病弱聖女と魔王の微睡み ー転スラ二次創作ー   作:昼寝してる人

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 森の騒乱編なんて全カットだぜ……(震)
 だってラフィエル君の出る幕ないし。出す必要もないよね。


フルートの問題/ルナティック人生

 第7.5話 フルートの問題

 

 その日、ミリム・ナーヴァはかつてないほど上機嫌だった。

 何故上機嫌かというと……数時間前に遡らなければならないだろう。

 彼女は、暇つぶしに魔王を誕生させる計画に携わっていた。勿論、経過を見守るだけで他は全て他人に丸投げである。被害者は魔王クレイマン。が、本人はこれ幸いと色々と好き勝手しているので大した問題ではない。

 そして、生み出した魔王種は、第三勢力である謎の魔人によって倒された。その魔人は、水色の髪に、抗魔の仮面をつけた、少女の姿をしていた。

 

 面白そうだ。

 

 それが、その一連の流れを見ていたミリムが最初に思った事だった。生み出した魔王種を倒した謎の魔人。興味がある。ならば会いに行けばいい。

 他三人の魔王を適当に言い包め、ミリムはその謎の魔人が住む地へ――ジュラの大森林へと、単身向かったのだった。

 そこで出会ったのが謎の魔人、スライムのリムルである。最初は挨拶をしに来てやっただけ、のつもりだったのだが……食べたことのない甘味を食らわされ、一瞬で虜にされたミリム。

 何やかんやあって、リムルの「友達」宣言を受けたのである。今まで友達なんていう存在はいなかったミリムからすれば、それはとても嬉しい一言だったのだ。

 しかもその後は、親友(マブダチ)にまで昇格した。

 

「ふふん。今度、ラフィーにも紹介してやらねばな」

 

 なんて思うくらい、ミリムはリムルを気に入っていた。ラフィエル=スノウホワイトは生粋の聖女である。ミリムが紹介すれば、たとえ最弱の魔物であろうと仲良くしてくれるはずだ。いや、する。

 二人が仲良くなって、ミリムと共にテーブルを囲む未来を夢想する。きっとそれは遠く無い未来で起こり得るだろう。

 

 そんな、リムルと愉快な仲間達と共に過ごしていたある日の事だった。

 テンペスト――ジュラ・テンペスト連邦国という名のリムルが作った魔物の国での、出来事である。

 めずらしくミリムが早起きして、暇だしリムルと遊んでやるかと、リムルの根城に突撃したのが、事の始まりだ。

 ミリムに突撃された時、リムルはちょうど研磨の最中だった。シズエに託された、預かり物のフルートの調整をしていたのだ。返す時に壊れてました、錆びてました、汚れてましたではシズエの顔に泥を塗ってしまう。

 それ故、リムルはドワーフ三兄弟から手入れの仕方を教わり、毎朝日課になったフルートの手入れをしていたのだ。

 そんな時にミリムが扉を壊す勢いで突撃してきたものだから、驚いたリムルは分解していたフルートの頭管部を地面に転がり落としてしまった。

 

「あっ……あああ!? おまっ、ミリムお前なー!」

 

 地面に転がり落ちたそれを拾い上げる。既に砂で汚れ、小石で傷がついてしまったそれに、リムルは悲鳴を上げた。

 突撃してきたミリムに怒鳴ってしまうのも仕方ない。シズエが管理していた頃は傷も汚れも何一つない状態で保管されていたのだ。リムルが引き継いでからこんなに傷付きましたでは、立つ瀬がない。

 頭を抱えた後、布で砂を取り除いてみたものの、やはり小さな傷がたくさん付いていた。

 

「あー……」

「わ、悪かったのだ。そんなに大事なものだったのか?」

 

 フルートの頭管部を見つめてニの句が告げなくなっているリムルに、ミリムがしょんぼりした顔で謝った。最近、とある人物に「ありがとう」と「ごめんなさい」の重要性を散々説かれているため、すんなりとその言葉は出てきた。

 あまりにもしょんぼりと落ち込んでいるので、リムルは苦笑して首を振った。

 

