病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー   作:昼寝してる人

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交わらぬ道/幸運さんは氷属性

 第43.5話 交わらぬ道

 

「――やってくれたな、ヒナタ」

「違う、と言っても信じてはくれないのでしょうね」

 

 完全に敵として、無表情のままヒナタを見つめるリムル。

 周囲はリムルの配下達とヒナタの部下が交戦しており、既に戦線は出来上がっていた。

 ヒナタは、リムルが怒り、自分を敵として見なした理由を理解している。既にここまでの道中に耳にしていた。魔王ラフィエル=スノウホワイトが、ルベリオスにいるという情報を。

 そしてその前身となる噂も。

 魔王ラフィエル=スノウホワイトは確かにこの魔国連邦に滞在していたのだろう。そして、ルベリオスに攫われた。

 何故そうなる前にリムルが侵入者に介入しなかったのかは気になるが、全ては話し合いでなければ聞けはしない。

 そして、その話し合いはとうの昔に決裂している。

 魔王ラフィエル=スノウホワイトが攫われた国がルベリオスであるから――否、あの時、問答無用ではなく、少しでもリムルの話を聞いていれば……。

 しかしその後悔は、後の祭りでしかない。

 

「ラフィーは、無事なんだろうな」

「さあ。知らないわね」

「っ、お前……!」

 

 本当に何も知らないからこそ出た本音は、リムルの神経を逆撫でした。怒気と共に殺気が僅かに漏れ出し、リムルは感情を抑制するために大きく息を吸い込んだ。

 その甲斐あってか、リムルは苛立ちつつも落ち着きを取り戻す。

 

「何の目的でラフィーを連れて行った? 俺と西方聖教会の事に、ラフィーは関係ないだろ」

「攫った本人に聞いてくれる? 私は知らないのよ」

「答える気はない、と」

 

 ヒナタを信じる気が微塵もない言葉に、ヒナタが苛立ち始める。一切自分の言い分を信じずに話される事が、ここまで不快だとは。

 そこで、初対面の時の自分を思い出す。あの時は、リムルではなく自分が……。丁度、今の自分が思っている事を、リムルは思っていたのではないだろうか。

 

「…………。今は、どうしようもないわね」

「何がだ?」

「こっちの話よ。それで……そうね。どうせ戦う事になるのでしょうし、私が勝ったら話を聞いてくれるかしら?」

「自分が勝つと疑ってない言い方だな……まあいい。俺が勝ったら?」

「そうね。ルミナス教の秘密でも教えてあげるわ」

「そんなどうでもいい事より、ラフィーを返せ。それでいい」

「……ええ、最大限努力はする。約束しましょう」

 

 そして、ヒナタは剣を構える。

 ルミナスによって与えられた月光の細剣(ムーンライト)伝説級(レジェンド)の武器である。

 そして纏うは"聖霊武装"。聖騎士達が着用する精霊武装の原典の衣(オリジナル)。勇者も用いたとされる西方聖教会の秘する対魔兵器である。

 こうする事で、ヒナタはあらゆる制約から解き放たれて"仙人級"を超越した真なる"聖人"へと至るのだ。

 ――つまり、これは最初から本気でリムルの相手をするという、彼女なりの意思表示なのだ。

 

「約束は守って貰うぞ、ヒナタ。――俺が勝つ」

「そうかもしれないわね」

 

 リムルも胃袋から刀を取り出す。

 クロベエに仕上げて貰ったリムル専用の刀は、魔素に馴染ませ真っ黒い刀身に染め上がっている。本当はもう少しゆっくりとクロベエに作って貰う予定だったのだが……ラフィエル=スノウホワイトが攫われた。

 すぐさまクロベエに仕上げるように告げ、出来上がったそれで、こうしてヒナタと対峙しているのである。

 戦いは、始まった。

 

 ――聖女に見込まれし聖騎士は、未だに道の途上である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第43話 幸運さんは氷属性

 

 幸運値って、どうやったら上がるんだろう?

 

 オレは昔から運が良かったように思う。悪魔なんていうぱっぱらぱーな存在を信じて怯える人達の寄付で食ってきたんだ。宗教の力はすごい。

 そんな裕福な教会で育てられたオレは実に幸運だと思う。宗教上の理由で昼ご飯が食べられなかったりするけど、それ以外は不便はない。

 しかも他のきったねぇ町ではなく、都という綺麗な外観で生まれ育った。幸運だ。

 その後聖歌隊に入った時も、聖歌隊のメンバーは仲良くしてくれたし。たまに『は?(真顔)』と思う時もあったけど、それなりに愉快にやっていた。幸運だ。

 最期の最期で神様の天罰が当たっちゃったけど、すぐに爺さんのとこで保護されたし。住むとこも異世界の知識も教えて貰った。幸運。

 

 そこからなんだよなあ!

