ハリー・ポッターRTA ヴォルデモート復活チャート 作:純血一族覚書
遅れた理由は主にウィーズリー家の年齢計算ガバです。決意の全改稿でした。
……年齢とか口調とかまだガバってそう。キャラ解釈といい、ウィーズリー家難しい。
きっと、そのとき、
「おい、見てみろよ、ジニー! 彼が、そう! 何を隠そう、『生き残った男の子』殿だ──!」
ジニーは初めて、
「────────」
恋に落ちたのだ。
「ねぇ、ママ! 僕もフレッド達と一緒にホグワーツに行きたい!」
「私も! 私もホグワーツに早く行きたい!」
「ロン、ジニー。あなたたちにはまだ早いわ。ロンは来年、ジニーはその次よ」
──その次。
ジネブラ・ウィーズリー──ジニーは物心ついたときからその言葉が嫌いだ。
ウィーズリー家の末妹として生まれた彼女は、いつもいつもその言葉とは無縁ではいられなかった。
ビル、チャーリー、パーシー、フレッドとジョージ、それからロン。
彼女には実に六人もの兄がいる。彼らは彼女よりも、当然ながら年上だった。彼らは常に、彼女よりも先に何かを欲していた。彼らは常に、彼女より先に何かを与えられていた。
本に、おもちゃに、
彼女が成長の過程で欲しがった殆ど全てのもの──女の子独自のものを除いた全て──はいつもいつも、兄の誰かのお下がりだった。
勿論歳を重ねるごとに、彼女はおぼろげにしろ、その理由を悟らざるを得なかった。
とどのつまり、彼女の生家には金がなかったのだ。
基本的に、マグル界のそれと比べて魔法界の物価は安い。
「ガンプの元素変容の法則」に引っかかる食料などを除けば、大概のものは杖一本で生み出せるのだから当然だろう。
だがそれを踏まえてなお、ウィーズリー家の金庫にはとかく金がなかった。
グリンゴッツの長いトンネルを越えて、ようやく見えた彼らの金庫に収まっているのは、数える程度のガリオンと僅かばかりのシックル、数合わせのクヌートが少々。
これは、魔法使いの必需品である杖ですら、下の兄妹には満足に買い与えられないほどの貧困ぶりである。
兄妹全員に対し嗜好品を惜しみなく与えることが出来ないのは、無理もないことだった。
そんなウィーズリー家の家計事情について、ジニーは彼女の興味が家の中で完結していた頃はまだ何とも思わなかった。
だが、彼女の視野が外へと向けられた時、そういった事情が彼女の心に棘となって刺さる。
ジニーは6歳の時、「ホリヘッド・ハーピーズ」のように空を飛んでみたいと思った──箒の一本だって、ロクに買えやしなかった。
ジニーは8歳の時、「妖女シスターズ」のライブに行ってみたいと思った──両親の奮闘空しく、ポスター一枚が関の山だった。
彼女は物質的には非常に困窮していたと言えるだろう。
では、彼女はそんな貧しい家を、ひいては家族を憎んでいたのか?
無論違う。
彼女の両親は七人兄妹に分け隔てなく愛を注いだし、彼女の兄たちは末妹のジニーをすこぶる可愛がった。
アーサーは彼の思うファンタスティックな──いささかマッドな──代物をジニーにプレゼントした。
ウィーズリー家は男所帯である。そんな中、二人っきりの女衆としてジニーはよく母と言葉を交わした。
ジニーにおしゃれが芽生えた時、ビルは持ち前の抜群なセンスを用いて彼女に応えた。
箒が買い与えられなかった時、チャーリーはクィディッチで鳴らした腕を振るって、ジニーを空にエスコートした。
頭でっかちと揶揄されるパーシーだが、それでも彼はいつもジニーのことを気にかけている。
フレッドとジョージ! ああ! なんと! 彼らはその類稀なるジョークの心得でもって、素敵に彼らの食卓を爆発させてのけたのだ!
