病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第35.5話 秘め事
「リムル様。ラフィエル様の教会に何者かが侵入致しました。殺しますか?」
「待て待て。魔王の誰かかもしれん。その場合は色々と厄介だから、ラフィーに危害を加えようとしない限りは静観で。とりあえず明日本人に聞くぞ」
「はっ!」
深夜。
真なる魔王ルミナス・バレンタインの侵入があっさりリムル達にバレていた。無論、彼女も特に隠そうとはしていなかったのではあるが。
そして夜が明け日が昇り、教会を訪ねたリムルが事の真相を聞いた。
「昨日誰が来てたの?」
「はい?」
お茶の用意をしながら、ラフィエル=スノウホワイトはきょとんとした顔を見せた。
言葉が足りなかったかと、リムルが詳細に語れば、ようやく合点がいったのか語り出す。
「貴方も
「ああ! ヴァレンタインの!」
「ええ。バレンタインです」
どことなくイントネーションが違う気がするが、まあ気のせいだろう。
昨夜ラフィエル=スノウホワイトに会いに来ていたのは魔王ヴァレンタインの従者。あの
ということは、つまり……
(俺に断り無くラフィーをスカウトしに来たって事か。いくら俺が新参とはいえ、宴で決まった事なのに……いや、だからこそ宴以外で接触してるのか)
「……で、何の用だったんだ?」
分かりきった事ではあるが、違う可能性もあるので一応聞いてみる。結果は予想通りだった。
「しかし、今でこれじゃあ、これから色んな魔王が来るかもしれないな……」
「え? 何故?」
……ラフィエル=スノウホワイト本人は、自分がどれだけ魔王達にとって価値があるか分かっていないらしい。
懇切丁寧に説明してみると、彼女はしきりに首を傾げていた。というか、そんなことあるわけないと本気で思っているように見える。
彼女の聖女たる所以はそういう所なのかもしれないが、そこは改善するべきだとリムルは考える。まあこれから時間は沢山あるのだし、おいおいやっていこう。
謙遜も過ぎれば毒となる。自己肯定だって、少しは必要なのだ。
しかし、これから魔王がちょくちょく魔国連邦に来るなら色々と考えねばなるまい。
ミリムみたいに弾丸のように町中に来られては大いに困る。顔面パンチしたくなるくらいにムカついてしまうかもしれない。
それに魔王とラフィエル=スノウホワイトの仲は良好のようだし、あまり戦ったりはしない方がいいだろう。好感度が下がる。
となると、教会にこっそり出向く程度なら見て見ぬふりをした方が都合がいいのかもしれない。
「まあそれは良いとして。知り合いだって聞いたからさ、これからウチで暮らしていくならちゃんと顔合わせしといた方が良いと思うんだけど。どうかな?」
「構いませんが……誰のことでしょう?」
ぶるりと寒そうに震えたラフィエル=スノウホワイトが紅茶の入ったカップに口付ける。
それと同時、教会の扉が開く。赤いメッシュの入った黒髪に特徴的な瞳を持つ執事服の男が入ってきた。
彼を見て、ラフィエル=スノウホワイトは目を見開く。
「あ、貴方は……!」
「先日ぶりです、ラフィエル。リムル様にディアブロと名付けられましたので、これからはそう呼んで下さい」
「………………ええ、分かりました」
相当驚いたのか、ラフィエル=スノウホワイトは返事にかなり窮した様子だった。
くふくふと笑い、ディアブロは彼女に歩み寄る。リムルには深く一礼していたが、ラフィエル=スノウホワイトには親しげに声をかけていた。
「まさか同じ国に住む事になるとは思いませんでしたが、くれぐれもリムル様にご迷惑はかけないように」
「分かっています」
「いやいや、全然かけてくれていいからな? ディアブロも威圧しない!」
威圧感のある笑顔のまま話し掛けるディアブロに、神妙な顔で頷くラフィエル=スノウホワイト。肝心なときに頼って貰えないと困るのはリムルなので、慌てて割って入る。
