病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第51.5話 それはとても残酷な
「久し振りね、ヴェルドラちゃん」
「あああ、姉上!? 何故ここに!?」
ヴェルザードはにこにこと微笑みながら、屋台で焼きそばを作っていたヴェルドラに話しかけた。当然、姉がいるなど露ほども思っていなかったヴェルドラは、顔を青くして震え上がった。
もしやリムルが自分に隠して招待したのか裏切り者とまで考えた。しかし、その隣にいる少女に気付き、叫んだ。
「どういう事だリムル――ッ!!?」
その叫びはしっかりリムルの配下達に届き、不自然ではない程度に駆け付けた彼等すら目を剥いた。そこに居たのは彼等の主が探していた少女――ラフィエル=スノウホワイトその人だったのである。
彼等は絶叫こそしなかったものの、思考は数秒フリーズした。何せ、少女と共に居るのは主と同じ、世界最強の一角たる魔王と竜種である。慎重な行動をしなければ。
すぐさま冷静さを取り戻したのは、幹部ソウエイ直属の部下たるソーカだった。愛想の良い笑顔を見せ、彼女は言葉巧みに危険物一行を誘導した。
余談であるが、ついでとばかりに、ヴェルドラはヴェルザードに回収された。ヴェルドラは気絶しそうな程、酷い顔色であった。
「こちらの部屋へどうぞ。すぐにリムル様に報告して参りますので」
「ええ、よろしくね。さ、ヴェルドラちゃんは私とお話しましょうか」
「頼むリムル、早く来てくれ……」
危険物一行を客間に押し込み、緊急事態のため近くに居る仲間達を避難させる。ヴェルドラの助けを求める目を華麗に自身から逸らし、ソーカは颯爽とリムルの元へ走った。
そして、客間の中は二つに割れた。
一つはヴェルドラとヴェルザードの姉弟。もう一つは、ギィとラフィエル=スノウホワイトである。
無論偶然ではない。単純に、ギィはラフィエル=スノウホワイトに聞きたいことがあった。だからこそ、ヴェルザードはヴェルドラを捕まえて話し相手にしていたのだ。まあ、久し振りに会った弟と話したかったというのも事実であろうが。
「さて、聞かせて貰うぜ。ラフィー」
「はい、何をでしょう?」
「そりゃあ、あの男のことだよ。今まで誰も寄せ付けなかったのに、どういう風の吹き回しだ?」
そう。
元十大聖人が一人、ギャルド。今は、ルミナス様に伝えてくると彼とはさっさと別行動を取られたため、この場には居ない。
けれど、彼の立ち位置はギィからすれぱ不可解でしかない。何せ――ラフィエル=スノウホワイトの唯一の配下なのだから。彼の中に流れる魔力は、ラフィエル=スノウホワイトが持つそれと混ざり合っている。それは、彼がラフィエル=スノウホワイトの所有物である以外の在り方を認められない事を意味している。
その束縛を、ラフィエル=スノウホワイトも、ギャルドも容認している。
異常だ。
あのラフィエル=スノウホワイトが他者を縛るなど。それを受け入れる方も。
そこに一体、どんな理由があるのか?
それを知らないことには――ギィ・クリムゾンは迂闊に動けない。
「……ギャルドの事でしょうか」
「ああ、そうだ。何故奴を傍に置くのか……理由が知りたいね」
射貫くような視線に、ラフィエル=スノウホワイトは真っ向から見返した。
ただの協力者だと思っていた。直接、会うまでは。だって、そうだろう? 誰が――成り行きで協力しただけの男を、配下にする。しかも、相手はラフィエル=スノウホワイトだ。
一体何を考えている。
「ハッキリ言って凡人。多少才があるだけの――取るに足らない人間でしかねーだろ」
「……貴方には彼がそう見えているのですね」
ぴくりとギィの眉が上がる。馬鹿にされたのかと思ったが、ラフィエル=スノウホワイトは簡単に人を馬鹿にしたりはしない。ただ本当に、感心したように呟いただけだった。
その様子に、訝しむ。あのギャルドという男――ラフィエル=スノウホワイトにとっては、どのように見えているのか?
