病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第55.5話 ティータイム
「…………酷い目に遭った」
机に突っ伏し、ギャルドはようやく肩の力を抜いた。
魔王ミリムの魔の手から命からがら逃げ出し、ヒナタとルミナスの嫌味を淡々と受け、ギィの獲物を狙うような視線に怯え。
それらからようやく解放されたギャルドは、護衛という名目でラフィエル=スノウホワイトと同じ部屋を宛がわれた。
言い出したのはラフィエル=スノウホワイトだが、その妬みは全てギャルドに返された。この時初めて、もう少し人の機微を察して欲しいとギャルドは思った。
自分への好意にだけ、鈍すぎるのでは?
あるいはわざと気付かないふりをしているのか……まあ、どちらでもギャルドにとっては変わらないが。
「お疲れ様です。眠る前に、お茶でもどうでしょう」
ことりとギャルドの前に置かれたティーカップに、彼は顔を上げる。ふわりと漂う甘い香りに、疲れが少し抜ける。
ラフィエル=スノウホワイトは蜂蜜をティースプーンでくるくると混ぜ溶かしている。夜中に蜂蜜とは……まあ、彼女がいいなら構わないが。
「ありがとう御座います」
「はい、どうぞ」
差し出された蜂蜜の入った瓶と、小さなティースプーン。彼女の手にはぴったりとはまっていたが、ギャルドには少し小さかった。
それで蜂蜜を掬い、溶かしていく。
ティーカップを持ち上げ、中身を口の中へと流し込む。ゆっくりと熱い液体が喉を伝い、体を温めていく。ギャルドがほっと息を吐いたところで、ラフィエル=スノウホワイトは口を開いた。
「それで、先程言い掛けたことなのですが」
「? ああ……魔王ミリムが入ってきたから、途中で聞けなくなった」
「ええ。貴方はここで暮らしていたのでしょう? その時のことを、じっくり聞きたいと思いまして」
私がいた時と、また変わっているようですから。
そう言って、ラフィエル=スノウホワイトはギャルドを見つめた。
「それは構わないが……。あの時、それを魔王リムルの前で聞かれていたら俺の胃が大変なことになっていただろうから、今後は本人の前で聞くのは止めてくれ」
「ええ、直前で気付いたので言葉に詰まってしまったのですけれど」
「まあ、今後は気をつけてくれれば。そうだな、ラフィエル様がいた頃はあまり知らないが……少し人が多くなったくらいだろうか」
「そうですか……では、建物の様子などは?」
「建物? まあ他の国よりも機能的のように思えるな」
「なるほど」
納得したように頷くラフィエル=スノウホワイトに、今の会話で何を理解したのだろうとギャルドは首を傾げた。
まあ、かの聖女の考える事など凡人には理解出来ないだろうと、ギャルドは探ることを止めた。ヒナタ様やルミナス様程になれば分かるのだろうかという考えが過ったが、まあそれはそれ。
ラフィエル=スノウホワイトの唯一の配下は自分である。あの日、命を救われた時から魔力の繋がりは出来ているし、その他の繋がりは絶たれていた。
それを責めるつもりは毛頭ない。死ぬよりもマシだ。忠誠を誓えるほど共にいないが、それなりに役に立とうとも、守ろうとも思っている。
中途半端な思いでは魔王達に袋叩きにされるかもしれない。しかし実際、初対面からそう時間は経っていないし、同じ時を過ごした時間など、彼女が七曜に囚われていた時だけだ。
そこまで情を抱く程、濃い時間を過ごした訳でもない。むしろ彼女の中にいる、一人の元勇者との方が濃密な時間を過ごしていた。
あの元勇者のおかげでここまで強くはなれたが、結局――あの元勇者が言っていたことはなんだったのだろう。
ラフィエル=スノウホワイトのためになる。
そう言っていたが、自分が彼女の役に立った記憶はほぼないのだが。
「ところで、ギャルド……先程の騒動の際にルミナスから聞いたのですが、例の武闘大会とやらに出るとは本当ですか?」
「勿論、初耳だが???」
嘘だろルミナス様。
一体何の嫌がらせですか――と、ギャルドは天を仰いだ。
第55話 愚痴大会
酷い目に遭った。
魔王連中勢揃い!!!(大声)
勿論オレは聞いておりませんがね。はー、せめて一人ずつ来て欲しいもんだな。いや来るだろうなとは最初から思ってたよ、ギィがわざわざ小旅行するんだからさ。あいつがぼっち旅するわけねぇもんな。
ミリムもね、元魔王の二人を連れてくるなよ。そいつらオレと数回しか会ってねぇんだわ。わかる? ほぼ初対面なの。名前だって、ここ数年でやっと覚えたの。無駄になったけどな。何でそんなに簡単に魔王の入れ替えが起きるの??
