病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第42.5話 それぞれの
ギャルドが夢の中で元勇者のスパルタ特訓を受講する事になってから、長いとも短いとも言える時が過ぎた。夢の中では鍛え、起きている時には七曜の企みを打ち砕くべく動き出す。
その姿を、ラフィエル=スノウホワイトはグランの望むように大人しく部屋に軟禁されつつ黙認していた。まずは己で動いてみろ、そう期待されている気がするほどに無干渉。
ならば、自分に出来うる限りは動いてみせよう。そうして上がったこの一週間の戦果。
それは――ラフィエル=スノウホワイトをも唸らせる威力を秘めていた。
「俺はレナードやヒナタ様のように頭が良いわけじゃない。だが、それでもヒナタ様の部下だった。レナード達と肩を並べられるはずの十大聖人だった。これくらいはやってみせるぜ? ラフィエル様」
魔王リムル=テンペスト、魔王ルミナス・バレンタイン両名にも、七曜の老師にも気取られずに成し遂げる必要があったそれ。
"病弱の聖女" "微睡みの暴虐者" "
それは確かに、世界へ衝撃を走らせる。
何故なら世界は、ラフィエル=スノウホワイトが魔王リムル=テンペストの支配する魔国連邦に監禁されていると信じていたからだ。
その情報は確かな疑念となり、ルベリオス及びルミナス教に陰を落とす。それはかつての同僚や上司を裏切る背教行為といっても過言ではない。
だというのに、ギャルドにはまるで負の感情は見られない。
「どうして?」
何故ここまで仲間をわざと裏切るような真似をしたのか。怒ったように、少し低い声で問う彼女に、ギャルドは苦笑した。
この一週間と、元勇者の自慢話で、ラフィエル=スノウホワイトの事はよく理解している。
彼女は心配しているのだ。だからこそ、怒っている。この事で、ギャルドが仲間達に誹られるのではないかと、心配して。
無論ギャルドとて簡単に自分の名前が出る真似はしていない。だが、それでも誘導や遮断を乗り越えて真実に辿り着く者もいる。
そこから情報が漏れ、裏切り者として刃を向けられる事になったら?
「問題ない。奥の院は七曜の住処。ルミナス教とは関係ないという主張でまかり通る程度に力がある」
「…………」
無言のまま、じっと見つめるラフィエル=スノウホワイトに、ギャルドも見つめ返す。
その瞳に嘘はないのか――それを確認したのだろうラフィエル=スノウホワイトは、深い溜息を吐いて目を閉じた。
「では、今後どうするつもりですか?」
「魔国連邦に行き、ヒナタ様と魔王リムルの和解の手助けを、と」
「なるほど」
「出来ればラフィエル様も一緒に行って貰えると助かるんだが」
「………………残念ですが」
やんわりと拒否するラフィエル=スノウホワイト。
彼女がいれば和解もやりやすかろうと思ったが、彼女がそういうのならば仕方ない。
素直に了承し、ギャルドはこれからの予定を立て始める。彼女がそう言うのならば、何かしら考えがあるのだろうから。
「あ、そうだラフィエル様」
「は? 何です?」
「魔国連邦のお土産は何を買ってくればいいんだ?」
「……。シュークリムル」
「ラフィーが、ルベリオスに?」
「そのように噂が出回っております。証拠はないようですが、かなり浸透しているようです」
ソウエイから報告を受けたリムルは、報告書にじっくりと目を通した。
証拠はなくとも、魔国連邦は被害を受けた。それも嘘とは言えぬ言い回しだったために誤解だと触れ回るのも時間がかかった。
だからこそ、証拠はなくとも出回っている噂は全てとは言わずとも真実も混ざっているのではないだろうか。
(……
《解。個体名:ラフィエル=スノウホワイトがルベリオスを拠点にしている可能性は高いと思われます》
なるほど。
よく分かった。
ルベリオス――西方聖教会は白ではないだろう。黒でなくとも、限りなく黒に近い灰色。
近いうちに西方聖教会が何かしらちょっかいをかけてくるとは思っていた。まさか、そのちょっかいがラフィエル=スノウホワイトだとは思いもしなかったが。
「ラフィーは、必ず取り戻す。絶対にだ」
「はっ!」
深く頭を下げるソウエイに、再度詳細を調べるよう告げる。すぐさま目の前から消えたソウエイの居た場所から目を逸らすと、リムルは自分の髪の毛に軽く触れた。
触れたそこのすぐ傍には、美しい髪飾り。
