病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
先週の土日はバイトで行けなかったので先週の月曜日に三洋堂にお伺いしましたが、一番くじ完売してましたよ(絶望)
不貞腐れて先週更新休んですまんな……
で、先週金曜に5件くらい回ったらゲオで残ってたので引いてきたんですよね、一番くじ。
「あと何枚くらい残ってますか……!(震える声)」
「42枚残ってます」
「エッ!? あっ、5回でお願いします……」
10枚前後なら全部買ってラストワン賞狙ったのに。
数日ごとに入店して(くじ引きつつ)残数聞いてるんですよ今。一体はリムルフィギュア欲しい。まだ残ってたし、ワンチャンA賞リムルフィギュアをね、えへへ……
第66話 崩れゆく
みんなみんなしんじまえ。ゆるさない。
「ラフィエル様!」
漠然としてはっきりしなかった意識が、唐突に鮮明になる。ぼやけた視界がクリアに変化し、ギャルドは必死に手を伸ばした。
真っ赤な血を吐いて、自らの手で首を絞める自分の主に、これ以上苦しい思いをして欲しくなかった。何故こうなったのか、脳味噌に叩き付けられる前に、いの一番に彼女の安寧を取り戻したかったのだ。
しかしそれは、間に合わなかった。
がくりと力が抜け、虚ろな青い瞳をギャルドに向けたラフィエル=スノウホワイトは、ゆっくりと瞼を閉じた。
愕然としながら、崩れ落ちるその体を抱き留めようと伸ばしたその手は、ばしりと払いのけられる。
まさか生きて――しかしてその希望は、すぐさま摘み取られた。
冷たく血のような赤い瞳は、暖かな青い瞳を持つ少女の存在を、これ以上無いほど雄弁に否定していたからだ。
「こうして表に出るのも久方ぶりか。あの人間の小娘には感謝してやらねばな」
ぞっとする程、悪意と憎悪に満ちた声。
美しい聖なる声で発されるのは、慈愛に満ちたものではない。そのアンバランスな声に、ギャルドは思わず後ずさる。全身に鳥肌が立ち、思わず武器を構えたくなる腕を抑えつけ、ギャルドは奥歯を噛み締めた。
何故ならば、目の前にいる彼女は、どうしようもなくラフィエル=スノウホワイトなのだ。
神々に愛されたかのような、美しい容姿。穢れを知らぬ雪のように白い髪も、溜息を吐きたくなるほど艶やかな肌も、触れるとそこから砕けて消えそうな儚い肢体も、何もかもが、ラフィエル=スノウホワイトに他ならない。
ただ、――そのどろりと淀んだ赤い瞳を除いては。
ギャルドには分からない。
目の前にいる少女が、ラフィエル=スノウホワイトなのか、そうでないのか。
見た目は、瞳を除けば間違いなく自分の主だ。しかし、雰囲気も言葉遣いも全てが異なる。
彼女は一体、誰なのだ?
分からない。何せ、ギャルドは何も知らないのだから。ラフィエル=スノウホワイトの中にいる勇者も何も言わなかった。ラフィエル=スノウホワイト本人だって、ギャルドには何も話してはくれなかった。
ラフィエル=スノウホワイトのことを、自らの主のことを、ギャルドは……知らない。知らないこと、ばかりだ。
こんなことになるなら、もっと話しておけば良かった。
怖がって、気味悪がって、話題を逸らさず。
ちゃんと面と向かって、膝をつき合わせて真剣に話していれば。
彼女はきっと、それを拒むことなんてしなかっただろうに。
後悔ばかりが押し寄せて、目の前の少女を、どうしても自分の主とは思えない事に胸が苦しくなる。
――どうすれば、いいのだろう。
ギャルドには、何も分からなかった。
「つまらん」
そんなギャルドを見て、そんなギャルドの思考を読んで、悪魔は言った。
深々と溜息を吐き、興味を無くしたように悪魔は背後を振り返る。
大量の汗を噴き出して、得物を握った腕を震わせるギャルドは、そこでようやく崩れ落ちた。得物を彼女に向けまいと本能に抗って、その結果がこれだ。
息を整え、体を落ち着けようとしたその時に、ようやく脳味噌に今までの情報が叩き付けられる。
そこでギャルドは自らが敵の手に落ちていた事を認識し、その心は鉛のように重くなった。
悪魔がすたすたと歩いていった先には、黒髪の男――ユウキ・カグラザカが一人立っていた。その足下には、血の池に沈んだ金色の幼い子供と、女性。
マリアベルは胸に穴を開けて地面に倒れてその命を散らし、近くにはカガリが眠るように息を引き取っていた。
ユウキに殺されたマリアベルは、最期の足搔きにカガリを道連れにしていたのだ。ラフィエル=スノウホワイトは、ただ近くにいたために余波を食らったに過ぎなかった。
そう、本来はそれだけのはずだった。運が悪かった――それで済むはずだった。
しかしラフィエル=スノウホワイトには、悪魔が宿っていた。そのために、このような事態が起こったのだ。
「あれ……魔王ラフィエル=スノウホワイト? 随分と雰囲気が変わって、ッ!?」