 オレの転落人生はここから始まった。悲しいんだけど、これって本当の事なんだよね……。

 そう、最古の魔王である。

 あいつらの喧嘩を、オレの教会の真上! 真上でしようものだから!!(怒)

 しかも? その後は人の家に何の許可もなく上がり込んで寛いでくれましたけれども??

 その後ミリムに教会を壊されかけた事、オレ、まだ忘れてないから。

 まだ根に持ってるからな、お前。

 

 それからだよ……ちょっと町に遊びに行ったら風評被害を散々受けて。挙げ句に魔王にされてさ。

 こんなに人畜無害な顔した人間捕まえて、なんだよそれ! いい加減にしろ!

 しかも最近なんて、住処がオレの寿命削ってるとかいう卒倒ものの真実を暴露されるわ、新入りの魔王のとこで監視付き生活させられるわ、挙げ句家無し浮浪旅に出る事になるわで散々だ。

 なあ……オレ、なんか悪い事した? してないよね? してねぇんだよ!!(断言)

 

 幸運さん仕事して?(懇願)

 はー……せっかく三食昼寝付きのお気楽スローライフを過ごせていたっていうのに。それもこれも全てギャルドのせいである。脳筋は見た目だけにしたまえ!

 

 ……さて。

 現実逃避もこれくらいにして、そろそろ現実を見ようじゃないか。

 

「リムルのとこから逃げてきたのか? ラフィー」

 

 ニヤニヤと楽しそうに笑うこいつに、真顔でそうだよと言ってやりたいのを我慢する。

 恋人を貶されたと判断されたら殺されるかもしれんからな。魔王って本当ヤバい奴しかいない。

 何で、オレはこいつといるんだろう。

 いや分かってる。分かってるんだ。ただ、あの時はこれが一番良いと思ってしまったんだ。

 

 そうだ! 海を渡ろう!!(名案)

 

 あの時はぁ!(涙目)

 別の大陸に行けば、全て解決するって思ったんだよォォォ!!(号泣)

 

 ……で、そこらに置いてあったボートを盗んで海に向かって漕ぎ出した訳だが。

 そりゃ遭難するよね。うん……知ってた(嘘)

 気付いた時には既に遅い。来た道を戻ろうとして振り返っても、左右を前を見ても海海海。

 空と海の青だけが視界に映っていたのだ。これはもう泣くしかないよね!(自棄)

 

 そして泣き疲れ、ボートの中で一人体育座りして海を彷徨っていたら、ギィに発見されたという訳だ。

 丁度その時、呟くようにドナドナを歌っていたからか、ギィの顔が盛大に引き攣っていた。お前でもそんな顔するんやなって思って、気力が一瞬で回復した。ありがとう!(笑顔)

 

 そしてギィに抱き上げられ、ひとっ飛びで凍てついた吹雪の大陸に到着し……寒さで死にかけ気絶したオレが目覚めて、ギィがニヤつきながら言ってきたのである。

 

「おはようございます。……私はルベリオスから来たのですよ?」

「あん? ……バレンタイン?」

 

 訝しげな顔をしたギィに、仕方なしに説明してやる。ただしリムルから逃げたという事実はうっかり本人にバレると怖いから、攫われたという事にしておいた。

 すまんな、グランの爺さん……オレのために死んでくれ!(無慈悲)

 全て伝えると、ギィは何故か考え込み、後ろで控えていたメイドに指示を出した。

 

「ったく……今度は何企んでやがる?」

「え? (誰が何企んでるとか)知りませんが?」

 

 ギィが呆れ返った顔で見てきた。何でオレがそんな顔されなきゃいけないんだ。病み上がりだぞ?(脅迫)

 

「まあいい。暫くは様子見だな。少なくとも――リムルと西方聖教会が決着するまでは」

「……? 何故?」

「戦争してるんだろ。そりゃ観察するだろ」

「ギィは行かないんですか?」

「あ? 行って欲しいのか?」

 

「え? 行きたいのでは?」

「いや、行かねーけど」

「…………リムルのピンチなのに?」

「それ、オレに関係あるか?」

「――厳しい愛ですね」

「は??」

 

 ギィの恋人するのは大変そうだなあと思っただけだ、気にするな。




「魔国連邦は、走って行くには遠いな……」
オリ主「素直に不毛の大地に行けば良かったと後悔している」

単純に考えればいいのに、わざわざこういう時だけ捻くれた考えで海を渡ったラフィエル君。
魔国連邦→ルベリオス→氷土の大陸と家出を続けるラフィエル君だったが、ギィに捕まった事でラフィエル君同様、幸運さんは家出した。

 現在のステータス

 name:ラフィエル=スノウホワイト
 skill:ユニークスキル『聖歌者(ウタウモノ)』↔『死歌者(ウタウモノ)
   ユニークスキル『拒絶者(コバムモノ)
   ユニークスキル『上位者(ミオロスモノ)
   ユニークスキル『寵愛者(ミチビクモノ)
 secret:『悪魔契約』
     『悪魔共存』
     『禁忌の代償』
 備考:リムルvsヒナタに関しては放置を決め込む気満々。
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