病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー   作:昼寝してる人

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 はあ……(クソデカ溜息)
 知ってます? コロナのせいで転スラ二期の始まりが2021年の1月からになったんです。ブチ切れですよ……コロナ、お前だけは許さない。
 今年の楽しみにしてたのに!!(血涙)


看破せよ/自分に贔屓してるんだ

 第44.5話 看破せよ

 

 ラフィエル=スノウホワイトが、また何かを企んでいる。

 海で放蕩していた彼女を拾った時には何かあったのかと心配したものだが、今となっては何をする気だと警戒するはめになってしまった。

 魔王達の宴(ワルプルギス)の決定でリムルの所にいるはずのラフィエル=スノウホワイトは、何某かの策略で魔王ルミナス・バレンタインのお膝元に攫われ、脱走した後に海で遭難していたというが……。

 

(……どこまで信じるか、だな)

 

 ラフィエル=スノウホワイトは嘘を吐かない。

 例の件についてはともかく、彼女は基本的に人に害なす嘘は言わない。優しい嘘を吐く事はあるだろうが、それでも彼女は嘘を必要な時以外には吐かないのだ。

 しかし、真実全てを口にする訳でもない。

 時に言うべき事を黙っておき、聞き手がうっかり勘違いするような言い回しをする事がある。

 だからこそ、じっくりと話を吟味し、何が真実なのか、何を黙っているのか、何故黙っているのか――それらを暴かねばならない。

 当の本人はメイドであるミザリーにせっせと世話を焼かれているが、ギィにはやることが目白押しだ。

 

「なあ、ラフィー。お前、魔国連邦(テンペスト)に戻る気はないのか?」

「えっ? ありませんが?」

「ほお。……後々戻ろうとか思ってるか?」

「それは、そうですね……。まあ、あちらの状況次第でしょうか」

 

(戦争がどのように終わるかで考える、と)

 

 つまり――リムルはラフィエル=スノウホワイトに試されているのだ。

 リムルの理想は、人と魔物が手を取り合える世界。とまではいかないが、共存共栄出来ればいいとする世界を作りあげること。

 その際に一番の障害となるのが、魔物を敵とする西方聖教会である。無論その団体は魔王ルミナス・バレンタインの盛大な隠れ蓑に過ぎないのだが……それはさておき。

 

 今のこの状況をどのようにして乗り切るか。

 それを元に判断し、ラフィエル=スノウホワイトはリムルを見定めるのだろう。

 さらりと調べた限りでは、魔国連邦vs西方聖教会に関する世界の情報はラフィエル=スノウホワイトによって管理されている。

 最初の魔国連邦にラフィエル=スノウホワイトが監禁されているというのは、他人の手によって為されたものではあるが、それを利用したのは紛れもなく彼女本人である。

 そこから、その最初の噂を流した犯人を、自分に接触するように誘導し、そのまま攫われたように見せかけて西方聖教会へ侵入する。

 その内部に侵入すれば、あとは簡単。西方聖教会内部に協力者(密告者)を作ればいい。

 そうすれば、世界にはラフィエル=スノウホワイトが西方聖教会に滞在していると情報が流れる。

 

 リムルが不利な状況から有利になれば、その後の行動は本人の潜在的な性格が表れる。

 ここでリムルがラフィエル=スノウホワイトにとって信頼に値するという行動をみせれば良し。そうでなければ、彼女は今後一切リムルに接触はしないだろう。

 例え、リムル本人がいくらラフィエル=スノウホワイトを慕っていたとしても。守ろうとしたとしても。

 彼女は恩義には報いる。優しさはきちんと返す。だがそれでも、芯のある心を持つ聖女は、心の悪意を見透かすのだ。

 恐らくそれを、リムルはほんの少しでも持ったのだろう。だからこそ、彼女は試すのだ。

 本当に、その理想のために力を振るうのか。

 力に溺れて、その理想を忘れてしまわないのか。

 ――心を失わず、優しいままで在れるのか。

 

