ハリー・ポッターRTA ヴォルデモート復活チャート   作:純血一族覚書

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初盗行です(原作キャラの見せ場を盗むオリキャラの屑)。

言い訳コーナー
前回後書きにおいて、第三魔法なる謎記述への調査協力ありがとうございました。捜査結果としましては……やっぱりそんな記述ないじゃないか(怒り)。恐らくデマですね。
捜索のために資料ガン掘りしてたので遅れました。


……ついでに今作で使えないけど面白そうなネタがいっぱい出てきたので次回作の簡易プロットを書きました。
そんなことしなくていいから、完結させて、どうぞ(自己批判)。



18/? 〜道場稼ぎタイムまで

 

 屑運とガバガバプレイングからの大胆なチャート変更は一門の特権ってそれ一番言われてるから、なRTA、行くぞオラァ♂

 

 

 

 さて、前回はダンブルドア校長に助命嘆願をして、無事に赦されたところで終了しました。ぺっ、あまちゃんが! 続けていきたいと思います。

 

 早速ですが……嬉し恥ずかし、育成方針変更ターイム!

 これまでは大目標・「二代目レストレンジの卑劣な術」による分霊箱の破壊を達成するために、服従の呪文の熟練度稼ぎに注力してきました。しかし、前回の大胆なチャート変更(ガバ)により、分霊箱破壊問題が概ね解決したため、「悪霊の火」、「服従の呪文」といった呪文の早期習得はフヨウラ! となってしまいました。悲しいなぁ……。

 蛇姉貴とアーサーおじさんがくんずほぐれつするのは五年生。潜伏暗札を実行するには、それまでに「悪霊の火」を修得する必要があります。

 猶予時間は約二年半。当初より四、五年生時に悪霊の火の熟練度稼ぎを計画していたことを鑑みれば、三年生時に絶対習得すべき呪文がもうなくなってしまいました。やったぜ? 

 とはいうものの、現在盾と失神という対人戦闘二大人権呪文も習得済みなことを考えると、呪文ラインナップ的にはすでにある程度充実しているといえます。

 なのでこれから先は、来たる決戦に備えて、高位スキル群の習得に努めたいと思います。

 具体的には、「無言呪文」、「閉心術」、時間的余裕があれば、「ワンドレス・マジック」を習得します。

 そして、無言呪文に関しては最終戦突入メンバーに積極的に布教していきたいと思います。……通常なら六年生程度の難易度? へーきへーき、へーきだから(楽観)。というか無言呪文程度使えないと本当に肉盾しかできないと思うんですけど(正論)。

 閉心術はダンブルドア及びお辞儀様対策です。

 閉心術の熟練度を一人であげるとか計画ガッバガバやんけ頃すぞ(豪速球)、とお思いの兄貴姉貴もいらっしゃると思いますが、それについては対策があります。みんな見とけよ(予告)。

 ……今更ですが、ダンブルドアに開心術をかけられないようにしている理由について、別チャートの実例を交えてお話しします。

 「アルバス・ダンブルドアに知りうる全ての情報をぶちまけ、分霊箱も全部ぶっ壊してもらい、お辞儀様もぶっ頃してもらう」

 このプレイングは通称予言者チャートと呼ばれています。このルートにおいては、プレイヤーキャラはほとんど何もせずともゲームクリアへと向かっていきます。というより、情報が正確な(自称)予言者ということで、シビル姉貴のように厳重に保護されてしまうため、自由な行動がほぼほぼ取れなくなります。

 もろちん分霊箱の個数、物品、隠し場所、罠。これらを全てリークするだけで、自動分霊箱破壊爺が起動するため、プレイヤーがちょっかい出さずとも何ら問題ないのですが。

 はえー、すっごい(称賛)。

 ですが、この方法には一つだけ問題点があります。それは、安定択ではあるものの時間がかかるという点です。

 予言者チャートを選択する都合上、ダンブルドアが精力的に動くことは避けられません。そうなると基本的にチキンなお辞儀様は、ダンブルドアに必勝できるまで戦いを仕掛けようとはせず戦力を蓄えようとします。

 しかし、ヴォルデモートが戦力を求めて時間が経つと、彼はやがて「最強の杖」の入手を目論みます。そうなると、今度はニワトコダンブルドアには勝てないと考え、分霊箱による寿命勝ちを目論んできます。これは人間の屑にして長命の鑑。

 これに対し、ダンブルドアは寿命の残っている間に決着を求めるかといえば……別にそんなことはありません。もう終わりだぁ!(レ)

