病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第65.5話 マリアベル
「叩きのめすのよ!」
マリアベルの合図で、拮抗状態は崩れた。
魔王二人をこの場から離脱させたその手腕は賞賛に値するだろう。しかしうち一名――ラフィエル=スノウホワイトの離脱はリムルからしても好都合であった。
ミリムの離脱は痛いが、そもそもマリアベルはリムルの敵であってミリムは無関係である。ならば貸し借りの面でもこの状況は決して悪いものではないだろう。
シオンはユウキと、ゴブタはラーマと、そしてリムルはガイを既に葬り、黒幕たるマリアベルと対峙する。
実のところ、リムルはガイが嫌いだった。いくらマリアベルの能力で視野狭窄になっていたとはいえ、あのラフィエル=スノウホワイトに対してセクハラ発言をかましたのだ。
あの場がリムル主催の場でなければ、遊びに来ていたギィが気紛れに観客に紛れていたとしたら、彼は既にこの世にいないだろう。
あの場では怒りを抑え込んだリムルだったが、今は我慢など必要ない。死者への手向けの言葉もなく、リムルはガイをこの世から消し去った。
「嘘ッ!? 何よ、何なのよ、その力は――ッ!?」
その躊躇いのない行為に、マリアベルは絶叫した。ガイはマリアベルの力で限界まで強化されていたのだ。それを、たった一撃で消滅させるなんて有り得ない。有り得ない、はずだった。
そして、理解する。
目の前に居る魔物は、間違いなくこの世界の最強の一角。
最大の警戒を払い、その身を縫い付けるために多くの計画を考案した、魔王ラフィエル=スノウホワイトと、同格であることを。
(見誤ったのよ、魔王リムルもまた、魔王ラフィエル=スノウホワイトと同様に最大の警戒でもって対峙するべき相手だった――!!)
けれど、時間は巻き戻らない。
既にその身をリムルを前に晒した時点で、マリアベルの未来はリムルを支配もしくは殺すか、自分が殺されるかでしかない。
逃げを成功させてくれるほど甘い相手ではないだろう。
唇を噛んだマリアベルは、すぐさま思考を切り替える。後悔などしている暇はない。今は目の前の相手に集中しなければ。
計画はもう始まっている。後戻りは出来ない。ならば、成功させるしか道はないのだ。
(
覚悟を決めたマリアベルは、リムルに挑発的に宣戦布告する。
同時に魔法通話にて指示を下した。
もはや彼女には、前に進むしか生き残る術は何一つないのだ。
「大きな口を叩く前に、思い知るといいのよ。人と魔物の知恵の差を!」
発動した
その隙にマリアベルは、リムルを支配下に置くべくその力を発動させた。強欲の力はリムルに向かい、そして撥ね除けられた。
(……ええ、そうね。そうなのよ。やはり魔王リムルは支配できない。ならば――)
「やっぱりな。こんな手は当然取るだろうと予測していたさ。だから、俺が対策を取らない訳がないだろう?」
「は? 何を……ッ!?」
リムルが不敵に笑って告げた言葉にマリアベルは動揺する。そして次の瞬間に
(馬鹿なっ……こうなることを見越していたというの? 計画を予測し、更には対策まで練ったとでも? 多少知恵が回るだけの魔物が――)
魔王リムル。自称元異世界人。それを裏付けるような娯楽や様々な技術で発展した新興国家、ジュラ・テンペスト連邦国。
それらが脳裏を過り、マリアベルはその事実をようやく飲み込んだ。リムルがマリアベルと同じく転生した異世界人だということを。
ちらりと他の戦況を確認する。ユウキも、ラーマも、リムルの配下二人に苦戦していた。マリアベルの力で強化されたはずなのに。
状況は劣勢。持久戦では魔物が有利。このままでは負ける未来しかない。
――だが、それがどうした。
(負けるなんて有り得ない。魔王になんて世界は渡さない、この世はロッゾ一族のものなのよ!)