モリーに怒られる二人を見て、ジニーは幼い頃から笑っていた。
そしてロン、彼女にとって最も年の近い兄。どこに行くでも、彼女のそばには彼がいた。
ウィーズリー家は思い思いの方法で、彼らの末っ子を可愛がった。
深い、深い、愛。
ジニーの心は彼らの愛で満たされて。
彼女自身もまた家族に対して惜しみなくそれを返した。
どこかの少年は、「生き残った男の子」という名声を与えられている。引き換えに、彼は両親を永遠に喪い、親戚に虐待を受けて育てられた。
どこかの少女は、ウィーズリー家のそれとは比べ物にならないほど豪華な屋敷に住んでいる。しかしその家は、寒々しく、空虚で、がらんどうだ。
ジニーは「血を裏切るもの」の一員であり、ひどく貧しい家族の末っ子である。
持ちうるステータスだけ見れば、絶対的に先述した少年少女には劣るだろう。
しかし、精神的に満たされているのは──幸福なのは、紛れもなくジニーの方であった。
だからこそ、ジニーの嫌う「その次」も、物質的なものではなかった。
ジニーに確固たる自我が目覚めた時、「隠れ穴」の食卓を囲む影は八つあった。
九人家族に対して埋まっている椅子は八つ。一つ足りない。
それは彼ら兄妹の中で最も年上の、ビルの席だった。
当時既にホグワーツへと通っていたビルは、彼女たちと接する機会はほとんどなかった。
ウィーズリー家の長兄は、ジニーにとっては年に二回夏とクリスマスにだけ訪れる、言うなればまれびとであった。
だからこそ、彼が姿を見せなかったとしても、「そういうもの」として初めから認識していた。
むしろ年に二回戻ってくる際にお土産を持って帰ってきてくれることが、ある種の楽しみとなっていた。
そういう点ではジニーが得た感情は「喪失」ではなく「取得」、マイナスではなくプラスが多かったといえる。
ビルだけがホグワーツに通っているわずかな期間だけは、彼女にとっては貴重な「次」を意識しなくてもいい時間であった。
「やった! ママ! ホグワーツからの手紙が来たよ!」
ジニーが三歳の時、「隠れ穴」にホグワーツからの二通目の手紙が届いた。
手紙を受け取った次男のチャーリーは、飛び上がらんばかりに喜んでいた。幼く記憶も曖昧な少女であったが、その時は一緒になってわけもわからず喜んでいたと彼女自身は記憶している。
チャーリーの学用品の買い物についていくジニー。三歳児の彼女が人ごみを歩き回るのは大変危険だ。彼女のことは母のモリーと、それから面倒見の良いパーシーが世話していた。
家族で訪れたオリバンダーの店で、未だ三歳だというのに杖の品評をされたことが、彼女の記憶の核だろうか。
ホグワーツ入学の日にも、ウィーズリー家御一行は家族皆で9と4分の3番線へ向かった。
ビルの時は小さすぎたので、彼女がキングズ・クロス駅に行くのはその時が初めてであった。
母の腕の隙間から見えたホグワーツ特急の緋色の車体。威風堂々たるその姿から吐き出される白煙に、ジニーは圧倒された。
そうして言葉を失う彼女をよそに、チャーリーは長兄であるビルに連れられて、汽車の中へと吸い込まれていく。
「じゃあ、行ってくるよ、皆」
「ええ、しっかりと勉強してくるのよ。……変な動物を隠れて飼わないように!」
「わかってるってば!」
列車の中から嬉しそうに手を振るチャーリーに、ジニーもパタパタと小さな手を振り回して返す。
「ああ、モリー。ビルを送り出した時もそうだが、子供をホグワーツに送るというのは、なんともまぁ、いいものだな」
「すぐに慣れますよ、アーサー。次はパーシーの番ですね」
──そうして、「隠れ穴」から新たに一人分、息遣いが消えていった。
その日家に帰って、食卓を囲んだ時、いつもは狭く感じていた我が家がちょっぴり広くなったように少女は感じた。
ジニーは、チャーリーはどこかで遊んでいるだけで、夕方になれば戻ってくるものだと、その時までてっきり思い込んでいた。
だが、夕焼けが空に浮かんでも、辺りが暗くなっても、ご飯を食べても、寝る前ですら、チャーリーは帰ってこない。