 ダンブルドアとしても、予言指針によりハリーによるヴォルデモート討伐を考えていることから、ハリーの成長時間を稼げる冷戦状態はプラスに働きます。

 こういった理由で、予言者チャートにおいては不死鳥陣営、死喰い人陣営の消極的な同意により、決着が先へ先へと引き延ばされていきます。

 当然の権利のように悪辣な遅延行為を働くのはやめろ繰り返す当然の権利のように悪辣な遅延行為を働くのはやめろ(憤怒)。

 はい、RTA向きではありませんね。

 開心術で情報全部抜き取られた場合においても、概ね予言者チャートと同様に推移してしまいます。

 だから、ダンブルドアに与える情報を制限し、ヴォルデモート復活の手助けをして戦力バランス調整を行い、神秘部での突発的決戦を行う必要があったんですね。

 

 ワンドレス・マジックについてはおまけです。間に合えば役に立つかな? くらいであり、間に合わなくとも問題ないです。熟練度の稼ぎ方は後ほど。

 と、説明はここまでにして、明日から無言呪文の練習を始めます。

 じゃ流しますね……。

 

 

 

 時間も流れて10月末。ハロウィーンです。

 ぷはー、今日もいい天気☆(晴天)

 今日はホグズミード解禁日です。遊びにいきましょう。ハリーくんは一人で留守番でもしてな!

 

「僕のことは気にしないで、楽しんできて」

 

 ありがとナス!

 というわけで、ホグズミードに着きました。……というわけで、ホグズミードから帰りました。やることもないんで中身はカットだカット! 後ろで適当に128倍速で流しとくので気になる方は無編集版どうぞ。

 ホグズミード観光は固定イベントではないですが、許可証を貰っておいて初回から行かないのも不自然です。適当にゾンコの店でイタズラグッズを覗きました。

 ペルー製インスタント煙幕、囮爆弾、携帯沼地、騙し杖。ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ製品のように実用性のあるものはありませんが、多少はね? ダンブルドア相手のジョークにしゃっくり飴でも買っときます。

 好感度稼ぎに、ハニーデュークスやら三本の箒でハリーへのお土産を買いましょう。検知不可能拡大リュックサックはこのために……(大嘘)。

 

 ホグワーツに着きました。

 獅子寮に戻って、ハリーくんにお土産をあげます。

 

「ホグズミードってどんなとこだった?」

 

 んまぁ、そこそこですね(無礼)。

 ハーマイオニーちゃんが糞爆弾を没収しながら、ハリーに質問しました。

 

「あなたは何をしていたの? 宿題やった?」

「ううん。スラグホーンが部屋で紅茶を淹れてくれたんだ──」

 

 ……ん?

 気になるのでガン掘りします。

 何話したん?

 

「いや、特に何でもないよ。魔法薬学で困っているところはないか、とか。一人で歩いていたけど友達と喧嘩でもしたのか、とか。そんな話。

 スラグホーンは僕が許可証にサインをもらい損ねたのを知らなかったみたい。

 そしたら、ホグズミードに行けなかったのは残念だが、欲しいものがあればある程度は仕入れてあげようって」

 

 イベントが分岐? 収束? しましたね。

 ほんへルートにおける三年生時においては、同様のタイミングでルーピン先生に絡まれて、紆余曲折あって彼の人狼暴露フラグと守護霊習得フラグが立つところです。今回はルーピンくん無職ルートのため起こり得ないイベントと思っていたのですが……。

 ──ホグズミードに行けず一人残されたハリーがホグワーツを歩き回る、ハリーに元から興味を持っていたスラグホーンが彼を誘う。

 こうしてみれば、発生条件と動機的には特に違和感のない流れにも思えます。起こったものはしゃーない、放置してもまま、えやろ(楽観)。

 ルーピン先生の代わりに、今回は魔法薬学の追加フラグとホグズミードへの欲求低減フラグが立った……のかな? うーん。判断材料に乏しいので保留!

 嘘みたいだろ……? これってRTA(インゲームタイム)なんだぜ?

 気になりますが何もできないので続行!

 この後は特にイベントはありません。

 大広間でたらふく食って、獅子寮を守護している「太った婦人」の肖像画がシリウスくんにズタズタにされ逃亡、緊急避難的に全生徒大広間で眠っただけです。

 ハーマイオニーちゃん寒いからこっち来て(誘惑)。

 ……断られました。残念。

 

 

 

 数日後。ぷはー、今日もいい天気☆(土砂降り)

 グリフィンドール対ハッフルパフのクィディッチ戦です。この戦いにおいて、ハリーは吸魂鬼くんに撃墜され、ニンバス2000兄貴は暴れ柳にバラバラにされます。

 これを止めるのは容易です。吸魂鬼くんの侵入経路にあらかじめ守護霊を派遣するだけなので。

 ですが、やりません。当たり前だよなぁ(MUR)。

 吸魂鬼経由での「ヴォルデモートの記憶」回収! ニンバス代替品の炎の雷入手! 守護霊フラグ建設!