「……どこまでも博愛だなあ、お前は」

「はい??」

「お前さ、ちょっとは誰か贔屓してやったりしねーの?」

「――必要ありますか?」

 

 心底不思議そうな顔をする彼女に、ギィは深く息を吐いた。

 誰に対しても優しく、愛する。どんな悪人であろうと手を差し伸べる。心を奪う柔和な微笑みを、絶やさない。

 それだけ聞けば、本物の聖女というべき存在だと誰もが言うだろう。

 しかし、それは裏を返せば――

 

 ――誰も彼も、彼女にとっては人という種であり、個人としては一切見ていない。

 

 そういうことに、なるのだから。

 少しくらいは人間味を見せて欲しいというのが、ギィの本音だった。

 

「……ま、好きにすればいいさ。どうしようがお前の勝手だからな」

「そうですか」

 

 まだ少し不思議そうにしていたが、ラフィエル=スノウホワイトはすぐに視線をギィから逸らしてお茶を飲む。

 そこだけ見れば普通の少女なのだが、本当の彼女はそうではない。

 聖女としての本質も力も持ちながら、異界の悪魔に魅入られし歪な器。

 それが、ラフィエル=スノウホワイトなのだった。

 

「――あーあ、やっちまったな」

「? どうしました?」

 

 不意に呟いたギィに、ラフィエル=スノウホワイトが首を傾げる。

 ギィは、メイドであるレインに魔国連邦へ行き、戦争の状況を逐一報告するように命じていた。だからこそ出た言葉だった。

 決着は、ついてしまったのだ。

 

「リムルが、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)の首を切り落としたそうだ」

「…………そうですか」

 

 残念です――無言ながらも、彼女がその言葉を飲み込んだのを、ギィは感じ取った。

 

「ま、魔王としてはそれで良いんだがな」

「何でもかんでも褒めて甘やかすのは良くないと思いますよ、ギィ」

 

 ラフィエル=スノウホワイトの自殺未遂でリムルには情も沸いていた事もあり、ギィはリムルにフォローを入れたのだが、バッサリと切り捨てられた。

 

「あー……。ルミナスは怒るだろうな、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)はあいつのお気に入りだったろ」

「いいえ、怒らないと思います」

 

(……ああ。リムルがルミナスのお気に入りを殺す可能性も踏まえて織り込み済みか)

 

 さっさと全部ゲロってくれと、ギィは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第44話 自分に贔屓してるんだ

 

 もっちゃもっちゃと薬草クッキーを頬張るが、これもう少しカリッと出来なかったんか?(失礼)

 もっとやれるだろ、カリッとさせろ、ふにゃっとさせるな。いくら寒い大陸とはいえ、これくらいやれるだろォ!?

 まあ文句は口に出さずにそっと心に仕舞い込んで、お茶を飲む。温かいのが身に染みる。本当、こんな頭の可笑しい場所に住むなよ。

 連れて来られるオレの身にもなれよ! 全くこれだから魔王って奴は……。

 

「なあ、ラフィー。お前、魔国連邦(テンペスト)に戻る気はないのか?」

「えっ? ありませんが?」

 

 何を言ってるんだろう。あのね、言ってないけどオレあそこ嫌いだからね?

 料理以外、全部ダメだからね?

 いやシオンの料理は美味しくないけど。ゲロマズだったけど。

 ……あれ? そう考えれば、リムルのところって最高に最悪だったんじゃないか??(真剣)

 ていうか、ギィの前でお前の恋人のとこに住むわ! とか言えないから。もしかしてわざとやってる? 脅してたりする……?(恐怖)

 

「ほお。……後々戻ろうとか思ってるか?」

「それは、そうですね……。まあ、あちらの状況次第でしょうか」

 

 あとお前の心情次第だと思うよ。

 リムルが監視とか行動制限とかしないでくれて、教会開放も無しにしてくれて、好きなだけゴロゴロさせてくれて、甘やかしてくれるんなら、戻ってあげてもいいかもしれんな!(上から目線)

 まあ、どうせ無理だろ? 知ってた。

 ていうかさあ、……お前が行けば?(名案)

 そしたらリムルだって恋人のギィを優先するに決まってる! ていうかあいつ束縛絶対強いもん、オレに対してですらアレなんだぞ?