ジニーがその時感じたのは、まぎれもない恐怖だった。
ベッドの中で、たまらず彼女は母に問いかける。
「ねぇ、ママ。チャーリーはどこに行ったの?」
「ホグワーツよ。あなたも二人くらい大きくなったら、そこにいくのよ」
なんと。
今まで、年二回しか姿を見せないビルの方が異質だと考えていたのだが、どうやらそれはチャーリーにも適用されるらしい。
ジニーは「自分がホグワーツに行きたい」と思う前に、「兄がホグワーツに行っちゃ嫌だ」とその時感じた。
ただ、寂しかった。
それからの日々は、ジニーの周りをまるで何事も無かったかのように過ぎ去っていった。
「隠れ穴」では以前と変わらず大家族の声が響き渡る。
しかし、ふとした瞬間。
例えば双子の兄が糞爆弾を爆発させた時や、庭に住む庭小人を退治する時に。
チャーリーがいたら、とジニーは考えてしまう。
「おい、ジニー? どうしたんだ?」
もっとも、その時はまだ彼女の周りも賑やかであったため、すぐに忘れてしまうのだが。
キングズ・クロス駅に行った時に聞いた、「次はパーシー」という母の言葉が、妙に彼女の耳に残っていた。
「それじゃあ、行ってきます」
チャーリーから数えて三年後。ジニー六歳の時。
パーシーもまた、魔法の城へと旅立っていった。
パーシーはホグワーツ入学をたいそう喜んでいた。彼は家にいる時から買ってきたばかりの呪文集を読み漁り、杖を振って練習していた。
そんな姿をよく見ていただけに、さしものジニーも「行かないで」とは言えなかった。
ただ、彼らを見送った手のひらが、そのまま特急の行き先へ向けられてしまったのが、何よりも彼女の感情を表していた。
──「隠れ穴」からまた一つ、ページをめくる音が消えていく。
「ねぇ、ママ。パーシー達、すぐに帰ってくるよね?」
「ええ、もちろん。ほんの半年ほどよ、ジニー」
大人にとっては「ほんの」でも、子供にとってそれは「はるか」である。
そんな「はるか」先の話。
クリスマスに兄達が帰ってくるのを、ジニーは楽しみにしていた。
「フクロウ試験は大丈夫だってば。それよりもグリンゴッツの基準が──」
「本当にハグリッドって凄いや! まさかアッシュワインダーを小屋の中で育てるなんて──」
「ああ、ちょっとそっちの教科書を取ってくれるかい? 今のうちに来年の分も勉強しておこうと──」
だが、彼らの話はいつもいつも、ホグワーツのことばかり。
フレッドやジョージ、ロンは彼らのファンタスティックな体験に好奇心をくすぐられていたが。
ジニーは「せっかく久しぶりに会えたのだから、もっと遊んで欲しい」と思っていた。
興味よりも寂しさが優っていた。
止める間もなく、「次」は訪れる。
「来いよ! リー」
「待てって、フレッド!」
「残念! 俺はジョージさ!」
「そして俺がフレッドだな! じゃあママ、行ってくるよ!」
げに恐ろしきは男の子のいたずら心か。
フレッドとジョージは、早速今生の友を探り当て、コンパートメントへと駆け込んでいく。
彼らはジニーに一言──より正確に言えば二言、「じゃあまたクリスマスな!」と言い残し去っていった。
──「隠れ穴」から今度は二人分、笑い声が失われた。
ホグワーツを卒業した長兄のビルは、呪い破りとしてグリンゴッツに就職し、エジプトへと旅立っていった。
そのため「隠れ穴」の人の数は、既に当初の半分以下になっていた。
アーサーとモリー、ロンとジニーの四人しかいない。
狭いはずの我が家は、ジニーの想像を絶するほどに広々としていた。
「ねぇ、ママ! 僕もフレッド達と一緒にホグワーツに行きたい!」
「私も! 私もホグワーツに早く行きたい!」
「ロン、ジニー。あなたたちにはまだ早いわ。ロンは来年、ジニーはその次よ」
次の年、フレッド達を見送る際に、駅のホームでこんな会話を交わした。
「ホグワーツに早く行きたい」。
言葉にすれば同じだが、内包される思いはまるで違う。
ロンがホグワーツに行きたがったのは、早く魔法を使ってみたい、友達と一緒に遊びたい、などといった、希望からなる希求だった。