 うま(テイスト)イベント前では道徳心や友情などフヨウラ!

 特に炎の雷が万一にでも入手できなければ、来年度第一の試練・ドラゴン戦でハリーくんが中野くんステーキになってしまいます。結果的にハリーの命のためだから多少はね?(自己弁護)

 試合は進み、獅子寮チームのタイムアウトも終わりまして、いよいよ試合も佳境です。眼を野獣のようにして辺りを警戒しましょう。

 ……っと、雨とは違う不快な寒気が襲ってきました。

 来た! 来た! 来てんだろ!(模倣)

 吸魂鬼確認! ハリー撃墜確認! ニンバスくん暴走確認! 条件達成!

 

「──エクスペクト・パトローナム! 守護霊よ、きたれ!」

 

 守護霊のロバを走らせて吸魂鬼を蹴散らすのじゃー。実戦の経験点うまうま。

 あっ、試合結果はハッフルパフの勝利です。スニッチを掴んだセドリックくんがハリーの元に飛び寄って行きます。流石に見えませんが、多分すごく後悔したような顔をしていることでしょう。

 そのままの優しい君でいて、闇堕ちしないで、オナシャス! センセンシャル!(一年後)

 

 戦後処理も終わり、数時間後、医務室。

 フリットウィック先生から受け取ったニンバス兄貴の殉職氏体を目覚めたハリーに渡しました。

 試合敗北と相棒♂の無惨な姿というダブルパンチでさしものハリーくんも絶望しきった顔をしています。大丈夫だって安心しろよ〜。犬叔父貴にもっといいものもらえるし、最終的に勝てば良かろうなのよ。

 敗北イベントの見所さんももうありませんので、超スピード!? で進めます。

 

 

 

「おや、ポッター。医務室で眠っていなくてもよろしいのですかな? 我輩が思うに、君は少しばかり虚弱ではないかと疑われるが。

 ──まさかまさか、あの(・・)ハリー・ポッター、我らが新しいスターともあろうお方が吸魂鬼を気絶するほど怖がったわけでもあるまい?」

 

 スネイプくんが執拗にハリーを煽ったDADAの授業があった夜。ハリーくんに相談を持ちかけられました。

 

「──あのさ、ズィラ。ハッフルパフとの試合があったあの日、君が吸魂鬼を追い払ったって聞いたんだけど……」

 

 ああ……(ルーピン君の役割)落ちたねぇ……。

 本来ならDADA教師に教えを乞うことが多いのですが、今回はDADA教師がまさかのスネイプくんですので、撃退実績のあるレズちゃんに話が回ってきたようです。

 目撃者も多いので答えます。そうだよ(同意)。

 

「どんな防衛術を使ったの? 教えてくれない?」

 

 あ、いいっすよ(快諾)。準備ができたら伝えるんで待っててね。

 

 

 

 というわけで、その日の深夜。

 今夜もいつものように「必要の部屋」に……行きません。

 今夜は楽しい楽しい踊るホグワーツ大捜査線です。「忍びの地図」片手にホグワーツ中を練り歩きます。

 捜索先は、洋箪笥、流しの下の食器棚、小物入れなどなど。「必要の部屋」のあるホグワーツ8階を中心に捜索します。

 

 警察だ! ……空振り。何もいません。続行です。次の部屋にいきましょう。

 ──警察だ! ……空振り。何もいません。続行。

 ────警察だ! ……空振り。次。

 ミセス・ノリスだ! デミガイズマントで隠れ潜みましょう。

 時間切れ、逆転時計でワンモアチャンス!

 マクゴナガルだ! まだ距離があるので逃走!

 ──警察だ! ……からぶりー。

 

 はい。およそ八時間の捜索の結果、なんの成果も得られませんでした。ありがとうございました。今宵はこれまでにしとうございます。

 明日も続行します。次こそ見つかってくれよなー頼むよー。……見つからなかったら三年生にやること本当に無くなっちゃーう!

 

 翌日、夜。

 捜索にイクゾー! デッデッデデデデ、カーンデデデデ!