 恋人であるギィならもっとヤバいって。……こわっ、関わらんようにしよ……。

 と思ってたら、無言だったギィが呆れたように言ってきた。

 

「……どこまでも博愛だなあ、お前は」

「はい??(本音)」

 

 こいつ頭沸いてるんか?

 何でいきなりそんなこと……はっ!? ま、まさかリムルの束縛に嫌気が差して、オレに乗り換えようと……!?(迷推理)

 ごめん、オレお前みたいな頭おかしい魔王とか、絶対無理だから!!(真剣)

 せめてそうだな、その頭のおかしい所を治してから出直してきてくれるかな?

 

「お前さ、ちょっとは誰か贔屓してやったりしねーの?」

 

 は? お前何言ってんの??

 

「――(オレ自身を大事にしなきゃ生き残れないのに、他人まで贔屓する)必要ありますか?」

 

 見知らぬ他人まで面倒見れる訳ねぇだろ、お前らと一緒にすんな!! 死ねッ!!(直球)

 そうやって他人まで気遣えるのはね、強い奴と偽善者とただの阿呆だけなんだよ。

 オレは賢いお利口さんだからな、他人になんて贔屓する余裕なんてないの。わかる?

 まあ、お前らみたいに世界最強の一角とか言われてる奴等には分からないとは思いますけれども??(皮肉)

 

「……ま、好きにすればいいさ。どうしようがお前の勝手だからな」

「そうですか」

 

 だったら口に出すの止めてくれます?

 お前ね、そんなんだから嫌われるんだよ! 余計なことしか言わねぇからな、黙っとけよ。

 これだから魔王は……。

 

「――あーあ、やっちまったな」

 

 えっ? 何が?

 

「リムルが、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)の首を切り落としたそうだ」

「…………そうですか」

 

 そうなのか……ところで坂口日向(ヒナタ・サカグチ)って誰?(真剣)

 

「ま、魔王としてはそれで良いんだがな」

「何でもかんでも褒めて甘やかすのは良くないと思いますよ、ギィ」

 

 人を殺して褒めるのは良くない。お前ね、そうやって褒めて、いつかオレを殺そうとしたらどうしてくれんの?(半ギレ)

 責任なんて取れねぇだろうが!!

 

「あー……。ルミナスは怒るだろうな、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)はあいつのお気に入りだったろ」

 

 え? ああ、そうだったの?

 でもバレンタインって見た目と違ってそこまで神経質じゃなくて結構穏やかだし、大丈夫じゃね?

 あいつ、そこまで人間好きじゃないし。

 

「いいえ、怒らないと思います」

 

 ミリムと違ってすぐキレたりしないし、冷めた価値観持ってるしな(勘違い)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? この音色は――フルート、か?」

「これは、ラフィーの『聖歌者(ウタウモノ)』――?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「――俺が間に合わない事も見越していたのか」
オリ主「この大陸寒いんだよな(お茶ズズッ)」

第三者視点から見たラフィエル君の行動はこんな感じで見えてるんだよ~っていう。
ギャルドもそろそろリムルvsヒナタに介入してくる事でしょう。勿論ラフィエル君の使者って事が一発で分かるような物を持参しています。

 現在のステータス

 name:ラフィエル=スノウホワイト
 skill:ユニークスキル『聖歌者(ウタウモノ)』↔『死歌者(ウタウモノ)
   ユニークスキル『拒絶者(コバムモノ)
   ユニークスキル『上位者(ミオロスモノ)
   ユニークスキル『寵愛者(ミチビクモノ)
 secret:『悪魔契約』
     『悪魔共存』
     『禁忌の代償』
 備考:他人が知らない所で死のうが気にしないが、バタフライエフェクトで自分が死ぬ可能性が出るかもしれないから怒った人。

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