ジニーがホグワーツに行きたがったのは、兄妹と一緒にいたい、寂しさに耐えきれない、などといった、逃避からなる欲求だった。
だからこそ、この時のモリーの「その次」はたいそうこたえた。
少なくとも一年、ロンの「次」を待たなければならないと自認したからだ。
きたる1991年9月1日。
ロン・ウィーズリーのホグワーツ入学日。
ジニー・ウィーズリーは憂鬱だった。
兄達はこれから楽しいホグワーツに行くのだろうが、彼女はこれから一年間、「隠れ穴」に独り置き去りにされてしまう。
頼りのチャーリーも、ドラゴンの尻を追いかけてルーマニアまで旅立ってしまった。
無論両親がいることはわかっていたが、それを合わせてもわずか三人。実に家族の三分の二が家を留守にしていることになる。
大家族であったがゆえに、常日頃から賑やかであったがゆえに、ジニーは孤独に対して人一倍弱かった。
「ママ! 私もホグワーツに行く!」
「駄目よ、ジニー。あなたは来年」
せめてもの抵抗も、道理という切断呪文で切って捨てられる。
これから一年間続く「独房」での生活を考えて、ふてくされるジニー。
そんなジニーに手を差し伸べたのは、フレッド──あるいはジョージ、とにかく双子のどちらか──だった。
先程友達のリー・ジョーダンに蜘蛛が入った箱を渡してきた双子。その片割れは、なにやら興奮してジニー達の元へ駆け寄ってきた。
「どうしたの?」とジニーが話す間も無く、口から生まれた双子のどちらかは、息つく間もなく話し出す。
大仰に身振り手振りを加えて話す彼に興味を惹かれて、ジニーは兄のさす方へ顔を向けて──
きっと、そのとき、
「おい、見てみろよ、ジニー! 彼が、そう! 何を隠そう、『生き残った男の子』殿だ──!」
ジニーは初めて、
「────────」
恋に落ちたのだ。
急転直下。稲妻が落ちるように。
これまで金銭だとか家族だとか孤独だとかを散々語ってきた上で恐縮だが、これから先にこういった些細な事象はまるで関係ない。
それほどまでに、ジニーの心は完全に上書きされたのだ。
なぜ恋に落ちたのか?
少年の顔に惹かれたでもいいだろう。
あるいは才能に、魔法力に、箒のセンスに、財力に、逸話に、「他とは違う」特異性に、心に巣食う分霊の魂に、運命に、予言に惹かれたでも構わない。
それら全てに惚れ込んでいたのかもしれないし、あるいは予想もつかぬ魅力があったのかもしれない。
恋を賢しらに語ることが愚かとも言える。
ただ一つ、確かに言えることは。
その日、ジネブラ・ウィーズリーは、ハリー・ポッターに、淡い恋心を抱いたのだ。
未だ愛へと至らぬそれは、確かに彼女の心に芽生えたのだ。
彼女の感情は、しかるべき手順を持って体外に発露した。
顔は、燃えるような赤毛同然の色となり、発汗は過剰に促進される。
動揺した彼女は、家族が件の彼に話しかけるのを他所に、火照った体を鎮めようとホームの中を走り回ってしまう。
当然ながら9と4分の3番線は込み合っているので
「痛っ!?」
彼女はすぐに人にぶつかってしまう。
倒れこむジニーに手を差し伸べたのは、ぶつかった当の相手だった。
「あらあら。大丈夫かしら? 赤毛のお嬢さん」
「ええ、はい。……すみません! 急に走り出して」
「構いませんわ。……貴女も今年ホグワーツに入学なさるの?」
「いえ。私は来年、次の年です」
そう、「次」だ。
かつては孤独のカウントダウンであったそれは、今では待望の日めくりカレンダーである。
ぶつかった黒髪青目の少女に謝罪と礼を済ませ、ジニーはそそくさと家族の元へ戻っていった。
「嬉しそうね、ジニー」
「ええ! ママ! 私ね──」
心持ちが変わったおかげか。一つ上の兄の天運のおかげか。はたまたどこかの屋敷しもべ妖精のおかげなのか。
彼女の待ち望む「次」は、予定されているよりも前倒しで訪れた。
「着地成功!」
とある真夏の夜明け。太陽がわずかに顔を出した頃合いに。
「隠れ穴」の庭先から、フォード・アングリアのエンジン音と、少年たちの歓声が響き渡る。