細い糸で作られた装飾は、ラフィエルスノウホワイトが置いていった髪飾りと瓜二つ。ただ色彩が違うだけの、彼女とお揃い。
「――西方聖教会は、敵だ」
怒りを湛えた瞳は、国の外へと向けられていた。
「は? ラフィーが妾のところにいるだと!? 聞いておらぬぞ!」
ラフィエル=スノウホワイトは、ルベリオスの奥の院にいる。
その一報はルミナスの耳にも届いた。
しかし、自身の膝元といえる場所を探ってもラフィエル=スノウホワイトの痕跡が見つからない。舌打ちし、今度は魔素ではなく血液反応による捜索を試みる。
そうすると、あっさり彼女は見つかった。
しかし、そこはルベリオスの郊外である。困惑するが、とにかく話を聞かねばならぬと、ルミナスは彼女を追いかけるべく腰を上げた。
「――ルミナス様。報告が」
「妾は今忙しい。急用でなければ後にせよ」
「ヒナタが魔王リムルと交戦を開始した模様です。あの新参はラフィエル=スノウホワイトのお気に入りでは?」
「……妾は敵対はするなと言ったはずじゃ。ヒナタが無視するとは思えぬ。何があった?」
報告に来た配下のルイが、ルミナスへ今の世界を語る。ただの噂から、実際の主要国家の政策まで。
そこでようやく、ルミナスは己の失態を悟った。
「――七曜め、愚かな事を……」
世界に無関心だったが故に、立場的に配下のはずだった者の馬鹿な計画に気が付かなかった魔王は、ついに重い腰を上げた。
第42話 許した覚えはないが?
よく分からんが、ギャルドは俺の部屋に居座っている時間はとても少ない。もしかしたら気を遣っているのかもしれない。いいぞ! そんなお前が大好きだ! どしどし気を遣ってくれたまえ!
なんて思っていたのに、この馬鹿はとんでもない事をしてくれやがった。
もしや、今まで大人しかったのはオレの目を欺くための……ッ!?(戦慄)
許せん。死んでくれないか?
お前、お前っ……!! 何、オレの根城を世間に晒してくれとんねん!!(激怒)
そんなこと許した覚えはないが? 何でこんな盛大な嫌がらせするの? オレ、お前の命の恩人だよ? 無碍にすると天罰当たるからね?
はー……お前、覚えとけよ。本気で。
理不尽魔王のせいとはいえ、オレは怒りを飲み込める良い子だから、今は文句を飲み込んでやる。
だから、納得のいく説明をして貰えるね?
「どうして(こんな事しやがったんだ)?」
「問題ない。奥の院は七曜の住処。ルミナス教とは関係ないという主張でまかり通る程度に力がある」
は? んな事聞いてねぇよ、喧嘩売ってんのか?
お前の心配なんざしてるわけねぇだろ、脳味噌スポンジ野郎が! 頭ん中クソでも詰まってんじゃねぇだろうな。
オレはね、何でこんな事したか聞いてるんだ。
うだうだ訳分からん事言わなくていいから、ハッキリ言えよこのカス!
嫌がらせだろ! オレへの嫌がらせなんだろ! もういいです、消えて下さい。
せっかくリムルのとこから逃げてきたのに、これじゃまた捕まっちゃうだろうがッ!(クワッ)
これだから単純そうな見た目してる奴は駄目なんだよ。赤い髪で熱血系って、もう地雷だからね。使えねぇなあオイ!
はー……よしちょっと落ち着いた。
もういいよお前。クビな、クビ。
とっととオレは何処か行くから、とりあえずお前の予定を教えろ。お前とは逆の方角に行くから。
「魔国連邦に行き、ヒナタ様と魔王リムルの和解の手助けを、と」
「なるほど」
どっちからも逃げられるわけだな?
よーし、今だけはお前の行動を褒めてやる。
「出来ればラフィエル様も一緒に行って貰えると助かるんだが」
「(は? 行く訳ねぇだろ)残念ですが(お前のお遊びにこれ以上付き合えません。帰って、どうぞ)」
唾でも吐いてやりたいが、体が言うことを聞いてくれるわけもないので大人しくしておく。
はよ出てけと奥歯を気持ちギリギリさせながら見ていると、ギャルドは振り返って、
「あ、そうだラフィエル様」
「は? 何です?(キレ気味)」
「魔国連邦のお土産は何を買ってくればいいんだ?」
「……。シュークリムル」
料理だけは美味かったよなあ、あそこ。
オリ主「やっと見つけた安住の地とサヨナラか。死ねば良いのに」
周りの人間に盛大に引っかき回されるラフィエル君。いい加減にしろと怒鳴るも改善されない現状に涙目である。心を強く持つんだ!(笑顔)
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:二度目となる家出を決意した。