病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第53.5話 反省会
驚きに目を丸くするラフィエル=スノウホワイトを見て十数秒後、リムルとギィは類い稀なる共感性をもってその場から彼女を連れ出した。
慌ててギャルドやミリム、リムルの配下数名がその後を追いかけ、残った配下達はその場を取り仕切り場のざわめきを収めた。
そして、ギャルドが彼等に追いつくまでの間、魔王二人に連れ出されたラフィエル=スノウホワイトは、真顔で正面に座るリムルとギィの相手をしなければならなくなった。
「………………さて、ラフィー。正直に言え」
「何をでしょうか」
「何故、オレとこいつが、恋人だと思っているのかに決まってるだろう」
「え……それは、あの時に……」
恋人に接するようにしていたでしょうと、ラフィエル=スノウホワイトが困惑した顔で呟いた。
あの時とは何時のことだ、とギィとリムルは思考し、二人が会ったことがあるのは
「全部お前のせいじゃねーか!!」
「いやいやいや、あそこで勘違いされるなんざ思わねーだろ!」
机を殴りながら立ち上がったリムルの叫びに、ギィが弁解する。それもそのはず、他の魔王でそんな勘違いをした者はいない。そのため、ラフィエル=スノウホワイトだってそんな勘違いをしているわけがないと思い込んでいた。
そういえば白氷宮でも、そんな勘違いをしているような素振りは見せていた。何故あの場で訂正しておかなかったのだろうと、ギィは後悔していた。いや、深入りするとはぐらかされるから、出来るだけ重要な事以外は深入りしなかったのだが……。どうやらそれが徒になったようだ。
ちら、とラフィエル=スノウホワイトを見やる。変わらず困惑気味の、不思議そうな面持ちでその場にいる。完全に誤解が解けた訳ではなさそうなので、この機会に勘違いを正しておこうと、ギィは重い腰を上げた。
「いいかラフィー。オレと、リムルは、付き合っていない。分かったな?」
「では、何故勘違いされるような……ああっ、なるほど。完全に理解しました」
「待て。この件に関しては全面的にお前を信じられない。今何を理解したのか言え」
はっとした顔で手を打ったラフィエル=スノウホワイトに、ギィが真剣に問いかける。すると、特に何か考えた様子もなく彼女は口を開き、
「ギィがリムルを口説こうとしていたのでは?」
「えっ……」
「違う。おい、リムル。お前も何真に受けてやがる」
ドン引きの表情でギィと距離を取ったリムルと、本気でそう思っているらしいラフィエル=スノウホワイトに、ギィは頭を抱えそうになった。
ここまで振り回されるのは
「え? ではなぜ、あのような恋人にするような行為を……?」
「あれぐらいで恋人認定するんじゃねーよ。大体、あれくらいオレは他にもしてるだろ?」
「一夫多妻なのかと……」
呆然とするラフィエル=スノウホワイトに、ギィは溜息を吐いた。
そもそも、敬虔な神の教徒であるラフィエル=スノウホワイトがそのような発想をする事自体あり得ないと思っていた。だからこそ、あそこまで明け透けに言われなければ気がつかなかったのだが……。
「聖職者って、そういうのに厳しいんじゃないのか? 普通はあり得ないって気づきそうなものだけど……ラフィーのところは、そういうのが緩いとか?」
「そういうのとは……恋愛の事でしょうか? 勿論、推奨されています。何故厳しくなる必要があるのでしょう」
前世の宗教観から疑問を投げかけたリムルだったが、逆に疑問を投げ返される。わざわざ濁して問いかけたのに直球で聞き返されてしまい、あー、と言葉にならない声を出す。その後、諦めたように問いかけた。
「ほら、……男女でその、性交とか……聖職者としては厳しくするのが普通だろ?」
「…………?? 厳しく? 何故? 子を成す行為はこの上なく神聖な行為です。推奨はすれど、禁じるなどは有り得ませんよ。人類はどんどん数を減らしているのですから、絶滅を回避するためにもそのように厳しくする事はありません」
純粋な瞳で言い切られ、リムルはさっと彼女から目を逸らした。平和ボケした現代日本、性交は娯楽として見られている部分が多い。本来は確かに、ラフィエル=スノウホワイトの言う通り神聖な行いであるのだろうが、グラビア本がそこかしこに置いてある世界で育ったリムルには眩しい言い分だった。
対してギィはラフィエル=スノウホワイトの意見になるほどと納得した。一夫多妻を許容したり、ギィにとっても驚きの意見ではあった。しかし、彼女が彼等の関係を誤解した理由の一つでもあるのだろう。ラフィエル=スノウホワイトの元の世界から培ってきた価値観によって、誤解はなされたのである。
だが、まあ。それでもこれ以上誤解されてはたまったものではない。
「ラフィー。お前からすればそうかもしれないけどよ、ここでは違う。だから――まず、恋人なのかそうじゃないのかは本人に聞いて確認しろ。いいな?」
「はい。……ギィとリムルはお付き合いされていないのですね?」
「されてません。俺だって付き合うなら、こんな野郎じゃなくてラフィーみたいな女性の方がいいし」
第53話 嫌だよ
せっかくリムルに絡まれずに美味しいご飯にありつけたかと思ったらこれだよ。もしかしてそういう星の下に生まれちゃったのかな……は? 許さん。
ギャルド相手なら別に警戒して話さなくてもオレは殺されたりしねーやと思って調子乗ってたらこれだよ。ちょっとでも油断したら駄目な世界なの? どんだけオレに厳しい世界なんだよ死ね。オレは自分に優しい世界じゃないと生きていけないんですけど??(キレ気味)
気分が良かったから、せっかく親切にしてやろうと思ってミリムに教えてあげたら誘拐されたし。はー、やってらんねぇなぁ!!
