病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー   作:昼寝してる人

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開戦の音/救いがなかった

 第64.5話 開戦の音

 

『アムリタへの侵入者を確認。排除せよ!! アムリタへの侵入者を確認。排除せよ!!』

 

 魔王クレイマンの領土であった傀儡国ジスターヴの遺跡調査、三日目のことだった。

 一日目、二日目と何の問題もなかったが、とうとうリムル達の読み通り、襲撃が起こったのである。その結果、ミリムは封印したはずの親友と戦うためにその場を離脱した。

 そして、リムル達は敵を全力で迎え撃つために、最下層へと駆け下りる。迎撃態勢を整えた彼等の前に、綿密な計画を練った黒幕は、ようやく姿を現したのだった。

 

「初めまして、なのよ。私はマリアベル、貴方の敵なの」

 

 彼女の傍には、四名の姿があった。

 開国祭の武闘大会に出場していたガイに、元三武仙のラーマ、自由組合の総帥神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)

 そして最後に、燃えるような赤い髪の――

 

「――ギャルド? どうして……」

 

 呆然とした様子で呟くラフィエル=スノウホワイトに、ギャルドは何の反応も示さない。ギャルドの、自らの主であるラフィエル=スノウホワイトを一切気にしない態度に、彼女はぎゅっと唇を引き結んだ。

 周りの調査員は神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)に気を取られ、その様子に気付いた者はいなかった。リムルと、マリアベルを除いて。

 

 リムルは、わざとラフィエル=スノウホワイトに報告をしていなかった。ただでさえ体調が悪い彼女に、余計な負担をかけるわけにもいかなかったし……、何より彼女の行動を予測していたからだ。

 ギャルドが単身(影にソウエイの分身体がいるが)で敵地に潜入したとなれば、ラフィエル=スノウホワイトは自ら出陣しかねない。そんな無茶な行動を許すわけにはいかなかった。

 ただし、本人に懇願されては許してしまう可能性も大いにあったために、何も知らせずにいたのだ。ギャルドが敵の手に落ちたことも、何もかも。

 

 敵地に潜入したギャルドは、ラフィエル=スノウホワイトに貸し与えられた白い布の効果でマリアベルの支配を防いでいた。

 当初は効いたフリをして騙せていたのだが、ギャルドは元来力任せに戦う性格だ。化けの皮が剥がれるのも時間の問題で、見破られると同時に多勢に無勢で襲いかかられた。何とか大半を返り討ちにしたものの、人間には魔物と違って体力の限界がある。

 打ち破られたギャルドは、気絶している間にその白い布を奪われ、マリアベルに支配されてしまったのだ。その結果、ギャルドの証言により影の中のソウエイは引きずり出されてしまった。

 そして――リムルの指示により、ソウエイの分身体はマリアベルによって倒される事になった。

 

 魔王リムルの配下の実力はこの程度。であるならば……そう、思考を誘導する事に成功した。ギャルドが敵の手に落ちた事は手痛い失敗であるし、その選択をする事に躊躇はあった。

 しかし、最善の選択をするべきだった。だからこそ、リムルはギャルドを利用して作戦を立案した上で、ラフィエル=スノウホワイトにそのことを知らせなかった。

 彼女も大切だが、国も大切なのだ。

 二つを守るために、リムルはギャルドも、ラフィエル=スノウホワイトも利用する事を決めた。

 

 そして――ギャルドを狙い、手元に置いた敵の目的の一つは、ラフィエル=スノウホワイトの拘束。ギャルドを使って彼女をその場に縫い付け、リムル達への援護を行わせない手筈だったのだろうが……ミリムのせいで破綻した。

 これにはリムルも頭を悩ませたが、戦力を国と遺跡で分担させずにすんだのだと開き直ることにした。

 ギャルドを傷付けないように戦うだろうラフィエル=スノウホワイトの前でいかにギャルドを無力化させるか? 支配されたギャルドは手加減なしで国の、町の中を破壊するだろうからどうするかと考えていたが、遺跡の中なら致し方なしで多少破壊しても問題はないだろう。

 三日目に襲撃したのは、魔国連邦に向かわせていたギャルドをジスターヴまで来させるのに時間がかかったのだろう。

 