「ある人から預かってるんだ。なら、ちゃんと綺麗な状態で返さないといけないだろ?」

「それは……そうだな。誰の物なのだ?」

「ん? そうだな、ミリムは知ってると思うけど」

 

 単純な興味でリムルに問い掛けたミリムは、このあと固まる事になる。

 そういや魔王だし、ミリムからもラフィエル=スノウホワイトがどんな人物なのか教えて貰おう。そんな気持ちで、リムルは答えた。

 

「ラフィエル=スノウホワイトって魔王なんだけど。どんな人か教えてくれたら嬉しいんだが……」

「な、は……ず、ズルイのだ!」

 

「はい?」

 

 ミリムの反応に、リムルは首を傾げた。

 ラフィエル=スノウホワイトの事を教えて欲しいといったら、何故ズルイと返されなければならないのか? ミリムの思考回路は謎だ。

 

「ワタシはラフィーから何かを預けられたりしてないのに……リムルだけズルイのだ!」

「いや、それ俺関係ないからな?」

 

 魔王って本当に理不尽だなーと、リムルは呑気にそう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第7話 ルナティック人生

 

 今日は珍しく魔王が誰も来ないまま一日が終わりそうだ。こんなにも嬉しい事はそうそう無いのではなかろうか。いやっほーぅ! パラダイスだぜえ!

 こんな日がいつまでも続けばいいのにな……。

 なんて思っていたのだが。もしかして今のがフラグとかになってしまったりしていたのか? クソかよ。お前ら(フラグ)なんて大嫌いだ!

 何でかなあ。何でオレには平穏が訪れないのかなー。

 そんな事を思いながら、オレは目の前の相手を見つめた。

 そう――目の前の、黒い悪魔を。

 

「クフフフフ。お久しぶりです、ラフィエル」

「……そうですね」

 

 何でおんねんこいつ。

 教会の奥で惰眠を貪ってから夕方に起きてきたら、勝手に茶と菓子を飲み食いしてやがった不法侵入者に、オレの機嫌は急降下である。

 つーか、この黒い悪魔とは二回目ましてなんだけど? こんな不法侵入されるような仲じゃないはずなんだけど?

 なんの目的があって来やがった? 場合によっては貴様、タダで帰れると思うなよ。オレの家の備蓄を勝手に漁った罪は重い。

 

「まあ貴女相手に腹芸をしていても無駄なので、単刀直入に言いますが」

「はあ」

「シズエ・イザワを知っていますね?」

 

 嘘だろシズエ。お前、こんな訳わからん黒い悪魔と知り合いだったんか……。常識人だと思ってたのに、こんなヤバ目な奴と……。

 知り合いの思わぬ交友関係にショックを受けているオレを構いもせず、黒い悪魔は続けた。

 

「彼女が出会ったとある人物が大変興味深い者でして……」

 

 いや、知らんけど。

 シズエが会った人間なんか、オレが把握してる訳ねぇじゃんよ。お前頭大丈夫か? 何でオレがシズエの交友関係全部分かってる前提で話してんの? 知らんて。

 微妙に興奮しているらしい黒い悪魔は、微かに頬を紅潮させて饒舌に話し続けている。

 正直誰の事言ってんのか分からなかった。愛らしいボディとか言ってたけど、お前それセクハラだと思うよ。オレでさえ引いたぞ。性に関してはほぼ無頓着だと自覚しているこのオレがだぞ。

 

 ドン引きしているオレに、やはり気づく様子もなくその人物に関して語っている黒い悪魔。もう完全に心酔とか崇拝の域に達している。

 正直関わりたくないでござる。教会の奥へ戻って三度寝を決めこみたい。だがそれをすると、きっとこの黒い悪魔は笑顔でこの異空間ごと破壊しそうな気がしてならない。

 こいつ怖いもん。なんか危ない感じするし。

 

「そこで提案があるのですが……」

 

 うんうん。

 もう何でもいいから帰ってくんないかな。とりあえず魔界にでもどこでも消えてくれ。ファッキンゴッド。神は死んだ。

 オレをこの頭のおかしい悪魔から解放してくれたまえ、アーメン。いやマジでほんと帰ってお願いだから。一生のお願いだから!

