

 もし大王派の主流派とかに知られたら、一気に大変な事になるだろう。それだけの事を言ってのけたのだ。

 

 スメイガもそれに頷くと、イッセー達に頭を下げる。

 

「父上は他種族からの転生悪魔を一種の食客や客将と割り切っているし、本来の悪魔がその上に立つ存在であるべく精進して初めて悪魔の社会は正しく回ると思っている。……だが、他種族からの転生悪魔を嫌悪しているわけでは断じてない」

 

「会合で上役の人達に言ったのは、あくまで方便の一種だからね?」

 

 イルマもまたそう断りを入れ、そいてイッセー達に微笑んだ。

 

「だからさ、私達が政治に参加したら色々と揉めたりする事もあると思う。相容れないところも色々あると思う」

 

「だが、足並みを揃えるべき時を見誤る事だけはしないでほしい。私達もそうするつもりだし、必要とあれば連携を要請するし要請も受けるつもりだ」

 

 そう告げ、スメイガはまっすぐにリアス達を見る。

 

「だから約束してほしい。「悪魔という種族を発展させる」という、至上の目的だけは共有してくれる事をだ」

 

 その言葉は真摯だった。

 

 時として対立する事はあるだろう。至上の目的は共通していても、その為のスタンスが異なっているのだから、完全な仲良しこよしというわけにはいかない筈だ。

 

 だが、それらは全て「自分達が思う悪魔という種族の発展」という目的の為だと、それだけは守ってほしいと。

 

「勢力外からの脅威には、最低限足並みを揃え、必要ならば派閥の垣根を越えて力を貸す。優先順位をはき違えて足を引っ張ったりしない。私達同世代の若手だけでも、その前提で動きたい。父上はその為の機会としてこの場を用意したのだ」

 

「せめて、折衝役アガレス家のシーグヴァイラはいた方が良かったな」

 

 サイラオーグはそう茶化すが、すぐに右手を前に出す。

 

「当然だろう。これの夢はきっと冥界の為になると思っている。ましてや魔王を目指すのなら、当然するべき事だからな」

 

「……ですね。というより、大王派の者に言われるとは思いませんでした」

 

 と、ソーナもまた手を伸ばし、上に乗せる。

 

 そしてリアスもまた手を重ねた。

 

「良いわね。なんていうか、大王派はともかくあなた達は気に入ったわ」

 

 その三人の行動を見て、イルマもスメイガも苦笑する。

 

 そして、二人もまた手を重ねた。

 

「では、将来政治に参画した時は冥界の為に全力を尽くすぞ」

 

「はい、いっせーのーっせ!!」

 

「「「「「ああ!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、この五人においてこの前提は基本として守られる事になる。

 

 事実リアス・ソーナ・サイラオーグは当たり前の様にこの前提を基本とする行動をとっている。

 

 この前提のするに辺り「貴族が貴族足らんとする」ことを条件とするスメイガとイルマは多少変則的な事をするが、しかし冥界の民草を守る事を両立する為に努力して行動した。更に、大王派というスタンスでありながらリアス達がトラブルに巻き込まれそうになった時は積極的に力を貸す事となる。

 

 後に若手六王と称される、若手悪魔の中でも傑物揃いの若き上級悪魔達。彼らが派閥の垣根を越えて、優先するべき悪魔という種族の未来を願う者達である事を誓い合った瞬間と、後にこの話を知った歴史家は評している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そしてマニアの性でこれに参加しなかった最後の若手六王であるシーグヴァイラ・アガレスが、若手六王で最もネタキャラ扱いされる要因となったのは言うまでもない。

 

 

 




 とりあえず、ツヴェルフことアイネスのフォローなどといったものをする話でした。


 思想上完全な連携をとることは難しい。少なくとも、何をもって良しとするかが違うのだから、政治の場では対立することもある。

 しかし、冥界の未来を願う気持ちは同じ。私人としては好感すら持てるものたちが多い。

 だからこそ、スメイガはそれを知ってもらったうえで、派閥の垣根を超えた関係を結びたかったのです。

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