病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー 作:昼寝してる人
第71.5話 拒絶
リムルはラフィエル=スノウホワイトに背を向けているが、『魔力感知』によってその視界は閉ざされておらず、そもそも来た瞬間に今の彼女の惨状をばっちり理解してしまっていた。
申し訳なさとその他諸々で大変複雑になったリムルは、
そんなリムルと、ミリムとギャルドの背後では、ラフィエル=スノウホワイトがふらふらと立ち上がり、そっと彼等に近付いていた。
右から順に、ゆっくりと視線を動かして、ラフィエル=スノウホワイトはギャルドへと狙いを定めた。彼女はギャルドが着用している白いコートを脱がせ始める。
「!? ………ラ、ラフィエル様?」
「静かに」
真剣な声音に、ギャルドは黙り込む。服を脱がされたギャルドは一体何がどういう事なのかまるで分からないが、真剣な主に逆らう事は出来ない。
そもそもの話、まだ主として仰いでいてもいいのかという話ではあるが……それはまた、話し合うべき事でもある。
そんなギャルドを知ってか知らずか、ラフィエル=スノウホワイトはその丈の長いコートに腕を通し、太腿までボタンを留める。
それから自らの格好を見て、足元は仕方ないけれどそれ以外に肌が露出していない事を確認する。そしてようやく安堵の吐息を漏らし、ラフィエル=スノウホワイトは微笑んだ。
「もうこちらを向いても大丈夫です」
その言葉に安堵したのはリムルとミリムだ。二人こちらに来た瞬間にラフィエル=スノウホワイトの惨状を認識してしまっていたので、気が気でなかった。
目を開け振り返った二人は彼女の肌が隠れている事に安堵し、ギャルドはその装いに、その下がどうなっているのかを察して申し訳なさに眉を下げた。
自分の服であればいくらでも使ってくれという気持ちになる。
「ラフィー、今はもう大丈夫なのか?」
「はい。問題ありません」
安心させるような優しい笑みを浮かべ、ラフィエル=スノウホワイトは返答する。
そして、どこか困ったように三人を見やる。
「ここまで来て頂いて、申し訳がないのですけれど」
「ラフィー?」
「私はここから、貴方達と共に戻るつもりはありません」
目を見開いて驚く三人に、そっと目を伏せて口を閉じるラフィエル=スノウホワイト。これ以上何か言う事はないと、その態度が雄弁に語っている。
しかし三人とて、そう簡単に引く訳には行かない。
心優しい彼女のことだから、きっと先の事で気を病んでいるのだろう。
あんな迷惑をかけた以上、帰る訳には行かない。
どんな顔をして戻ればいいのか。
また似たような迷惑をかけるかもしれない。
今回は被害が少なかったけれど、次は分からない
ならば、
ならばもう、いっそ、
そう考えて、皆の下から去ってしまおうと、消えてしまおうと考えても、おかしくはない。
しかし、そんな事は誰一人として望んではいない。
ミリム含む古参の魔王はそんな事は承知の上だし、リムルだってラフィエル=スノウホワイトを引き取った時点で覚悟は決めている。
ギャルドだけはまだ思い悩む事は沢山ある。しかしそれでも、誰よりも優しい彼女が、一人で何もかも抱え込んで消えてしまう事は、望んでなんかいないのだ。
「魔王リムル。魔王ミリム。どうか、ここは俺に任せて貰えないだろうか」
すぐさまラフィエル=スノウホワイトを説得しようと口を開いた二人は、ギャルドの言葉に一度沈黙する。
鋭い視線をギャルドに向けた二人の魔王は、そのまましばらく試すように彼を圧をかけ――
「今はまだ、ラフィエル様の一配下として、お願い申し上げる」
今後ラフィエル=スノウホワイトと主従の関係ではなくなるかもしれない。けれど今はまだ、彼女の配下として、魔王ラフィエル=スノウホワイトに進言する事を、どうか。
どうか許して欲しい。
そんな意と共に、ギャルドは頭を下げた。
「…………そう言われたなら、断れないな」
視線を柔らかくして、リムルは苦笑した。
リムルには、ギャルドに負い目がある。ラフィエル=スノウホワイトの配下として敵地に向かい、そしてギャルドが敵の手に落ちた事を知っていて、それさえも利用した。
ならば。ラフィエル=スノウホワイトの配下として、彼女と対話を望むのならば、リムルはギャルドの意志を打ち捨てる事は出来なかった。
それに、大変不満はあるが、リムルやミリムよりも、ギャルドの方がラフィエル=スノウホワイトの意見を翻す事が出来る可能性が高いのだ。
「ミリムもいいか?」
「……むぅ、仕方がないのだ」
ギャルドは、長い間一人も配下を作らなかったラフィエル=スノウホワイトが唯一作った配下だ。ギャルドが、彼女にとって何かあるのだろう事は明白。
恐らく偶然出会ったミリム達よりも、自ら選んだギャルドの方が意見を変えさせる事が出来る。それくらい、ミリムにだって分かっていた。
「失敗したら許さないから、そのつもりでいるのだぞ!」
「――ああ、肝に銘じておこう。感謝する」
第71話 汝は肉壁
よりにもよって三人も来おったわ。
何なの? 仲良しかお前ら??