ではそのように、と威圧を引っ込めるディアブロを見てリムルは遠い目をする。
なんか扱いづらい仲間が増えたな、と。頭は回るし頼りにもなるのだが、時々面倒臭いのである。
「ところでリムル様。例の件なのですが……」
「ん、ああ。じゃあラフィー、俺達はこれで。何かあったら連絡してくれ」
「はい。ではお気を付けて」
柔和な笑みで軽く手を振りながら送り出してくれたラフィエル=スノウホワイトに少し後ろめたい気持ちが出てくる。
彼女が今リムル達がしている事を知ったら怒るだろう。
何せやっている事は国を一つ潰すようなものなのだから。いくら元々の国の上層部が腐りきっているとはいえ……。
しかし止めるつもりは毛頭無い。奴等は――ファルムス王国は、敵だ。
かの国の全てを塗り替えなければならない。怒りはまだ収まっていないのだから。新たな国になるまでは、この怒りは鎮火しない。
生き返ったとはいえ仲間を殺された怒りは、そう簡単に消えはしないのだ。
だからこそ、この計画をラフィエル=スノウホワイトに聞かせるつもりなんてない。関わらせるつもりもない。
きっと、知れば怒るだろう。止めるかもしれない。……いや、彼女はああ見えて人の怒りに寛容だ。誰かのためならば血を汚す行為すら赦してしまう。
リムルに魔王になる方法を教えたのは、他でもない彼女なのだ。それが数多の命を奪う行為であると知りながら。
(でも万が一にでも嫌われたら嫌だから黙っておこう)
要は、これに尽きるのだった。
恐らくだが、他の魔王も残虐行為をラフィエル=スノウホワイトには伝えていない。あのミリムですら、ラフィエル=スノウホワイトの前では極力大人しくしていたのだから。
それが暗黙の了解なのだろう。他の魔王がした凄惨な事を黙っている代わりに、自らが行った事も黙っていろ、という。
「例の件ですが、西方聖教会がファルムス王国に接触を図ったようです」
教会から十分に距離が離れた場所で、ディアブロが切り出した。
あの軍勢には、レイヒムという大司教が同行していたらしい。まあリムルに殺されたのだが……大司教が同行し連絡が取れなくなったため、西方聖教会が戦争状況を詳しく知りたがったようだ。
「エドマリスが臣下に手紙を持たせて送るのはどうか、と打診してきておりますが……如何致しますか?」
「うーん……西方聖教会ってヴェルドラを監視してるみたいだし、世間に公表した方を書かせると簡単にバレそうなんだよなあ」
「では、本当のことを?」
それもまた……難しい。
ルミナス教は魔物を認めない、という教義があるのだ。本当のことを言えば普通に神敵認定されそうである。
面倒事は御免なので、出来れば敵対はしたくない。一応同郷であるヒナタもいる、という理由もある。まあ本人には問答無用で殺されかけたのだが。
「よし、とりあえずメッセージを送るか。クレイマンから押収した映像記録用の
「承知しました」
第35話 逃げたい
「昨日誰が来てたの?」
「はい?」
来て早々何なの? 脈絡なく話すの止めてくれない? そういうとこだよ魔王お前ら。
バレンタインがオレを見捨てて(見捨ててない)帰って行って数時間後。
やけになって、朝なら人いないし逃げれるだろと高をくくって逃亡準備してたらリムルがやって来た。監視でも付いてんのかと思ったくらいだ。
そう思ってたら、ガチで付いていたらしい。何かあった時のための警備とか言ってたけど、本当なんだな? 信じても大丈夫か?(疑心暗鬼)
ていうかバレンタインが来たのバレてるって事は、しばらく大人しくしてた方が良さそうだな……。油断したところで逃げなきゃ失敗する。オレは知ってるんだ。
で、何だっけ……うん、昨日来てた奴? 誰か来てたのは知ってるのに誰なのかは知らんのかい。
「貴方も
「ああ! ヴァレンタインの(従者の人)!」
「ええ。バレンタイン(本物)です」
リムルって滑舌悪いの?(失礼)
イントネーションが違うんだけど、まあ伝わってるからいいか。
「……で、何の用だったんだ?」
お、おお?