と、数秒後、母モリーの怒りの声が、敷地一帯を駆け巡った。
鶏の鳴き声よりも大きな怒鳴り声。
仮にここにバジリスクがいたなら即死すること請け合いだろう。
これにはベッドの中で微睡んでいたジニーも堪らず起こされた。
原因を突き止めようと、ネグリジェのままジニーは台所へと姿を現して。
「キャッ」
ハリー・ポッターの姿を認識するや否や、悲鳴をあげて走り去ってしまう。
彼女は部屋に戻ると、まずは自分の正気を疑い、次に部屋の姿見を見つめ、最後にぽっと赤面した。
それからの生活は、ジニーにとっては心休まらない日々だった。
ハリーが同じ部屋にいるだけで、緊張で落ち着かない。
彼の顔を見ただけで、朝食のオートミールの深皿をひっくり返してしまったこともしょっちゅうだった。
「ジニー、君もホグワーツに今年入学するの?」
ハリー本人に問われてようやく、自分がホグワーツに入学することを思い出す始末であった。
目的が先に叶ってしまった以上、手段は頭の端から抜け出てしまっていた。
ところで。
幸福の絶頂にいるジニーであったが、ダイアゴン横丁に買い物に行った際、一つ、あるいは二つ気に入らない点ができた。
ハーマイオニー・グレンジャーとズィラ・レストレンジ。
彼女たちはハリー・ポッターの近くにいつもいる、友人にして異性である。
横丁に行く時に、ハリーは事故ではぐれてしまったのだが、彼と合流した時にはいつの間にか、彼女たちが一緒にいたのだ。
「ロックハートってどんな人なの?」
「あの──」
「あら、ハリー。知らないの? ギルデロイ・ロックハート。数々の冒険を乗り越えて、その記録を本にしている方よ?」
「マーリン勲章の三等を持っているのではなかったかしら? 彼の本がノンフィクションなら、一等でもいいと思うのですけれど……」
買い物をしている今この瞬間も、ハリーは彼女たちに先に話をし、ジニーは「その次」であった。
もちろん、ジニーにだって理由はわかっている。
ジニーが所詮友人の妹でしかないのに対し、彼女たちは文字通り親友だ。
ああ、だが、しかし。
幼い少女の恋心は、「好きな人には自分だけを見て欲しい」と求めて止まなかった。
「次」ではなく「最初に」自分を見て欲しかった。
それは、思春期を迎えようとする子供にとっては、魔法族・非魔法族問わず生じる、ありふれた心の揺らぎであった。
──そんな心の揺らぎに呼応するかのように、ジニーの大鍋の中にいつのまにか転がり込んだ、一つの魂が蠢いた。
それは一冊の「日記帳」の形をしていた。
Tips:ジネブラ・ウィーズリー
ジニーと呼ばれる少女。
このキャラクターは、血統「ウィーズリー」と「プルウェット」の特性を強く持っており、「社交性」と「魔法力」のステータスが伸びやすい。
個別シナリオは「恋、愛」。ある意味でこのゲームを象徴するテーマと言える。
特筆すべきは、四年生までと五年生までの性格の変化だ。
四年生までは性格が「内気・内向」になっており、このままでは「ウィーズリー」の能力を十全に使いこなすことができない。
ところが、五年生からは一転して「勝気・外向」へと性格が変化し、伴うように「社交性」のステータスが大きく向上する。
※性格変化の理由については、「マイケル・コーナー」、「ディーン・トーマス」の項を参照。
キャタクターとしては使いやすくなったと言えるだろう。
ジニーのステータスについて、「プルウェット」の魔法適性補正もさることながら、「ウィーズリー」の友好度成長補正も見逃せない。
幼い頃から才能の宝庫とも言える「隠れ穴」で育った彼女は、センス、箒、魔法、悪戯、天運と勇気といったあらゆる分野に秀でている。
初期から使い続けてきたプレイヤーの中には、その性格の変化に驚いたものもいるだろう。
だが、「プレイヤーを裏切るもの」などと呼ばずに、後半も使ってみてはどうだろうか。
少なくとも性能面において損はしない。
〜自動筆記羽ペンが書く! ハリー・ポッター攻略本! より抜粋〜