自らの魂を燃焼させ、マリアベルは限界を超える。数々の犠牲ともって、リムルを支配するこの舞台を作り上げた。けれど、もはやリムルを支配することは不可能だ。
ならば、このような危険因子は殺すしかない。
出来る出来ないの問題ではないのだ。ここでリムルを殺さなければ、人類の時代は有り得ない――!!
「本気でいくわ。私の全てを賭けて、貴方を殺す!!」
「ああ。俺も全力で応じるさ」
「死ね!! ――『死を渇望せよ!!』――」
強欲。グリード。
マリアベルは欲望を司る能力を、持つ。
生きとし生けるものが持つ生への渇望を反転させるという、抗いようもない強力無比な、マリアベルの奥義。
ユニークスキル『
ただしそれは、圧倒的な力にまで影響を及ぼすものではない。究極の力に、ユニークでは敵わない。
「残念だったな。『解析』終了だ。これでもう、お前の力は通じない」
絶望的な光景が、マリアベルの前に広がっていた。
死ぬ以外は有り得ないはずのリムルは、無傷でその場に佇んでいた。
第65話 目覚める悪夢
なんか……ドンパチやってんな……(他人事)
道分からんから戻ってきたんだけど、とりあえず戦いが終わるまで待っとこ。正直やばいよな、特にあのメシマズ娘。どっこんばっこん音響いてるもん。
は? 何あの怪力。
そんは馬鹿力でオレの傍にいたの? オレの半径五メートル以内に近付くんじゃねぇぞ、うっかりで死んじまうから(真顔)
しかしどうするか。ずっと階段前で座って待ってる訳にもいかねぇもんな。
おっ、そういえば肉壁くん……ギャルドがどっか走って行ったよな。あいつには鞍替えしやがった罪で往復ビンタの刑に処さなきゃならんから、探し出して手首のスナップの効いたビンタをお見舞いしてやる。
暇潰しにも丁度良いしな!!
よっしゃ、そうと決まればギャルド探しだ。
探してギャルドが見つかるも良し、出口が見つかれば最高だ。
道も分からん遺跡を探索して手当たり次第に探してみる。とりあえず見つけたボタンかスイッチは全て押していった。
なんか作動したり扉が閉まったり開いたりしたが、出口は一向に見つからなかった。
は~~滅茶苦茶疲れたんだが???(半ギレ)
くっそ、くっそ……全然駄目じゃねぇか、ヒントくれ。
出口までの道を線で教えろ、迷子が来るとは考えられなかったのか? 設計者クソ無能だな、何でその仕事してるん?? 仕事辞めろォ!(机ドン)
おっ? 何だこの部屋、いっぱい画面あるな……リムル映ってんじゃん。ふーん、もしかして色んな場所が見れる部屋なのか?
よく分からんので手当たり次第に弄ってみたら、リムルの画面がやたら騒がしくなった。
画面を見たら金髪のクソガキとその周りに居た奴等が軒並み消えていたが、リムル達はそこに残っていて慌ててた。
何でかなと思ったらオレが座ってた階段の道が閉じたらしい。
ほーん。大変だな。おっここにもボタンあるな、押しとこ。
画面に視線を戻すとリムル達が困惑しながら階段を駆け上がっていた。何だよ、道閉じたんじゃなかったのか?
訳分からんな……(困惑)
とりあえずボタンやレバーを手当たり次第に動かしまくって満足した。こんなん教会には無かったからな……妙に押したりしたくなるんだよな。
画面にいるリムル達は妙に疲れていた。なんかあったの??
最後に部屋にあるボタンを1回ずつ押して回ってから部屋を出た。楽しかったな!!(笑顔)
気分良く遺跡の道を歩いていると、下へ向かう階段を見つけた。上がる階段も見つからないし、とりあえず行くだけ行ってみるか。
階段を下りればそこは大広間で、真ん中にはギャルドが佇んでいた。お前こんなところにおったんか!!