せっかく? オレが? 気を遣って? こいつら付き合ってるから邪魔しないようにしてやろうなって暴君ミリムに言ってあげたのに??
それがこの仕打ち……? は? 許さん。
なんかクソデカボイスで付き合ってないとか言ってたけどそんなのオレは聞いてないしあああ真顔で正面に座るな威圧感仕事するな怖いんだよもういい加減にしてくれないか???(涙目)
「………………さて、ラフィー。正直に言え」
「何をでしょうか(食い気味)」
「何故、オレとこいつが、恋人だと思っているのかに決まってるだろう」
「え……それは、あの時に……」
なんか責任の押し付け合いしてますけど、どう考えてもお前らが悪いよね? オレは悪くないからな? 絶対に謝らないからな??
「いいかラフィー。オレと、リムルは、付き合っていない。分かったな?」
そんなわけないだろ付き合ってるってオレは知ってるから(意地)(震え声)
「では、何故勘違いされるような……ああっ、なるほど。完全に理解しました」
「待て。この件に関しては全面的にお前を信じられない。今何を理解したのか言え」
まるで他のことに関しては信じてるみたいな言い方しやがって。お前に信用された事なんか今まで一度もねぇよ、裏切られまくってるからね。オレが。
まあ、オレだって信じてないけどなお前ら魔王連中のことは。
「ギィがリムルを口説こうとしていたのでは?」
「えっ……」
「違う。おい、リムル。お前も何真に受けてやがる」
即答で異論を唱えられたけど、とりあえず二人の仲に亀裂を入れられてオレは満足だ。あともう一押しだけしておこう。
「え? ではなぜ、あのような恋人にするような行為を……?」
「あれぐらいで恋人認定するんじゃねーよ。大体、あれくらいオレは他にもしてるだろ?」
「一夫多妻なのかと……」
オレは知ってる。嘘に真実を混ぜたものの方が、より信憑性を高めるってな。もうお前らが付き合ってないのは分かった。だが、オレはただでは転ばない人間だ。
「聖職者って、そういうのに厳しいんじゃないのか? 普通はあり得ないって気づきそうなものだけど……ラフィーのところは、そういうのが緩いとか?」
………??
え? なに、どういうこと?(素)
「そういうのとは……恋愛の事でしょうか? 勿論、推奨されています。何故厳しくなる必要があるのでしょう」
「え、あー……ほら、……男女でその、性交とか……聖職者としては厳しくするのが普通だろ?」
本当にこいつは何を言ってるんだ。
神の御前で成す神聖な行為なんだから、推奨するに決まってるだろうが。それに、子供は神が男女の仲をお認めになって授けられるから、おふざけなんてしたら一生子供が出来なくなるんだぞ?
オレを聖歌隊に加入させやがった教会のお偉いジジイが言ってたから間違いない。
「…………?? 厳しく? 何故? 子を成す行為はこの上なく神聖な行為です。推奨はすれど、禁じるなどは有り得ませんよ。人類はどんどん数を減らしているのですから、絶滅を回避するためにもそのように厳しくする事はありません」
「ラフィー。お前からすればそうかもしれないけどよ、ここでは違う。だから――まず、恋人なのかそうじゃないのかは本人に聞いて確認しろ。いいな?」
「(あーはい)はい。……ギィとリムルはお付き合いされていないのですね?(もう知ってるけど)」
「されてません。俺だって付き合うなら、こんな野郎じゃなくてラフィーみたいな女性の方がいいし」
いや、オレはお前なんか嫌だよ。
「誤解が解けた……(脱力)」
オリ主「嫌がらせが出来てオレは満足です(笑顔)」
途中からは意地でも勘違いを続けようとしたものの、嫌がらせの方向へシフトチェンジしたラフィエル君。なんだかんだ上手く生きてるじゃねーか……(後方彼氏面)
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:ストレス発散、胃痛解消