 

 ──警察だ! ……ガタッ。

 六階の空き部屋。レズちゃんが近づいた時に、小箪笥(チェスト)が一瞬()()()と音を立てて揺れました。これはもしかすると、もしかするかもしれませんよ?

 離れて、近づいて、離れて、近づいて。

 ──ガタッ──ガタッ。

 当確です。ありがとうございました。

 というわけで、中にいるこいつをチェストごと「必要の部屋」まで運びます。拉致だよこれは!

 流石に忍びの地図を見つつチェストを浮遊させながらマントを被るのは難しいです。巡回タイミングを待ちましょう。

 ……今です! ウィンガーディアム・レビオーサ! 浮遊せよ!

 八階まで急いで駆け上がるのじゃー。

 

 

 何事もなく、バカのバーナバス君の肖像画の前までつきました。

 これより「必要の部屋」に侵入しますが……また条件を変えます。

 今回の条件は、こちら!

 

 「防衛術練習に向いていて、ズィラ・レストレンジ、ハリー・ポッター以外の動物もどきを含む人間は入れず、ズィラ・レストレンジが招いた場合のみハリー・ポッターは入室でき、部屋の出入り口は二箇所あり、それらは壁で区切られた同一部屋内の別々の空間に繋がっており、空間内からもう片方の空間の情報を一切知覚できず、同一空間内に同一人物が二名以上存在できない部屋」

 

 はい。追加箇所は、「ハリーの侵入制限の一部解放」、「人間以外の生物の侵入条件緩和」、「動物もどきの追放」です。

 それぞれハリーの特訓、生物の持ち込み緩和、シリウス、ピーターの侵入禁止ですね。

 チェストを中に運び入れて、設置して……。今日は逆転時計込みであと六時間ほどありますね。

 

 さて、視聴者兄貴姉貴たち、いよいよ準備が整いました!

 これよりみんな大好き、「ボガート先生の閉心術道場」を開催します!

 まね妖精・ボガート。リディクラスとかいう熟練度0でも使える呪文で倒せるクソザコ妖精ですが、一方でモリー・ウィーズリー姉貴のような強キャラにも勝ち目のあるジャイアント・キリング・クリーチャーです。

 彼らは不生不死の非存在であり、姿すら不明ですが、近くにいる人間の心を読んで、その対象が最も恐怖している存在に変身することができます。

 はい、お分かりですね。ボガートくんの変身過程には、人間とは全く異なるものの、開心術に近いプロセスが含まれています。開心術を受けるということは、つまりは閉心術の練習にもなる、ということです。

 その上、ボガートくんの開心術(仮称)は人間の開心術トップクラスであるヴォルデモート卿やスネイプ先生ですら足元にも及ばないほどに強力です。これにより、ボガートの開心を耐えられれば、人間基準で言えば無敵のレベルにまで閉心術を鍛えることができます。たまらねぇぜ。

 ……逆に言えば、ボガートくんのトラウマ攻撃により心が折れた場合、「必要の部屋」の入室条件の都合上dead endからのリセット待ったなしですが、ここは勝負どころ!

 時は金なり、金は命より重い、つまり時は命より重い! ギリギリを攻めましょう。

 チェスト、オープン! 中から出てきたのは……。

 

 

 小箪笥から四肢があらぬ方向へ折れ曲がり、胴体がひしゃげた何かが転がり落ちてくる。()()は満足に動かない肉体を必死に動かし、蟲のようにのたうち回りながらもじりじりとこちらに近寄ってくる。

 血でべっとりと顔に張り付いた髪の隙間から見える青い光は、あなたが毎日のように目を合わせて──ぐしゃり。

 振り下ろされた棍棒により、彼女はもはやなんだったかもわからない肉塊に変わってしまった。

 突如、あなたの視界を影が覆う。

 思わず上を見上げてみれば。

 そこにいたのは過ぎ去った恐怖、攻略した試練──。

 

 

 ──はい。マウンテン・トロール・ガードマン戦です。……じゃオラオラ来いよオラァ!(おじさんインストール)

 

 リディクラス! ばかばかしい!