言っておくけどな、死ぬほど嫌いな奴とはいえ、万が一にでも肌を見たものなら三人纏めてオレと結婚して貰うからな!!!(脅し文句)
よしよしやっぱりオレと結婚したくないからか全員後ろ向いたな。この中で1番でっかい服着てるのは……元肉壁くんか
ところでお前、オレがあげたやつ、生意気なクソガキに渡した事まだ許してないからな。謝るまで許さんからな!(キレ気味)
ギャルドの服を勢いよく剥いでやろうと思ったけど、いい子ちゃんな体は言うことを聞かずにゆっくり優しく脱がせ始めた。
は????(困惑)
野郎なんか全裸でも問題ないだろ、女じゃないんだからよォ! 子供を産む女性は別として……野郎は別に性器ならともかくそれ以外は見られても問題ないだろ。
ギィなんかいっつもスボンしか履いてないようなもんだし、こんな所でいい子ちゃんになる必要ある???
別にズボン脱がそうとしてる訳じゃねぇだろ、コートくらい引っ剝がせよ!!
相変わらず主の言うことを聞かない体にキレそう。
ギャルドから奪い取ったコートに腕を通すが、でかくて袖が余った。袖をちまちま折って、首元からボタンを全て留めたけど、足元までボタンがなかったから脚をさらけ出す事になった。
昔から足だって出した事ないのに……足首以外の足を出すの死ぬ程抵抗ある。は? 何で足首までボタンないんだよ、馬鹿じゃねぇの???
他人はどうでもいいけど自分がやるとなると、普通にめっちゃ嫌!!(羞恥)
けど、流石にギャルドやリムルからズボン毟りとるのは流石に可哀想だよな……。仕方ねぇ、今回はこれで我慢する。
めちゃくちゃ嫌だけど!! お前らと違ってオレは優しいから!! 我慢してやるよ!!!
「もうこちらを向いても大丈夫です」
「ラフィー、今はもう大丈夫なのか?」
「はい。(大丈夫じゃないけど)問題ありません」
問題はないけど個人的に大丈夫じゃねぇから帰ってくれない? ほんともう大丈夫じゃないから。
まあ内心思っててもこいつらには伝わらないし、遠回しに言っても伝わらない事はもう分かってるんだ。だからオレは言うぞ、リムルとミリムがキレたらと思ったら怖いけど、伝える事が大切なんだ。
「ここまで来て頂いて、申し訳がないのですけれど」
全然思ってないしむしろ何で来たのって気持ちでいっぱいだけど、建前は大事だってオレは知ってるんだ。
「ラフィー?」
「私はここから、貴方達と共に戻るつもりはありません」
言ってやった!!(感動)
今までオブラートに包み込んで遠回しに伝えていたけど、今回ばかりは直球で言ってやったぞ!!!
達成感に心がふわふわする。やり遂げるって、めちゃくちゃ気持ちいいな!(笑顔)
けどこの場で笑顔なんざ見せようものなら煽りとしか思われないだろうから、そっと目を伏せておく。口元がプルプルしてるけどセーフだろ。だよね?
「魔王リムル。魔王ミリム。どうか、ここは俺に任せて貰えないだろうか。今はまだ、ラフィエル様の一配下として、お願い申し上げる」
はい???(混乱)
訳の分からない事を言うな!!(半ギレ)
お前は肉壁くんであって、オレの配下ではないしそもそも仲間ですらないだろ何言ってんの???
よくて雑用係だし、そもそもお前、オレからあのクソガキに鞍替えしたの忘れたとは言わせんからな?
「…………そう言われたなら、断れないな」
お前も何言ってんの???
は?
何なの?
もしかしてお前も肉壁くんがオレの配下だと勘違いしてるの? なんで????
オレがいつ、ギャルドが配下とか仲間って言いましたか!! 言ってねぇよバーカ!!
記憶捏造するの止めてくれない??
「ミリムもいいか?」
「……むぅ、仕方がないのだ」
仕方ないって何??
もしかして皆そう思ってるの? 違うよ?? 肉壁くんはオレの配下じゃないんですけど??
「失敗したら許さないから、そのつもりでいるのだぞ!」
「――ああ、肝に銘じておこう。感謝する」
めちゃくちゃオレの配下面するじゃん。お前オレの配下じゃないんですけど??
って声を大にして言ってやろうと思いました。
聖騎士のマント? コート? は原作のイラストにはボタンがなかったのですがこの世界線では付いてるって事で。まあ誤差みたいなもん