 リムルとラフィエル=スノウホワイトが共に居るのならば、敵は分断しようとギャルドは遠くへ向かわせるはず。

 それはリムルにとっても必要なことだった。ラフィエル=スノウホワイトには、万が一にでも嫌われたくはない。だからこそ残虐な行為は出来るだけ伏しておきたい――

 魔王に共通するその気持ちはリムルも持ち合わせている。だからこそ、リムルは走り出したギャルドを目で追った彼女に告げた。

 

「行ってくれ、ラフィー。ここは俺達だけでも十分だ」

「~~ッ、ありがとう、ございます……!」

 

 自らの配下を追って駆け出したラフィエル=スノウホワイトを見届けて、リムルは目の前の敵を見る。

 ギャルドから奪い、ラフィエル=スノウホワイトの、恐らくは防御の加護が宿った聖衣を纏ったマリアベル。

 ――強欲と魔王が、激突する。

 

 

 

 

 

 

 

 第64話 救いがなかった

 

 勘弁してくれ。

 そう、思いましたね……(死んだ目)

 は???

 安全って言ったんじゃん……何でこんなことになるの意味分かんねぇよ死んでくれ。

 侵入者とか知らねぇし、オレらとちゃんと区別しろよ無能か??

 ミリムのせいだ。あいつがオレも連れてくとか言いよるから! キレちまったぜ……血祭りにしてやるからな……(ブチ切れ)

 は~~~~この世はクソ。体調がいいからってブラついてリムルんとこに顔出すんじゃなかった。ばっかじゃねーの??

 何してくれてんだよ過去のオレはよォ! 大人しく教会で寝とけよボケ! 時間を巻き戻せ!

 

 そもそも何で遺跡調査なんかするん??(素朴な疑問)

 えっ意味あります??

 つーか人間の調査団いるなら魔王二人もついてくる必要ないんだよな……は? 遊びか? 遊びに無理矢理連れて来られたんか??

 いい加減にしろよ!!(怒)

 人様の仕事の邪魔した挙げ句に無関係のオレを巻き込むんじゃねぇよゴミカスが!!

 最近はギャルドもどっか行って家事とか自分でやる羽目になるし最悪だよ。あいつ今度はどこでフラフラしてやがるんだ。

 

 ――なんて思っていたのに。

 

「――ギャルド? どうして(そんなちんちくりんに)……」

 

 何でオレじゃなくてちんちくりんなんかに侍ってんだあの野郎。お前はオレの肉壁くんだろ鞍替えすんじゃねぇよぶっ飛ばすぞ。

 怒りの余り唇を噛んでたら切れそうになったわどうしてくれる。

 聖歌隊に所属してたそれなりに美しいオレじゃなくて、そんなちびっ子になんて……は? お前はロリコンか? 

 マゾな上にロリコンとか救いようがねぇな……(ゴミを見る目)

 お前にはがっかりだ、どこへなりとも行っちまえ!

 

 ほんとにどっか行っちゃった。

 

 あいつ何なの??

 ほんと何しに来たんだよあいつ。というかあのちんちくりん、開国祭でやけに話しかけてきたクソガキなのでは??

 何でこんなところにい……えっめっちゃ殺気立ってるじゃん怖っ。気絶してしまう……ここから離れないと何かに巻き込まれる気がする……っ!!

 

「行ってくれ、ラフィー。ここは俺達だけでも十分だ」

「~~ッ、ありがとう、ございます……!」

 

 とにかくここから離脱しないと死んでしまう気がする!!

 とりあえずこの遺跡から出て安全地帯まで逃げておかないといけんな……(真剣)

 ちんちくりんだけじゃなく、リムルもなんか殺気立ってるし。なんか離れていいって言ってるのリムルなのに目が笑ってないんですけど。

 えっ、気付かないフリしとこ……。

 必死にリムルから目を逸らして逃げ出したものの、……うん。

 

 帰る道分かんねぇな。

 は? 死じゃん……(絶望)

 





 name:ラフィエル=スノウホワイト
 skill:ユニークスキル『聖歌者(ウタウモノ)』↔『死歌者(ウタウモノ)
   ユニークスキル『拒絶者(コバムモノ)
   ユニークスキル『上位者(ミオロスモノ)
   ユニークスキル『寵愛者(ミチビクモノ)
 secret:『悪魔契約』
     『悪魔共存』
     『禁忌の代償』
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