 

「私と貴女で"友達"になりましょう」

 

 なに言ってんだこいつ?

 笑顔でどんな提案をするのかとビクビクしていたが、何だその訳のわからん提案は。

 オレの感情が珍しくそのまま表に出ていたのか、黒い悪魔はクフクフと笑いながら説明してくれた。……ただし、目が笑っていなかったが。

 

「その人物が随分と貴女を気にしているようでして。貴女と仲が良いと言えば、恐らく私に興味を持ってくれるでしょう。そしてそれを利用して必ずあの方の配下に――」

 

 何こいつ怖いんだけど……。

 え? なに、シズエが会った奴をお前が気に入った。そしてその人物はオレを気にしている。ならオレの情報を持ったお前がその人物に会いに行けば気に入られるって寸法か?

 そんなんのためにオレと友達になりに来たんかこいつ。信じられないくらい、あの、腹黒ではなく、なんかこう……遠回しっていうか、……頭いいのに馬鹿だな。

 そもそも、何でその人物とやらがオレを気にしてんだよ。そこから割と疑ってるんだけど。

 

「それで、答えは? はいですか? それともイエス?」

 

 友達になる以外の選択肢が用意されてないんですがそれは。というかここでノーと答えたらどうなるのか。ぶっ殺される未来しか見えんわ。

 内心頭を抱える。だってこいつと友達とかメリットねぇじゃん。百害あって一利無しだろ、これ。

 どうすっかな……。

 ニコニコとオレを見ている黒い悪魔。ギィと同レベルでやばい存在だと、オレの危機感知センサーが叫んでいる。

 ふぅ……やれやれ、しょうがないな。

 

「喜んで。是非、お友達になりましょう」

 

 こんなん、こう返事するしかないじゃんよ!!

 心では泣き喚いているのに関わらず、オレの表情は満面の笑みだった。さっきは言う事聞いてくれたのに、何で今は無視するの? 表情(おまえ)、オレの事嫌いなの?

 辛い。オレの人生の難易度がルナティックすぎて辛い。泣きそう。

 

「貴女ならそう言ってくれると思っていましたよ、ラフィエル。では早速ですが、」

 

 え……何、早速オレに何をやらせる気なの? お前のそういうとこ嫌いだよ。お前は悪魔同士、ギィと遊んでりゃいいだろ。

 いちいちオレに紹介すんなよギィもさぁ!! おかげで顔見知りになった挙げ句友達にされちまったじゃねぇかよ!

 紹介すんな! 勝手にてめぇらだけで遊んでろ! この疫病神共め!

 

「貴女の持ち物を一つ、頂きましょうか」

 

 お、お巡りさんこいつです! こいつがオレの持ち物を奪おうと……!

 ……あの、ガチで言ってんの? ジョークとかじゃなく? え、なんで……?(混乱)

 相変わらず戦闘能力怪物の奴の考えは理解できない。ほんと何考えてんだ?

 結局、黒い悪魔はオレがよく使っている万年筆を渡すと、信じられないくらいアッサリと帰っていった。本当に何しに来たの?

 もう、訳がわからないよ……。

 




「フルートに傷が……怒るよなあ……」
オリ主「戦闘能力怪物はこれだからよォ!(激怒)」

 フルート壊れたくらいじゃ怒らない。
 ただし平穏が壊れるとキレるから注意しようね。ラフィエル君と話す時は用法・用量を守って適切に扱ってあげてください。

 現在のステータス。

 name:ラフィエル=スノウホワイト
 skill:ユニークスキル『聖歌者(ウタウモノ)』↔『死歌者(ウタウモノ)
    ユニークスキル『拒絶者(コバムモノ)
    ユニークスキル『上位者(ミオロスモノ)
    ユニークスキル『寵愛者(ミチビクモノ)
 secret:『悪魔契約』
     『悪魔共存』
     『禁忌の代償』
 備考:最近は魔王襲撃に慣れてきていたのに、悪魔が突撃訪問してきたせいで精神にダイレクトアタック。そろそろ寝込む。
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