これはいけるのでは!? まだ誘拐のお誘いとはバレていない!
適当に誤魔化したらワンチャン――無理だ。気付いてる目してる。気付いてるけどあえて念の為聞いとくみたいな顔してる。
これはもう正直に言わないと駄目なやつだ(諦め)
「しかし、今でこれじゃあ、これから色んな魔王が来るかもしれないな……」
「え? 何故?」
いいよ来なくて(即答)
あいつらの相手するの面倒なんだよ。わかる? あっちはオレの生殺与奪の権を握っている状態で、オレはあいつらのご機嫌伺いしなきゃいけないんだ。
あいつらにとっちゃ吹けば飛ぶような脆い命してんだよこっちは。頼むから関わらないでくれ。こっち来んな!(本音)
でも来るんだよ、何なんだろうね。
ていうかリムル、長々と説明してくれてる事には悪いんだけど全然わからん。オレをあいつらが大事に思ってるってお前……。
前々から思ってたけど、やっぱお前の目は節穴だわ。ビー玉でもついてんのか?
あいつらがそんな殊勝な心を持ってるわけねぇだろ! 馬鹿が!
持ってたら、オレの胃はこんなにダメージを受けてねぇんだよ!!(魂の叫び)
「まあそれは良いとして」
全然よくない。
「知り合いだって聞いたからさ、これからウチで暮らしていくならちゃんと顔合わせしといた方が良いと思うんだけど。どうかな?」
はあ? 知り合いだって?
リムルと共通の知り合いなんてシズエくらいしか……あっ、クロノア? でもあいつ確かバレンタインのとこじゃなかった?
場所も聞いたけどうろ覚えだからなあ……無理、忘れてる。
誰のことだ……ん?(寒気)
どうしてだろう。とても寒い。何故か背中に寒気が走る。嫌な予感が止まらない。
紛らわすために紅茶を飲んでいると、教会の扉が開いた。
思わず紅茶を噴き出しかけた。
「あ、貴方は……!」
そうだったァ!!
あのゴリラだけじゃなくて、ここにはコイツもいたんだった!!
ここは地獄か?(涙目)
「先日ぶりです、ラフィエル。リムル様にディアブロと名付けられましたので、これからはそう呼んで下さい」
「………………ええ、分かりました」
現実逃避も間に合わず、数々の走馬灯を脳内に駆け巡らせた後、オレは声が震えそうになるのを必死に堪えた。
もう泣いてもいいんじゃないかな。
ていうか、そろそろ報われてもいいんじゃねぇの、神様? もう十分罰は受けた。
そろそろ幸せになってもいいんじゃないかなあ!!
……本当に、頼むよ…………。
「まさか同じ国に住む事になるとは思いませんでしたが、くれぐれもリムル様にご迷惑はかけないように」
ハイ! わかってます!
絶対に迷惑かけない、これ常識!!(白目)
「いやいや、全然かけてくれていいからな? ディアブロも威圧しない!」
無茶言うんじゃねぇぞこら!!(激怒)
矛盾した事を言うな! どうしたらいいか分からなくなるだろうが!
いっそ国から追い出して……むしろ追い出せ。それが皆幸せになる冴えた方法だ。そうだろ?
「ところでリムル様。例の件なのですが……」
「ん、ああ。じゃあラフィー、俺達はこれで。何かあったら連絡してくれ」
えっ!? 帰るの!?(歓喜)
「はい。ではお気を付けて」
っしゃあ! 疫病神が帰ったぞお前ら!
歓喜のあまり滅多に言うことを聞かない表情すら満面の笑みを浮かべてくれたし。いや、別にそこはやらなくていいんだけど(焦り)
帰るのが嬉しいって伝わってないよな? ……大丈夫だな、多分。
さて――何時でも脱走出来るように荷物纏めとくか。
「万が一にも嫌われたくない」
オリ主「
本当の意味で逃げ切れるとでも??(煽り)
例えラフィエル君が魔国連邦から逃げ出したとしても、
それがお約束というやつなんです。わかったね?
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:ファルムスの新国家計画からハブられた人。