「彼は――ギャルドはとても酷い人です。残酷な人」
「……へぇ? 続けろ」
「それだけです。それ以外は知りませんよ。後はご自分でどうぞ」
「ちっ。……まあ、いいさ。後でじっくり、あいつと話してやるからよ」
ごゆっくり、とラフィエル=スノウホワイトは答えた。
あの聖女が、他人を扱き下ろすとは驚いた。しかし、それは彼女にとってギャルドが特別だという事を意味する。
全て平等に。種を愛する博愛の少女が、たった一人を罵倒する。それは、彼女が彼を個として見ている証。
(…………ミリムが知ったらどうなるか)
暴れ出されては手が付けられない。黙っておくことにしようと決め、その後にここが何処かを思い出す。ミリムよりも先に、嫉妬しそうな魔王がいた。
ここは、ジュラ・テンペスト連邦国。魔王リムル=テンペストのお膝元である。
「なあラフィー、一応聞いとくけどよ」
「はい、何でしょう?」
無自覚であろうと特別とされているギャルドを、この魔国連邦に滞在させている。となると、リムルの事もそれなりに特別扱いしているのかもしれない。
何せ、リムルはラフィエル=スノウホワイトの命の恩人である。吊り橋効果でうっかり恋に――なんてことは流石にないだろうが、それなりに思っているのでは?
これで良い返事が聞ければ、リムルの不機嫌は多少緩和されるかもしれない。しばらく滞在する訳だし、うざ絡みされたくないために聞いたギィは、
「リムルの事、どう思ってる?」
「え? リムル、ですか? そうですね――絶対に好きになる事はない。そんな人です」
――扉の外から、小さな音が聞こえた。
気配を探り、ギィは心底後悔した。気配の正体は、リムル=テンペストだった。
第51話 NTR趣味はない
現実逃避している間に、何時の間にか知らない部屋にいた。ギャルドは何時の間にかいないし、金髪ゴリラがヴェルザードと話している。
はーん? ちょっと訳わからんな。
仕方ないから机に置いてあった紅茶をちびちび飲んでいると、ギィが話しかけてきた。
「さて、聞かせて貰うぜ。ラフィー」
「はい、何をでしょう?」
「そりゃあ、あの男のことだよ。今まで誰も寄せ付けなかったのに、どういう風の吹き回しだ?」
はー代名詞で主語話すの止めてくれん??
あの男って誰だよ、だからお前らと会話するの嫌だって何回言えば分かるの? だがオレは成長してるんだ。その男を誰なのかハッキリさせてやる!
「……(状況的に)ギャルドの事でしょうか」
「ああ、そうだ」
はい完全勝利ーッ!!
これでようやく意思疎通が出来る。まったくお前、オレがフォローの天才じゃなけりゃここで詰んでたからな?
もっと感謝して欲しいもんだ。
「何故奴を傍におくのか……理由が知りたいね」
いや、知らんけど。
そんなんオレが知ってる訳ないじゃん? 本人に聞けよ。お前、自分の恋人の近くに知らん男がウロチョロしてるからって他人に理由聞くんじゃねぇよ。
リムルに聞け。もしくはギャルドの主であるバレンタインにでも聞けよ。
「ハッキリ言って凡人。多少才があるだけの――取るに足らない人間でしかねーだろ」
「……(節穴の)貴方には彼がそう見えているのですね。彼は――ギャルドは(オレの住所を世間に暴露した)とても酷い人です。(魔王連中よりはマシ程度の)残酷な人」
「……へぇ? 続けろ」
「それだけです。それ以外は知りませんよ。後はご自分でどうぞ」
「ちっ。……まあ、いいさ。後でじっくり、あいつと話してやるからよ」
うんうん、オレの知らない所でなら勝手にやってくれ。
さようならギャルド、お前は好きじゃなかったから適当に頑張ってくれ。オレのために。
「なあラフィー、一応聞いとくけどよ」
「はい、何でしょう?」
なんだよまだ話終わってねぇの? あんまりお前と長話とかしたくないんですけど。
「リムルの事、どう思ってる?」
えっ。
もしかして、オレのこと恋敵候補だと思ってんの!?(驚愕)
止めて欲しい、切実に(真顔)
お前みたいな化け物の恋人を寝取ろうとする趣味はオレにはないッ!!
「え? リムル、ですか? そうですね――絶対に好きになる事はない。そんな人です」
だってあいつ、お前の恋人じゃん。
好きになったが最後、絶対に殺されるだろ。オレ、そんな危険物好きになるような馬鹿じゃねぇんだわ。
「……ラフィーちゃんって意外とお馬鹿なのかしら?」
は???
扉を見ながら、ヴェルザードが喧嘩を売ってきた。言い値では買わないが、オレは根に持つからな?(激怒)
オリ主「オレは賢いから、人の恋人をとったりしない」
「やっちまったなあ……」
ラフィエル君が来たと聞いて慌てて来たら、知らない間に振られてたリムル。思わず部屋の外でバタンキューしかけた。全部ラフィエル君のせい。
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考: