「ん」と「ね」と「(単語)」しか言わないクラスメートの性欲がヤバすぎる件について   作:羽虫の唄

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待たせたな。(滝汗)



メンタル回復の為に9927歳のサメちゃんを視聴したところ、見事にどハマりしてしまい投稿が遅れてしまいました。UBIUBI〜。

トーナメントの対戦相手は、アンケートで300票越えを果たした心操と爆豪、それから+αを予定。今話では1回戦目、vs心操の下準備となっています。それではどうぞ。





後書きに主人公が現在使える能力を簡単にまとめてみました。


雄英体育祭 その④

 …先ずは、ストリップ紛いの行動に加え催眠術やパンツの中から剣を出現させると言った奇行で周囲の注意(しせん)をオレに集中させる。

 その隙に上位陣から奪ったハチマキを小大サンの「サイズ」で縮小。『ハチマキは首から上』のルールに抵触しない様にそれらを彼女の()に結び付けつつ、オレのジャージの白ライン部分を吹出クンの「コミック」を利用して裁断。ダメ押しに小大サンの個性で大きさを整えれば…あっという間にダミーハチマキの完成である。

 

 こうして他チームと–––1000万ポイント抜きにしても–––圧倒的な差を出したオレたちは、終盤で見せた大逆転劇に盛り上がった観客から拍手と共に喝采を受けつつ、英気を養う為に昼食へと向かうのであった–––。

 

 

 

 

 

「けろっ。…残念だけどそうは問屋が卸さないわ」

「ねーねー、選ばせたげる。海と山どっちが良い?」

「よくもヤオモモに恥じかかせてくれたねアンタ」

「どうするコイツ、処す? 処す?」

「覚悟は出来てるんよねぇB組の人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「–––あ、起きた?」

 

 ふと、声。

 首を動かし辺りを見回すと、地べたに腰を下ろした状態で此方を見る骨抜クンの姿を認めた。かいていた胡座を崩して立てた片膝に手を置いた彼に、オレは尋ねる。

 

「んぁ、えーと…。これは今どういう状況ッスかね?」

「昼休憩が終わってレク前に第3種目(トーナメント)の組み合わせをクジで決めるところ」

「どうもありがとうございます」

「どういたしまして」

 

 彼の言葉を聞きながら、騎馬戦終了後、A組女子から受けた[編集済み]や[削除済み]を最後に途絶えている記憶を思い出したことで身震いを起こしつつ、オレはふと疑問を口にした。

 

「ところで骨抜クン、B組の雰囲気がピリついてるんスけど…何か有りました?」

 

 視線の先に見えるのはある程度纏まった状態でミッドナイト先生の説明に耳を傾けているクラスメートたち。しかしどうにも、見慣れたB組の面子たちが他と比べ–––最終種目に臨んでいるであろうその心情を比較しても–––妙に()()を感じるのだ。剣呑、と言い表せるかもしれない。

 ………え、もしかして公衆の面前で女子のパンツ露出させたオレの所為?

 

 自分で訊ねておきながら内心で焦り始めたオレに、小さく息を吐いた骨抜クンが答えた。

 

「昼休みの時にちょっとね」

 

 そう切り出すと。

 

「騎馬戦の時、物間は–––多分、騎馬を組んでいた他科の個性で–––真っ先にB組を潰したんだ。『それじゃあ作戦通りに』って言って、それに()()()()()俺たち以外殆どやられてたよ」

 

 骨抜クン含む鉄哲チームであった鉄哲クン・泡瀬クン・塩崎サンの4人は、開会前に物間クンが提案していたクラスぐるみでの作戦に個人で挑まないと意味が無いとの理由で不参加だったなそう言えば。

 

「勿論そんな事すれば周りから怒りを買うのは当たり前。鎌切辺りは『ふざけてんのか』って言いながら胸ぐらに掴みかかってたよ」

 

 …そりゃあまぁなぁ、と言うのが話を聞いた素直な感想である。

 皆で力を合わせようと提案しておきながら、したことと言えば裏切り行為以外の何物でもないのだから、鎌切クンの反応も当たり前だ。マラソンのスタートダッシュをぶっちぎるのとは余りにも規模が違い過ぎる物間クンの行いを知り、B組の雰囲気が剣呑となっていることに納得

 

「–––そうしたら、物間が言ったんだ」

 

 –––したのだが、骨抜クンは更に話を続けた。

 うん? まだ話は終わっていないのか?

 

「『ふざけているのはどっちだ』…って」

 

 …彼の話を纏めると、こうだ。

 

 ヒーロー飽和時代と呼ばれる現代、生存競争の激しいヒーロー社会では蹴落とし合いが常だ。言うなれば、クラスメートであったとしても将来的な商売敵–––つまりは敵である。()()()()()()なんて到底考えられることでは無い。…まぁ、実際の現場では即興でチームを組む場合もあるのだが…。

 何にせよ、誰もがそう言った気概でこの場に立っている。それなのにB組はどうだろうか。個人の力で臨んだ骨抜クンたちを除き、その殆どがA組との差から『ヒーローとして当たり前の精神』を忘れ、皆で仲良く手を繋いで挑んでしまっている。そんなものは、戦う戦わない以前の問題だ。

 

 昼休み。普段のひとを小馬鹿にする皮肉屋とは別人の様に真剣な表情で、物間クンは語ったらしい。

 

 –––戦う戦わない以前の問題、か。気持ちで負けているというやつなのであろう。物間クンなりの「もっと気高く『飢え』なくては…ッ!」発言がどうやら有ったらしい。

 

「そんなことが…」

「うん。それのお陰かな、皆の目付きが変わったのは。–––さ、クジ引きだ。最終種目頑張れよ、弘原海(わたつみ)

 

 そう言いながら、立ち上がった骨抜クンは地面を柔化。バッドエンドオリマーの様に生首だけを出していた状態のオレを引っこ抜く。

 

 

 

 

 

「–––物間も」

 

 

 

 

 

 次いで、オレの隣に植えられていた物間クンも。

 

「まぁそんなことがあった訳だけど、俺は兎も角裏切られた皆の気持ちが治るかって言われたら別だし。それはそれ、これはこれ」

「物間クンェ…」

 

 大丈夫かおい。白目剥いてるぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「–––あんただよな? 弘原海 ありす、って」

 

 さてその後。

 A組の尾白クンやB組からは庄田クンが辞退を申し出たりと色々あったものの、第3種目の組み合わせが決まりレクリエーションに移ろうとした時である。突然背後から飛来した声に、オレは肩を震わしていた。び、びっくりしたぁ!

 

 鼓動を早まらせながら声の方向を見ると、そこには『気怠げな』と言う表現がぴったりな隈の目立つ少年が。…あ、もしかして1回戦目の対戦相手か…?

 声をかけられ反応をしないのも失礼である。彼の問いかけにオレはそうだと言……おうとして。

 

「ツインインパクト–––解放(ファイア)!」

 

 瞬間、衝撃。

 突如脇腹に迸った凄まじい一撃により、腰を起点にくの字に体を折り曲げ空中で数度回転をする。

 

「駄目だ弘原海。彼に応えぐぼぁっ! い、いやそうだな。先ずは突然すまなうごぉっ!? 待つんだ弘原海、先程の行動には理由があべしっ! 彼の個性はぶべらっ! た、頼む重要なことなんだ! 恐らくトリガーとなるのがひでぶッ! 話を聞きうわらば!! ちょ、待、ごはぁあああッ!!!

 

 人を撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけ。

 オレはひたすら庄田クンの顔面に向けて拳を叩き込み続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第3種目出場者はレクリエーション参加は自由らしく、それならば体力温存も踏まえて見学に回っていよう。

 

 …と、思っていたのだが。

 

「と言う訳でアンタら2人、チア手伝いな」

「「断る」」

 

 今現在、オレと、それから物間クンは何故かチアガール姿の取蔭サンたちに呼び出され、上記の様な言葉を頂くことになっていた。どういうことだってばよ。

 

「あのねぇ、アンタたち空気悪くしたんだからこの位はしなさいよ! 弘原海はA組の! 物間はB組の!」

「酷い言い草だなぁ、僕はB組のことを思ってしたことなのに!!」

 

 と、いつも通りな物間クンを横目に。

 

「と言うかそもそも、何で皆さんそんな恰好しているんですか?」

 

 オレの問いかけに、目前の彼女は分かりやすく眉間へとシワを寄せると、背後の–––オレがパンツ丸出しにしてしまったポニーテールの女子生徒・八百万サンへ視線を移した。

 

「あー…。相澤センセーからの言伝で、午後は女子全員チア衣装で応援しなくちゃいけなかったらしいんだけど…。なんか、それが嘘情報だったらしくて…」

 

 取蔭サンのその言葉に申し訳なさそうに頭を下げる八百万サン。の、背後で何やら、チャラ系金髪男子と小柄で葡萄みたいな髪型の男子とがサムズアップを行っているのを認める。

 どうやら彼らが原因らしく、鵜呑みにしてしまった八百万サンがヒーロー科の女子ズに発信してしまった様だ。

 

 むぅん。厳正なイメージが強い相澤先生が重要情報を伝言で済ますとは思えないし、普通に考えれば気付きそうなものだけれどなぁ…。

 何て考えていると、突然隣の物間クンがここぞとばかりに声を発する。

 

「あれあれあれぇ、普通に考えれば直ぐに分かることだと思うんだけどなぁ! A組は僕らより優れている筈なのにおかしいよ!? 他クラスにも迷惑をかけて恥ずかしくないのかい? 僕だったら恥ずかしくて人前には出られないけど、随分と面の皮が厚いみたいだねぇ!!」

(わぁ、活き活きしていらっしゃる)

 

 …クラスメートと言えど引くレベルの彼の言葉を聞いた八百万サンは、

 

「…………………誠に………申し訳、ありま……………せん……でした…………」

 

 その一言と共に、隅っこの方で膝を抱えて動かなくなってしまった。彼女の周囲だけ空間が黒く染まっているのは、目の錯覚ではないだろう。

 クラスメートが慌てて声をかけるも、ピクリとも反応することの無いその様子を見た取蔭サンがオレたちの方へと振り返り、こちらの肩に手を置いた。

 

「やれ」

「アッハイ」

 

 肩から聞こえたミシリと言う音に、反射的にオレは返事をする。

 

 羞恥心? プライド? 何だソレは食えるのか?

 

「ほら–––、弘原海はやるってさ。…物間も見習いなよ」

「する訳ないだろ! やってもコピー出来るのは5分だけなんだし!」

「5分()出来るなら心配ないノコ」

「えぇい寄るな! 僕は、男なんだ!」

 

 諦めの悪い物間クンをジリジリと追い込んで行く柳サンたちを見ながら、オレは個性を発ど–––

 

 

 

『…う、ぐがっ、ヤオモモよりもデカっ、ガ! グゥギゴガガガガガガギギィゴグギ、ギギ……ッッッ!!!』

『響香ちゃんしっかり!』

『深呼吸、深呼吸して!』

『駄目よ、自分を見失わないで!』

 

 

 

 ………???????

 

「–––チア衣装どうするか。八百万あんなんだし。…にしても、相変わらずデカイな」

 

 向こうの方で何やら黒い翼を生やしそうな勢いの女子生徒に混乱しているオレは、拳藤サンの言葉によって意識を引き戻される。きょ、極力向こうの方は見ない様にしておこう…!

 

「あ、あー。でしたら大丈夫ッスよ。この剣–––よいしょっと。情報をコピーして、切り付けた服の見た目を変えることも出来ますので」

 

 言いながら、騎馬戦の際に使用したダガーをパンツの中から取り出す。……止めろよ、そんな目で見るなよ。

 

「弘原海さぁ、そーゆーの。止めた方がいいよっ?」

 

 取蔭サンが言うと、拳藤サンもそれに賛同した様子で何度も首を縦に振る。

 彼女たちの反応は最もだし、オレも世間体があるからその意見には思う部分があるのだが…しかしだ。オレの個性はその性質上、エロいことなら何でも出来る(エロくないと何にも出来ない)ものなので…。

 

「そうは言いましても、こうしないと取り出せなくて…」

「い、いやだからって…。公衆の面前で、あんな、その…」

 

 尻すぼみになりながら顔をどんどん赤くしていく拳藤サンたち2人を見て、オレは慌てて声を出した。

 

「いやちょ…ッ?! か、勘違いしないで下さい! 違いますからね!? 別にオナニーしてませんからね!?

「ォ…、オナニーとか言うなバカ!!」

 

 バゴスッ! と個性で数倍に巨大化した拳で殴打され、後方へと派手に倒れる。

 

「–––えぇい、オレにどうしろってンだ! 人が精一杯個性で出来ることを真剣にやってるってのに文句ばっかり言いやがってよォ!! 良いのかゴラ! ああ分かったよ非エロで取り出してやるよ! お茶の間が阿鼻叫喚の地獄絵図になるのは必至だけどなァあああああ!!!」

 

 ストレスが限界値まで溜まったオレは半泣きになりながらジャージの下に手を滑り込ませ、その指先を()に運ぶ。と、ジャージ越しに「プチップヂチ…ッ! メリメリィ…ッ!」と言う耳を塞ぎたくなる不気味な音が小さく、しかし確かに発せられ、慌てた拳藤サンたちが「やめて、やめて!」と駆け寄って来た。

 

 不貞腐れながら、鏡面仕上げが施されたかの様に輝く刃部分を、彼女たちが着ているチアガールコスチュームへと向ける。すると『ぺかーっ』と言った具合に淡く発光し–––その状態でオレが着ているジャージを切り付ければあら不思議。ドスケベボディなチアガールの完成である。

 

 

 

 

 

 *欲求:「その格好はッ! 最早ッ!! ◯ックスなのではッッッ!!!」*

 

 

 

 

 

 唐突に視界に飛び込んで来る小大サンのエロステータス。黙っているのに五月蝿いとはこれ如何に。

 

 ホラー映画のワンシーン並みに見開かれ、血走ったその両目を無視しながら、オレは気取られない様に物間クンの背後へと忍び寄り–––一息に剣を振るう。

 

「–––ほぅら。衣服を刈り取る形をしているだろう?」

「ぐぅあ゛あああああァあ゛あ!!?」

 

 野太い絶叫と共に膝から崩れ落ちるのは、チアガール姿となった物間クン。

 なんだかんだ静かにしていれば顔は良いのだし、そこまで酷いことにはならないだろうと思っていたのだが…アレだな。首から下がゴツすぎて悲惨の一言に尽きてしまう。細マッチョが通用するのは男だからなんだな…。

 

「ほら、いい加減覚悟を決めなよ。それともこれ以上痴態を晒す?」

「ぐ、ぐっ、ぐううぅ…! –––あぁ分かったよ! やれば良いんだろうやればさぁ!」

 

 腕を組みながら訊ねた小森サンを、忌々しげに睨みつつ唸っていた彼は、覚悟を決めた様子で–––諦めたとも言う–––立ち上がり、オレの肩を苛立った様子で(はた)く。

 パシンと言う小気味の良い音の後、ボンッと彼の肉体に女体化が施された。

 

 金髪は前髪の一部が伸びたハンサムショートとなり、筋肉質であった身体はスラリとしたモデル体型に整えられる。最後に控え目な角や翼が各部位から出現し、あっという間に物間クン(♀)が完成した。

 全体的に、むっちりとしたオレと異なり彼の場合はスタイリッシュと言った感じの見た目である。

 

 そんなことを考えるオレを他所に、顔を羞恥で赤くしながら。

 

「ああもう、何だって僕がこんな、こと、を………?」

 

 

 

 –––すぅ、と。その顔色が、青くなる。

 

 

 

(ああ…見たな?)

 

 〝個性〟「コピー」。文字通り相手の個性をコピーし、5分間好きに扱える様になる彼の個性は…オレの「サキュバス」の副次能力も丸ごとコピーした訳で。

 

 

 

 

 

 *欲求:「うぅわエッロ、手足長ぁ…。って、イカンイカン相手は物間…」*

 

 

 

 

 

 つまり、今の彼には取蔭サンのその心中も包み隠さず見えてしまっていることになる。勿論あの人も、そしてこの人のエロステータスも。そして–––

 

「…ひぃっ!?」

「ん?」

 

 言 わ ず も が な 小 大 サ ン の ス テ ー タ ス も 見 え て い る わ け で 。

 

 …周囲から訝しげな視線を向けられつつガタガタと震える物間クン。オレは静かにその肩へ手を置くと、彼は飛び上がりながらこちらを見る。

 

「…なぁ分かっただろ? どうしてオレが小大サンにあんな態度を取るのか。–––怖ェんだよ…!」

 

 オレの言葉に、色違いメタモンの様な顔色と表情になった物間クンは壊れたロボットの様に首を上下に激しく振り続けた。

 意図せず、思わぬ形で味方を手に入れることとなったオレだが…うーん。ショックの所為で超振動物体と化してしまった今の状態ではなぁ…。

 

「えーとすみません。具合が悪い様なので、ちょっと物間クンをリカバリーガールの所に連れて行きますね…」

「う、うん。…どしたの?」

「1割くらいは取蔭サンの所為ッス」

「何でッ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて。こうして始まったレクリエーション。

 締めとなる第3種目前の余興とは言え、個性をフル活用して行われる大玉転がしや借り物競争は大いに観客たちを盛り上がらせていた。

 

『『『(じー…)』』』

 

 オレ含める、A・B組も本場チアガールたちの横でボンボンを振りながら跳ねたり飛んだりしているものの、やはりそこは素人。本場の人間と比べるとやはり見劣りしてしまう為、あまり注目を集めてはいない。

 

『『『(じー…)』』』

 

 とは言え、こうして体を動かすことで第3種目前の緊張を紛らわすことは出来るだろう。変に肩肘張り続けた結果、本番で本領を発揮出来ずに終わってしまうこと程悲しい結末は無いだろう。

 

『『『(じー…)』』』

 

 と言うわけで。オレも今だけはチアガールとして、外聞を気にせずに好きな様に体を動かすことにした。

 幼少期なら兎も角、変に羞恥心の身に付いた15歳であるが、それがかえって妙な高揚感を生み出している。偶にはこう言うのもアリだな。

 

『『『(じー…)』』』

『『『(じー…)』』』

『『『(じー…)』』』

 

 ………ふぅ。

 

 

 

 

 

「–––砕け散れ塵芥が如くッ!!!」

「「ああっ!!」」

 

 

 

 

 

 周囲から注がれる視線等に遂に我慢の限界が訪れ、オレはローアングルから構えられていた小大サンと葡萄頭の男子生徒のスマホを八つ当たり気味に蹴り砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『–––ヘイガイズアァユゥレディ!? 色々やって来ましたが、結局これだぜガチンコ勝負ゥ!!』

 

 セメントス先生によって作られた、2つの台形を重ねた形状の闘技場(バトルフィールド)。プレゼント・マイク先生の言葉に中てられ、観客席からの歓声や熱気は四方から噴き出す炎の熱とは比べ物にならない程の物と化している。

 

『頼れるのは己のみ! ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだァ分かるよな!? 心・技・体に知恵知識! 総動員して駆け上がれッ!!』

 

 残り僅かとなった通路。震える体を落ち着かせようと–––落ち着けるわけも無く、結局は数度の呼吸を繰り返すだけに終わった。

 …泣いても笑ってもここが最後。出来ることを、全力でやるだけだ。

 

 –––よしっ。

 

『さぁ()っていくぜ1回戦! 出来ればメデイアも考えて手加減してほしいぜヒーロー科・弘原海 ありす!!』

 

 えぇ…。

 

(バーサス)!! ごめんまだ目立つ活躍無し!普通科・心操 人使!!』

 

 オレの対戦相手は普通科の男子生徒。紫の頭髪をライオンの(たてがみ)の様に広げた彼は、オレと比べて10数cm分は背が高く、こちらも鍛えているとは言え微妙な感じである。見た感じ彼は筋肉質と言うわけではないのだが、もしかしたら着痩せするタイプかもしれないし。

 

 それに最も警戒すべきなのはその強力過ぎる個性だ。

 実際にその術中に嵌ったオレ自身の感じや庄田クンの情報から考察出来たのは、凡そ2つの特性。『彼の言葉に反応したらアウト』と、『外部からの衝撃でその効果が解除される』この2点。

 後者は、遮蔽物も何も無く1対1のこの状況では期待出来ない。なので、前者…兎に角反応しない様にしなければならない。反応さえしなければ、多分オレが勝てる。

 だがそれは言い換えれば、相手は反応さえさせれば確実に勝てるということ。何をしてくるか分からない以上、下手に動くとかえって悪手か…?

 

「–––分かるかい弘原海 ありす。これは心の強さを問われる戦い」

 

 などと、思考を巡らしていると突然話しかけられ、思わず声を発しそうになってしまい慌てて口を噤む。

 危ない危ない、落ち着け落ち着け…!

 

「強く思う将来(ビジョン)があるならなり振り構ってちゃダメなんだ…」

『そんじゃ早速始めよか! レディィィイイイイイ』

「あの()()()はプライドがどうとか言ってたけど! …チャンスをドブに捨てるなんてバカだと思わないか?」

 

 

 

 

 

 それを聞いて、オレは。

 

 

 

 

 

「ンだとてめェ––––––––––」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の、勝ちだ」




 〜主人公が現在使える能力一覧〜

『変態』
 自分の肉体を改造してドスケベボディになったり媚薬や睡眠ガスを生成する基本的な能力。改造を行う度にエネルギーを消耗するので、やり過ぎるとどんどんロリ化していく。

『欲視』
 相手のエロステータスを視覚情報化する。

魅了(チャーム)
 大声を出すことで聞いた人間の動きを停止させる。声の大きさや喘ぎ声にすることで、効果が増加。

『快楽堕とし(?)』
 恐らくは発動しているであろうとされる能力。膝枕で耳かきを行う、動物系の個性を持った人物に触れる、〝キュウビフォーム〟の尻尾に触れさせる等の特定の行動で発動。文字通り相手が快楽堕ちする。

『催眠術』
 相手を自分の命令に従わせる。
 但しエネルギーの消耗が半端無いので連発すると普通に死にかける上、人によってかかり具合にバラツキが有るなど使い勝手は悪い。

野球剣(エロスカリバー)
 相手が身に纏っている衣服のみを切断する剣。衣服以外はあらゆるものをすり抜ける。情報をコピーし切り付けた衣類の見た目を変換することも可能。
 因みに収納(物理)であり、『下着の中に手を入れて』以外の方法で取り出そうとすると、臍付近の肉を[編集済み]の範囲まで引き裂いて取り出さないといけなくなる。

魔性(フェロモン)
 相手を性的に興奮させる効果のある特殊なフェロモンを全身から分泌。変態を行った際に肉体が、いわゆるドスケベボディと違い標準的・一般的なものとなるとその効果が上昇する。

 尚、この能力については主人公及び雄英側は把握出来ていないものとする。

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