病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第49.5話 魔性の聖女
魔国連邦へ入国した三人は、食事処にて腰を落ち着けていた。
マサユキショックから上手く抜け出せていないため、食事する事で精神を落ち着けているのだ。ただし、ヴェルザードの食事だけ時折凍る。本人は気にせず食べているのだが。
そして、腹八分目で食事を終えた三人は熱いお茶に口を付けて一息ついた。
「さて、ラフィー。説明してくれるよな?」
「えっ?」
「惚けるなよ。何で知ってるかはもう聞かねーけどよ――目的だけは教えて貰おうじゃねーか」
ギィはじろりとラフィエル=スノウホワイトを睨み付ける。訳の分からないまま巻き込まれるのは御免なのだ。
ラフィエル=スノウホワイトは迷うように瞳を彷徨わせる。話していいのかどうか、考え込んでいるようだ。今までは何も言わずに過ごしてきたからこそ、話していいのか分からないのだろう。
その原因には、ラフィエル=スノウホワイトを甘やかしてきた魔王達――ギィにも責任はある。そのため、彼女が口を開くまで黙って待っているのだ。
そして、ようやく、彼女は口を開いた。
「――私は。私は、ただ、努力が報われればいいと。そう考えているだけです」
何もかも知っているかのように、少女は透き通った瞳で言い放った。その瞳はブレる事無くギィへと向けられ、一切の嘘は含まれない。
ただただ純粋に、そう願っているのだろう――彼等が、報われればいいと。
長い年月、保たれてきた世界。
それを維持してきたのは調停者たる悪魔。
星王竜ヴェルダナーヴァから託された、その役目。魔王という恐怖でもって、世界の安寧を保ち続けてきた悪魔。
その安寧を、違う方法で作ろうとする勇者。
人は一つにまとまれると信じ、魔王も調停者もいらぬ世界を作ろうとしてきた者。何度も転生を繰り返し、悪魔との勝負を続けてきた皇帝。
魔王ギィ・クリムゾンと勇者ルドラ・ナスカ。
調停者ギィ・クリムゾンと皇帝ルドラ・ナム・ウル・ナスカ。
この両名、そして星王竜ヴェルダナーヴァ。
彼等の努力が報われればいいと、報われるべきであると考えている。だからこそ、知らなければならなかった。
皇帝ルドラは、既にギィの知る勇者ルドラではないという事を。
知るべきだと思ったのだ。一体、今、何が起こっているのかを。
全ての波紋の原因の全てが、現在この場所――魔国連邦に続々と集まっていることを。
だからこそ、この場所へ。
リムルとの関係回復は勿論、あの二人の勝負の行方が消えて無くなるその前に。
知らせて、行動させるべきだと、ラフィエル=スノウホワイトは考えたのだろう。
「――そう。ラフィーちゃんは、努力は報われるべきだと思うのね?」
「いいえ。努力は報われて良いものと、報われなくていいものがあります。時として無意味な事もあります。けれど、私は今回だけは報われて欲しいのです」
祈るように両手を組んで目を伏せるラフィエル=スノウホワイトに、ヴェルザードは微笑む。本当に、人々が理想とする聖女であり、自分勝手な少女だ。
しかし、実に好ましい。
愚かな人の子、その博愛は誰が為にあるものか?
誰一人として特別に思っているわけではない事は、既に知っている。だというのに、まるでギィ達を特別に思っているような口ぶり――ああ、騙されそうだ。
けれど騙されてはいけない。彼女は種を愛しているのであって、個人を想ってはいないのだ。彼女の博愛は、常に少数ではなく大多数へと向いている。
小さな犠牲で、より多くを救う。
己すらも特別に想わない聖女は、自分一人犠牲になるだけで他が救われるのなら、何も思う事無くその命を散らすのだろう。
――しかし心許すな。その少女は、聖女でありながら魔性である。
上品で気品のある美しい容姿も、心安らぐ優しい声も、何もかも見透かすような青い瞳すら。人の心を奪う、魔性の類である。
地獄への道は善意で舗装されているというではないか。彼女は確かに聖女であろう。けれど、聖女だったからこそ、人は容易く道を踏み外すのだ。
極限まで振り切れれば、その方角が悪であろうと善であろうと、先は狂人でしかない。
振り切れてはいけない。最後まで心を許しては、狂った竜の出来上がりだ。
ある程度心許しながらも、一歩引いて客観視する事が大事なのだ。それは、無意識でも古参の魔王は理解している。
聖女というイキモノは、その存在こそが魔性なのである。
第49話 こんにちはストレス
ごはん美味しい。
そんな現実逃避だって限界はくるもんだ。そう、奴は何時だってやってくる。どんな時でも、どれだけ警戒しても奴はのっそりと顔を出す。例えどれだけの悪環境の家に居ようが、素晴らしい城のような場所にいようが関係ない。奴は何時だって狙っている。
オレの胃を破壊しようと、その痛みはやってくるのだ。
泣いた(号泣)
何故、オレだけがこんな目に遭わないといけないのか――許されない。ホント、勘弁してくれないか??