「ほう、防ぐのか」
悪魔は、機嫌が良かった。
マリアベルの力とはいえ、ラフィエル=スノウホワイトはしてはならぬ自殺で命を落とし、自らが表に出てくる事が出来たのだから。
戯れに敵を討つ、なんて人間ごっこをしてやろうかと思うくらいには……機嫌が良かったのである。
振り返ったユウキは少し落ち込んだような顔をしていたが、悪魔を見て飄々とした態度を見せる程度には、傷付いてはいなかった。
しかしその余裕の態度は悪魔の攻撃でなりを潜める。両腕で防いだそれは、魔王リムルと同等かそれ以上の威力で――
「君って、本当に魔王ラフィエル=スノウホワイト? 聞いてた話と違うんだけどな……」
「忌々しい聖歌者と同列に見るか」
不愉快そうに吐き捨てた悪魔の言葉に、ユウキは不可解そうな目つきで悪魔を見上げた。
「聖歌者……シズ先生から聞いたことが……死歌のフルート……悪魔殺し……ああ、なるほど」
断片的な情報を繋ぎ合わせたユウキは、限りなく真実に近い事実に思い至った。
ユウキはシズエの弟子の一人だ。彼女から、かの聖女の話を何度となく聞いたことがある。彼女は、とっても優しい人だよ、と。
そして――
ラフィエル=スノウホワイトが異世界人だということも、聞いたことがあるのだ。
異世界にて、悪魔を殺す聖歌隊に所属していたことも。その悪魔についても。
聖歌隊の少年少女は聖歌を。悪魔は死歌を。
繋ぎ合わせれば、もはや答えは簡単だ。
目の前のラフィエル=スノウホワイトによく似た少女は、異世界の悪魔なのだ。
ラフィエル=スノウホワイトが異世界人であることも、悪魔殺しの聖歌隊出身であることも、知っている者は酷く少ない。
だからこそ、目の前の悪魔が聖歌者という単語を知っていただけで、答えには辿り着けるのだ。
「異世界の悪魔か……ちょっと勝算低いな」
何せこの悪魔は、少年少女の美しい声で紡がれる聖歌でしか殺せない。倒せない事はないが、殺すことは出来ないのだ。
どうしようかと思案するユウキだが、その思考の時間を律儀にくれてやるほど悪魔は優しくなど無い。
マリアベルとカガリが眠る血溜まりに足を踏み入れて、愉しげにバチャバチャと足で血を遊ばせた。その直後、血溜まりは幾つもの人間大の針のような形状に変化し、ユウキへと襲いかかった。
血液を操る異世界の悪魔の技に、ユウキは為す術もない。彼の体質は、この世界のものであって――悪魔本来の攻撃を防ぐ事は出来ないのだ。
これがこの世界で会得したスキルの類であれば、ユウキだって無効化する事が出来たのだが……もしものことには意味が無い。
蟻を潰す子供のように、悪魔はユウキの四肢を潰していく。血で作られた針は、ユウキの腕を貫いて、背後から足の腿を貫いていく。
呻き声を上げるユウキに愉悦の笑みで見下ろして、悪魔は彼に近付いていく。
いくら人間の中で強いとはいえ、所詮はそこまで。最古の連中や、憎々しい勇者と違い、ユウキにはこれといった切り札はない。
体質の方はかなり強いとはいえ、それはこの世界の者にとって有利に働くだけで、悪魔にとっては何の障害にも成り得ない。
無防備な頭が石榴のように散る様を想像してゾクゾクとした快感を背中に走らせて、悪魔は崩れ落ちたユウキの頭に向かって足を振り下ろした。
がつんっ、と足が振り下ろされた。
肉の音でも血の音でもない、硬い床に足がぶつかった硬質な音だ。
不機嫌そうに鼻を鳴らし、悪魔はそれを見やった。
「つまらん男だ、邪魔をしおって。たかが人間一人、死んだところで大して変わらんだろう」
「――ラフィエル様に、人を殺させる訳にはいかない」
「ああ……人間は、本当に頭が悪いな。すっかり忘れていた」
血みどろのユウキを引き摺って、悪魔から引き離したギャルドは、大量の汗を全身から噴き出しながらも、悪魔の前に立った。
その手は震えて、悪魔と対峙するにはどうしようもなく情けなく、勝ち目もまるで見えない。
しかしその目は、確かな意思を持って輝いている。
「不快だ、気持ちが悪い。何故貴様らは、あの聖歌者のために捨て身になる? 全く理解できんな」
「ラフィエル様が、他人のために心を砕いているからだ。献身を返したいと思うからこそ、俺はここに立っている。――お前がラフィエル様なのか、そうでないのかは俺は知らない。でも、その瞳を除けばラフィエル様に他ならない。お前が殺傷沙汰を起こせばきっとラフィエル様は悲しまれる。だから、止める」
「……狂信者め」
苛立ったように、悪魔は吐き捨てる。
そして――遺跡が大きく揺れ、地盤は崩れ始めた。
僕と一緒に、人間共を滅ぼしてみないか?
name:ラフィエル=スノウホワイト
skill:ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
ユニークスキル『
secret:『悪魔契約』
『悪魔共存』
『禁忌の代償』