病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第12.5話
ジュラの森の管理人である
曰く、封印されていたはずの
その強さの理由は、何とあの暴風竜ヴェルドラの漏れ出た魔素より生まれ、かの邪竜の眷属であるからだ。実力ならば
そんな存在が
(うん、
配下達が騒ぐのを尻目に、リムルは早々に結論を出した。そう、あの眷属は主たる暴風竜ヴェルドラ――リムルの腹の中にいる友人を目指して来ているのだと。
「はじめに申し上げておきます。
ドワーフ王国へと伸びる街道にて、リムル達はトライアから
戦いの地として選ばれたのが、その場所だったからだ。街中で戦うよりも、街道の方が修復が楽なのだ。
「あの者の持つエクストラスキル『魔力妨害』の影響で魔素の動きが乱されるのです」
「……ってことは、物理攻撃で削っていくしかないか」
トライアの言葉にリムルが反応すると、彼女は頷いた。しかし……かの大妖は傷の再生速度から間違い無く『超速再生』を保有している。
「その上――」
「まだあるのかよ!」
「あの者は異界より召喚した魔物……
流石のリムルもこれには表情を暗くする。聞けば聞くほど厄介な相手なのだ。一応、リムルには試したことの無い奥の手も存在するのだが……効くかは不明だった。
どうしたものか、と悩むリムルの耳にその声はするりと入り込んできた。
「ふっふっふっ。何か忘れているのではないか?」
そう、今現在、魔国連邦にはとんでもない人災が滞在しているのだ――!
「ワタシが誰だか覚えていないとは言わせぬのだ!」
「ミリム!」
十大魔王が一柱、"
最古の魔王にして、人間が定めた危険度ランクの最上位である
「デカイだけの魚など、このワタシの敵ではない」
彼女さえいれば、いかに暴風竜ヴェルドラの申し子といえど、簡単に木っ端微塵にされてしまうだろう。今のリムルにとってこれ以上ないほど頼もしい助っ人である。
その手があったか! と嬉々としてミリムの提案に乗っかろうとするリムルだったのだが、
「そのような訳には参りません、ミリム様。私達の町の問題ですので」
(え?)
「そうですよ。友達だからとなんでも頼ろうとするのは間違いです」
(ちょっ、なんで!? 何言ってんの君たち!!)
シオンとシュナに予期せぬタイミングで裏切られたリムルは盛大に焦る。
いやいやいや、ここでミリムの手をかりるのが一番良いだろうと。
「リムル様がどうしても困った時、その時は是非ともお力添えをお願い申し上げます」
(俺、今めちゃくちゃ困ってるんですけど!?)
内心では反論しまくりだが、肝心のミリムは二人に諭されしゅんと落ち込んでしまっている。もっと頑張れよと思わなくはないが、ここで文句を言ってもしかたない。
ちらっ、ミリムが最後に期待を寄せてリムルを見る。
応援を要請したいが、ここでは……数秒迷いに迷い、リムルは男の意地を見せた。
「そうだぞミリム。まぁ俺を信じろ」
胸を張って自信満々を装うリムル。落ち込んで座り込むミリムに、リムルも内心呟いた。
(すまんなミリム。俺も泣きそうだ)
「
――結論から言えば、
依代となった魔人フォビオによる復讐の意思が、
それにいち早く気付いた
そして……リムルの頼みによって、手加減した技を
空から落ちてきた人影――魔人フォビオを抱え、リムルは地面に降り立った。そのすぐ隣へ降り、ミリムは不思議そうに問いかける。
「何をするのだ?」
「放っておいたら復活しちまうからな。フォビオから
それは、口で言うほど簡単ではない。
しかし、リムルの持つ『変質者』と『
簡単なようだが、能力を完全に制御しなければたちまちに失敗してしまう。しかし――『大賢者』による制御があれば、その失敗する確率はゼロに近い。
そして、手術は成功した。
魔人フォビオは土下座してリムル達に謝罪した。彼から聞き出した情報によれば、何やら中庸道化連という仮面を被った連中に唆されたのだという。
中庸道化連――その数人は、森の騒乱を引き起こした元凶であった。つまり、リムルの配下であるベニマル達の仇敵である。
そしてミリムから齎された情報によれば、それは魔王クレイマンが何かしらを企んでいた可能性があるのだとか。
しかしそれは確証がない故保留。今日はとりあえずお開きだ、というリムルの一声で解散……には、ならなかった。
「…はっ!? いや俺は許されないだろう!!」
「まぁ無罪ではないけどな。真犯人に利用されてたみたいだし、幸いにも人的被害はないしな」
それでも食い下がろうとするフォビオを遮り、リムルはミリムに話を振った。
「ミリムもそれでいいだろ?」
「うむ! 一発殴ろうと思っていたが許してやるのだ! カリオンもそれでいいだろう?」
(え!?)