殺し合いとか本当勘弁してくれ。オレのいないところで勝手にやってね(笑顔)
はー……疲れた。
ミリムはギャルドに絡んでたからいいけどさ、ルミナスなんかオレにめっちゃ絡んできてたから。その隣には例のヒナタもいたし。
は? 見殺し(?)にした奴と喋るとかオレの精神が死んじゃうんだが??(半ギレ)
ていうか何で生きてんの???(涙目)
怖っ……もしかして、オレにしか見えてないとかないよね。ね? アッ良かった見えてる。ルミナスもヒナタ見えてる。オレにしか見えてなかったらもう人目も憚らずに泣き出してたからな。
いやほんと何で生きてんの……首跳ね飛ばされても生きてるって、お前本当に人間なの? ぜってぇ嘘じゃん。近寄らんとこ。
そんな感じでわいわいガヤガヤしている場所にいれば、勿論オレの気分は最悪になるわけで。
顔色が悪い事に気が付いたのは最初に気が付いたのはリムルでした。えっ怖っ。割と遠いとこにいたじゃん、その距離で顔色に分かるとかやべぇな。
とりあえず部屋で休ませるかと魔王連中が言い出したところで空気がおかしくなったよな。何でオレの寝床をお前らに指図されなきゃならんのだ、オレは教会で寝させて貰う!!(机ドン)
は? 教会は掃除中だから使えない??
何で人の家勝手に掃除してんの?
ぶっ殺すよ?(真顔)
え、おま、正気か? 何で? 何でそんなことすんの? 勝手に掃除とかされたら、収納場所とか分からなくなるじゃん。必要だと思って置いてたやつとか捨ててないよね?
捨ててたら激怒するからなオレは。異空間在住だった時に庭で育ててたハーブとか乾燥させてとってあるんだからな。草と思って捨ててたらグーパンな。いや、本気で。
そんなわけで。
魔王連中がこぞって同じ部屋とか言ってきたが、そんなストレスマッハなこと出来るわけがない。この中で最弱たるギャルド君を生贄(同室)にして今に至る訳だが。
とりあえずギャルドに聞きたい事いろいろあったし、ま、結果良ければ全て……いや良しにはならんな。教会大丈夫かな……オレが貰った教会……。
まあ今落ち込んでも仕方ない。
机に突っ伏してるギャルドの口を軽くするためにお茶を淹れ、蜂蜜と一緒に持って行く。
「お疲れ様です。眠る前に、お茶でもどうでしょう」
「ありがとう御座います」
「はい、どうぞ」
ギャルドがお茶を飲んで一息ついたところで、早速本題に入る。
「それで、先程言い掛けたことなのですが」
「? ああ……魔王ミリムが入ってきたから、途中で聞けなくなった」
「ええ。貴方はここで暮らしていたのでしょう? その時のことを、じっくり(抜け道とか作ったりしてないか)聞きたいと思いまして」
「それは構わないが……。あの時、それを魔王リムルの前で聞かれていたら俺の胃が大変なことになっていただろうから、今後は本人の前で聞くのは止めてくれ」
うん。
正直すまんかったと思っている。
これをあの場で話してたら完全にやばかったもんな。
とりあえず教会をどっかに転移させたい。魔王連中がはびこる国になんていられるか! オレは平和な国に引っ越させて貰う!!
ま、聖書探して、なんかいい方法ないか探っておこう。
「まあ、今後は気をつけてくれれば。そうだな、ラフィエル様がいた頃はあまり知らないが……少し人が多くなったくらいだろうか」
「そうですか……では、建物の(欠陥がある)様子などは?」
「建物? まあ他の国よりも機能的のように思えるな」
「なるほど(わからん)」
まあ、なんかリムルの国って他よりも発展してるしな。ギャルドって見た目からして頭悪そうだし、どこかに欠陥があるとか見付けられんよな。
しょうがない。じゃあ雑談にでも切り替えるか。
「ところで、ギャルド……先程の騒動の際にルミナスから聞いたのですが、例の武闘大会とやらに出るとは本当ですか?」
「勿論、初耳だが???」
えっ、可哀想……(哀れみ)
現在のステータス
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』
備考:激怒のすがた。