 

 突如駆けつけたアルバス・ダンブルドアがトロール君を一撃で消しとばし、これまた何処かから現れたハリー・ポッターが賢者の石を用いてレズちゃんを完全復活させました。

 

 次行きます。

 チェスト・オープン! 中から出てきたのは……。

 

 

 ──時は止まらない。

 ギルデロイが悩む間にも、無情にも戦況は悪化していく。

 ふと視線を上げれば、ハリー・ポッターが今まさにバジリスクに飲み込まれようとしていた。

 恐らくは手に持っている剣で刺し違えるつもりであろうが、それでも重傷──いいや、死は避けられないだろう。

 

 叡智の寮には似つかわしくないことではあったが。

 ハリーの危機を見た途端、考えるよりも先に、ギルデロイは杖を抜き放っていた。

 彼が選択したのは、彼の持ちうる中で、ある意味で最も慣れ親しんだ切り札だ。

 

「──オブリビエイト・マキシマ! 完全忘却せよ!」

 

 桜の杖から放たれた、ギルデロイが唯一誇れる魔法。

 閃光は「秘密の部屋」の闇を切り裂いて進み。

 

 ──『護りの魔法』を貫いてハリー・ポッターの全てを忘却させ。彼を物考えぬ木偶へと変える。

 カラン、と音を立ててグリフィンドールの剣は地に落ち。バジリスクはそのままぺろりと「生き残った男の子」を平らげてしまいましたとさ。ちゃんちゃん。

 

 

 リディクラス! ばかばかしい!

 

 

 突然のたうち回るバジリスク。蛇の身体が内部から切断されていく!

 

「セクタムセンプラ! セクタムセンプラ!」

 

 なんと、ハリー・ポッターは知らぬ間に切断呪文を完全習得していたのだ! 彼はそのまま蛇の王も日記帳も切り裂き尽くしてしまいました。めでたし、めでたし。

 

 次行きます。

 チェスト・オープン! 中から出てきたのは……。

 

 

 冷たい廊下。あなたはデミガイズのマントを被って息を潜めている。

 今夜だ。今夜、蛇がここに現れることになっている。

 あなたはこの日のために準備に準備を重ねてきた。魔法省への秘密裏の移動手段、分霊箱の破壊方法。合法非合法を問わず積み上げてきた。

 此処で蛇を潰す。

 此処さえ超えてしまえば、後は決戦のみ。

 ずる……ずる……。何かをひきずるような音が聞こえた。

 来た。蛇だ。

 熱い心、冷たい思考、絶対の意思。

 勝負は一瞬。此処を通る瞬間に仕留める。

 ずる……ずる……ずる……………………。

 音が消えた? 止まったのか? まさか、引き返した? それはまずい、此処で決着を──

 

 ぐちゃ。

 あなたの肩に、何かが噛み付く。

 

「────────!!!」

 

 絶叫。声にならない。

 生存を手放したくなるほどの、筆舌に尽くし難い毒が瞬時に全身に回る。これは、生物の持ちうる毒ではない。呪い痛めつけ殺すために造られた毒。そう考えてしまうほどの異常な痛み。

 のたうち回りながらあなたは背後を見つめる。

 巨大な蛇がこちらを見下していた。

 何故? 何故? 何故!? 透明になっていた! 見つけられないはずだ!

 あなたのもとへ、蛇が音もなくするすると近寄ってくる。

 ブラフ。あなたは騙されたことを悟った。初めから気づかれていたのだ。だがどうして?

 お構いなしに、蛇はあなたに二度、三度と牙を突き立てた。

 捕食する気だ。それも丸呑みなんて救いある方法ではなく、痛みと苦しみの中で。

 あなたは悟った。

 ぐちゃり、ぐちゃり、ぐちゅ。

 冷たくなっていく身体、熱くなっていく身体。

 あなたはふと、栗色の髪の少女から聞いた話を思い出した。

 

 ──ピット器官

 

 

 

 リディクラス! バカバカしい!

 

 

 

 黒焔が走った。

 それは、何もない空間から放たれ、あっという間に蛇を焼き尽くした。

 シューシュー、蛇特有の言語から、徐々に甲高い女性のような声へと変わり、それも燃え尽きる。

 蛇がこの世に存在した痕跡。それが何一つとしてなくなった後。誰かが呟いた。

 

「体温を調整する魔法薬なんて、いくらでもありますわ」

 

 足音は蛇に食い荒らされた()()()の元へ近づく。

 ()()()の姿は、初老の金髪男性と年若い黒髪の少女が混ざったような奇妙な姿をしていた。

 あなたはふと、栗色の少女たちと共に作った薬を思い出し、呟いた。

 

「──ごめんなさい」

 

 

 

 ……ボガート道場は続きますが今回はここまで! ご笑読ありがとうございました。

 




ボガートが対象ではなくシチュエーションそのものに化けられるかどうかは解釈が分かれます。独自解釈かなぁ。

追記
現時点のズィラ・レストレンジに対するボガートの反応となります。リセット等は関与しておりません。紛らわしいので追記。

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