滅茶苦茶痛いんですけど。泣きそうなんですけど。ご飯食べてる時はちょっとマシだったけど、今死にかけなんですけど。
目の前のもしゃもしゃ食ってるお前らには分からないかもしれませんけれども?(皮肉)
ていうかどんだけ食うの? オレが半人前でギブアップしてるのに、お前らはそれ何人前食ってるの? 喧嘩売ってる?(半ギレ)
いい加減にしてくれないか。オレはね、割と温厚な方だと自負しているんだけれども。キミたち人の神経逆撫でマンにまで寛容ではいられんのだよ!!(怒)
理解したらさっさとご馳走様を言いなさい。ほらっ、早く! あくしろよ!!(机ドン)
勿論悪い子なお口はそんな事を言ってくれはしないが、心は通じたのかもしれない。ようやくギィとヴェルザードは食後のお茶を頼み始めた。
お前ら二人で十人前は余裕で食ってるよね? ……どんな胃袋してんの?(ドン引き)
そんなに食ったらオレだったら絶対破裂してるわ。間違いない。いや待てよ、破裂したら胃痛とサヨナラ出来るのでは!?(迷案)
……いや無理だわ(正気)
ストレスと胃痛で何を血迷った事を考えてたんだろう。正気度でストレス値を測れるとかかなり狂気入ってるぞ。
密かに焦っていると、お茶を飲んだギィが話しかけてきた。
「さて、ラフィー。説明してくれるよな?」
「えっ?」
何を?
オレの胃の容態についてかな?
何でお前らっていつも主語抜いて話すの? そんなんだから何言ってるのか分からないんだよ!
「惚けるなよ。何で知ってるかはもう聞かねーけどよ――目的だけは教えて貰おうじゃねーか」
惚けてるのはお前だァ!!(憤怒)
毎度毎度何言ってるのか、何について話してるのかさっぱりわかんねぇんだよ!! 何なの? 嫌がらせにしか思えないんですけど? 死んでくれ。
大体お前……えっ、何真剣な顔してんの? そんなに真面目な話しようとしてんの?
……それなのに主語抜いて話してるの? は? 絶対嫌がらせだろ(確信)
正直、戦闘能力怪物に真顔で見られて心が砕けそうだが、せめてもの意趣返しにオレの一世一代の告白をしてやる。
「――私は。私は、ただ、(リムルとかお前とか魔王その他から逃げようとしているオレの)努力が報われればいいと。そう考えているだけです」
どうかな、お前らの行為が迷惑だって、ちゃんと自覚してくれた??(皮肉)
ご主人様なオレの意志をあんまり反映させてくれない口に例のごとく邪魔されたけど、割と分かり易い方じゃないか?
だから、ほら! さっさとどっか行って!!(懇願)
オレはリムルに連行される前にこんな国からはとっととオサラバするんだからさあ!
「――そう。ラフィーちゃんは、努力は報われるべきだと思うのね?」
「いいえ。努力は報われて良いもの(オレの逃走努力)と、報われなくていいもの(魔王達の嫌がらせ)があります。時として無意味になる事もあります。けれど、私は今回だけは報われて欲しいのです」
この国から逃げるという事だけは、必ず。
そうしないとオレの胃は永遠に痛みに悩まされる事になるし、何より心が死ぬ。
とにかく、変な奴に襲撃を受けるような日々ではなく――オレは、ゴロゴロ自堕落生活を送りたいだけなんだよ。
「――その博愛に惹かれてはいけない」
オリ主「ゴロゴロしたいお!(要約)」
とりあえず散々な扱いをされたラフィエル君。まあ最初からそんな感じだったし気にしないでね!(笑顔)
勿論のこと、自堕落生活は遠い夢でしかなかった。
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:ストレスと爽やかな挨拶を交わした。