よーし、とりあえず鼻フックの刑な(真顔)
大股で近付いて右手の指二つを真っ直ぐに伸ばす。それを思い切り振りかぶり――ギャルドの顎に当たって指が折れるんじゃないかと思った。
は??(呆然)
お前の顔堅すぎんか???(涙目)
ていうかそうだよ。
ギャルドの野郎、意外と背が高いから、オレの身長だと狙いが上手につけられないんだった。
しょうがねぇな、ギャルドには屈んで貰おうか。
「ギャルド、少し屈んで頂けますか?」
「…………」
「あの、ギャルド? 聞いていますか?」
「…………お前の指示を聞いてやる必要があるのか?」
「は――」
何言ってんだこいつ。
は? もしかして今のセリフ、オレに言ったの?
ふーん。殺そ(激怒)
お前オレにそんな口の利き方して許されると思ってんの? 怒っちゃったナ……(殺意)
お前はオレの肉壁くんだったんだぞ? いくら鞍替えしたからってその態度は許されんからな……。
ふー……いや落ち着け落ち着け。
素手で殴ったりしたらオレが傷付いちゃうからな。とりあえず近くに鉄バットとか攻撃力高めの武器が落ちてないか探すところから始めような!!(笑顔)
なんか奥にも空間あるっぽいし、そこから探してみるか。そっちを覗いてみると、例のクソガキと黒髪の男と……なんだ、カガリだったかな。何の話してんだろ……。
クソガキがぶつぶつ呟いてるかと思ったら大声だしたからビックリし、た――
「舐めるな! 私はマリアベル。強欲のマリアベル。貴方如き、私の敵ではないのよッ!!」
「無駄だって。君では僕に勝てない」
あかんやで。
ここにいたら死ぬやつだった。バレないようにそっと帰るしかねぇわ。ギャルド? 知らね、あいつオレからクソガキに鞍替えしたもん。勝手に死んでくれ。
クソガキに胸を突き刺した黒髪の男から距離を取ろうとゆっくりと足を後ろを進める。
「あれ? ……ああ、そっか。そのマントはあの聖女の私物だっけ。防御力すごいなあ」
「ぐっ……離すのよ!」
えっあのクソガキ不死身か??
胸というか心臓貫かれたはずなのに生きてんじゃん。やっべぇな、近付かんとこ。
んっ?? ていうかあのクソガキが来てるマントってオレがギャルドに貸してやった布では??
は?(怒り)
貸してやった私物を又貸ししてんのか? これはもう許されない行いじゃねぇか……よし、ここでギャルドが死ななかったら晒し首な!!
絶対に許さない。
怒りに震えてその場から早く逃げなかったのが駄目だったんだろう。
何度も黒髪の男に攻撃され、クソガキが着ていたマントの糸が解け糸屑になって、地面に落ちた。直後、最後の足搔きとばかりにクソガキが叫びやがったのだ。
「この――せめて、その女だけでも道連れにしてやるのよッ!」
床に落ちた糸屑を踏み締めてクソガキの心臓を穿った黒髪の男は、慌ててその口を閉じようとした。
嫌な予感に、オレも耳を塞ごうとしたものの、
「死ね!! ――『死を渇望せよ』――!!」
ごぽりと、喉の奥から血が溢れ出した。
慌てて口を押さえようとしたら、その手は何故か首に向かい。骨の軋む音が自分の首から聞こえ出す。
回らない頭が酸素を求め、口を開こうにも血で塞がれる。邪魔なそれを全て吐き出しても、何故か息が出来なくて。
視界の端で、必死の形相のギャルドが何かを叫んでいたような気がした。
「触るな、人間が」
布マントを出したのはな、マリアベルにラフィエル君を殺して貰うためだったのだ――!
ユウキの一撃を貰うのはどう考えても不可避なので、とりあえず一撃貰っても大丈夫な装備を支給しました。
ラフィエル君を殺すという目標を達成したので次からは悪魔のターンです。
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』