ミリムが振り返ってそんな事を言うので、リムルは驚いてその視線の先を見る。
そこには、金髪の男が立っていた。
「やはり気付いていたか、ミリム」
彼は、魔王カリオン。
フォビオを配下に持つ者――つまりは、フォビオの主人である。
カリオンとリムルは会話を交わし、結果カリオンはリムルを気に入った。
魔王カリオンの治める
(さすが魔王。器デカ――)
ズガン、という派手な音。
カリオンがケジメとしてフォビオをぶん殴った音だった。フォビオはピクピクと痙攣し、大量の血を流している。
しかしカリオンにとってそんな事は関係ないのか、フォビオを担いで「帰るぞ」なんて言っている。
ここで彼等が帰れば一件落着なのだが、そうは問屋が卸さなかった。
「ああ―――ッ!!」
ミリムの叫び声に、ビクリとその場にいた全員が肩を揺らした。驚いてミリムを見ると彼女は地面を指差していた。
訳がわからず、困惑する面々に、ミリムがむっとした顔で続けた。
「ラフィーのところにも行っていたのか! ラフィーが許してもワタシは怒るぞ!」
「えっ……と、ミリム、どういうこと?」
憤慨しているミリムに、リムルが困惑したまま問いかける。
ミリムは血濡れた地面から何かを拾い上げる。それは、十字架のネックレスだった。
「これはラフィーの物だ。何故お前が持っていたのだ?」
「……ミリム、フォビオは気絶してるから答えられないぞ」
「じゃあカリオンが答えるのだ!」
「無茶言うなよ」
しかしミリムがこの様子では、帰るのは不可能。フォビオに聞いたとしても、
悩んだ末、カリオンは言った。
「それ持って謝ってくる」
「おっ! そうか、ならいいぞ! 許す!」
ミリムはあっさりと怒りを解いて、その十字架のネックレスをカリオンに手渡したのだった。
第12話 バタンキュー
死にそう。
風邪って拗らせるとマジしんどいよね。わかるよ、現在進行形でオレも風邪拗らせてるからさ。喉が痛すぎて笑えない。
まあね、最近ちょっと色々あったしね。疲れてるんだよオレの身体。精神的にもダイレクトアタックだったしな。
本当にさあ、魔王や勇者の襲撃に慣れてきたんじゃねって一喜一憂してたらまさかのね。予想外なことに悪魔がくるっていうね。やめてくれない?(真顔)
そんなことされるとね、オレのHPがレッドゾーンに突撃するんだよ。オレはタンクじゃないから。HPが少ない魔法使いとかそんな感じだから。ほんと勘弁してくれよ……。
みんなしてオレをいじめて楽しいかよ。ああん!? オレは傍観してるなら楽しいよ! 当事者とか絶対やだかんね!
あー……死ぬ。
もうホント、どこかに閉じ籠って暮らしたい。優しくて強い人の庇護下でぬくぬくと暮らしたい。ヒモになりたい。
誰かオレをゲロ甘に甘やかして、それを永遠に許容してくれるような人はいないかな。めっちゃ懐くよ。
まあいないんだけどさ。あーもー鬱になるわ。ちょっと空気入れ替えて気分転換しよ。
窓のカーテンを開けると、そこには巨大な化物魚とその取り巻きがいた。
…………え?
ちょ、ちょっと待ってくれよ。
何なんあの変なん。何でオレの異空間にいるの? 魔王とかはもう諦めたけど、あんなん絶対許されないからな?
ちょっ何でこっち近付いてんのヤメロ! 止めてください!
あっ風が吹いて……強ォ!? おっ、おち、落ちるから窓からっ……あっ。
浮遊感と、下から吹き抜ける風を感じる。
これもう落ちてますね……。全くもう何なんですかね……。
あっ、オレの持ち物色んなものが空へ舞い上がってく。さよならオレの人生……。
…………嫌だよ死にたくない!!
神様ァ、こっち来てからずっと祈ってやったよなあ!? 今度こそ助けろ下さい!!
オリ主「風邪拗らせたら化物魚の幻覚が見えた件」
それ、現実逃避っていうんですよ。
本編には書かれてないけど、熱としんどさで頭がイかれてて、
話が進まないので書きませんでした。
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:意思無き者に対して空間を隔絶している異空間は効果が薄くなる。プラスして『魔力妨害』による権能で突破された。